- 似鳥鶏のシリーズ作品一覧
- 似鳥鶏のノンシリーズ作品一覧
- 『迫りくる自分』(初刊:2014年2月)
- 『きみのために青く光る』(初刊:2015年2月)
- 『レジまでの推理 本屋さんの名探偵』(初刊:2016年1月)
- 『一〇一教室』(初刊:2016年10月)
- 『彼女の色に届くまで』(初刊:2017年3月)
- 『100億人のヨリコさん』(初刊:2017年8月)
- 『名探偵誕生』(初刊:2018年6月)
- 『叙述トリック短編集』(初刊:2018年9月)
- 『そこにいるのに 13の恐怖の物語』(初刊:2018年11月)
- 『コミュ障探偵の地味すぎる事件簿』(初刊:2019年10月)
- 『生まれつきの花 警視庁花人犯罪対策班』(初刊:2020年9月)
- 『推理大戦』(初刊:2021年8月)
- 『夏休みの空欄探し』(初刊:2022年6月)
- 『小説の小説』(初刊:2022年9月)
- 『名探偵外来 泌尿器科医の事件簿』(初刊:2022年12月)
- 『唐木田探偵社の物理的対応』(初刊:2023年10月)
- 『刑事王子』(初刊:2024年2月)
- 『みんなで決めた真実』(初刊:2025年8月)
似鳥鶏のシリーズ作品一覧
市立高校(にわか高校生探偵団の事件簿)シリーズ(9作)
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『理由あって冬に出る』(初刊:2007年10月)
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『さよならの次にくる 卒業式編』(初刊:2009年6月)
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『さよならの次にくる 新学期編』(初刊:2009年8月)
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『まもなく電車が出現します』(初刊:2011年5月)
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『いわゆる天使の文化祭』(初刊:2011年12月)
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『昨日まで不思議の校舎』(初刊:2013年4月)
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『家庭用事件』(初刊:2016年4月)
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『卒業したら教室で』(初刊:2021年3月)
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『新学期にだけ見える星座』(初刊:2026年1月)
楓ヶ丘動物園シリーズ(5作)
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『午後からはワニ日和』(初刊:2012年3月)
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『ダチョウは軽車両に該当します』(初刊:2013年6月)
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『迷いアルパカ拾いました』(初刊:2014年7月)
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『モモンガの件はおまかせを』(初刊:2017年5月)
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『七丁目まで空が象色』(初刊:2019年12月)
戦力外捜査官シリーズ(5作)
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『戦力外捜査官 姫デカ・海月千波』(初刊:2012年9月)
