- 大沢在昌のシリーズ作品一覧
- 大沢在昌のノンシリーズ作品一覧
- 『死角形の遺産』(初刊:1982年7月)
- 『野獣駆けろ』(初刊:1983年9月)
- 『ダブル・トラップ』(初刊:1984年5月)
- 『夏からの長い旅』(初刊:1985年5月)
- 『深夜曲馬団』(初刊:1985年7月)
- 『東京騎士団』(初刊:1985年8月)
- 『悪人海岸探偵局』(初刊:1986年11月)
- 『ジャングルの儀式』(初刊:1986年12月)
- 『シャドウゲーム』(初刊:1987年8月)
- 『標的はひとり』(初刊:1987年11月)
- 『暗黒旅人』(初刊:1989年2月)
- 『氷の森』(初刊:1989年4月)
- 『六本木を1ダース』(初刊:1989年9月)
- 『銀座探偵局』(初刊:1990年1月)
- 『眠りの家』(初刊:1990年12月)
- 『一年分、冷えている』(初刊:1991年9月)
- 『烙印の森』(初刊:1992年3月)
- 『相続人TOMOKO』(初刊:1992年5月)
- 『死ぬより簡単』(初刊:1992年8月)
- 『ウォームハート コールドボディ』(初刊:1992年12月)
- 『悪夢狩り』(初刊:1994年9月)
- 『流れ星の冬』(初刊:1994年9月)
- 『陽のあたるオヤジ』(初刊:1994年11月)
- 『眠たい奴ら 上』(初刊:1996年10月)
- 『眠たい奴ら 下』(初刊:1996年10月)
- 『冬の保安官』(初刊:1997年7月)
- 『黄龍の耳』(初刊:1997年11月)
- 『かくカク遊ブ、書く遊ぶ』(初刊:1997年12月)
- 『らんぼう』(初刊:1998年9月)
- 『撃つ薔薇 : AD2023涼子』(初刊:1999年5月)
- 『夢の島』(初刊:1999年8月)
- 『闇先案内人 : 上』(初刊:2001年9月)
- 『闇先案内人 : 下』(初刊:2001年9月)
- 『未来形J』(初刊:2001年12月)
- 『秋に墓標を : 上』(初刊:2003年4月)
- 『秋に墓標を : 下』(初刊:2003年4月)
- 『パンドラ・アイランド』(初刊:2004年6月)
- 『ニッポン泥棒 : 上』(初刊:2005年1月)
- 『ニッポン泥棒 : 下』(初刊:2005年1月)
- 『パンドラ・アイランド : 上』(初刊:2006年5月)
- 『パンドラ・アイランド : 下』(初刊:2006年5月)
- 『Kの日々』(初刊:2006年11月)
- 『魔物 : 上』(初刊:2007年11月)
- 『魔物 : 下』(初刊:2007年11月)
- 『鏡の顔』(初刊:2009年2月)
- 『罪深き海辺 : 上』(初刊:2009年7月)
- 『罪深き海辺 : 下』(初刊:2009年7月)
- 『欧亜純白 : 上』(初刊:2009年12月)
- 『欧亜純白 : 下』(初刊:2009年12月)
- 『ブラックチェンバー』(初刊:2012年5月)
- 『やぶへび』(初刊:2012年12月)
- 『冬芽の人』(初刊:2013年1月)
- 『海と月の迷路 : 上』(初刊:2013年9月)
- 『海と月の迷路 : 下』(初刊:2013年9月)
- 『ライアー』(初刊:2014年4月)
- 『鮫言』(初刊:2015年9月)
- 『夜明けまで眠らない』(初刊:2016年12月)
- 『極悪専用』(初刊:2017年6月)
- 『覆面作家』(初刊:2017年10月)
- 『俺はエージェント』(初刊:2017年12月)
- 『漂砂の塔 : 上』(初刊:2018年9月)
- 『漂砂の塔 : 下』(初刊:2018年9月)
- 『帰去来』(初刊:2018年12月)
- 『悪魔には悪魔を』(初刊:2021年4月)
- 『熱風団地』(初刊:2021年8月)
- 『晩秋行』(初刊:2022年6月)
- 『リペアラー』(初刊:2025年2月)
大沢在昌のシリーズ作品一覧
佐久間公シリーズ(6作)
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『標的走路』(初刊:1980年12月)
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『感傷の街角』(初刊:1982年2月)
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『漂泊の街角』(初刊:1985年12月)
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『追跡者の血統』(初刊:1986年2月)
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『雪蛍』(初刊:1996年3月)
