吉川英梨の作品一覧
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インド旅行中、看護師の平沢里香は占い師から「29歳で結婚する。鍵は38」と告げられる。半信半疑のまま迎えた29歳、彼女の前にはなぜか「38」に縁のある魅力的な男たちが次々と現れ、恋の予言はにわかに現実味を帯びていく。ところが甘い出会いの裏で、里香はIT企業の買収合戦に巻き込まれ、スパイに拉致された挙句、殺人事件の容疑者にまでされてしまう。恋人候補のうち運命の相手は誰なのか、そもそも予言は彼女を幸福へ導くものなのか。恋愛、企業サスペンス、謎解きが目まぐるしく交差する、予測不能なエンターテインメント。軽やかな恋の予感が、やがて命懸けの逃走劇へ変わっていく。数字の謎も最後まで読者を翻弄する。
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警視庁鑑識課に勤める原麻希の子どもが突然誘拐された。犯人の指示で箱根・芦ノ湖畔へ急ぐと、そこには同じく息子を奪われた元上司・戸倉加奈子が待っていた。二人の運命を変えた八年前の事件と、今回の誘拐はつながっているのか。殺人現場に残される「アゲハ」のメッセージ、社会への憎悪を募らせるテロ集団「背望会」、そして家族を人質に取られた刑事の苦悩。麻希は母としての恐怖を抱えながら、警察内部にも潜むかもしれない敵と対峙する。愛する者を救うため社会の闇へ踏み込む。捜査する者と守る者、二つの顔を持つ麻希の覚悟が試される。家族への愛が最大の推進力となる。原麻希シリーズ第1作。
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「アゲハ」事件から一年。原麻希のもとへ公安部の広田達也から、テロ集団「背望会」のリクルーターにつながる指紋が見つかったとの知らせが入る。宿敵を追う糸口を得た矢先、奈良県知事選の候補者が誘拐され、犯人は身代金の運び役に麻希を指名した。背望会の関与を疑う麻希たちは奈良へ向かうが、警視庁と大阪府警の主導権争いが捜査を複雑にし、犯人の企みはその隙を突くように広がっていく。誘拐の目的と、白鳥を思わせる事件の姿に隠されたものは何か。組織の壁を越えて麻希が追跡する。土地勘も指揮系統も異なる敵地で、麻希の判断力が問われる。息詰まる攻防が続く。犯人は近い。原麻希シリーズ第2作。
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自宅謹慎中の原麻希は、十歳年下の熱血警官・原田と知り合う。彼に頼まれ、ある女性の不審死を内密に調べ始めた麻希は、事故や自殺では片づけられない違和感に気づく。やがて捜査線上に浮かんだのは、一見きらびやかな女子高生チアリーダーたちだった。若者の世界に潜む秘密をたどるほど、事件は麻希の宿敵であるテロ集団「背望会」へ近づき、正体不明だったリクルーターの素顔も輪郭を現していく。警察官として思うように動けない状況で、麻希は原田とともに真相へ迫れるのか。過去の因縁が大きく動く。身近な正義感から始まった調査は、国家を揺らす脅威へ広がる。若き相棒の成長も見どころ。原麻希シリーズ第3作。
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警視庁捜査一課の刑事となった原麻希に、史上最凶の犯罪脚本家と恐れられる「背望会」リクルーターを逮捕せよとの使命が下る。ところが追うべき人物は、河川敷で遺体となって発見された。本当に自ら命を絶ったのか。麻希が他殺を疑って捜査を進めるなか、背望会の後継を名乗る集団から、収監中のテロリスト・アゲハの釈放を要求する脅迫が届く。死んだはずの首謀者、受け継がれる悪意、再び危険にさらされる家族。終わったはずの事件が新たな形で牙をむくとき、麻希は仕組まれた犯罪の筋書きを覆せるのか。敵の死さえ新たな犯罪の幕開けに変わる、緊迫の追跡劇。追う者にも代償が迫る。原麻希シリーズ第4作。
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捜査一課の原麻希は、娘の菜月が宿敵「背望会」リクルーターの娘と接触しているのではないかと疑う。確かめるため少女が通う小学校へ向かうと、平日にもかかわらず校内から児童も教職員も消えていた。全校児童はどこへ行ったのか。行方を追ううち、海外へ逃亡したはずのリクルーターが国内に潜伏している可能性が浮上し、麻希の家庭と捜査は再び危険な距離まで近づいていく。子どもたちを利用した企みの狙いと、長く続いた背望会との因縁の行方は。女性秘匿捜査官として最大の難事件に挑む。学校という安全なはずの場所が、巨大な犯罪の舞台へ反転する。母の直感も試される。危機は迫る。原麻希シリーズ第5作。
