- 今野敏のシリーズ作品一覧
- 奏者水滸伝(旧:超能力者、ハイパー・サイキック・カルテット)シリーズ(8作)
- 聖拳伝説シリーズ(3作)
- 特殊防諜班(旧:新人類戦線)シリーズ(7作)
- トランプ・フォースシリーズ(2作)
- シド・アキヤマシリーズ(2作)
- 安積班シリーズ(24作)
- 秘拳水滸伝シリーズ(4作)
- 内調特命班(旧:犬神族の拳)シリーズ(2作)
- 宇宙海兵隊シリーズ(6作)
- 闘神伝説シリーズ(4作)
- 潜入捜査(旧:聖王獣拳伝)シリーズ(6作)
- 孤拳伝シリーズ(5作)
- 渋谷署強行犯係(旧:拳鬼伝)シリーズ(4作)
- ボディーガード工藤兵悟シリーズ(4作)
- 鬼龍光一シリーズ(7作)
- 歌舞伎町特別診療所シリーズ(2作)
- 警視庁強行犯係・樋口顕シリーズ(9作)
- 警視庁捜査一課・碓氷弘一シリーズ(6作)
- スクープシリーズ(5作)
- ST 警視庁科学特捜班シリーズ(13作)
- 探偵・石神達彦シリーズ(2作)
- 神奈川県警少年捜査課(旧:わが名はオズヌ)シリーズ(3作)
- 美崎照人シリーズ(2作)
- 公安外事・倉島警部補シリーズ(7作)
- 横浜みなとみらい署シリーズ(7作)
- 任侠シリーズ(7作)
- 琉球空手シリーズ(5作)
- 隠蔽捜査シリーズ(14作)
- TOKAGEシリーズ(3作)
- 同期シリーズ(3作)
- 警視庁FCシリーズ(3作)
- 萩尾警部補シリーズ(4作)
- マル暴シリーズ(3作)
- 継続捜査ゼミシリーズ(2作)
- サーベル警視庁シリーズ(2作)
- 機捜235シリーズ(3作)
- 署長シリーズ(2作)
- 今野敏のノンシリーズ作品一覧
- 『海神の戦士』(初刊:1983年3月)
- 『レコーディング殺人事件 : ミュージックサスペンス』(初刊:1983年12月)
- 『怪物が街にやってくる』(初刊:1985年6月)
- 『茶室殺人伝説』(初刊:1986年4月)
- 『夢拳士アイドルを救え!!』(初刊:1986年9月)
- 『男たちのワイングラス』(初刊:1989年4月)
- 『遠い国のアリス』(初刊:1989年4月)
- 『デビュー』(初刊:1992年5月)
- 『ドリームマッチ』(初刊:1992年6月)
- 『赤い密約』(初刊:1994年4月)
- 『迎撃』(初刊:1994年9月)
- 『事件屋』(初刊:1994年11月)
- 『龍の哭く街』(初刊:1995年12月)
- 『波濤の牙 海上保安庁特殊救難隊』(初刊:1996年4月)
- 『慎治』(初刊:1997年8月)
- 『惣角流浪』(初刊:1997年10月)
- 『レッド』(初刊:1998年8月)
- 『時空の巫女』(初刊:1998年12月)
- 『山嵐』(初刊:2000年11月)
- 『虎の道 龍の門 上』(初刊:2001年10月)
- 『虎の道 龍の門 下』(初刊:2001年10月)
- 『武打星』(初刊:2002年3月)
- 『殺人ライセンス』(初刊:2002年5月)
- 『提督たちの大和』(初刊:2005年12月)
- 『膠着 スナマチ株式会社奮闘記』(初刊:2006年10月)
- 『琉球空手、ばか一代』(初刊:2008年5月)
- 『心霊特捜』(初刊:2008年8月)
- 『叛撃』(初刊:2010年7月)
- 『ビギナーズラック』(初刊:2011年3月)
- 『流行作家は伊達じゃない』(初刊:2014年1月)
- 『軌跡』(初刊:2014年2月)
- 『精鋭』(初刊:2015年2月)
- 『寮生 一九七一年、函館。』(初刊:2015年10月)
- 『防諜捜査 公安外事・倉島警部補』(初刊:2016年4月)
- 『キンモクセイ』(初刊:2018年12月)
- 『天を測る』(初刊:2020年12月)
- 『海風』(初刊:2024年8月)
- 『安恒』(初刊:2026年8月)
今野敏のシリーズ作品一覧
- 奏者水滸伝(旧:超能力者、ハイパー・サイキック・カルテット)シリーズ
- 聖拳伝説シリーズ
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- 警視庁FCシリーズ
- 萩尾警部補シリーズ
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- 継続捜査ゼミシリーズ
- サーベル警視庁シリーズ
- 機捜235シリーズ
- 署長シリーズ
奏者水滸伝(旧:超能力者、ハイパー・サイキック・カルテット)シリーズ(8作)
-
『奏者水滸伝 阿羅漢集結』(初刊:1982年2月)
-
『奏者水滸伝 小さな逃亡者』(初刊:1985年6月)