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『心では重すぎる : 上』(初刊:2003年1月)『心では重すぎる : 下』(初刊:2003年1月)
アルバイト探偵シリーズ(6作)
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『命で払え : アルバイト・アイ』(初刊:1986年7月)
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『毒を解け : アルバイト・アイ』(初刊:1987年7月)
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『王女を守れ : アルバイト・アイ』(初刊:1988年3月)
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『諜報街に挑め : アルバイト・アイ』(初刊:1989年11月)
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『誇りをとりもどせ : アルバイト・アイ』(初刊:1990年12月)
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『最終兵器を追え : アルバイト・アイ』(初刊:2004年2月)
新宿鮫シリーズ(13作)
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『新宿鮫』(初刊:1990年9月)
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『毒猿 : 新宿鮫2』(初刊:1991年8月)
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『屍蘭 : 新宿鮫3』(初刊:1993年3月)
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『無間人形 : 新宿鮫4』(初刊:1993年10月)
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『炎蛹 : 新宿鮫5』(初刊:1995年10月)
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『氷舞 : 新宿鮫6』(初刊:1997年10月)
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『灰夜 : 新宿鮫7』(初刊:2001年2月)
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『風化水脈 : 新宿鮫8』(初刊:2002年3月)
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『狼花 : 新宿鮫9』(初刊:2006年9月)
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『絆回廊 : 新宿鮫10』(初刊:2011年6月)
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『鮫島の貌 : 新宿鮫短編集』 外伝(初刊:2012年1月)
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『暗約領域 : 新宿鮫11』(初刊:2019年11月)
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『黒石 : 新宿鮫12』(初刊:2022年11月)
坂田勇吉シリーズ(3作)
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『走らなあかん、夜明けまで』(初刊:1993年12月)
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『涙はふくな、凍るまで』(初刊:1997年4月)
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『語りつづけろ、届くまで』(初刊:2012年4月)
狩人シリーズ(6作)
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『柩の狩人』(初刊:2026年5月)
天使の牙シリーズ(2作)
