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中山七里のシリーズ作品一覧

岬洋介シリーズ(10作)

  1. 『さよならドビュッシー』(初刊:2010年1月)
  2. 『おやすみラフマニノフ』(初刊:2010年10月)
  3. 『さよならドビュッシー前奏曲 要介護探偵の事件簿』(初刊:2011年10月)
  4. 『いつまでもショパン』(初刊:2013年1月)
  5. 『どこかでベートーヴェン』(初刊:2016年5月)
  6. 『もういちどベートーヴェン』(初刊:2019年3月)
  7. 『合唱 岬洋介の帰還』(初刊:2020年4月)
  8. 『おわかれはモーツァルト』(初刊:2021年12月)
  9. 『いまこそガーシュウィン』(初刊:2023年9月)
  10. 『とどけチャイコフスキー』(初刊:2025年11月)

連続殺人鬼カエル男シリーズ(3作)

  1. 『連続殺人鬼カエル男』(初刊:2011年2月)
  2. 『連続殺人鬼カエル男ふたたび』(初刊:2018年5月)
  3. 『連続殺人鬼カエル男 完結編』(初刊:2024年11月)

御子柴礼司シリーズ(7作)

  1. 『贖罪の奏鳴曲』(初刊:2011年12月)
  2. 『追憶の夜想曲』(初刊:2013年11月)
  3. 『恩讐の鎮魂曲』(初刊:2016年3月)
  4. 『悪徳の輪舞曲』(初刊:2018年3月)
  5. 『復讐の協奏曲』(初刊:2020年11月)
  6. 『殺戮の狂詩曲』(初刊:2023年3月)
  7. 『暗殺の交響曲』(初刊:2026年8月)

静おばあちゃんシリーズ(3作)

  1. 『静おばあちゃんにおまかせ』(初刊:2012年7月)
  2. 『静おばあちゃんと要介護探偵』(初刊:2018年11月)
  3. 『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』(初刊:2020年10月)

刑事犬養隼人シリーズ(7作)

  1. 『切り裂きジャックの告白 刑事犬養隼人』(初刊:2013年4月)
  2. 『七色の毒 刑事犬養隼人』(初刊:2013年7月)
  3. 『ハーメルンの誘拐魔 刑事犬養隼人』(初刊:2016年1月)
  4. 『ドクター・デスの遺産 刑事犬養隼人』(初刊:2017年5月)
  5. 『カインの傲慢 刑事犬養隼人』(初刊:2020年5月)
  6. 『ラスプーチンの庭 刑事犬養隼人』(初刊:2021年1月)
  7. 『ドクター・デスの再臨』(初刊:2024年5月)

淑女シリーズ(3作)

  1. 『嗤う淑女』(初刊:2015年1月)
  2. 『ふたたび嗤う淑女』(初刊:2019年1月)
  3. 『嗤う淑女 二人』(初刊:2021年9月)

ヒポクラテスシリーズ(6作)

  1. 『ヒポクラテスの誓い』(初刊:2015年5月)
  2. 『ヒポクラテスの憂鬱』(初刊:2016年9月)
  3. 『ヒポクラテスの試練』(初刊:2020年6月)
  4. 『ヒポクラテスの悔恨』(初刊:2021年5月)
  5. 『ヒポクラテスの悲嘆』(初刊:2024年3月)
  6. 『ヒポクラテスの困惑』(初刊:2025年1月)

総理にされた男シリーズ(2作)

  1. 『総理にされた男』(初刊:2015年8月)
  2. 『総理にされた男 第二次内閣』(初刊:2025年9月)

幼稚園シリーズ(2作)

  1. 『闘う君の唄を』(初刊:2015年10月)
  2. 『騒がしい楽園』(初刊:2020年1月)

作家刑事毒島シリーズ(4作)

  1. 『作家刑事毒島』(初刊:2016年8月)
  2. 『毒島刑事最後の事件』(初刊:2020年7月)
  3. 『作家刑事毒島の嘲笑』(初刊:2022年7月)
  4. 『作家刑事毒島の暴言』(初刊:2024年9月)

高頭冴子シリーズ(3作)

  1. 『逃亡刑事』(初刊:2017年11月)
  2. 『越境刑事』(初刊:2022年9月)
  3. 『武闘刑事』(初刊:2025年5月)

宮城県警シリーズ(3作)