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原麻希は、女性が関係する事件を優先して扱う警視庁「女性犯罪」捜査班へ加わる。発足間もない班に持ち込まれたのは、奥多摩で著名な陶芸家と妻、双子の娘が惨殺された一家殺害事件だった。ストーカーの犯行、姉妹の確執、陶芸窯の跡取り争い――動機になり得る火種は多く、容疑者を絞り切れない。地道な聞き込みと検証を重ねるうち、麻希は捜査員たちが真犯人の用意した道筋へ誘導されていることに気づく。家族の秘密と現場の不自然さを読み解き、巧妙な罠を逆転できるのか。新たな仲間と始動する。華やかな陶芸一家の内側に積もった感情が、捜査を惑わせる。班の連携も試される。原麻希シリーズ第6作。
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目黒の高級住宅地で暮らす藤堂玲花は、高収入の夫と愛らしい子どもに囲まれ、周囲から「ミセス・パーフェクト」と呼ばれていた。家事も育児も人付き合いも隙なくこなすその日常は、高校時代の同級生が死んだことをきっかけに崩れ始める。封じていた過去の記憶、夫にも明かせない秘密、完璧な妻を演じ続けるために重ねた嘘。かつての仲間たちとの関係をたどるほど、玲花の仮面の下から欲望と悪意がにじみ出す。彼女は被害者なのか、それともすべてを操る「悪い女」なのか。幸福な家庭の貌が反転していく心理サスペンス。過去を知る者が現れるたび、守ってきた家庭は脆くきしんでいく。玲花の選択から目が離せない。
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葬送儀礼に魅せられ、いつも喪服をまとう美貌の助手・鬼木場あまね。彼女が仕えるのは、柳田國男を偏愛する民俗学教授・福満だ。風変わりな二人は、日本各地に残る弔いの習俗を訪ね歩き、その土地ならではの死者との向き合い方に触れていく。だが、儀礼の陰には現代の欲望や人間関係が絡み、ついには葬儀の場で殺人事件まで発生する。死者を送るための作法は、何を隠し、何を語るのか。民俗学の知識とあまねの鋭い観察が、土地に根づく謎を解きほぐす。異色のコンビが弔いの現場を巡る、知的で味わい深い連作葬送ミステリー。弔いの意味を知ることが、生きる者の嘘を暴く鍵になっていく。各地の風俗も鮮やかに描かれる。
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六本木の違法クラブで女子中学生が惨殺され、「女性犯罪」捜査班の原麻希たちは現場へ急行する。ほどなく、同じ地域に住む別の女子中学生二人も死亡していた事実が判明。警察が関連を慎重に見極めるなか、麻希の娘・菜月はいち早く連続殺人の可能性を感じ取る。被害者たちを結ぶものは何か。大人の目からは見えにくい少女たちの交友関係、危うい遊び、秘密のやり取りを追うほど、わずかな量が生死を分ける事件の構図が浮かび上がる。母と刑事の視点を行き来しながら、麻希が若者を狙う悪意に迫る。少女たちに忍び寄る見えない危険を、親子それぞれの感覚で追う。親子の距離も揺れ動く。原麻希シリーズ第7作。
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警視庁管内で税理士の妻子が誘拐された。身代金受け渡しの近くに居合わせた「女性犯罪」捜査班の原麻希は、新米管理官の指揮下で捜査に加わる。しかし警察の介入を犯人に見抜かれ、取引は中止。その後、多摩川流域で女性と子どもの遺体が見つかり、さらに別の女性の遺体まで発見される。誘拐と連続する死はどう結びつくのか。目撃情報や通報が錯綜する一方、肝心の犯人は姿を見せない。声を上げる者と沈黙する者、その証言の隙間を読み解き、麻希は「見えない事件」の輪郭をつかめるのか。情報があふれる時代に、何を信じ誰の声を拾うべきかを問う。沈黙の意味も反転していく。真相は近い。原麻希シリーズ第8作。
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家庭を顧みず仕事に没頭してきた、警視庁捜査二課の叩き上げ刑事・本城仁一。ある日、警察官僚として出世争いの渦中にいる息子から、出向中に詐欺組織へ奪われた警察手帳を内密に取り戻してほしいと懇願される。父親らしいことをしてこなかった悔いから、本城は不祥事を隠す危うい頼みを引き受ける。だが手帳の行方を追ううちに、獲物を食い尽くすように被害者を狙い、殺人すらためらわない詐欺組織の実態へたどり着く。息子を守ることと刑事の正義は両立するのか。家族の負い目を抱えた老刑事が知能犯の闇へ挑む警察小説。金と欲望を嗅ぎつける犯罪者に、熟練刑事の執念が食らいつく。父子の関係にも決着が迫る。