-
『奏者水滸伝 古丹、山へ行く』(初刊:1986年2月)
-
『奏者水滸伝 白の暗殺教団』(初刊:1986年11月)
-
『奏者水滸伝 四人、海を渡る』(初刊:1987年8月)
-
『奏者水滸伝 追跡者の標的』(初刊:1988年3月)
-
『奏者水滸伝 北の最終決戦』(初刊:1989年1月)
-
『熱波』 スピンオフ(初刊:1998年10月)
特殊防諜班(旧:新人類戦線)シリーズ(7作)
-
『特殊防諜班 連続誘拐』(初刊:1986年4月)
-
『特殊防諜班 組織報復』(初刊:1986年12月)
-
『特殊防諜班 標的反撃』(初刊:1987年7月)
-
『特殊防諜班 凶星降臨』(初刊:1988年5月)
-
『特殊防諜班 諜報潜入』(初刊:1988年11月)
-
『特殊防諜班 聖域炎上』(初刊:1989年9月)
-
『特殊防諜班 最終特命』(初刊:1990年9月)
安積班シリーズ(24作)
-
『二重標的 東京ベイエリア分署』(初刊:1988年9月)
-
『虚構の殺人者 東京ベイエリア分署』(初刊:1990年2月)
-
『硝子の殺人者 東京ベイエリア分署』(初刊:1991年7月)
-
『蓬莱』(初刊:1994年7月)
-
『イコン』(初刊:1995年10月)
-
『警視庁神南署』(初刊:1997年4月)
-
『神南署安積班』(初刊:1998年10月)
-
『残照』(初刊:2000年3月)
-
『陽炎 東京湾臨海署安積班』(初刊:2000年8月)
-
『最前線 東京湾臨海署安積班』(初刊:2002年5月)
-
『半夏生 東京湾臨海署安積班』(初刊:2004年7月)
-
『花水木 東京湾臨海署安積班』(初刊:2007年9月)
-
『夕暴雨 東京湾臨海署安積班』(初刊:2010年1月)
-
『烈日 東京湾臨海署安積班』(初刊:2010年9月)
-
『晩夏 東京湾臨海署安積班』(初刊:2013年2月)
-
『捜査組曲 東京湾臨海署安積班』(初刊:2014年8月)
-
『潮流 東京湾臨海署安積班』(初刊:2015年8月)
-
『道標 東京湾臨海署安積班』(初刊:2017年12月)
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『炎天夢 東京湾臨海署安積班』(初刊:2019年6月)
-
『暮鐘 東京湾臨海署安積班』(初刊:2021年8月)
-
『秋麗 東京湾臨海署安積班』(初刊:2022年11月)
-
『雨水 東京湾臨海署安積班』(初刊:2024年3月)
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『天狼 東京湾臨海署安積班』(初刊:2025年3月)
-
『明鏡 東京湾臨海署安積班』(初刊:2026年3月)
秘拳水滸伝シリーズ(4作)
-
『秘拳水滸伝1 如来降臨篇』(初刊:1989年6月)
-
『秘拳水滸伝2 明王招喚篇』(初刊:1990年9月)
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『秘拳水滸伝3 第三明王篇』(初刊:1991年11月)
-
『秘拳水滸伝4 弥勒救済篇』(初刊:1992年11月)
宇宙海兵隊シリーズ(6作)
-
『宇宙海兵隊 ギガース』(初刊:1990年6月)
-
『宇宙海兵隊 ギガース2』(初刊:1991年12月)
-
『宇宙海兵隊 ギガース3』(初刊:2003年6月)
-
『宇宙海兵隊 ギガース4』(初刊:2006年5月)
-
『宇宙海兵隊 ギガース5』(初刊:2008年5月)
-
『宇宙海兵隊 ギガース6』(初刊:2012年11月)
闘神伝説シリーズ(4作)
潜入捜査(旧:聖王獣拳伝)シリーズ(6作)
孤拳伝シリーズ(5作)
渋谷署強行犯係(旧:拳鬼伝)シリーズ(4作)
-
『密闘 渋谷署強行犯係』(初刊:1992年6月)
-
『義闘 渋谷署強行犯係』(初刊:1993年2月)
-
『宿闘 渋谷署強行犯係』(初刊:1993年6月)
-
『虎の尾 渋谷署強行犯係』(初刊:2014年1月)
ボディーガード工藤兵悟シリーズ(4作)
鬼龍光一シリーズ(7作)
警視庁強行犯係・樋口顕シリーズ(9作)
-
『リオ 警視庁強行犯係・樋口顕』(初刊:1996年6月)
-
『朱夏 警視庁強行犯係・樋口顕』(初刊:1998年3月)
-
『ビート 警視庁強行犯係・樋口顕』(初刊:2000年11月)
-
『廉恥 警視庁強行犯係・樋口顕』(初刊:2014年4月)
-
『回帰 警視庁強行犯係・樋口顕』(初刊:2017年2月)
-
『焦眉 警視庁強行犯係・樋口顕』(初刊:2020年4月)
-
『無明 警視庁強行犯係・樋口顕』(初刊:2022年3月)