  1. 『護られなかった者たちへ』(初刊:2018年1月)
  2. 『境界線』(初刊:2020年12月)
  3. 『彷徨う者たち』(初刊:2024年1月)

能面検事シリーズ(4作)

  1. 『能面検事』(初刊:2018年7月)
  2. 『能面検事の奮迅』(初刊:2021年7月)
  3. 『能面検事の死闘』(初刊:2023年5月)
  4. 『能面検事の挫折』(初刊:2026年7月)

人面瘡探偵シリーズ(2作)

  1. 『人面瘡探偵』(初刊:2019年11月)
  2. 『人面島』(初刊:2022年3月)

鑑定人シリーズ(2作)

  1. 『鑑定人 氏家京太郎』(初刊:2022年1月)
  2. 『氏家京太郎、奔る』(初刊:2025年3月)

ハングマンシリーズ(2作)

  1. 『祝祭のハングマン』(初刊:2023年1月)
  2. 『ハングマン 鵜匠殺し』(初刊:2026年3月)

中山七里のノンシリーズ(単発)作品一覧(刊行順)

『魔女は甦る』(初刊:2011年5月)

魔女は甦る

魔女は甦る <幻冬舎文庫>

発売日:2013年7月29日

長編

元薬物研究員の男が、肉と骨だけの無残な姿で発見された。捜査に乗り出した埼玉県警の槇畑啓介は、男が勤めていた製薬会社へ向かうが、会社は二か月前に閉鎖され、社員たちも姿を消していた。同じ頃、嬰児誘拐と繁華街での日本刀による無差別殺人が発生。一見無関係な事件の背後に、兵士用に開発された特殊薬物と巨大な利権の影が浮かび上がる。真面目だった研究員はなぜ殺され、誰が危険な研究を闇へ放ったのか。槇畑が真相に近づくほど、理性を焼き尽くす暴力が迫る。科学の暴走と人間の欲望を描く、ノンストップ警察サスペンス。人を強くするはずの科学が理性を奪う皮肉と、研究成果を利用する者たちの底知れない悪意が迫る。

『ヒートアップ』(初刊:2012年9月)

ヒートアップ

ヒートアップ <幻冬舎文庫>

発売日:2014年8月5日

長編

厚生労働省の麻薬取締官・七尾究一郎は、身体能力と攻撃性を異常に高める特殊薬物「ヒート」の流出を追っていた。兵士用に開発された薬は闇市場へ渡り、凄惨な抗争を引き起こしている。捜査が核心へ近づいた矢先、殺人に使われた鉄パイプから七尾の指紋が検出され、追う側だった彼は一転して容疑者に。仲間にも組織にも疑われる中、真犯人と薬の行方を突き止めるため孤独な反撃に出る。誰が七尾を陥れ、何を隠そうとしているのか。『魔女は甦る』で描かれた危険な薬物をめぐり、追跡と裏切りが加速するノンストップ麻取サスペンス。追跡する者と追われる者が目まぐるしく入れ替わり、薬物が引き出す暴力の恐怖が息つく間もなく迫る。

『スタート!』(初刊:2012年11月)

スタート!

スタート! <光文社文庫>

発売日:2015年2月10日

長編

伝説的映画監督・大森が、満を持して新作『災厄の季節』の撮影を始める。若き助監督・宮藤映一は憧れの現場へ飛び込むが、軽薄なプロデューサー、身勝手な俳優、撮影内容へ抗議する団体など、難敵は尽きない。予算と日程が削られ、スタッフ同士の軋轢が深まる中、スタジオで予期せぬ事故が発生。やがて映画そのものを葬ろうとする悪意が姿を現す。大森は作品を完成させられるのか、事故は本当に偶然なのか。虚構を生み出す人々の情熱と打算を舞台に、撮影現場の裏側と仕掛けられた謎が交錯する、映画愛に満ちたエンターテインメント・ミステリー。一本の映画を作るために集まったプロたちの誇りと欺瞞が、カメラの裏でむき出しになっていく。

『アポロンの嘲笑』(初刊:2014年9月)

アポロンの嘲笑

アポロンの嘲笑 <集英社文庫>

発売日:2017年11月17日

長編

東日本大震災直後、福島で殺人事件が発生する。逮捕された男は余震の混乱に乗じて逃走し、原発事故で混乱する被災地を、ある目的地へ向かってひた走る。追う刑事もまた、崩れた道路、避難区域、放射線への恐怖に阻まれながら、その足跡をたどる。なぜ男は危険を顧みず原発へ近づくのか。単なる逃亡犯に見えた彼の行動から、事故対応の裏側と隠された思いが浮かび上がっていく。未曾有の災害の只中で、国家の論理と個人の切実な願いが衝突する。息詰まる追跡劇と社会への問いを重ね、極限状態の人間を描く社会派サスペンス。崩壊した街を進む逃亡者と追跡者の姿から、災害の陰で置き去りにされた声が切実に浮かび上がる。