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東京五輪を控え、東京湾の警備を強化するため水上警察署が新設された。配属されたのは現場一筋の熱血刑事・碇拓真。慣れない船上勤務と寄せ集めの仲間に戸惑うなか、無人島の第六台場で白骨死体を発見する。捜査を進めると、湾岸で勢力を広げる半グレ集団の暗躍が見え始めるが、陸上の警察との縄張り意識や海ならではの証拠の乏しさが立ちはだかる。潮流に消される痕跡、刻々と変わる海況、その奥で進む新たな犯罪。碇と部下たちは東京湾を舞台にした凶悪事件を食い止められるのか。水飛沫と疾走感に満ちた。陸の常識が通じない海上で、新設署の誇りと結束が育っていく。新東京水上警察シリーズ第1巻。
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東京湾に係留された南極観測船「宗谷」の船室で、腐乱死体が発見された。新東京水上警察の碇拓真たちは現場へ急行するが、湾岸署との捜査権争いに敗れ、事件の主導権を奪われてしまう。納得できない碇は海上から独自に手がかりを追い、やがて都政に絡む大きな陰謀の気配をつかむ。折しも東京湾には最大級の台風が接近。暴風と高波が船を翻弄し、陸と海の連絡を断つなか、犯人の計画は最終段階へ進んでいく。限られた装備と時間で、碇たちは事件と災害の双方から人命を守れるのか。荒れ狂う湾上で死闘が展開する。自然の猛威と人間の悪意が重なり、退路のない救出行が加速する。新東京水上警察シリーズ第2巻。
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家族と北海道へ帰省していた原麻希は、札幌で氷漬けにされた女性の遺体を偶然発見する。被害者は東京在住時、警視庁「女性犯罪」捜査班にストーカー被害を相談していた人物だった。警視庁と北海道警が殺人の可能性を追うなか、麻希は自分が警察官を志すきっかけとなった北海道警生活安全部の瀧正義警部と再会する。しかし恩人の姿は、記憶の中とは大きく変わっていた。凍りついた遺体が告げる執念と、麻希自身が封じてきた切ない過去はどう結びつくのか。故郷の雪と氷のなかで初心を問い直す。凍てつく北の街で、被害者と刑事の過去が静かに重なっていく。恩人への信頼も揺らいでいく。原麻希シリーズ第9作。
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「そこに、死体が沈んでいる」。新東京水上警察へ届いた匿名通報どおり、海中から頭部に進水式用の斧が刺さった遺体が引き揚げられる。さらに通報の発信元をたどると、焼死体を乗せたまま航行中の豪華客船セレナ・オリンピア号に行き着いた。海と船内で起きた二つの死は、どこで交差するのか。乗客と乗員の思惑、船会社が抱える事情、帰港までに失われていく証拠。疑惑を満載して母港へ近づく客船に、熱血刑事・碇拓真が乗り込む。閉ざされた海上の城で仕組まれた謎へ挑む。逃げ場のない船内で、証言と物証が刻々と姿を変えていく。帰港の時刻が刻々と迫る。船内は緊迫する。新東京水上警察シリーズ第3巻。
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警察庁の公安秘密組織「十三階」は、国家の脅威を排除するためなら非合法な捜査さえ辞さない。若き刑事・黒江律子に命じられたのは、北陸新幹線爆破テロを起こした「名もなき戦士団」へ接近し、組織を壊滅させること。律子は自らの肉体と感情まで武器にして標的の男へ近づくが、任務のさなか、彼を本当に愛してしまったのではないかと揺れ始める。国家への忠誠と一人の女としての思い、上司の指令と自分の判断。正体不明の首謀者「スノウ・ホワイト」を追うほど、味方と敵の境界は曖昧になる。極秘任務の代償を問う。愛も忠誠も作戦の一部となる世界で、律子は自分の心を見失いかける。十三階シリーズ第1巻。
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警察学校教官の守村が首吊り死体で発見された。捜査一課刑事の五味京介は、府中署の綾乃とともに捜査を始める。守村は五味が警察学校にいた頃、同じ教場で学んだ仲間だった。同期への恋心、自ら命を絶った問題児、旧陸軍学校の中野校から府中校へ移転した時代の記憶――封じられていた過去をたどるほど、現在の死に結びつく疑念が膨らんでいく。妻を亡くし娘と暮らす五味は、警察官を育てる場所に隠された嘘を暴けるのか。捜査の緊張と同期たちの人生が重なる、重厚な警察学校ミステリー。教える者になる以前の青春と罪が、現在の刑事を容赦なく追い詰める。同期の絆も問われる。警視庁53教場シリーズ第1巻。
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娘の授業参観に出ていた警視庁捜査一課の広田達也に、下北沢で女性の遺体が見つかったとの連絡が入る。現場は、八年前に広田と原麻希が巻き込まれた殺人事件と同じ場所だった。過去の模倣を疑う矢先、今度は広田の娘が誘拐される。犯人が再現しようとしているのは、麻希たちを長く苦しめたアゲハ事件なのか。忘れたはずのメッセージ、家族を狙う周到な手口、警察内部に残る古い傷。麻希と「女性犯罪」捜査班は、再び舞い戻った蝶の影を追う。二つの時代の事件が交差し始める。八年を経ても消えない記憶が、子どもたちの現在へ忍び寄る。過去の亡霊が再び動き出す。家族も揺れる。原麻希シリーズ第10作・上巻。