-
『遠火 警視庁強行犯係・樋口顕』(初刊:2023年8月)
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『白露 警視庁強行犯係・樋口顕』(初刊:2025年11月)
警視庁捜査一課・碓氷弘一シリーズ(6作)
スクープシリーズ(5作)
ST 警視庁科学特捜班シリーズ(13作)
-
『ST 警視庁科学特捜班 エピソード1』(初刊:1998年3月)
-
『ST 警視庁科学特捜班 毒物殺人』(初刊:1999年9月)
-
『ST 警視庁科学特捜班 黒いモスクワ』(初刊:2000年12月)
-
『ST 警視庁科学特捜班 青の調査ファイル』(初刊:2003年2月)
-
『ST 警視庁科学特捜班 赤の調査ファイル』(初刊:2003年7月)
-
『ST 警視庁科学特捜班 黄の調査ファイル』(初刊:2004年1月)
-
『ST 警視庁科学特捜班 緑の調査ファイル』(初刊:2005年1月)
-
『ST 警視庁科学特捜班 黒の調査ファイル』(初刊:2005年8月)
-
『ST 警視庁科学特捜班 為朝伝説殺人ファイル』(初刊:2006年7月)
-
『ST 警視庁科学特捜班 桃太郎伝説殺人ファイル』(初刊:2007年12月)
-
『ST 警視庁科学特捜班 沖ノ島伝説殺人ファイル』(初刊:2010年12月)
-
『ST 警視庁科学特捜班 エピソード0 化合』 スピンオフ(初刊:2011年7月)
-
『ST 警視庁科学特捜班 プロフェッション』(初刊:2015年8月)
神奈川県警少年捜査課(旧:わが名はオズヌ)シリーズ(3作)
-
『わが名はオズヌ』(初刊:2000年9月)
-
『ボーダーライト 神奈川県警少年捜査課』(初刊:2024年8月)
-
『リミックス 神奈川県警少年捜査課』(初刊:2024年9月)
公安外事・倉島警部補シリーズ(7作)
-
『曙光の街 公安外事・倉島警部補』(初刊:2001年11月)
-
『白夜街道 公安外事・倉島警部補』(初刊:2006年7月)
-
『凍土の密約 公安外事・倉島警部補』(初刊:2009年9月)
-
『アクティブメジャーズ 公安外事・倉島警部補』(初刊:2013年8月)
-
『ロータスコンフィデンシャル 公安外事・倉島警部補』(初刊:2021年7月)
-
『台北アセット 公安外事・倉島警部補』(初刊:2023年11月)
-
『ニンジャ 公安外事・倉島警部補』(初刊:2025年5月)
横浜みなとみらい署シリーズ(7作)
-
『逆風の街 横浜みなとみらい署暴力犯係』(初刊:2003年12月)
-
『禁断 横浜みなとみらい署暴対係』(初刊:2010年6月)
-
『防波堤 横浜みなとみらい署暴対係』(初刊:2011年11月)
-
『臥龍 横浜みなとみらい署暴対係』(初刊:2016年2月)
-
『スクエア 横浜みなとみらい署暴対係』(初刊:2019年2月)
-
『大義 横浜みなとみらい署暴対係』 スピンオフ(初刊:2021年3月)
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『トランパー 横浜みなとみらい署暴対係』(初刊:2023年5月)
任侠シリーズ(7作)
琉球空手シリーズ(5作)
隠蔽捜査シリーズ(14作)
-
『隠蔽捜査』(初刊:2005年9月)
-
『果断 隠蔽捜査2』(初刊:2007年4月)
-
『疑心 隠蔽捜査3』(初刊:2009年3月)
-
『初陣 隠蔽捜査3.5』 スピンオフ(初刊:2010年5月)
-
『転迷 隠蔽捜査4』(初刊:2011年9月)
-
『宰領 隠蔽捜査5』(初刊:2013年6月)
-
『自覚 隠蔽捜査5.5』 スピンオフ(初刊:2014年10月)
-
『去就 隠蔽捜査6』(初刊:2016年7月)
-
『棲月 隠蔽捜査7』(初刊:2018年1月)
-
『清明 隠蔽捜査8』(初刊:2020年1月)
-
『探花 隠蔽捜査9』(初刊:2022年1月)
-
『審議官 隠蔽捜査9.5』 スピンオフ(初刊:2023年1月)
-
『一夜 隠蔽捜査10』(初刊:2024年1月)
-
『分水 隠蔽捜査11』(初刊:2026年1月)
TOKAGEシリーズ(3作)
-
『TOKAGE 特殊遊撃捜査隊』(初刊:2008年1月)
-
『天網 TOKAGE 特殊遊撃捜査隊』(初刊:2010年2月)
-
『連写 TOKAGE 特殊遊撃捜査隊』(初刊:2014年2月)
警視庁FCシリーズ(3作)
-
『警視庁FC』(初刊:2011年2月)
-
『カットバック 警視庁FC2』(初刊:2018年4月)