魔女シリーズ(4作)
カルテットシリーズ(3作)
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『生贄のマチ : 特殊捜査班カルテット』(初刊:2010年12月)
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『解放者 : 特殊捜査班カルテット2』(初刊:2011年1月)
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『十字架の王女 : 特殊捜査班カルテット3』(初刊:2015年11月)
大沢在昌のノンシリーズ(単発)作品一覧(刊行順)
『死角形の遺産』(初刊:1982年7月)
若き総会屋・井田のもとに、誤配された封筒が届く。そこには、死んだ世界的ミュージシャンの未発表の歌が録音されたテープをめぐる危険な秘密が隠されていた。配達人は殺され、本来の受取人も不可解な死を遂げる。偶然から事件に巻き込まれた井田は、欲望と暴力が交錯する闇へ踏み込んでいく。一九八二年に刊行された、著者初期の長編ハードボイルド。
『ダブル・トラップ』(初刊:1984年5月)
日本政府の少数精鋭の諜報機関・松宮貿易。優秀な工作員でありながら、ある事件の責で「裏切り者」のレッテルを貼られ組織を追われた男・加賀哲は、いま高級クラブの経営者として静かな日々を過ごしていた。そんな彼のもとに、助けを求める声を録音した一本のカセットテープが届く。声の主は、同じく組織を追われた同僚・牧野だった。加賀自身も何者かに襲撃され、過去の苦い事件の記憶が蘇る。四国へと向かう男の前に潜む二重スパイの影。著者初期の長編。
『夏からの長い旅』(初刊:1985年5月)
工業デザイナー・木島の日常は、充実した仕事と新しい恋人・久邇子との穏やかな逢瀬で満たされていた。だが、自宅への放火を皮切りに、彼の周囲では不審な出来事が立て続けに起きる。誰かに命を狙われている――そう感じてもまるで心当たりがない。ある日、久邇子の車に書き残された不可解な悪戯書きを目にした瞬間、木島の中で忘れようとしていた遠い夏の記憶が蘇る。手がかりは一枚の写真だけ。木島は調査を始める。
『深夜曲馬団』(初刊:1985年7月)
六本木の夜にうごめく男と女、人生をひとつのゲームのように軽やかに、けれど命がけで生きる人々。「鏡の顔」「空中ブランコ」「インターバル」「アイアン・シティ」「フェアウェル・パーティ」五編を収める、著者初期の傑作短編集。透明な乾いた筆致で描かれる都会のはぐれ者たちの姿は、のちの「新宿鮫」へと続いていく原点でもある。日本冒険小説協会最優秀短編賞に輝いた作品を含む一冊。
『東京騎士団』(初刊:1985年8月)
若くして優れた経営手腕を発揮する青年実業家・鷹野達也。友人の新進プロゴルファー・貝塚が襲われ、その恋人・秀子が拉致されたことから、彼の日常は一変する。世界制覇を企む謎の集団「超十字軍」からの勧誘を拒んだ鷹野は、やがて親しい者たちを奪われ、部下にして遊び仲間でもある大学生・路とともに反撃へ踏み出す。スピーディな場面展開で疾走する、痛快ヒーロー・アクション長編。
『悪人海岸探偵局』(初刊:1986年11月)
『ジャングルの儀式』(初刊:1986年12月)
ハワイから日本へ、一人の若者が降り立った。鍛え抜かれた肉体と強靭な意志を胸に秘めた桐生傀の目的はただひとつ、父を殺した男・花木達治への復讐。赤いジャガーを駆る美しい女に導かれ、彼はついに花木と対面するが、その背後には強大な権力に守られた「真の敵」が潜んでいた。傀は復讐を果たすため、ジャングルと呼ばれる暗闘の渦中へと身を投じる。父のため、そして自分自身のために闘う若者の、ノンストップ・アクション。
『シャドウゲーム』(初刊:1987年8月)
シンガーソングライターの堀河優美は、恋人の国夫を首都高速の事故で失った。遺品のなかに残されていたのは「SHADOW GAME」と書かれた一枚の楽譜。音楽活動を再開するにあたり、優美はその曲を歌うことを決意する。だが国夫の足取りを辿るうち、彼に楽譜を渡したという人物までもが、謎の事故死を遂げていたと知る。優美は事故二日前に国夫が訪れた名古屋へ向かい、偶然出会った小説家・胡山の手を借りて調査を始めるが、背後には不気味な男の影が忍び寄る。
『標的はひとり』(初刊:1987年11月)
かつて国家の極秘機関に属していた男・加瀬のもとに、強大な権力を握る大富豪、出雲グループ会長から私的な依頼が舞い込む。標的は会長の孫を惨殺した冷酷非情なテロリスト・成毛泰男。報酬は莫大な金、そして国家による「解放」――。加瀬は自らの過去と、いまの自分自身に静かに向き合いながら、最後の戦いへと身を投じていく。著者がデビュー初期に放った、寡黙な殺し屋を主役に据えるハードボイルド・サスペンスの傑作。