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広田の娘が誘拐された事件の背後には、警察組織の深い闇が隠されていた。国外から戻ったアゲハこと戸倉加奈子の犯行と見た警視庁は、誘拐事件を公開捜査へ切り替え、その逃走経路を封じようとする。だが原麻希たち「女性犯罪」捜査班は、示された筋書きだけでは説明できない違和感を抱く。真犯人を探す推理が続くなか、さらにバスジャックが発生し、複数の人質と警察の威信が危機にさらされる。帰還した蝶は敵なのか、それとも別の企みを告げる存在なのか。八年前から続く因縁が決着へ向かう。正義を掲げる組織そのものが疑われ、仲間同士の信頼も揺らいでいく。決着の時が迫る。原麻希シリーズ第10作・下巻。
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元プロ野球選手、銃器に詳しい男、教官へ強い思いを寄せる女性――警察学校で53教場を担当する五味京介は、さまざまな事情を抱えて警察官を目指す学生たちと向き合っていた。そんなある日、多磨霊園で射殺体が発見され、教え子の一人が容疑者として浮上する。銃弾が示す事実は本物なのか、それとも誰かが用意した偽りなのか。学生を信じたい思いと、刑事としての経験の間で揺れながら、五味は独自に事件を追う。「53教場全40名、全員卒業」を掲げる教官は、真相と教え子の未来を守れるのか。学生を疑う捜査と信じる教育、その両方から逃げずに五味は向き合う。卒業への時計は止まらない。警視庁53教場シリーズ第2巻。
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地下鉄テロを起こした新興宗教「カイラス蓮昇会」教祖の死刑執行が迫り、警察庁公安秘密組織「十三階」には緊張が走る。所属する黒江律子は、自分の母が教団の分派へ入信していると知り、命令を待たず単独で内偵に乗り出す。家族を救いたい焦りは、冷静であるべき諜報員の判断を揺さぶり、教団側だけでなく組織内部からも律子を孤立させていく。信仰を操る者、国家のために人を欺く者、救済を求める者。誰が味方で誰が敵なのか分からない状況で、律子は母と国を守れるのか。過激な信仰と母娘の絆が衝突する。最も近い家族さえ利用される諜報の世界で、律子の孤独が深まる。信仰の正体も問われる。十三階シリーズ第2巻。
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若い女性二十人が相次いで姿を消し、東京湾の海底から失踪者三人の運転免許証が回収された。さらに船員とみられる水死体も見つかり、海と連続失踪を結ぶ不穏な線が浮かぶ。捜査のさなか、単独で事故貨物船の救難へ向かった有馬礼子が衣服を奪われ、船底へ監禁されてしまう。救助と犯人追跡の猶予はわずか。碇拓真率いる五港臨時署強行犯係は、海上交通と船員社会の闇をたどり、女性を食い物にする「海底の道化師」の正体へ迫る。海の密室で命を賭けた攻防が続く。海底へ沈められた証拠と女性たちの尊厳を、捜査員たちが取り戻す。海上の逃走路を緊張がふさぐ。救助を急げ。新東京水上警察シリーズ第4巻。
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実子への過失致死で服役していた女性受刑者が、移送中に府中警察署から脱走した。翌日、警察学校の卒業式の最中に助教官と学生が人質に取られる、前代未聞の立てこもりが発生する。犯人は脱走した女囚と獄中結婚した男。彼が突きつけた要求は、彼女が起こしたとされる事件の「本当の犯人」を見つけることだった。期限と人質の命が迫るなか、府中署刑事の綾乃と元捜査一課刑事の教官・五味は、過去の裁判と家族の証言を洗い直す。母の罪は誰のために作られたのか。教場の卒業を懸けて真実を追う。犯人の要求をのむほど過去の捜査が揺らぎ、警察の責任が問われていく。式典の時は刻々と進む。警視庁53教場シリーズ第3巻。
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原麻希は捜査一課八係・八班へ異動し、新たな上司と仲間のもとで再出発する。ほどなく住宅街で、一見すると病死や孤独死にしか見えない不自然な死が続いていることが発覚。事件の匂いを感じた麻希は、スマートフォンを手放さない平成生まれの新米刑事と組み、遺族や周辺住民を訪ね歩く。世代も捜査の作法も違う二人が拾い上げた小さな違和感は、かつて日本を震撼させた悪質な事件へつながっていく。人知れず死んだ人々は何を訴えているのか。新体制で麻希の推理が羽ばたく。孤独死を装う手口の背後で、弱者を狙う冷酷な計画が進んでいた。新旧刑事の視点が事件を動かす。過去が迫る。原麻希シリーズ第11作。