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『エンドロール 警視庁FC3』(初刊:2025年7月)
今野敏のノンシリーズ(単発)作品一覧(刊行順)
『海神の戦士』(初刊:1983年3月)
ジャズ・ピアニストの橘章次郎、28歳。国立音大を出て腕を磨いてきた彼のもとに、マイアミ・ジャズ・フェスティバル出演の招待が舞い込む。しかし演奏を終えた直後、彼は何者かに拉致されてしまう。相手はアメリカのある組織から依頼を受けた集団で、橘の記憶を執拗に探り、情報を引き出そうとする。過酷な尋問の過程で、橘の内に眠っていた未知の力が目覚め始め、自らに秘められた「密命」の存在に気づいていく。ジャズと格闘、そして国家の思惑が絡み合う中、フェスティバル会場は思わぬ決戦の舞台となる――ジャズ×アクション×謀略が融合した、今野敏初期の異色エンタテインメント。
『レコーディング殺人事件 : ミュージックサスペンス』(初刊:1983年12月)
大物ポップス歌手のニューアルバム制作現場。深夜にまで及んだレコーディングセッションがようやく終わったとき、スタジオで一人の男が変わり果てた姿で発見される。その場に居合わせたのはわずか五人。中でもミキサーの田所は、事件の鍵を握る人物として一気に苦しい立場に追い込まれていく。音楽業界という華やかで密室的な世界を舞台に、警察の捜査と見え隠れする闇の力がスタジオ関係者たちを追い詰める。誰が、なぜ、あの夜に手を下したのか。今野敏が初期に手がけたドラマティックな本格ミステリー。
『怪物が街にやってくる』(初刊:1985年6月)
世界最強と謳われたジャズ・グループ「上杉京輔トリオ」を突如脱退した武田巌男。彼は新たに自分のカルテットを結成し、かつての仲間たちに真っ向から挑もうとする。二人の「怪物」がジャズという戦場でぶつかり合うとき、何が起こるのか――。表題作をはじめ、少林寺拳法やインカ帝国の伝説、伝説の歌姫、宇宙を舞台にした物語まで、ジャズを軸に据えた多彩な全六編を収録。今野敏のデビュー作を含み、筒井康隆に激賞された粗削りながらも強烈なエネルギーを放つ短編集。後の警察小説へと続く、作家・今野敏の原点がここにある。
『茶室殺人伝説』(初刊:1986年4月)
古都・鎌倉、茶道相山流の家元邸で開かれた盛大な茶会。それは家元の御曹子の婚約発表の場でもあった。華やいだ空気が漂う中、ひとりの男が胸に包丁を突き立てられた死体となって発見される。手伝いとして現場に居合わせた小高紅美子は、家元の次男・秋次郎や県警の刑事とともに事件の真相を追うことになるが、捜査を進めるうちに相山流の開祖にまつわる伝承と、戦国時代にまで遡る因縁が浮かび上がってくる。茶道に精通した著者ならではの美意識と緊張感が漂う、伝統と怨讐が交錯する本格長編ミステリー。
『夢拳士アイドルを救え!!』(初刊:1986年9月)
鳴かず飛ばずのアクション作家が、まさかの自作小説の映画化に沸き立つ。しかも主演は国民的アイドル・芳川和美。だが浮かれてばかりもいられない、彼には人に言えない奇妙な体質があった――原稿用紙に向かって集中すると、理想の男へと姿を変えてしまうのだ。撮影現場で和美と親しくなった矢先、彼女の部屋が何者かに荒らされ、大切な宝石箱が消える事件が発生。さらに青い目をした謎のスパイまで暗躍し始め、地味な作家先生は思いがけない冒険に巻き込まれていく。変身の秘密を抱えたまま、彼は宝石泥棒とスパイの陰謀にどう立ち向かうのか。ユーモアとアクションが弾ける痛快エンタテインメント。
『男たちのワイングラス』(初刊:1989年4月)
ウイスキー、ワイン、焼酎――酒を傍らに男たちが見せる、ふとした素顔の一瞬。仕事の重圧、女との駆け引き、譲れぬ矜持といった人生の機微が、グラスを傾けるひとときに凝縮されていく。もとは『マティーニに懺悔を』のタイトルで発表された作品に加筆修正を加え、実業之日本社文庫として改題刊行された短編集。鋭さとまろやかさをあわせ持つ大人のための物語が並び、酒好きなら思わず頷いてしまう場面の連続だ。一杯のグラスに込められた男たちの本音と余韻を味わう、今野敏ならではの上質な短編集。
『遠い国のアリス』(初刊:1989年4月)
売れっ子少女漫画家の菊池有栖は、締め切りに追われる日々に疲れ果て、羽根を伸ばしに信州の知人の別荘をひとりで訪れる。ところがその夜、原因不明の高熱にうなされ、翌朝目覚めると、身の回りの人間関係や細部が少しずつ違うことに気づき始める。なぜ自分は見知らぬ世界に迷い込んでしまったのか。やがて有栖は、自覚していなかったある淡い恋心がその原因だと知る。「時空の観測者」に導かれながら、彼女は近くて遠い元の世界へ戻ろうと試みるが――。独特の浮遊感漂う異色のSFファンタジー・ロマン。