『暗黒旅人』(初刊:1989年2月)
『六本木を1ダース』(初刊:1989年9月)
六本木の夜が孕む、ほろ苦さといとおしさ。再会、別れ、すれ違い、不器用な男女の心の機微――。「見ていた女」「日曜の晩に」「マッスル・パーティ」「六本木・うどん」「空気のように」「セヴン・ストーリーズ」全六編収録、大人のための恋愛短編集。日曜の夜、行きつけのバーに立ち寄った僕は、思いがけずある女性に呼び止められる。お互いの過去と、残された未練を、ぽつりぽつりと語り合うひととき。事件は起きない。だが、そこには確かに人生がある。
『銀座探偵局』(初刊:1990年1月)
『眠りの家』(初刊:1990年12月)
千葉・外房の人里離れた岩礁地帯で、幼馴染の潤木と吉沢は奇妙な建物を見つける。前面には切り立った崖、背後には人の通れぬ深い山々――まるで何かの軍事施設のような佇まいだった。誰が何のために建てたのか。漁師に身を変えて潜入した二人が辿り着く答えとは。表題作のほか「一瞬の街」「ゆきどまりの女」「人喰い」「六本木怪談」「夜を突っ走れ」全六編を収録。短編ハードボイルドの真髄を伝える一冊。
『一年分、冷えている』(初刊:1991年9月)
一年分、冷えている――タイトルに集約されたほろ苦い男女の機微を、二十数編の小編に凝縮した短編集。ビデオショップで、夜更けのバーで、海の見える街角で。事件らしい事件は起きないのに、なぜかどの物語にもひりつくような余韻が残る。「一年分、冷えている」「ビデオショップで」「二杯目のジンフィズ」「湾岸道路で釣ったモノ」「共犯者」「自画像」「一年の反対側」など、都会の片隅で交わされる出会いと別れを描く小宇宙。掌編ハードボイルドの妙味を堪能できる一冊。
『烙印の森』(初刊:1992年3月)
舞台は芝浦のうらぶれた湾岸沿いに佇む酒場「ポット」。そこに集まるのは、いずれも裏稼業に深く関わる訳ありの面々ばかり。語り手の「私」は、殺人現場の死体写真を専門誌に売って糊口を凌いでいる男。彼の目下の追跡対象は、伝説の暗殺者「フクロウ」だった。だがある夜、彼自身が暗殺の標的となり、追われる立場へと反転する。「ポット」に集う裏社会の住人たちと組み、男は「フクロウ」を仕留めにかかる。乾いた筆致のハードボイルド・サスペンス長編。
『相続人TOMOKO』(初刊:1992年5月)
夫を亡くし、無国籍のまま日本に入国した美貌の女・TOMOKO。元CIA工作員にして、ある事情から日米合同の秘密組織に命を狙われている彼女は、まったく対照的な性格をもう一人の「TOMOKO」――新宿の風俗嬢に目をつける。莫大な富を抱える「闇の女」と、街を生き抜く「夜の女」。互いの素性も知らぬまま手を組んだ二人のTOMOKOは、米軍、CIA、日本警察、そして暴力団を相手に巨悪と対峙する。CIA仕込みの暗殺技を武器に、彼女たちが闘う痛快ハードボイルド。
『死ぬより簡単』(初刊:1992年8月)
ビデオ越しの追跡、息詰まる切迫、そして「死ぬより簡単」と呟きながら下される、ある決断――。男たちが、巨大な組織と巨大な悪に正面から挑む全四編。「ビデオよ、眠れ」「スイッチ・ブレード」表題作「死ぬより簡単」「12月のジョーカー」を収録。クールな筆致と疾走感あふれる展開で、ハードボイルドの王道を行く中編集。事件の表層をなぞるだけでは決して見えてこない、人間の弱さと矜持を炙り出す。著者の中堅期を代表する一冊。
『ウォームハート コールドボディ』(初刊:1992年12月)
事故から一命をとりとめた長生太郎は、瀕死の淵から戻ってきた。だが彼は、ある実験計画によって全身の血液をある薬液で置換された「生ける屍」だった。冷たい体、しかし熱い心――暖かな血のかわりに胸に宿るのは、愛した女への抗いがたい想いだけ。ウォームハートとコールドボディ、相反するふたつを抱えた男は、それでも危険な道へと自ら踏み込んでいく。一九九四年発表のSFハードボイルド長編。
『悪夢狩り』(初刊:1994年9月)
日本の若者たちのあいだに、ある違法ドラッグが密かに広まりはじめていた。「ナイトメア90」――それは米軍が極秘に開発した、人間の戦闘能力を極限まで引き上げる薬物。だが副作用として、服用者は人ならざる異形へと変貌してしまう。環境保護団体BSLが日本に持ち込んだ五人分の「ナイトメア90」が、何者かの手で消えた。フリーランスの軍事顧問・牧原は当局の依頼で高校教師に身をやつし、薬の行方を追う。だが「悪夢」は既に、牧原自身のすぐ間近まで迫っていた。
『流れ星の冬』(初刊:1994年9月)
『眠たい奴ら 上』(初刊:1996年10月)