『テミスの剣』(初刊:2014年10月)

テミスの剣

テミスの剣 <文春文庫>

発売日:2017年3月10日

長編

若き刑事だった渡瀬は、強盗殺人事件の容疑者を逮捕し、自白へ追い込んだ。男は死刑判決を受けたが、処刑後に別の事件の真犯人が驚くべき告白をする。自分たちは無実の男を死なせたのではないか――。警察組織が過ちを隠そうとする中、渡瀬は孤独な再捜査に踏み出し、当時の証拠と証言を一つずつ掘り返す。やがて冤罪疑惑は、刑事、検事、裁判官ら司法に携わる者たちの人生を長年にわたり揺さぶっていく。正義を掲げる制度は誤りを認められるのか。時を越えて連鎖する罪と責任を、幾重もの反転とともに描く重厚な社会派ミステリー。一度確定した判決を疑うことの重さと、誤りを知りながら沈黙する者の罪が、長い年月を越えて迫る。

『月光のスティグマ』(初刊:2014年12月)

月光のスティグマ

月光のスティグマ <新潮文庫>

発売日:2017年6月28日

長編

幼い頃から三人で一つだった淳平と、美しい双子の優衣・麻衣。だがある夜、淳平の兄が殺され、双子のどちらかが犯人かもしれないという疑念を残したまま、三人の絆は引き裂かれる。十五年後、特捜検事となった淳平は、政治家秘書へと変貌した優衣と再会する。彼女の周囲には汚職や謀略の影がまとわりつき、守りたい思いと疑う職務が鋭く衝突する。互いを求めながら傷つけ合う二人は、やがて政変に揺れる異国で生死を懸けた状況へ追い込まれていく。兄を殺したのは誰か。愛と疑惑、過去の傷痕が灼熱の地で交錯する、激烈な恋愛サスペンス。誰を愛し誰を疑うのかという選択が、生存を懸けた極限状況の中で残酷なほど鋭く問い直される。

『セイレーンの懺悔』(初刊:2016年11月)

セイレーンの懺悔

セイレーンの懺悔 <小学館文庫>

発売日:2020年8月5日

長編

葛飾区で女子高校生が誘拐され、帝都テレビの報道番組「アフタヌーンJAPAN」は起死回生のスクープを狙う。新人記者・朝倉多香美が廃工場で目撃したのは、顔を焼かれた被害者の無残な遺体だった。少女がいじめを受けていたとの証言から同級生たちが疑われ、番組は視聴率を求めて報道を過熱させる。だが主犯格と目される少女にも、過去の重大な被害があった。警察が公表できず、法律でも裁ききれない真実に近づくほど、多香美は自らの仕事が悲しみを娯楽へ変えていないか苦悩する。報道の正義と暴力性を鋭く問う、緊迫の社会派ミステリー。真実を伝える使命と数字を稼ぐ欲望の狭間で、多香美はカメラを向ける自分自身の加害性とも向き合う。

『翼がなくても』(初刊:2017年1月)

翼がなくても

翼がなくても <双葉文庫>

発売日:2019年12月12日

長編

陸上二百メートル走で五輪を目指す沙良は、交通事故で左脚を失い、選手生命を絶たれる。車を運転していたのは幼馴染みの泰輔。謝罪されても未来は戻らず、沙良の胸には激しい恨みが募っていく。ところがその泰輔が殺害され、沙良には高額な保険金が支払われることに。疑いが交錯する中、彼女は義足と出会い、絶望の底から再び走る可能性を探り始める。事故と殺人はつながっているのか、誰が二人の人生を変えたのか。犯罪の謎を追う緊張と、失った夢を別の形で取り戻そうとする再生の物語が並走する、感動のヒューマン・ミステリー。走ることを奪われた沙良が、義足と他者の支えによって新しい一歩を探す姿が、事件の緊張に光を添える。

『秋山善吉工務店』(初刊:2017年3月)