『デビュー』(初刊:1992年5月)
19歳、童顔で人気急上昇中のアイドル・高梨美和子。だが誰も知らない彼女の素顔は、カリフォルニア大バークレー校で理論物理学と哲学の修士号を取得した才女だった。昼は無邪気なアイドルを演じ、夜は鋭い知性を発揮する――二つの顔を使い分ける美和子は、マネージャーの岡田、情報通の作曲家・井上、凄腕スタントマンの長谷部という信頼できる仲間とともに、行きつけのジャズ・バーで耳にした芸能界の闇に立ち向かう。薬物、秘密売春、大手プロダクションの暴力沙汰……華やかな世界の裏に潜む悪をおとり作戦で暴いていく、痛快連作短編集。
『ドリームマッチ』(初刊:1992年6月)
サバイバル・インストラクターの富臣竜彦は、元陸上自衛隊のエリートにして、幼少期から鍛え上げた野見流合気拳術の使い手。ある日、新興格闘技団体の合宿指導を依頼された彼は、極限状況の中で殴りかかってきた若手レスラーを鮮やかに一蹴する。その武の片鱗を見抜いた団体代表のスーパースター・神代は、富臣に強い興味を抱き始める。実戦的な古武道と、最強を標榜し多様な格闘技を貪欲に取り込んで進化するプロレス団体――異なる強さの流儀が交錯するとき、リングの上で何が起こるのか。今野敏が描く痛快格闘技エンタテインメント。
『赤い密約』(初刊:1994年4月)
1993年10月、モスクワ。テレビ局を訪れていた日本人空手家・仙堂辰雄は、突如として発生した政治的クーデターの渦中に巻き込まれる。銃弾が飛び交う混乱のさなか、瀕死のロシア人ジャーナリストから一本のビデオテープを託された仙堂。「これを日本のテレビで流してくれ」——その切実な依頼を受けた瞬間から、彼の運命は一変する。テープに映されていたものは何か。それを狙う者たちは何者なのか。マフィア、ヤクザ、そして政治家までもを巻き込む巨大な抗争が、異国の地で一人の空手家に牙を剥く。命を懸けて託されたテープを守り抜けるのか。緊迫のアクションノワールが幕を開ける。
『迎撃』(初刊:1994年9月)
フリージャーナリストの柴田邦久は、伝説と語られる日本人傭兵「シンゲン」の実像を追い、メキシコで彼と対峙する。平和な日本を離れ、なぜ危険な戦場に身を投じ続けるのか——その動機を知るため、柴田は兵士と同じ過酷な戦闘訓練を受け入れ、シンゲンとともにアフリカの紛争地帯へと足を踏み入れていく。銃声が響き、死が身近にある極限の環境で、柴田は「生きるために戦う」ことの意味を問い直される。傭兵という生き方の裏に隠された真意とは何か。ジャーナリストの視点を通して描かれる、戦場の現実と一人の男の生き様。柴田はシンゲンの答えにたどり着けるのか。
『事件屋』(初刊:1994年11月)
冒険小説を書き続けてきた「俺」は、最新作を世に送り出した直後、何者かに命を狙われる。自分の書いた物語に、触れてはならない何かがあったのか——困惑する間もなく、謎の男が現れて窮地を救う。礼を言おうとしたその時、男は名乗った。それは他でもない、「俺」自身が小説の中で生み出したはずの主人公の名前だった。虚構のキャラクターが現実に姿を現すという、あり得ない事態に「俺」は困惑しながらも、この不可解な男との関わりに引きずり込まれていく。これは偶然か、それとも仕組まれた罠か。虚実の境界が揺らぐ中で、事件の真相に迫るアクション作品。
『龍の哭く街』(初刊:1995年12月)
新宿・歌舞伎町。中国マフィアと暴力団の抗争が絶えず、暴力と金がすべてを支配するこの街で、氷室和臣はバー「ハイランド」のバーテンダーとして静かに暮らしていた。だがある日、入国管理局特別対策室の土門が現れ、四年前に起きた不法残留者・呉兄弟をめぐる事件の調査協力を持ちかける。かつて入管職員だった氷室の過去が、再び牙を剥く。事件に関わった元同僚が次々と命を落とし、氷室自身も何者かに襲われ、住まいは火を放たれる。さらに恋人の麻美にまで魔手が伸び、平穏だった日常は音を立てて崩れていく。歌舞伎町の闇に潜む敵の正体とは。今野敏が描く硬派アクションの真骨頂。
『波濤の牙 海上保安庁特殊救難隊』(初刊:1996年4月)
台風が接近し荒れ狂う茅ヶ崎沖の海で、遭難事故が発生した。荒波の中、海上保安庁特殊救難隊が現場へ急行し、遭難した船から男たち三人を救助する。しかし助け出されたはずの男たちは豹変し、隊員たちに銃口を突きつけた。彼らが要求したのは、沈みゆく船に積まれていた「積み荷」の回収だった。その積み荷とは何なのか、男たちの真の目的は何なのか。応援に向かった巡視船までもが台風の海で消息を絶ち、特殊救難隊員たちを想像を超える事態が待ち受ける。命の危険と隣り合わせで海に立ち向かう海の勇者たちの闘いを描く、海上保安庁特殊救難隊を舞台にした緊迫の一作。