組に莫大な借金を背負わせ、東京を離れて地方の温泉街・大池市へ身を隠した経済ヤクザの高見。そこで出会ったのは、大阪から単独捜査に来た警察組織のはみ出し者・月岡だった。立場も流儀も違う二人だが、組織に疎まれながら我が道を行く気質はどこか似ている。しかも二人は同じ女性に心を奪われ、その出会いを糸口に、地元の政治家や観光業者まで結びつく巨大新興宗教「大山教」の跡目争いへ踏み込んでいく。欲望と利権が渦巻く街で、ヤクザと刑事の奇妙な共闘は成立するのか。反発しながらも妙に息の合う二人の掛け合いと、巨大な闇が次第に姿を現す緊迫感が読者を引き込む、ハードボイルド・サスペンス上巻。
『眠たい奴ら 下』(初刊:1996年10月)
巨大新興宗教「大山教」の跡目争いに巻き込まれた経済ヤクザ・高見と、単独捜査を進める刑事・月岡。惚れた女性を守り、温泉街・大池市に巣食う悪の正体を暴くため、互いに一匹狼の二人は危うい協力関係をさらに深めていく。だが、宗教団体の内部対立に政治家や観光業者の思惑が絡み、敵と味方の境界は次第に見えなくなる。背後で糸を引くのは誰なのか。そして、組織からはみ出した男たちは、それぞれの流儀を貫いたまま、街を覆う利権と欲望の核心へ迫れるのか。ぶつかり合いながら育つ奇妙な友情、先の読めない駆け引き、迫り来る危機が一気に加速する。正反対の立場にいる二人の覚悟と選択を描く、ハードボイルド・サスペンス下巻。
『冬の保安官』(初刊:1997年7月)
シーズンオフの別荘地、雪の積もる人気のない一角で見回り中の保安管理人は、無人のはずの別荘で一人の少女に銃口を突きつけられる。恋人を待っているのだという少女と、自らの過去を思い出しながら言葉を交わすのも束の間、彼女を追ってくる男たちが現れる(表題作)。誘拐事件の「メッセンジャー」を引き受けた「私」が、新宿で背の高い独特な目をした刑事に声をかけられる短編ほか、大沢作品の人気キャラクターたちが共演する「再会の街角」を含む全九篇収録。
『黄龍の耳』(初刊:1997年11月)
希郎は父の死をきっかけに、千二百年以上の昔、唐の玄宗皇帝から自家に伝わった「黄龍の力」を受け継いだ者であることを知らされる。耳の封印を解けば、莫大な金と魅惑的な女性、そして厄介事までもがとてつもない勢いで吸い寄せられてくるという。イタリアの修道院を出てラスヴェガスで運試しの旅をした後、日本へ戻った希郎は、女性を武器に権力者を裏で操る巳那一族との対決を心に誓う。漫画化されて大ヒットした伝奇アクション巨編、満を持しての復刊。
『らんぼう』(初刊:1998年9月)
「最凶の刑事コンビ」と呼ばれる二人組――通称「ウラ」と「イケ」。腕は確かだが、何しろ気性が荒く、口より先に手が出るタイプ。職務質問もままならず、被疑者をどこまでも執念深く追い詰める。乱暴・無頼・容赦なし、けれどなぜか憎めないはみ出し刑事二人組が大暴れする連作短編集、全十篇。著者一流のユーモアと骨太のアクションが交差する。
『撃つ薔薇 : AD2023涼子』(初刊:1999年5月)
二〇二三年の東京。犯罪組織は国境を越えて多国籍化し、暴力性も加速度的に増していた。麻薬の新型物質を密売する謎の組織に、潜入捜査を命じられた女性刑事・櫟涼子。組織内で彼女に与えられた任務は、麻薬輸送のトラックを襲撃する一団へ情報を流している内通者の特定だった。裏切りと陰謀が幾重にも渦巻くなか、彼女が立ち向かうのは、形のない「見えざる敵」。激烈な近未来ハードボイルド。
『夢の島』(初刊:1999年8月)
長い年月、消息を絶っていた父が遂に世を去り、若きフリーカメラマンの絹田信一の手元に残ったのは、父が描いた一枚の絵だけだった。そこに秘められていたのは、誰も存在を知らぬ無人島――伝説の「夢の島」へとつながる手がかり。無限の富を生むとされるその「遺産」をめぐり、人々の思惑が信一の周囲で渦巻き始める。殺人、駆け引き、欲望。命がけのゲームに巻き込まれた若者は、夢を信じきれるのか。
『闇先案内人 : 上』(初刊:2001年9月)
「逃がし屋」――命を狙われる「客」を、追っ手の届かぬ闇の彼方へ送り届ける男・葛原。ある日、警察庁長官から、過去の弱みと引き換えに極秘の依頼が舞い込む。隣国から密かに入国した「最重要人物」を捜し出せ。その人物は、大阪を拠点とするもう一人の腕利き逃がし屋・成滝が秘匿しているらしい。著者が構想と執筆に八年を費やした渾身のハードボイルド長編、闇先案内人・上巻。
『闇先案内人 : 下』(初刊:2001年9月)
「逃がし屋」葛原は東京に戻り、隣国の重要人物を匿うとされる大阪の同業者・成滝に接触を試みる。だが共闘の提案はにべもなく拒絶されてしまう。最後の望みを託してある人物のもとを訪ねた帰り道、葛原は何者かに襲撃される。重要人物をめぐる暗闘はさらに激化し、誰を信じればよいのか、頼れる味方は本当にいるのかさえ揺らいでいく。誇りと過去を抱えた男たちの執念がぶつかる、闇先案内人・下巻。