秋山善吉工務店

秋山善吉工務店 <光文社文庫>

発売日:2019年8月8日

長編

火災で父・史親を失った雅彦と太一、母の景子は、史親の実家である秋山善吉工務店へ身を寄せる。頑固で昔気質な祖父・善吉に戸惑いながら始めた新生活には、家族や近隣をめぐる問題が次々と押し寄せる。口は悪くても筋を曲げない善吉は、職人の知恵と度胸で困難の前に立ちはだかり、ばらばらになりかけた家族を不器用に支えていく。一方、刑事・宮藤は史親が亡くなった火事に不審を抱き、秋山家へ接近していた。あの火災は事故だったのか。家を建てる仕事を通して、人の居場所と受け継がれる思いを描く、温かな家族小説にして人情ミステリー。家はただの建物ではなく人が帰る場所なのだという善吉の信念が、傷ついた家族を少しずつ結び直す。

『ネメシスの使者』(初刊:2017年7月)

ネメシスの使者

ネメシスの使者 <文春文庫>

発売日:2020年2月5日

長編

死刑判決を免れた殺人犯たちの家族が、相次いで殺される。現場にはギリシャ神話の義憤の女神を示す「ネメシス」のメッセージが残されていた。捜査を担う渡瀬刑事は、加害者を憎む遺族による復讐を疑うが、標的の選び方には司法制度そのものへ向けた意図も見え隠れする。罪を犯した本人ではなく家族を裁くのは、正義か新たな暴力か。死刑制度への賛否が世論を二分する中、渡瀬は被害者遺族、元受刑者、法曹関係者の言葉をたどり、ネメシスの真の狙いへ迫る。誰が誰を裁く資格を持つのかを問い、捜査の先入観を幾度も覆す重厚な社会派ミステリー。遺族感情と法の理念が激しくぶつかり、正義を求める声が別の犠牲者を生む危うさを容赦なく突きつける。

『ワルツを踊ろう』(初刊:2017年9月)

ワルツを踊ろう

ワルツを踊ろう <幻冬舎文庫>

発売日:2019年10月9日

長編

金も仕事も住まいも失った元エリートの溝端了衛は、二十年ぶりに故郷の限界集落へ戻る。携帯電話も通じず、閉鎖的な住民たちはよそ者同然の彼を警戒する。了衛は地域へ溶け込もうと祭りや共同作業に奔走するが、善意はことごとく裏目に出て、村八分にされ、愛犬まで不審な死を遂げる。孤立と屈辱の果てに、彼が思いついたのは集落全体を巻き込む乾坤一擲の計画だった。都会から来た男と、変化を拒む村人たち。正しさが狂気へ変わる境目で、降り注ぐのは救いか災厄か。共同体の暗部と人間の執念をブラックに描く、予測不能のサスペンス。排除された者の怒りが村の常識をのみ込み、善意と復讐の境目が崩れていく過程から目を離せない。

『中山七転八倒』(初刊:2018年8月)

中山七転八倒

中山七転八倒 <幻冬舎文庫>

発売日:2018年8月3日

『さよならドビュッシー』でデビューして以来、驚異的なペースで作品を送り出す中山七里。その創作現場では、締切、連載、取材、編集者との攻防が休む間もなく押し寄せる。プロットをどう組み立て、原稿をどう進め、物語のどんでん返しをいかに仕掛けるのか。小説家の日常と技法を赤裸々に明かしながら、出版業界への本音、作家仲間との交流、読者には見えない失敗と修羅場をユーモアたっぷりに綴る。才能だけでは続かない仕事の厳しさと、書くことへの尽きない情熱。創作の秘密を知りたい人にも、著者作品の舞台裏を楽しみたい人にも贈る、笑いと刺激に満ちたエッセイ集。華やかな作家像とはほど遠い労働の積み重ねを笑いに変え、物語を生み続ける覚悟まで惜しみなく語る。

『TAS 特別師弟捜査員』(初刊:2018年9月)

TAS 特別師弟捜査員

TAS 特別師弟捜査員 <集英社文庫>

発売日:2021年4月20日

長編

高校生の慎也は、接点のなかった学園のアイドル・楓から突然、放課後に声を掛けられる。用件を告げないまま立ち去った彼女は、その直後、校舎の三階から転落死。事故か自殺か事件か判然としないうえ、楓が麻薬常習者だったとの噂まで流れ始める。慎也の従兄で刑事の葛城公彦は、真相を探るため教育実習生として学校へ潜入。生徒だから見える空気と、刑事だから拾える証拠を持ち寄り、異色の師弟コンビが捜査を進める。楓はなぜ慎也を呼び出したのか。友情と嫉妬が絡む閉ざされた学園で、二人が意外な素顔を暴くバディ・ミステリー。大人の捜査と高校生の視点が交わることで、教室の中だけに存在する序列と沈黙の意味が見えてくる。