『慎治』(初刊:1997年8月)
中学生の慎治は、同級生からの執拗ないじめに苦しんでいた。追い詰められた末に万引きにまで手を染め、生きることに絶望しかけていたそのとき、一部始終を目撃していた教師・古毛が声をかける。厄介事を恐れて見過ごすかと思われた大人は、慎治を自室に招き入れ、それまで知らなかった新しい世界へと導いていく。ガンプラ制作やサバイバルゲームという趣味の世界に触れるうち、慎治の中で何かが変わり始める。だが、いじめは収まらず、万引きの一件も思わぬ形で尾を引いていく。少年はこの世界で自分の居場所を見つけられるのか。今野敏が贈る、痛みと再生の青春小説。
『惣角流浪』(初刊:1997年10月)
明治維新で武士の世が終わり、刀を捨てよと迫られる時代。しかし、触れただけで大の男を投げ飛ばす異形の武を極めんとする男がいた。大東流合気柔術の祖・武田惣角である。西郷隆盛との邂逅を経て、己の武の道を確かめるべく諸国を放浪し、行く先々で名だたる武術家たちと対峙していく。刀が過去のものとなりゆく世で、なぜ彼はなお武を極め続けるのか。時代に取り残されながらも己の技を信じ抜く一人の武術家の生き様を、骨太な筆致で描く明治格闘小説。技と技、意地と意地がぶつかり合う果てに、惣角がたどり着く境地とは。武道好きならずとも引き込まれる一冊。
『レッド』(初刊:1998年8月)
警視庁捜査四課の刑事・相馬春彦は、ある出来事をきっかけに環境庁の外郭団体へと出向させられ、情熱を失った日々を送っていた。そんな彼に下されたのは、山形県のとある町にある沼「蛇姫沼」の環境調査という地味な任務。陸上自衛官・斎木明とともに現地に赴いた相馬だったが、町役場の助役の様子や、まとわりつく新聞記者の動きに違和感を覚える。そして沼から検出されたのは、強い放射能反応だった。なぜ山中の沼が汚染されているのか。町が隠す秘密とは何か。やる気を失っていた刑事が、思いがけず巨大な陰謀の入り口に立たされる、スケール大きな社会派サスペンス。
『時空の巫女』(初刊:1998年12月)
新たな才能を探し続けるレコード会社社長・飯島は、運命的な出会いを果たす。かつてネパールで生き神「クマリ」として崇められていた女性チアキ・チェスと、もう一人の「チアキ」。二人の女性を巡る飯島の物語と並行して、自衛隊の情報将校・綾部のもとには、アメリカから奇妙な報告が届く――世界各地の超能力者たちが、口を揃えて見ているという地球滅亡を思わせる悪夢。そこに繰り返し現れる日本人らしき名前「チアキ」。偶然か、それとも予兆か。現代物理学や認識論を織り交ぜながら、世紀末の救世主伝説へと収束していく本格SF長編。二つの「チアキ」が交わるとき、何が起こるのか。
『山嵐』(初刊:2000年11月)
時は明治。会津から上京してきた小柄な青年が、講道館創始者・嘉納治五郎にその才を見出され、柔道の道へと足を踏み入れる。非力な体格を独自の投げ技「山嵐」で覆し、瞬く間に頭角を現して講道館四天王の一人に数えられるまでになるが、彼の胸には別の夢が燃えていた――未知なる大陸への渡航である。名を惜しまず、名声にも縛られず、ただ己の道を突き進んだ天才柔術家。名作『姿三四郎』のモデルとなった実在の人物の、知られざる激動の青春を描く伝記小説。その生き様の果てに何を見出すのか。
『虎の道 龍の門 上』(初刊:2001年10月)
貧困のどん底から這い上がるため、己の強靭な肉体だけを武器に一攫千金を夢見る青年・南雲凱。片や、空手道場に通う麻生英治郎は、自らが学ぶ流派のあり方に拭えぬ違和感を覚え、空手の真の姿を求めてもがいていた。生まれも育ちも異なる二人の青年が、それぞれの理由から拳を握りしめ、己の生きる道を模索していく。貧しさゆえの野心と、武の本質を問う求道心――対照的な二つの生き方が、やがてどこかで交わろうとしている。空手を通して人間の誇りと生き様を描く骨太のアクション巨編、下巻に続く。
『虎の道 龍の門 下』(初刊:2001年10月)
「不敗神話」と呼ばれるほどの強さを手にしながらも、満たされぬ思いから豪遊を繰り返す凱。一方、いつしか「常勝軍団の総帥」に祭り上げられ、その重責に苦悩を深める英治郎。かつて異なる道を歩んでいた二人の青年は、互いに譲れぬ誇りを抱えたまま、避けようのない対決へと向かっていく。積み重ねてきた鍛錬と信念のすべてを賭けて、二人はついに拳を交える。強さとは何か、誇りとは何か――その問いの答えを、二人は己の拳で示せるのか。空手小説の金字塔、上巻からの完結編。
『武打星』(初刊:2002年3月)