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埼玉県坂戸市で小学五年生の石岡葵が姿を消した。最後に目撃されたのは、豪雨のなかを一人で歩く姿。現場に残されたのは一本の傘だけだった。誘拐、家出、事故――どの可能性も否定できないまま、県警捜査一課の奈良健市は捜索に加わる。男につきまとわれていたという姉の証言、電車内で見つかった葵の私物、少女に目を付けていた中学生たち。情報は増えるほど錯綜し、時間の経過が家族と捜査員を追い詰めていく。手がかりの乏しい失踪に、刑事の執念は届くのか。残された家族の痛みと捜査の現実を描く。何も起きていないように見える町で、少女の不在だけが重く広がる。希望だけは捨てられない。奈良健市シリーズ第1巻。
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新興宗教事件を経て、黒江律子は警察庁公安秘密組織「十三階」を去った。残された班長・古池慎一は、辺野古基地移設に反対する過激派「第七セクト」の内偵に追われる。そんな折、上司の命令で出席した外交パーティーで、古池はドレスにスニーカーを合わせた律子と再会する。だが彼女は、ある政治家の婚約者としてそこにいた。なぜ律子は別人の人生を歩んでいるのか。過激派の計画、政界の思惑、諜報員同士の愛情と疑念が絡み合い、任務と結婚の境界まで揺らぎ始める。欲望と裏切りの血脈を追う。再会の喜びさえ任務の罠に見える世界で、二人の信頼が試される。夫婦の未来も賭けられる。十三階シリーズ第3巻。
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平成31年4月1日。秋に捜査一課へ復帰する予定の五味京介にとって、最後となる教場の学生たちが入校した。その夜、府中市内の交番が襲撃され、警察官一人が死亡、五味教場の卒業生も重傷を負う。捜査が始まるなか、五味は場長の深川が事件当夜に学校を抜け出していた事実を知る。犯行との関係は否定されたものの、その秘密をきっかけに、かつてなく団結していた教場へ疑心が広がっていく。模範的な警官の死と優等生たちの揺らぎは何を示すのか。正義を教える者と学ぶ者が試される。卒業後も続く教場の絆が、現職警官の死によって厳しく問い直される。最後の教場が大きく揺れる。警視庁53教場シリーズ第4巻。
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警視庁捜査一課へ配属された新人刑事・真弓倫太郎。その初日、駐車場の車へ真っ逆さまに突き刺さった異様な遺体が発見される。女性刑事・汐里と組んで被害者の足取りを追ううち、二人はかつて一つの集落を消滅させた凄惨な大火災へたどり着く。生き残った者、加害者の家族、名前と居場所を変えてきた人々。過去の血を洗い流そうとするような連鎖のなかで、真弓自身にも同僚へ知られてはならない秘密があった。罪は世代を越えて受け継がれるのか。新人の葛藤と家族の宿命が交錯する、緊迫の警察ミステリー。血を入れ替えるように過去を消した者たちを、現在の殺人が結び直す。新人の正義感も激しく揺さぶられる。
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海上保安庁初の女性潜水士・忍海愛は、男性の同僚に比べて体力も技術も発展途上だが、海中のわずかな異変を見逃さない観察力を持つ。釣り船転覆の通報を受け、潜水班を乗せた巡視船「ひすい」で八丈島沖へ向かった愛は、初めての海難対応で焦り、命の危険にさらされる。それでも沈みゆく船を調べるうち、単なる事故では説明できない奇妙な違和感に気づく。救助を優先する現場と、真相を確かめたい思い。海上保安官の精神「正義仁愛」を胸に、愛は海を震撼させる事件へ潜っていく。水圧と恐怖に耐える潜水の先で、救助と捜査が一つに重なっていく。海中の静けさが緊張を際立たせる。海蝶シリーズ第1巻。
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歌舞伎町、新宿二丁目・三丁目を管轄し、区域の形から「新宿L署」と呼ばれる新宿特別区警察署。刑事課長代理として着任した新井琴音警部は、ホテルで全裸の中年女性が死亡し、その息子がノコギリを持って逃走した事件に直面する。家庭を持つキャリア刑事の琴音と組むのは、レズビアンで街の歴史と人脈に精通する堂原六花巡査部長。価値観も捜査手法も異なる二人は、歓楽街に渦巻く噂や偏見をかき分けて被害者の素顔を追う。男性中心の組織と多様な街の狭間で、異色の女性捜査官コンビが真相へ挑む警察小説。属性を決めつける視線を退け、二人は一人の被害者の人生を丁寧に拾う。街そのものも重要な証言者となる。