『笑え、シャイロック』(初刊:2019年5月)

笑え、シャイロック

笑え、シャイロック <角川文庫>

発売日:2020年10月23日

長編

入社三年目の銀行員・結城は、出世コースから外れた日陰部署の渉外部へ配属される。上司は、焦げついた融資をどんな手段でも回収する伝説の不良債権処理人・山賀。金に冷酷な人物だと身構える結城だったが、債務者の人生まで見据える山賀独自の美学に触れ、次第に憧れを抱く。ところが回収案件の闇へ近づいた山賀が何者かに殺され、結城はその遺志を継いで真相を追うことに。融資先、銀行内部、政界へ伸びる金の流れの中で、誰が笑い、誰が切り捨てられるのか。金融の非情さと働く者の矜持を描く経済ミステリー。数字だけでは測れない信用と責任を教えた師の死が、若い銀行員を非情な金融の最前線へ押し出していく。

『死にゆく者の祈り』(初刊:2019年9月)

死にゆく者の祈り

死にゆく者の祈り <新潮文庫>

発売日:2022年3月28日

長編

教誨師の高輪顕真が拘置所で出会った死刑囚・関根要一は、かつて雪山で遭難した自分を命懸けで救った友だった。殺人を犯したとは信じられない顕真は、執行が迫る中、事件を独自に調べ始める。証言をたどるほど浮かぶ不可解な点。だが要一自身は多くを語らず、死を受け入れたように見える。無実なら、なぜ抗おうとしないのか。彼が沈黙によって護ろうとしているものは何か。僧侶として魂を救うべきか、友として判決を覆すべきか。残された時間が刻々と減る中、信仰、友情、司法の限界が交錯する、緊迫のタイムリミット・サスペンス。真実を暴けば救われるとは限らない。それでも執行を止めようとする顕真の祈りと行動が胸を強く揺さぶる。

『帝都地下迷宮』(初刊:2020年2月)

帝都地下迷宮

帝都地下迷宮 <PHP文芸文庫>

発売日:2022年8月5日

長編

鉄道マニアの公務員・小日向巧は、立入禁止となった地下鉄銀座線の廃駅・萬世橋駅へ忍び込む。そこで出会ったのは、政府の「ある事情」により地下で暮らす謎の集団〈エクスプローラー〉だった。地上から切り離された共同体で殺人事件が起き、小日向は捜査一課と公安の対立、国家が隠す過去へ巻き込まれていく。張り巡らされた廃線、封鎖された通路、戦前から残る施設の先に何があるのか。地下の住人は被害者なのか、それとも秘密を守る共犯者なのか。知られざる東京の地下空間を縦横に駆け抜ける、冒険心と陰謀に満ちたノンストップ・ミステリー。実在する廃駅や地下施設の気配が冒険を現実へ引き寄せ、都市の足元にもう一つの社会を立ち上げる。

『夜がどれほど暗くても』(初刊:2020年3月)

夜がどれほど暗くても

夜がどれほど暗くても <ハルキ文庫>

発売日:2020年9月30日

長編

大手出版社の週刊誌副編集長・志賀倫成は、スクープを追い、他人の不幸を記事にする仕事へ誇りを持っていた。だが大学生の息子・健輔がストーカー殺人を犯して自殺したと疑われ、立場は一夜で反転する。自宅へ押しかける記者、ネットの中傷、かつての取材対象からの罵倒。家族は崩れ、志賀は加害者の父として追い詰められていく。それでも被害者遺族の奈々美と出会い、息子が残した小さな違和感を追い始める。報道された物語は真実なのか。情報を暴く側と暴かれる側の痛みを通して、家族への愛と報道の責任を問う社会派ミステリー。自分が振るってきた言葉の刃を今度は受けることで、志賀は真実を報じることの意味を初めて知る。

『テロリストの家』(初刊:2020年8月)