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『神様の値段 戦力外捜査官』(初刊:2013年11月)
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『ゼロの日に叫ぶ 戦力外捜査官』(初刊:2014年10月)
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『世界が終わる街 戦力外捜査官』(初刊:2015年10月)
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『破壊者の翼 戦力外捜査官』(初刊:2017年11月)
似鳥鶏のノンシリーズ(単発)作品一覧(刊行順)
『迫りくる自分』(初刊:2014年2月)
総武線で並走する電車の車内に、自分と瓜二つの男を見つけた理司。偶然の再会をきっかけに親しくなり、同じ顔と声を持つ奇妙な相手と酒を酌み交わすが、その出会いを境に日常は崩れ始める。ある朝、刑事が訪ねてきて、理司を暴行未遂事件の容疑者として任意同行しようとする。身に覚えはない。それでも顔が同じ男に周到に罪を着せられたらしく、証拠も警察の包囲も彼を追い詰めていく。男は何者で、なぜ自分を狙うのか。会社も家も奪われた理司は、わずかな味方を頼りに逃走しながら、自分の過去と向き合うことになる。冤罪の恐怖を疾走感たっぷりに描くサスペンス。平凡な青年の必死さが思いがけない力を呼び起こし、物語を一気に加速させていく。
『きみのために青く光る』(初刊:2015年2月)
心の不安をきっかけに発症し、力を使うと体が青く光る「青藍病」。ただし現れる異能は人によってまるで違う。動物に襲われてしまう者、殺意だけで命を奪える者、人の年収が頭上に見える者、死が近い人の胸に青い光を見る者――。望んだわけではない力を抱えた四人は、それぞれの日常で孤独や恐れ、誰かを守りたいという願いに向き合う。便利さよりも痛みをもたらす能力を、彼らは何のために使うのか。別々に見える人生がゆるやかに響き合い、青い光の意味を変えていく。異能の謎と切実な感情を結びつけた、優しくもほろ苦い青春ファンタジック・ミステリ。力を持つことの責任と、理解されたいという願いが、四人それぞれの選択を照らす。
『レジまでの推理 本屋さんの名探偵』(初刊:2016年1月)
本が好きだから、今日も書店で働く。そんな店員たちの職場には、万引きだけでなく、本にまつわる不思議な相談が舞い込んでくる。引っ越しの手伝い後に消えた大切な一冊、贈り物に隠された意図、売り場で起きた説明しにくい出来事。西船橋店の名物店長は、手書きポップで本を売る「ポップ姫」であると同時に、わずかな違和感から答えを導く名探偵でもあった。個性的なアルバイトたちは、接客や品出しに追われながら彼女の推理を支える。書店の舞台裏や本への愛情を織り込み、日常の謎と人の思いを鮮やかに解き明かす、お仕事ミステリ連作集。本を売る現場の苦労や喜びも細やかで、書店そのものが愛おしくなる一冊だ。
『一〇一教室』(初刊:2016年10月)
高い進学実績を誇り、ひきこもりや反抗的な子どもまで「治る」と評判の私立全寮制一貫校。厳格な管理のもとで生徒たちは規律正しく暮らしていたが、ある男子高校生が突然、心臓麻痺で死亡する。事故として処理されかけた死に疑問を抱いた者たちが調べ始めると、閉ざされた校内で語られる言葉と外部へ示される理想像の間に、不気味なずれが浮かび上がる。教育、矯正、救済という美名のもとで、いったい何が行われているのか。関係者の証言や記録が折り重なり、読み手の常識を揺さぶっていく。学校という小さな社会の圧力と人間の怖さを描く、重厚なダークサスペンス。善意と支配の境界が曖昧になるほど、死の背後に潜む構造は恐ろしく迫ってくる。
『彼女の色に届くまで』(初刊:2017年3月)