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東京湾へ突き出す巨大なガントリークレーン。その夜空に吊られた蝋人形の内部から、男性の刺殺体が発見された。胸元に残る「996」という数字、異様な製法で作られた蝋の殻、海上の現場へ犯人が遺した不可解な手がかり。五港臨時署強行犯係と班長・碇拓真は、一つずつ意味を読み解きながら被害者の過去へ迫る。だが捜査に集中すべき碇自身にも、心を激しく揺さぶる問題が持ち上がり、班の結束が試される。月光に浮かぶ蝋人は何を告発しているのか。東京湾の闇を最後まで駆け抜ける。工業港の巨大設備と満月が、猟奇的な事件を幻想的に浮かび上がらせる。班の仲間の決断も胸を打つ。新東京水上警察シリーズ第5巻。
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捜査一課八係の原麻希は、上司の広田達也とともに、連続アポ電強盗殺人を操る極右組織の陰謀を追っていた。ある日、自宅で動画配信の催眠ショーを見ていた麻希は、催眠にかかった人物が別の人物へ金づちを振り下ろす瞬間を目撃する。演出なのか、配信された本物の犯罪なのか。現場を特定しようと警視庁へ駆けつけるが、映像は消え、視聴者の証言も曖昧だった。ネット上の熱狂、思想を利用する者、操られたかのように動く人々。麻希は画面の向こうの殺意と組織犯罪を結ぶ糸をつかめるのか。映像は人を操れるのかという恐怖が、現実の政治的暴力へつながっていく。催眠と意思の境界も揺らぐ。原麻希シリーズ第12作。
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東京五輪を目前にしたお台場のレストランと、東京湾上の豪華客船で、新種のウイルス感染症が同時発生する。感染者は理性を失い、周囲の人間へ襲いかかる存在へ変貌。封鎖された現場で、女性刑事と海上保安官は、生存者を守るため感染者を撃つべきか、それとも病に侵された人間として救うべきかという選択を迫られる。陸と海で急速に拡大する感染、混乱する指揮系統、限られた医療情報。誰がウイルスを持ち込み、何を狙っているのか。警察と海保が極限の救出作戦に挑む。感染者もまた救うべき市民だという倫理が、引き金にかけた指を迷わせる。封鎖区域では時間も味方しない。感染は止まらない。感染捜査シリーズ第1巻。
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捜査一課への転属を断り、警察学校に残った五味京介は窮地に立たされていた。原因は、一昨年に卒業を認めなかった学生。教官として信念を貫いたはずの判断が、家庭にも教場にも深い亀裂を生んでいく。打開策を見いだせないなか、法務省矯正局から特任教授の赤木が着任。型破りな存在は停滞した学校を揺さぶるが、五味を追い詰める問題はさらに広がっていく。警察官に向かない者を卒業させないことは、誰のための正義なのか。歴代卒業生たちも集い、53教場最大の危機へ立ち向かう。不適格者を見抜く厳しさと、やり直しを信じる教育の間で五味は苦悩する。教え子の未来も懸かっている。警視庁53教場シリーズ第5巻。
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公安秘密組織「十三階」の諜報員であり夫婦となった黒江律子と古池慎一は、首相の娘・天方美月に狙われ、アメリカへ逃亡していた。束の間の平穏を得た二人だが、十三階トップのもとへ時限爆弾が届き、組織を潰そうとする者の存在が明らかになる。国外にいる律子たちにも追手が迫り、家族を守る選択と国家に仕える使命が再び衝突する。爆弾を送ったテロリストは誰か、その背後で糸を引く黒幕はどこにいるのか。妻、母、そしてスパイとして律子が究極の決断を迫られる。遠く離れても組織の影から逃れられず、家族の平穏が再び脅かされる。敵の狙いは息子にまで及び、逃亡生活の終わりが近づく。十三階シリーズ第4巻。
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日本ただ一人の海上保安庁女性潜水士・忍海愛は、東日本大震災のとき中学生だった自分を救ってくれた男性と再会する。かつて海上保安官だった彼は組織を去り、今は客船で働いていた。震災の傷を抱える二人の再会はぎこちなく、それぞれが背負った時間の重さを浮かび上がらせる。そんな折、洋上で最悪の事件が発生し、フェリーに乗る687人の命運が愛へ託される。過去に救われた命で、今度は誰を救えるのか。海難の恐怖と鎮魂への思いが交差するなか、愛が限界を越えて潜る。大勢の命を前に、愛は救助者としての技術と心の傷の双方を試される。海へ潜るたび、過去の記憶も鮮明によみがえる。海蝶シリーズ第2巻。
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警察庁の公安秘密組織「十三階」は、首相の娘で国会議員の天方美月によって解体へ追い込まれた。黒江律子と古池慎一の夫婦は息子を連れてインドへ逃れるが、古池は過去の殺人容疑で逮捕されてしまう。家族と組織を同時に失いかけた律子は、十三階を救うため一人で「ユダ計画」を進めていた。それは味方にも全貌を明かせない、悪魔のような作戦だった。誰を裏切り、誰の仇を討つ計画なのか。国家の秘密と夫婦の信頼を賭け、律子は崩壊した組織の最後の反撃へ踏み出す。息詰まる諜報戦が頂点へ向かう。裏切り者を意味する計画名が、律子自身の忠誠と復讐心を鋭くえぐる。家族の再会も懸かる。十三階シリーズ第5巻。