テロリストの家

テロリストの家 <双葉文庫>

発売日:2024年2月14日

長編

公安部のエリート刑事・幣原は、イスラム国に関わる極秘捜査から突然外される。直後、大学生の息子・秀樹がテロリスト志願者として逮捕された。家族には息子を警察へ売ったと疑われ、組織からは身内に犯罪者を出した刑事として切り捨てられる。国家を守るため多くの家庭を監視してきた男が、今度は自分の家族を疑い、疑われる側へ回る。秀樹は本当に過激思想へ染まったのか。捜査の裏で誰が情報を操り、何を企んでいるのか。職務と父親としての信頼の間で引き裂かれた公安刑事が、孤独に真相を追う社会派サスペンス。他人の家族を捜査してきた幣原が、息子の心さえ知らなかった事実に直面し、父としての覚悟を問われる。

『隣はシリアルキラー』(初刊:2020年9月)

隣はシリアルキラー

隣はシリアルキラー <集英社文庫>

発売日:2023年4月20日

長編

毎晩二時二十分、神足友哉はアパートの隣室から響く、何かを切り刻み洗い流すような音で目を覚ます。隣人の徐浩然が死体を解体している――そんな妄想を笑い飛ばそうとするが、近所で遺体の一部が発見され、疑いは現実味を帯びる。警察へ話すだけの証拠もなく、友哉は深夜に外出した徐を尾行することに。知りたいという衝動は、戻れない恐怖の入口だった。壁一枚隔てた相手の素顔を、人はどこまで知っているのか。音、臭い、暗闇が五感をじわじわ侵食し、疑心と好奇心が最悪の光景へ導く、息苦しいホラー・ミステリー。確かめたいのに見たくないという葛藤が、日常の壁一枚を越えた瞬間、逃げ場のない悪夢へ変わっていく。

『棘の家』(初刊:2022年5月)

棘の家

棘の家 <角川文庫>

発売日:2025年4月25日

長編

事なかれ主義の中学教師・穂刈は、教室のいじめから目を逸らしてきた。だが小学六年生の娘がいじめを苦に飛び降り、今度は被害者の父となる。加害児童への復讐を誓う妻、父を責める息子、良識を求める学校。崩壊寸前の家庭で、犯人と疑われる少女の名前が何者かによってネットへ晒され、世論の暴力が燃え広がる。教育者として子どもを守るべきか、父親として娘の苦しみに報いるべきか。穂刈が真相を追うほど、被害と加害の単純な線引きは崩れていく。正義が人を傷つける瞬間を見据える、痛切な家族・教育ミステリー。被害者を護ろうとする行動が別の子どもを追い詰める連鎖を通じ、家族と学校の責任が厳しく問われる。

『特殊清掃人』(初刊:2022年11月)

特殊清掃人

特殊清掃人 <単行本>

発売日:2022年11月7日

短編集

孤独死や自殺の現場を原状回復する特殊清掃業者〈エンドクリーナー〉。誰もいなくなった部屋には、住人が最後まで隠していた事情と、嘘のない生きざまが残されている。若者の突然死、周囲から忘れられた老人、家族へ言葉を残せなかった人――清掃員たちは臭いと汚れを取り除きながら、遺品の配置や小さな痕跡から死者の物語を読み取っていく。依頼人が語る過去と、部屋が示す真実が食い違うとき、思いがけない秘密が浮かぶ。死の現場を仕事場とする者の視点から、孤立する社会と残された人々の再生を描く連作ヒューマン・ミステリー。痕跡を消す清掃が、逆に死者の声を拾い上げ、残された者へ届かなかった思いを静かに手渡していく。

『こちら空港警察』(初刊:2023年11月)

こちら空港警察

こちら空港警察 <角川文庫>

発売日:2026年6月16日

長編

成田空港でグランドスタッフとして働く咲良は、帰国した人気芸人・瀬戸が空港警察の仁志村賢作に確保される場面へ遭遇する。麻薬密輸の疑いだというが、麻薬探知犬も検査機器もX線も金属探知機も反応しない。濡れ衣だと激昂する瀬戸に対し、着任したばかりで「役立たず」と陰口を叩かれる仁志村は、誰も気に留めない小さな違和感へ目を向ける。密輸、窃盗、不法入国など、国境の玄関には多様な犯罪と人生が交差する。華やかな空港の裏側で、観察眼に優れた警察官と現場スタッフが巧妙な手口を暴く連作ミステリー。旅行者には見えない保安の最前線で、機械をすり抜ける犯罪へ人間の経験と直感が立ち向かっていく。

『絡新婦の糸 警視庁サイバー犯罪対策課』(初刊:2023年11月)