ブルース・リーに憧れ、空手の技を武器に俳優の道を志した青年・長岡誠は、単身、猥雑で熱気渦巻く一九七九年の香港へと渡る。しかし夢の舞台は甘くない。頼みの先輩の背後には黒社会の影がちらつき、殺伐とした撮影現場ではNGを連発する日々。それでも誠は喜びと苦悩を味わいながら、武打星(アクションスター)への階段を一歩ずつのぼってゆく。やがて彼の拳は、九龍城に巣くうマフィアとの対峙へと導かれていく。異国での成り上がりを描く、拳が唸る痛快クライムノベル。
『殺人ライセンス』(初刊:2002年5月)
パソコンに詳しい高校生・永友久(キュウ)は、ネット上で見つけた奇妙なオンラインゲーム「殺人ライセンス」に遭遇する。それは標的の殺害を競うという不穏な内容だった。まもなく、ゲームの標的と酷似した公務員が現実に殺害される事件が発生し、キュウは戦慄する。探偵を志す同級生の父・相沢とともに事件とゲームの関係を追い始める一方、目黒署の刑事もこの事件に違和感を覚え捜査を進める。ネットと現実が交錯する中、第二の事件の予感が忍び寄る。高校生探偵コンビが挑む、スリリングなネットサスペンス。
『提督たちの大和』(初刊:2005年12月)
『膠着 スナマチ株式会社奮闘記』(初刊:2006年10月)
老舗の糊メーカー、スナマチ株式会社。長年培った信頼と技術を誇る会社だったが、開発部が世に送り出したのは、まさかの新製品「くっつかない糊」だった。糊なのに、くっつかない――この矛盾だらけの商品を前に、新人営業マンの丸橋啓太は頭を抱える。売れるはずのない商品を、いったいどうやって世に送り出せばよいのか。会社の存続すら危うくなるなか、若き営業マンはベテラン社員たちの助けも借りながら、持ち前の粘り強さで知恵を絞り、社内外を奔走する。逆転の発想と諦めない工夫で難局に挑む姿を描く、笑いと熱さが同居するサラリーマン応援小説。中小企業の現場のリアルと人間模様が胸を打つ、今野敏の異色作。
『琉球空手、ばか一代』(初刊:2008年5月)
幼き日、ブルース・リーに憧れ、手作りの巻藁を叩き始めた少年は、やがて上智大学の空手部で糸東流空手に打ち込むようになる。卒業後は日本空手道常心門に入門して池田奉秀師範に師事し、社会人となってからも修行を続けた。作家として世に出たのちも武道への情熱は衰えず、1999年には独立して空手道今野塾を開設。以来、自らを「古流沖縄空手原理主義者」と称し、首里手をはじめとする古式沖縄空手の源流を求めて沖縄へ通う旅を精力的に続けてきた。武道家にして小説家という二足の草鞋を貫いた著者が、笑いを交えた飄々とした筆致で綴る、空手一筋の半生記。少年の突きは、やがてどこへ辿り着いたのか。
『心霊特捜』(初刊:2008年8月)
神奈川県警鎌倉署に置かれた異色の部署、R特捜班。Rとは「霊」の略――番匠京介係長のもと、古神道の家系に連なる者、密教系寺院の出身者、沖縄ノロの血を引く者など、それぞれに霊感を備えた面々が集められている。連絡役として配属された岩切大悟は、当初は半信半疑ながらも、科学と心理学、宗教学や民俗学の知識を総動員して奇怪な事件に挑むメンバーたちの姿に次第に引き込まれていく。他部署からは白い目で見られながらも、成仏できずさまよう霊たちに真摯に向き合う彼らの前に、次々と不可解な心霊事件が立ちはだかる。警察小説と伝奇小説が融合した、読む者の心を静かに癒す連作ミステリー。
『叛撃』(初刊:2010年7月)
空手のライバル同士だった二人が、時を経て刑事と暴力団員として再び対峙する表題作をはじめ、新興流派のフルコンタクト空手に伝統空手の誇りをかけて挑む道場主、少女を食い物にする芸能界の闇に体を張って挑む初老のスタントマンなど、男たちの矜持と拳がぶつかり合う全8編を収めた短編集。空手道場を主宰する著者ならではの臨場感あふれる格闘描写が冴えわたり、勝ち負けだけでは測れない生き様が浮かび上がる。一撃に込められた覚悟が、読む者の胸を熱く揺さぶる硬派なアクション集。
『ビギナーズラック』(初刊:2011年3月)
暴走族との一触即発の対峙から、戦場の記憶を抱えた男の告白、本場のジャズが響く夜、音楽業界の裏側、公安の現場まで──今野敏が1980年代から2000年代にかけて紡いできた初期短編六作を一冊に集めた作品集。表題作「ビギナーズラック」をはじめ、ジャンルも舞台もまったく異なる物語が並び、若き日の著者が試行錯誤しながら磨いてきた筆致の変遷をたどれる贅沢な一冊。警察小説の名手として知られる以前の、多彩な引き出しを見せる読み応え十分な短編集。
『流行作家は伊達じゃない』(初刊:2014年1月)