『未来形J』(初刊:2001年12月)
五人の男女が、自分たちに何が起きているのかも分からないまま行動を始める。彼らを導くのは、Jと名乗る謎の存在。Jと交わす対話のなかで、五人は予想もしなかった真実に少しずつ近づいていく。Jが抱える「未来」とは、いったい何なのか――。携帯電話への配信形式で発表され、結末は読者からの公募で決められたという異色のSFミステリー。ハードボイルド作家・大沢在昌が、軽妙な筆致で挑んだ実験的な長編。
『秋に墓標を : 上』(初刊:2003年4月)
一人の中年男・龍は、ある日謎めいた美しい女・杏奈と出会う。彼女の隠された素性をやがて知るに至っても、抗いがたく惹かれていく自分を止められない。だがある日、杏奈は何の予兆もなく忽然と姿を消す。龍は男としての矜持を懸けて、彼女の行方を追いはじめる――。復讐でも正義でもなく、ただ一人の女性への想いだけが駆動力となる、著者には珍しく感情の灯火が静かに揺らめくハードボイルド長編。秋に墓標を・上巻。
『秋に墓標を : 下』(初刊:2003年4月)
姿を消した杏奈の影を追って、龍は軽井沢、そして石垣島へと向かう。一人の女のために、静謐な男の激しい戦いが幕を開ける。彼女の素性に絡みつく闇は、想像していたよりずっと深く、ずっと冷たい。そして物語の終わりには、思いがけぬ展開が龍を待ち受けていた。中年男の葛藤と、不器用な愛情の在りようを真正面から描く、いつもとは一味違う静かなハードボイルド。秋に墓標を・下巻。
『パンドラ・アイランド』(初刊:2004年6月)
小笠原諸島のさらに先、絶海に浮かぶ南の島・青國島。司法機関のないこの島に、警視庁を辞した元刑事・高州康彦が四十一歳にして「保安官」として赴任してくる。都会の疲れを癒し、別れた妻のことも忘れ、静かに余生を送るつもりだった――。だが着任早々、海に転落して死んだ老人が見つかる。事故とされた死に疑念を抱いた高州は、島独特の慣習に翻弄されながらも、住民たちが必死で守ろうとしている「島の秘密」へと近づいていく。第十七回柴田錬三郎賞受賞作。
『ニッポン泥棒 : 上』(初刊:2005年1月)
失業し、妻にも去られた六十四歳の尾津。途方に暮れていた彼の前に、見知らぬ青年が現れて告げる――あなたは、恐るべき機能を秘めた未来予測ソフトウェア「ヒミコ」を起動するための解錠鍵『アダム四号』なのだと。突如として国際的な陰謀に巻き込まれた老人は、長年磨いてきた商社マンとしての交渉術を武器に対抗していく。もうひとりの解錠鍵『イブ二号』の正体を探りながら、リアルとネットを股にかけた攻防の幕が上がる。ニッポン泥棒・上巻。
『ニッポン泥棒 : 下』(初刊:2005年1月)
「ヒミコ」をめぐる国際的な争奪戦は、ついに表面化した。鍵を握る尾津と、もう一人の解錠鍵「イブ二号」の薫が身を寄せる隠れ家に、突如として一人の男が現れる。さまざまな勢力の思惑が複雑に絡み合いながら、事態は思いがけぬ方向へと転がっていく。ヒミコを狙う組織のリーダー「コブラ」と、ついに尾津が対峙する瞬間が近づく。未来へ通じる扉は、開かれるのか、それとも閉ざされるのか。人生の終盤を生きる男のノンストップ・サスペンス、ニッポン泥棒・下巻。
『パンドラ・アイランド : 上』(初刊:2006年5月)
小笠原諸島のさらに先、絶海の南の島・青國島。司法機関のないこの島に、警視庁を辞した元刑事・高州康彦が四十一歳にして「保安官」として赴任してきた。都会の喧噪と離婚の傷を癒すための島勤め――そう思っていた矢先、海に転落して死んだ老人が見つかる。泥酔の上の事故と片付けられそうになるその死に、高州は疑念を抱く。島独特の習わしに翻弄されながら、彼は住民たちが守ろうとする秘密へと一歩ずつ近づいていく。第十七回柴田錬三郎賞受賞、パンドラ・アイランド上巻。
『パンドラ・アイランド : 下』(初刊:2006年5月)
島の暮らしに身を馴染ませようとする保安官・高州の前で、老人の転落死、放火事件、射殺事件と、不穏な出来事が立て続けに起こる。穏やかな南の楽園の幻想は、たちまち音を立てて崩れていく。死にゆく老人が口にした「島の財宝」、そして高州を惑わす謎めいた女・チナミ。サーフィン、薬物、戦後の占領、領土返還問題――島が抱え込んできた長い歴史と秘密が姿を現しはじめる。
『Kの日々』(初刊:2006年11月)
三年前に起きた、ある暴力団組長の誘拐事件。身代金八千万円を受け取って姿を消したはずの男・李の遺体が、すっかり白骨化した状態で東京湾に流れ着く。裏稼業の探偵・木は、事件の鍵を握る李の恋人・Kの素性を調査しはじめる。Kは果たして、恋人を殺し金を奪った悪女なのか、それとも亡き恋人をいまも愛し続ける貞淑な女なのか。鈍く光るどんでん返しを幾度も繰り返しながら、男と女の真実に迫っていく長編ミステリ。