画廊の息子として育ち、画家を志す高校生・緑川礼は、公募展にも落ち続け、自分の才能に自信を失っていた。そんな折、校内の絵画が壊され、礼は犯人の疑いをかけられる。窮地を救ったのは、無口で謎めいた同級生・千坂桜。彼女は有名絵画を手がかりに、誰も見抜けなかった真相を鮮やかに示す。圧倒的な美術センスを持つ桜と、努力で追いつこうとする礼。二人は高校から芸大、社会人へと進むなかで、絵画にまつわる事件へ何度も巻き込まれていく。才能とは何か、誰かの色に届くとはどういうことか。恋と憧れの距離を描く青春アートミステリ。名画への知識が事件と感情の両方を映し、二人の長い時間を鮮やかに彩っていく。
『100億人のヨリコさん』(初刊:2017年8月)
大学の寮を出なければならなくなった貧乏学生・小磯は、格安の家賃にひかれ、案内にも載っていない富穰寮へ移る。そこは廃屋同然で、暮らす学生も癖の強い者ばかり。さらに天井や窓の外には、血まみれの白い服の女性「ヨリコさん」が現れるという。到底無視できない怪異を前に、小磯と寮生たちは持ち前の探究心で出現条件を調べ、正体を科学的に突き止めようとする。だが寮内だけだったはずのヨリコさんは外へ広がり、やがて世界中を巻き込む異常事態へ。貧乏生活の笑いと心霊の恐怖、想像を超えるパニックが暴走するノンストップ・エンターテインメント。どこまで大きくなるのか予想できない展開が、恐怖と笑いを同時に加速させる。
『名探偵誕生』(初刊:2018年6月)
小学四年生の瑞人は、友人たちと隣町の「幽霊団地」へささやかな冒険に出る。遊び半分だった探検に不穏な影が差したとき、彼を助けたのは近所に住む年上の千歳お姉ちゃん。鋭い観察と論理で謎を解く彼女は、瑞人にとって憧れの名探偵になった。小学生から中学生、高校生へ。成長する瑞人のそばで事件は姿を変え、推理を重ねるほど、お姉ちゃんは眩しく遠い存在になっていく。そして二人の日々の先で、日本中を騒がせる大事件が発生する。傷ついた大切な人のため、瑞人は自ら真相を追うことを決意する。恋するワトソンが名探偵へ至る、切なく瑞々しい青春本格ミステリ。事件を解くほど変わっていく二人の距離が、謎以上に強い余韻を残していく。
『叙述トリック短編集』(初刊:2018年9月)
この本に収められた物語には、すべて叙述トリックが仕掛けられている。それを最初から明かされ、身構えて読んでもなお、文章が作る思い込みは読者の目を鮮やかに欺く。神様が関わる奇妙な出来事、背中合わせの恋人、閉じられた場所にいる三人と二人、何となく買った本の結末、貧乏荘の怪事件、そして日本を背負うこけし。舞台も語り手も雰囲気も異なる物語の中で、何気ない言葉や省略された情報が別の景色を生み出していく。どこに罠があるのか、今読んだ一文を信じてよいのか。作者からの大胆な挑戦状を楽しみながら、読む行為そのものが謎解きになる技巧派ミステリ短編集。仕掛けを警戒する読者の心理まで利用する、作者の遊び心と技術が存分に味わえる。
『そこにいるのに 13の恐怖の物語』(初刊:2018年11月)
撮ってはいけない写真、曲がってはいけない街灯のないY字路、帰ってはいけない部屋、見てはいけないURL、剥がしてはいけないシール。日常のすぐそばにある小さな禁忌へ手を伸ばした瞬間、説明のつかない何かが静かに入り込んでくる。子どもにだけ見えるもの、ネットの向こうから近づく気配、思い出してはいけない記憶など、十三の怪異は派手な脅しではなく、逃げ道を少しずつ塞ぐように読者を追い詰める。謎を考えずにはいられないのに、理解へ近づくほど怖さは深まっていく。本格ミステリの論理性と都市伝説の不安が溶け合う、読み進めたことを後悔したくなるホラー短編集。読み終えてから日常の風景を見直すと、そこにも怪異の入口が潜んでいそうで怖い。
『コミュ障探偵の地味すぎる事件簿』(初刊:2019年10月)
大学入学早々、友達作りの機会を逃した藤村京は、人と目を合わせて話すことがとにかく苦手。ある日、教室に置き忘れられた一本の傘を見つけるが、持ち主を尋ねて回ることすらできない。そこで傘の種類、置かれた位置、その日の天気など、手元の情報だけを頼りに、誰がどんな状況で忘れたのかを独力で推理し始める。その観察力に気づいた同級生たちとの縁から、藤村は落とし物や写真、大学生活の小さな違和感をめぐる五つの事件へ。華やかな名探偵とはほど遠くても、地味な論理が誰かの困り事を救っていく。口下手な青年の一歩を描く青春日常ミステリ。人と話せない弱点が、先入観なしに物を見る強みへ変わっていく過程も爽やかだ。