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海上保安官のなかで会計や補給を担う「主計」の専門官・桃地は、学生時代に思いを寄せた高浜彩子が肝臓がんで余命一年だと知る。海上保安官を目指す彼女の息子のそばにいたいという願いに寄り添い、桃地は京都・舞鶴の海上保安学校へ教官として赴任する。船舶運航システム課程主計コース三組の担任となるが、腐れ縁の校長・比内から、ある事情がクラスへ重い影を落としていると聞かされる。命と向き合う職業を選ぶ若者たちに、何を教え、何を託すのか。明るく人情味あふれる教官の奮闘と、限られた時間の愛を描く教場物語。海で働く覚悟を学ぶ学生たちの姿が、大人たちにも生き方を問い返す。別れの時も近づく。
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人を凶暴な存在へ変える悪夢のウイルス「HSCC」。その誕生に関わった罪を背負う女性刑事と海上保安官は、前回の惨劇を生き延びてもなお、消えない後悔に苦しんでいた。再び感染の兆候が現れ、二人が向かうのは逃げ場のない絶海の孤島。隔絶された島で感染者が増えるなか、救助と封じ込め、そしてウイルスの秘密をめぐる戦いが始まる。引き裂かれていた父娘の再会は、悲劇を終わらせる希望なのか、それとも新たな災厄の引き金なのか。極限状況で人間性を守れるかを問う。感染への恐怖は仲間を疑わせ、島全体を逃げ場のない戦場へ変えていく。父娘の選択も胸をえぐる。決戦が始まる。感染捜査シリーズ第2巻。
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雨量が少ないにもかかわらず、埼玉県の黒部山で土砂崩れが発生し、一人が行方不明となる。瓦礫から大量の産業廃棄物が見つかったため、県警は自然災害ではなく事件と判断。捜査一課の奈良健市も土地の所有者を追い始める。やがて浮かんだのは、十六年前の殺人事件で奈良が犯人と確信しながら、逮捕寸前で取り逃がした因縁の人物だった。崩れた山は過去の罪を掘り起こしたのか。長年抱えてきた悔恨に心を乱されながら、奈良は先入観を捨てて証拠と向き合う。刑事の執念と危うさを描く。正しさへの執着が捜査を曇らせないよう、奈良は己の心も取り調べる。十六年の時間が重くのしかかる。奈良健市シリーズ第2巻。
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左派の論客が使うSNSへ、「活動をやめなければフォロワーを殺す」という脅迫が届く。相談を受けた捜査一課の原麻希は、よくあるネット上のいたずらと考えるが、実際にフォロワー三人が全裸の遺体で発見される。投稿を支持しただけの人々が、なぜ標的になったのか。匿名アカウント、拡散する怒り、右と左に分断された言論空間を追うほど、捜査は予想外の方向へ進み、麻希の新たな相棒・相原寛太郎にも危険が迫る。姿なき「緑の亡霊」の正体と目的を暴けるのか。現代の悪意に挑む。思想の違いを殺人の理由へ変える者に、麻希は地道な捜査で迫っていく。相棒との信頼も大きく揺さぶられる。原麻希シリーズ第13作。
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警視庁暴力団対策課の刑事を夫と父に持つ仲野誓。ある日、同じ課で働く夫・賢治が銃撃され、誓の日常は一変する。犯人を捕らえるため、彼女は警視庁初の女性マル暴刑事・薮哲子とコンビを組む。復帰直後、日本最大の暴力団・吉竹組の元組員宅で爆破事件が発生。本家と関東に分裂した組の抗争、夫への銃撃、誓自身の血筋が複雑に絡み合っていく。家族を守るために暴力団の論理へ踏み込む誓と、組織犯罪に執念を燃やす哲子。受け継がれた「血」は運命を決めるのか。規格外の女性刑事たちが暴力の連鎖へ挑む警察小説。妻であり娘でもある誓の立場が、組織と家族の境界を危うくしていく。親子三代の因縁も浮かび上がる。
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見当たり捜査員だった甘粕仁子は、犯人追跡中の大けがで現場を離れ、警察学校の教官となった。助教官の塩見とともに1330期の学生を受け持つが、仁子は人と距離を置き、学生同士のトラブルにも心を開こうとしない。教官と助教官の連携が必要だと塩見が感じた矢先、警察学校前で人間の左脚が発見される。誰が、何の目的で置いたのか。捜査の影が教場へ及ぶにつれ、仁子が刑事時代から隠してきた秘密も明らかになっていく。傷を抱えた教官と未熟な学生たちの成長を描く。顔を見分けにくい後遺症と向き合う仁子の姿が、教場の信頼を変えていく。学生たちの秘密も次々に露わになる。警視庁01教場シリーズ第1巻。