絡新婦の糸 警視庁サイバー犯罪対策課

絡新婦の糸 警視庁サイバー犯罪対策課 <単行本>

発売日:2023年11月29日

長編

芸能人の醜聞から政財界の不祥事まで、匿名で暴露する〈市民調査室〉はネット最恐の情報通として熱狂的に支持されていた。だがSNSでの炎上が現実へ飛び火し、標的となった人々の命まで脅かし始める。警視庁サイバー犯罪対策課の延藤は、わずか百四十字の投稿と十数万人の拡散が作る巨大な共犯関係を追跡。発信者を特定寸前まで追い詰めるが、相手は世論そのものを盾に捜査を翻弄する。正義の告発と私刑の境界はどこにあるのか。誰もが加害者になり得るSNS社会の恐怖を、蜘蛛の巣のような情報戦で描くサスペンス。一度放たれた情報は回収できない。善意の拡散が凶器へ変わる瞬間を、誰も他人事にはできない。

『有罪、とAIは告げた』(初刊:2024年2月)

有罪、とAIは告げた

有罪、とAIは告げた <小学館文庫>

発売日:2025年12月5日

長編

東京地裁の新人裁判官・高遠寺円は、膨大な記録と判決文作成に追われる日々を送る。そこへ中国製のAI裁判官〈法神2〉を検証する任務が下る。過去の裁判記録を学習したAIは、人間が苦労して導いたものと同じ判決を瞬時に作り、司法の効率化を約束する。だが円は、その完璧さに警戒を募らせる。やがて十八歳の少年が父親を刺殺した難事件で、法神が示した量刑は「死刑」。罪は数値化でき、裁判官の英知や良心はデータへ置き換えられるのか。人間が人間を裁く意味と、近未来の司法の姿を問うリーガル・サスペンス。便利で公平に見える仕組みへ判断を委ねる誘惑と、誤ったときに誰が責任を負うのかという恐怖が迫る。

『鬼の哭く里』(初刊:2024年5月)

鬼の哭く里

鬼の哭く里 <単行本>

発売日:2024年5月15日

長編

「鬼が哭く夜は死人が出る」。中国地方の寒村には、終戦直後に起きた一家惨殺事件と、姿を消した犯人の呪いが今も語り継がれていた。令和の時代になっても奇妙な死が続き、閉鎖的な集落へ戻った者たちは、古い因習と住民の沈黙に阻まれる。鬼の仕業と恐れられる現象は本当に呪いなのか、それとも過去の罪を隠すための仕掛けなのか。土地の伝承、複雑な血縁、戦後から積み重なった怨恨が新たな事件を呼び起こす。怪異の気配をまとった山村を舞台に、伝奇の恐怖と論理的な謎解きがせめぎ合う本格ミステリー。昔語りと現在の殺人が重なるほど、呪いを信じたい人間の心理そのものが巧妙な迷路へ変わっていく。

『中山七里 短いお話ほぼ全部 短編&掌編&エッセイほぼ全仕事!』(初刊:2025年6月)

中山七里 短いお話ほぼ全部 短編&掌編&エッセイほぼ全仕事!

中山七里 短いお話ほぼ全部 短編&掌編&エッセイほぼ全仕事! <宝島社文庫>

発売日:2025年6月4日

デビュー十五周年を迎えた中山七里の、単行本未収録作品を集めた全四十七編。古書自身が語り手となるユニークな短編、短い字数で鮮やかに反転するショートショート、人気シリーズの空気を味わえる物語から、創作の舞台裏を明かすエッセイ、自作解説までを一冊に凝縮する。長編とは異なる切れ味で、人間の欲望、可笑しさ、哀しみを一瞬にして浮かび上がらせる多彩な作品群。驚異的な執筆量を誇る著者が、さまざまな媒体で書き続けてきた足跡と発想の幅を見渡せる。短編、掌編、エッセイを横断する、変化に富んだ傑作コンプリートブック。著者の入門書としても、長年の読者が意外な一面を発見する作品集としても、ページごとに新鮮な驚きがある。

『災疫の季節』(初刊:2025年7月)