『魔物 : 上』(初刊:2007年11月)
封印された一枚のイコン(聖画)が解き放たれるとき、「魔物」が現れる――。北海道で麻薬取締を担当する大塚に、ロシアン・マフィアと地元ヤクザの薬物取引情報が届く。現場で薬物の押収には成功するものの、銃弾を受けたはずのロシア人運び屋は素手で警官数人を撲殺し、忽然と街に姿を消してしまう。あり得ぬ現実に新型ドラッグの存在を疑った大塚は、ロシア人ホステス・ジャンナから、魔物カシアンの伝承を聞かされる。
『魔物 : 下』(初刊:2007年11月)
麻薬取締官・大塚は、ロックマンと名乗るロシア人を追っていた。銃弾を撃ち込んでも血すら流さぬその男に、同僚を撲殺された大塚は、ジャンナの証言からロシアの古いイコンに描かれた魔物カシアンの存在を知る。宿主を変えながら死を呼ぶ魔物を、再び封印することはできるのか。麻薬取締と人智を超えた存在との戦いが交錯する、オカルト・ハードボイルド長編、魔物・下巻。
『鏡の顔』(初刊:2009年2月)
写真家の沢原はカメラ片手に街を歩き、心の動く被写体を探し続けていた。だが、求める一枚はなかなか見つからず、自分の感性が鈍ったのか、才能が枯れたのかと焦りばかりが募る。ある日、わけもない苛立ちを抱えて歩いていた彼の足が、ふと止まる。鏡越しに目の合った男の暗く沈んだ瞳――これだ、と沢原は思う。直後、男の背後から一人の女が現れ、沢原は息を呑んだ。新宿鮫の鮫島、佐久間公、ジョーカーなど、著者の人気キャラクターが顔を揃える掌編集、全十二編。
『罪深き海辺 : 上』(初刊:2009年7月)
大地主の寄付金で潤う海辺の街、山岬市。アメリカで育った干場功一は、その故郷へとふらりと帰ってくる。「殿さま」と呼ばれた彼の伯父は、六年前、財産のすべてを街に寄付して世を去り、財政破綻の瀬戸際だった港町を救った人物。だがいま、その遺産の相続人と名乗る人物が突如として現れ、利権に群がる政治家や企業が一斉に色めき立つ。暴力団の抗争は激化し、定年間際の老刑事・安河内は命を懸けて真実を追う。
『罪深き海辺 : 下』(初刊:2009年7月)
「殿さま」の九年前に死んだ祖母・桑原和枝の死、その後の殿さま自身の奇怪な死、そして相続人・干場の出現とともに新たに起きる不審死――。海辺の街を覆ってきた長い連続殺人の謎が、定年間際の刑事・安河内の執念の捜査によって少しずつ解かれていく。利権、暴力団、企業の陰謀。それら全てに通底する一つの真実とは。八百ページ超の長編サスペンス、罪深き海辺・下巻。
『欧亜純白 : 上』(初刊:2009年12月)
一九九七年、香港から米国へ流れるヘロイン「チャイナホワイト」をめぐる戦いが幕を開ける。ロシアン・マフィア、蛇頭、日本の広域暴力団、そして麻薬ビジネスを束ねようとする謎の人物「ホワイトタイガー」。台湾ルートを追っていた厚生省麻薬取締官・三崎は、捜査の最中に襲撃され拉致される。華僑の徐とともに事件を追う三崎のもとへ、DEAの捜査官ベリコフが来日する。欧亜純白・上巻。
『欧亜純白 : 下』(初刊:2009年12月)
厚生省麻薬取締官・三崎と、華僑の徐、DEAの捜査官ベリコフ。共通の敵「ホワイトタイガー」を追って、彼らは香港返還を目前にした激動の都市へと身を投じていく。やがて中国公安部、CIAまでもが絡み合い、ユーラシア大陸を貫く麻薬の連鎖「ユーラシアホワイト」が全貌を現していく。三崎たちはこの世界規模の闇を断ち切ることができるのか。スケール感あふれる国際ハードボイルド巨編、欧亜純白・下巻。
『ブラックチェンバー』(初刊:2012年5月)
警視庁組織犯罪対策課の刑事・河合は、ロシアン・マフィアの内偵中に拉致され、危うく命を落としかける。九死に一生を得た彼を救ったのは、「ブラックチェンバー」と名乗る謎の集団だった。彼らは国際的な違法取引を独自に監視・摘発し、奪った闇の金を活動資金に充てているという。強欲と正義の両立を掲げるリーダー・北平にスカウトされ、河合は組織の一員となる。立ち向かう先には、人類を崩壊させかねない恐るべき犯罪計画が口を開けて待っていた。
『やぶへび』(初刊:2012年12月)
金もなければ、女もいない。四十代の元刑事・甲賀の独り暮らしを揺さぶる電話が、ある日警察から入る――「あなたの奥さんを保護しました」。妻と呼ばれた女は、かつて偽装結婚の相手として知り合った中国人だったが、いまは記憶を失っているという。素性を一緒に探ろうとするうち、彼女の表情にときおり影が差すのを甲賀は見逃さない。やがて不審な死が一件、また一件と起こり、中国マフィアまでもが絡みつき、まさに「藪をつついて蛇」の混沌に巻き込まれていく。
『海と月の迷路 : 上』(初刊:2013年9月)
『ライアー』(初刊:2014年4月)