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豊田家の御曹司・章男少年は、曾祖父・豊田佐吉の顕彰祭で裏山から転げ落ち、車にはねられてしまう。一方、時は明治。佐吉の息子・喜一郎の前に「自動車に乗って来た」という不思議な少年アキオが現れ、二人は短い友情を育む。時代が進むたび、喜一郎の前には未来を思わせる人物が次々と現れ、日本で自動車を造るという無謀な夢を後押ししていく。自動織機から国産車へ、冷笑や戦争、資金難を越えて受け継がれたものは何か。史実に大胆な時間の仕掛けを織り込み、創業家の夢と苦難を描く奇想天外な経済小説。未来から来たような出会いが、ものづくりに人生を懸けた者たちを結ぶ。家族企業の光と影も立ち上がる。
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警察学校教官の甘粕仁子は、刑事時代のけがが原因で人の顔を見分けにくい相貌失認を抱えている。その秘密を知った助教官・塩見は、彼女の目となり教場を支える決意を固める。新たな学生を迎える準備のさなか、またしても殺人事件が発生。仁子は顔ではなく、声や匂い、動作のわずかな違いを手がかりに、現場へ残った「殺意」の気配を感じ取る。障害は捜査の弱点か、それとも誰にもない感覚を磨く力なのか。互いを補う教官と助教官が、学生たちの不安と事件の謎に向き合う。人を識別するとは何か、教えるとは何かを、異色の事件が突きつける。新たな学生の葛藤も交差していく。警視庁01教場シリーズ第2巻。
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十一年前、親友の一家が惨殺され、その現場を目撃した少女・宮武エミ。事件が未解決のまま時は流れ、エミは警察官となって東京・八王子署の交番へ配属される。ある日、爆発物ではないかと騒ぎになった「蚕」を目にした瞬間、封じていた記憶がよみがえる。自ら手がかりを追い始めたエミの動きにより、迷宮入りした事件は再び動き出すが、容疑者は二転三転し、指定暴力団の影もちらつく。幼い自分が見たものは真実だったのか。新人警官のまっすぐな執念が、巧妙に張られた過去の嘘へ挑む警察ミステリー。制服を着た現在の自分が、事件の日に立ち尽くした少女の自分と向き合う。初任地での成長も鮮やかに描かれる。
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六本木交差点の銅像に、人間の顔面の皮が張りつけられた。それは本家吉竹組から関東吉竹組への宣戦布告。東西に分裂した暴力団の抗争が激化し、死者が増えるなか、警視庁暴力団対策課の桜庭誓巡査部長は、行方を消した片腕のヒットマン・向島春刀を追う。向島は誓の実父であり、幼い彼女を養子へ出した男でもあった。なぜ娘を手放したのか、なぜ片腕を失ったのか。組の歴史と父娘の秘密をたどるほど、現在の抗争へつながる壮絶な過去が姿を現す。血縁と任侠のしがらみに女性マル暴刑事が挑む警察小説。捜査対象でもある父の過去を追うほど、誓は警察官として試されていく。抗争の行方も予断を許さない。
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相模湾沖で、漁船が爆発炎上しながら全速力で沿岸へ向かっているのが発見された。衝突を阻止するため巡視船「ひすい」が緊急出航し、海上保安庁初の女性潜水士・忍海愛も現場へ向かう。船はどこから来たのか、なぜ燃えながら走り続けるのか、操船者は誰なのか。不可解な謎を追ううち、愛たちは過去の被災地で起きた痛ましい悲劇と、長く沈黙してきた罪へ近づいていく。天災の傷跡が思わぬ刃となるとき、無力さを知る者に何ができるのか。海と人間の業を見つめる。炎上船の背後には、災害で失われた人々と、生き残った者が抱えた沈黙がある。愛は海中の遺留品から、その声なき訴えをすくい上げようとする。海蝶シリーズ第3巻。
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大阪市内で起きた強盗殺人事件。闇バイトによる犯行とみた大阪府警本部捜査一課の刑事・高城は、犯人グループを追って大阪港へ向かう。だが捜査の先で、観光帆船が乗っ取られるシージャック事件が発生。制圧のため、海上保安庁特殊警備隊(SST)の岸本らが船内へ突入するものの、そこで思いもよらない事態に直面する。悲劇的な幕切れのあとに残ったのは、犯人たちが犯罪へ手を染めた理由と、船内で本当は何が起きたのかという数々の謎。事件を追う高城と、最前線に立った岸本、それぞれの視点が交錯し、加害者家族や現代社会にはびこる犯罪の構図まで浮かび上がる。警察小説とアクション・サスペンスが一体となり、隠された真相へ迫る社会派ミステリー。