災疫の季節

災疫の季節 <単行本>

発売日:2025年7月2日

長編

コロナ禍で医療崩壊寸前の現場を支える医師・伊達充彦は、旧友で週刊誌副編集長の志賀倫成へ、報道する側の良識を問いかける。陰謀論や反ワクチン言説を扱う記事は社会のためか、それとも不安を煽っているだけなのか。迷う志賀の前で、病院へ妨害活動に来た反ワクチン団体の代表が遺体となって発見される。伊達への複雑な思いを抱えたまま、志賀は被害者の周辺を取材し、医療従事者、活動家、メディアそれぞれの嘘を追う。非常時の狂騒が生んだ殺意と、伝える責任の重さへ切り込む社会派ミステリー。誰もが不安と正義を抱えた時代に、取材する者の言葉が人を救いも傷つけもする厳しい現実を鋭く突きつける。

『バンクハザードにようこそ』(初刊:2025年8月)

バンクハザードにようこそ

バンクハザードにようこそ <単行本>

発売日:2025年8月1日

長編

司法書士の東雲は、箱根銀行に勤める友人・燎原が巨額横領の末に自殺したと、その妹の杏子から聞かされる。だが燎原は死の直前、銀行が二百億円を粉飾し、責任を自分一人へ押し付けようとしているとのメッセージを残していた。真相を探り銀行へ復讐すると誓った東雲は、杏子に自らが天才詐欺師であることを告白する。無理な融資、未公開株、マスコミ対策、赤字隠し。各部署の不正と弱みを突き、巨大組織を内側から崩す大胆な計画が始まる。友の死を汚した悪徳銀行を鮮やかに追い詰める痛快な経済エンターテインメント。銀行の複雑な仕組みを逆手に取る詐欺の鮮やかさと、親友の名誉を取り戻そうとする怒りが痛快に弾ける。

『被告人、AI』(初刊:2026年1月)

被告人、AI

被告人、AI <単行本>

発売日:2026年1月28日

長編

一人暮らしの高齢者が突然死し、死因は心疾患と判断される。だが刑事・犬養隼人は、介護ロボットN365〈リタ〉が死亡直前に発した電磁波で、ペースメーカーを停止させた可能性へ注目する。警察上層部が選んだのは製造会社の過失ではなく、リタ本体を殺人容疑で起訴するという前代未聞の方針だった。裁判を担当する判事補・高遠寺円は、会話するリタに人間めいた感情を感じて戸惑う。AIは人格と殺意を持ち、刑事責任を負えるのか。人と機械の境界を法廷で問い直す、近未来リーガル・ミステリー。感情を模倣する存在と感情に左右される人間を並べ、責任、自由意思、命の定義を根底から深く揺さぶる。

『刑事葛城 正義の銃弾』(初刊:2026年9月)

刑事葛城 正義の銃弾

刑事葛城 正義の銃弾 <単行本>

発売日:2026年9月3日(予約商品)

長編

暴力団と匿名犯罪集団が歌舞伎町で銃撃戦を繰り広げ、現場は戦場と化す。額を撃ち抜かれて死亡した警察官を、誰もが殉職者と信じた。ただ一人、警視庁捜査一課の葛城公彦だけが遺体と状況に違和感を抱く。柔らかな物腰で相手の懐へ入り、本音を引き出す葛城は、銃撃戦を生き延びた新宿署の紅島雛多とコンビを組み、弾道と証言を洗い直す。混乱の戦場に物的証拠は残るのか。警察官を撃った銃弾は、本当に犯罪者側から放たれたのか。平凡に見える刑事が非凡な事件の心理へ迫る、新たな警察ミステリー。罪を憎んでも犯人は憎まない葛城の姿勢が、正義の名で引き金を引いた者の心の奥へ静かに踏み込んでいく。

『火と話す男』(初刊:2026年11月)

火と話す男

火と話す男 <単行本>

発売日:2026年11月25日(予約商品)

長編

密集する住宅地で畳店が全焼するが、周囲の家には一切燃え移らなかった。東京消防庁の火災原因調査員・不見神明良は、焼け跡から火の動きを読み、周到に制御された放火と断定する。「火と話す男」と呼ばれる彼が注目したのは、現場に残された真鍮製の日の丸プレート。犯人は何の信念を示そうとしているのか。不見神たちへ挑むように次の火の手が上がり、社会を揺るがす連続放火へ発展していく。火を知り尽くす調査員と、火を自在に操る放火犯。復讐と融和への思いを胸に、炎へ魅入られた二人が繰り広げる緊迫の心理戦。焼け跡に残るわずかな痕跡を読み解く専門捜査の迫力と、炎を言葉にする二人の執念が熱くせめぎ合う。