北海道の小さな町に生まれ、漫画家を志し、詩や音楽、そして空手にのめり込みながら作家への道を歩んできた今野敏が、初恋の記憶、函館での寮生活、上京しての大学時代、レコード会社勤務時代など、自身の半生を飾らぬ筆致で綴ったエッセイ集。作家生活三十五年を記念して編まれた一冊で、数々の人気シリーズを生み出してきた著者の素顔や執筆の裏側がユーモアを交えて語られる。さらに東京湾臨海署安積班の浅羽と早水が登場する書き下ろし短編「初任教養」も収録し、ファンにはたまらない構成となっている。
『軌跡』(初刊:2014年2月)
『精鋭』(初刊:2015年2月)
研修を終えたばかりの新米巡査・柿田亮は、自分が本当に警察官に向いているのか迷いながらも、機動隊への道を志願する。過酷な訓練に耐え抜いた先に舞い込んだのは、ハイジャックなど凶悪事件に対処する特殊部隊「SAT」への招集だった。機動隊以上に厳しい選抜と訓練が待ち受ける中、陸上自衛隊の精鋭部隊との合同訓練で自衛官と交わす言葉が、柿田に職務の意味を問い直させる。犯罪が起きない異色の警察小説として、一人の青年が精鋭へと成長していく姿を骨太に描く意欲作。
『寮生 一九七一年、函館。』(初刊:2015年10月)
1971年春、憧れの私立高校に合格した「僕」は、親元を離れ函館の寮での生活を始める。見知らぬ街の景色、個性的な同級生たち、初めて触れる音楽──何もかもが新鮮で、胸は期待に膨らんでいた。だが入学早々、「寮の恒例行事『入魂会』に関わった者は死ぬ」という不穏な噂を耳にする。その二日後、寮の二年生が謎の転落死を遂げてしまう。事件と噂の真相を突き止めるため、「僕」たち一年生は探偵団を結成する。著者自身の高校寮生活の記憶を色濃く投影した青春学園ミステリー。
『防諜捜査 公安外事・倉島警部補』(初刊:2016年4月)
警視庁公安部のエース候補・倉島警部補は、外事一課と兼務するかたちで作業班への異動を命じられる。時を同じくして、ロシア人ホステスのマリア・ソロキナが鉄道の線路に転落し、命を落とした。当初は自殺と見られたこの事件に、中学校教師を名乗る九条という男が突如現れ、これはロシア人の殺し屋オレグによる暗殺だと証言する。だが倉島が捜査を進めれば進めるほど、その証言の裏側には、まったく別の顔が見え隠れしはじめる。日本の警察、公安、そしてロシア——それぞれの国益とプライドが激突する、息詰まる防諜戦の行方は。公安外事・倉島警部補シリーズ第5巻。
『キンモクセイ』(初刊:2018年12月)
法務官僚・神谷道雄が何者かに殺害された。事件を追う警察庁警備局の隼瀬順平は、神谷が日米合同委員会に深く関わっていたこと、そして「キンモクセイ」という謎めいた言葉を残していた事実にたどり着く。極秘に専任捜査を命じられる隼瀬だが、警視庁は捜査本部を縮小し、公安部までもが手を引こうとする不可解な動きを見せる。さらに協力者だった後輩が自ら命を絶つという事態が重なり、事件の背後に潜む闇は深まるばかり。著者初となる、日米関係の深部に迫る警察インテリジェンス小説。
『天を測る』(初刊:2020年12月)
安政七年、幕府の使節団を乗せた咸臨丸が、浦賀港からサンフランシスコへと出航する。太平洋を渡る長い航海の間、船室に閉じこもりがちな艦長・勝海舟をよそに、卓越した算術と測量の腕でアメリカ人乗組員たちを驚かせたのは、幕臣・小野友五郎だった。着港後のアメリカでは、奔放にふるまう福澤諭吉を窘めつつも、静かに日本の行く末を見据える。動乱の幕末を、表舞台には出ぬまま「正しい針路」を測り続けた技術官僚の生涯を描く、著者初の本格歴史小説。
『海風』(初刊:2024年8月)
嘉永六年、四隻の黒船が浦賀沖に姿を現し、幕府は前例のない対応を迫られる。小姓組番士だった永井尚志は、老中首座・阿部正弘に見出され、岩瀬忠震や堀利煕らとともに海防掛に抜擢される。列強諸国が次々と開国を迫る未曾有の国難のなか、まだ経験浅い若き幕臣たちは、旧来のしがらみを超えて日本の進むべき道を模索していく。「薩長史観」とは異なる視点から幕末を描き直す意欲作で、警察小説の名手として知られる著者が挑んだ、知られざる開国前夜の群像劇。
『安恒』(初刊:2026年8月)
明治十二年、廃藩置県によって琉球王国が歴史の幕を閉じ、沖縄県が誕生する。内務省の若き役人・小野寺正三郎は、新たな行政と教育制度を築くため南の島へ。そこで、後に「近代空手の祖」と称される武術家・糸洲安恒と出会う。まだ「空手」という名すらない時代、王国の消滅とともに琉球古来の武術「手(ティー)」も失われようとしていた。伝統を未来へつなぎたい安恒と、近代国家の理想を背負う小野寺。立場も歩んできた道も異なる二人は、変革の波に揺れる沖縄で、守るべきものと変えるべきものを問い続ける。国家と地方、近代化と継承がせめぎ合うなか、世界へ広がる空手の源流を描いた、熱き歴史エンターテインメント。