物静かで優しい研究者の夫と、可愛い盛りの息子に恵まれて、幸せな家庭生活を送る神村奈々。だが彼女の裏の顔は、対象人物の「国外処理」を担う秘密機関の凄腕の工作員だった。ある日突然飛び込んでくる、夫の死を告げる電話。娼婦らしき女と一緒に焼死したという。事件の真相を探りはじめた奈々の前に、複数の襲撃者と組織内部の抗争が立ちはだかる。何故いま、家族を持つ自分が狙われるのか――。美しき暗殺者のノンストップ・ハードボイルド。
『夜明けまで眠らない』(初刊:2016年12月)
夜の街を流すタクシードライバー・久我は、ある日血の匂いを纏った男性客を乗せる。会話のうちに、その男は、久我がかつてアフリカの小国で傭兵をしていた頃の戦友だと気付く。男は携帯電話を一台、車内に置き忘れて姿を消した。やがてヤクザがその携帯を狙って動き出し、久我は断ち切ろうとした激しい戦いの渦に、再び引きずり込まれていく。元傭兵、ヤクザ、刑事、メキシカン・マフィア、そしてアフリカ新興国の元ゲリラ。男たちの過去が深夜の街でぶつかる、ハードボイルド・アクション。
『漂砂の塔 : 上』(初刊:2018年9月)
二〇二二年、雪と氷に閉ざされた北方領土の離島・春勇留(はるゆり)島。日中露合弁のレアアース生産会社に勤める日本人技術者が、両目を抉り取られた無残な遺体となって発見された。捜査権の及ばぬこの島に派遣されたのは、ロシア系クォーターで多言語に堪能な警視庁の石上。狭い島で、誰を信じればいいのか。日中露三ヵ国の思惑が交錯し、果てしなき欲望が静かに渦巻く。作家生活40年目の大作、漂砂の塔・上巻。
『漂砂の塔 : 下』(初刊:2018年9月)
雪に閉ざされた北方領土の離島・春勇留島で、警視庁の石上は孤立無援の囮捜査を続けていた。レアアース生産会社「オロテック」に隠された不審な動きを追ううち、九十年前の島であった大量殺人事件と現代の事件が線で結ばれていく。元KGB施設長、美貌の女医タチアナ、夜の店のボス・ギルシュ、中国治安部の楊。日中露三ヵ国の思惑が島の上で複雑に絡み合う。作家生活40年目の大作、漂砂の塔・下巻。
『帰去来』(初刊:2018年12月)
警視庁捜査一課の「お荷物」と陰口を叩かれる女性刑事・志麻由子。連続殺人犯を追う最中、何者かに首を絞められて意識を失った彼女が目覚めると、そこは見覚えのない街――光和二十七年、アジア連邦日本共和国・東京市だった。並行世界(パラレルワールド)に放り込まれた由子は、向こうの世界の自分が同名のエリート警視である事実に困惑しつつも、連続殺人鬼「ナイトハンター」事件を解決し、新宿の闇市に君臨する「羽黒組」「ツルギ会」を相手に動き出す。SF×警察小説の異色作。
『悪魔には悪魔を』(初刊:2021年4月)
麻薬取締官として、ベトナム人麻薬密売組織「クェ」に潜入していた加納良が音信不通となった。米軍歩兵としてアフガニスタンで戦った双子の弟・将は、良の上司・菅下から協力を依頼され、二十年ぶりに日本へ戻り、瓜二つの兄を演じて潜入捜査を引き継ぐ。組織犯罪対策部の女性刑事・大仏とともに、将は怪しい場所を一軒、また一軒と洗っていく。行方不明の兄は本当に生きているのか。犯罪アクション長編。
『熱風団地』(初刊:2021年8月)
あがり症だがベサール語を話せる観光ガイドの佐抜克郎は、ある日NPO「みなみ十字星」から、ベサール国の王子を捜してほしいと依頼を受ける。手がかりは一枚の写真と、克郎が話せるベサール語だけ。ベサール語の権威・杉本教授に紹介された助手は、ベサールとのハーフであり、かつて克郎がファンだった元女子プロレスラー「レッド・パンサー」その人だった。二人は千葉の巨大団地「アジア団地」で王子の救出に奔走する。
『晩秋行』(初刊:2022年6月)
居酒屋店主の円堂のもとに、バブル時代を共に駆け抜けた盟友・中村から電話が入る。「地上げの神様」と呼ばれ、バブル崩壊とともに姿を消した二見興産の社長――その愛車で、二十億円もの価値がつくクラシックカーの目撃情報が入ったというのだ。失踪した男はいまどこに、車はどこに、そして昔の女はいまどうしているのか。二十億円のクラシックカーをめぐって、バブルの亡霊たちが静かに、しかし執念深く蠢き出す。情けない男と、たくましい女――著者新境地の晩秋ハードボイルド。
『リペアラー』(初刊:2025年2月)
イラストレーターの想一は、高校時代からの友人でノンフィクションライターのミヤビから、ある調査を手伝ってほしいと頼まれる。四十年前、六本木のとあるビルの屋上で発見された身元不明の死体――当時の警察は事件性なしと判断し、行旅死亡人として処理されていた。依頼主は誰なのか、男はなぜ静かに屋上で死んだのか。当時のビル住人たちを訪ね歩くうち、二人は鍵を握る奇妙な人物に行き着く。過去の謎を追う長編ミステリー。