『生まれつきの花 警視庁花人犯罪対策班』(初刊:2020年9月)
人類の一部が花の遺伝子と特殊能力を持つ「花人」として生まれる社会。知力も体力も常人を上回り、温厚で犯罪とは無縁と信じられてきた彼らによる、日本初の殺人事件が起きる。警視庁捜査一課の火口竜牙は、花人刑事の水科此葉と組み、常識を覆す凶悪事件の捜査へ。だが同じような犯行が続き、花人への恐怖と偏見が急速に広がっていく。優れた者は善良だという神話はなぜ崩れたのか。二人は現場に残る能力の痕跡を追い、事件の背後で進む陰謀へ近づく。異能を持つ者と持たない者の共存を問いながら疾走する、警察サスペンス。能力と人格を結びつける危うさが、捜査の緊張とともに強く鋭く突きつけられる。
『推理大戦』(初刊:2021年8月)
日本の富豪が発見した、世界的に貴重な「聖遺物」。それを手に入れるため、カトリックと正教会は各国から最高の名探偵を選び、前代未聞の推理ゲームを開く。集められたのは、アメリカ、ウクライナ、日本、ブラジルなどで名を馳せる強者たち。彼らは論理だけでなく、それぞれ常識外れの特殊能力まで備えていた。全員が最強を名乗れる異能の探偵でありながら、勝者になれるのはただ一人。聖遺物をめぐる事件の真相を誰より早く、正確に見抜くのは誰か。文化も正義も推理法も異なる天才たちが互いの仮説をぶつけ合う、世界規模の頭脳戦と驚きに満ちた本格ミステリ。ひとつの事件に複数の名推理が競い合い、正解の意味さえ揺さぶる構成も圧巻だ。
『夏休みの空欄探し』(初刊:2022年6月)
クイズ研究会の会員が二人しかおらず、クラスでは「じゃない方の成田」と呼ばれる高校二年生・成田頼伸、通称ライ。夏休みのある日、彼はファストフード店で、二人の姉妹が頭を悩ませていた暗号を偶然解いてしまう。性格も価値観も正反対で、普段なら交わらない人気者の同級生・成田清春、通称キヨも加わり、四人は本に挟まれた手がかりを追うことに。次々と現れるパズルの先には、誰かが残した大切な思いが待っていた。役に立つことと立たないこと、友情と淡い恋、進路への迷い。カレンダーの空欄を冒険で満たしていく、切なさと温かさに包まれた青春恋愛ミステリ。謎を解くたび四人の距離が縮まり、何もなかったはずの夏がかけがえのない記憶になる。
『小説の小説』(初刊:2022年9月)
いつものように殺人を解決した名探偵の前で、思わぬ伏兵が別の推理を始める。異世界へ転生し、圧倒的な力を得た主人公は、言葉から思い描くイメージの違いに翻弄される。ほかの小説の文章だけで組み立てる作品や、検閲が合法化された国であらゆる手を尽くして書き続ける作家も登場。物語、語り手、引用、表現の自由といった「小説」の前提そのものが、一編ごとに仕掛けへ変わっていく。ページの形や日本語の見え方まで味方につけ、読む者の常識を裏返す五つの挑戦。何をもって小説と呼ぶのかをユーモアと危うさで問い直す、実験精神あふれるメタフィクション短編集。紙の本だからこそ成立する驚きも盛り込まれ、形式と物語が一体になって迫る。
『名探偵外来 泌尿器科医の事件簿』(初刊:2022年12月)
泌尿器科医の鮎川は、患者の訴えや検査結果に潜む小さな矛盾を見逃さない。その観察力と論理は診断だけでなく、病院へ持ち込まれる不可解な事件の真相まで照らし出す。外来で出会う患者、家族、医療スタッフが抱える秘密。身体のデリケートな悩みは口にしづらく、嘘や思い込みが重なるほど、事実は見えにくくなっていく。鮎川は医師として人の尊厳を守りながら、症状と証言を一つずつ検討し、警察とは異なる視点で謎へ迫る。専門医療の知識を手がかりに、笑いと切実さを織り交ぜた事件簿。診察室から始まる異色の本格医療ミステリ。診察で培った聞き方と見立てが、犯罪捜査に新しい角度から光を当てていく。
『唐木田探偵社の物理的対応』(初刊:2023年10月)
国内で「都市伝説」と呼ばれる怪異の被害が急増していた。常識も説得も通じない相手に有効なのは、まさかの物理攻撃。怪異駆除を専門とする唐木田探偵社へ入った新人〈ネズミ〉は、格闘や武器の扱いを叩き込まれ、入社早々に命懸けの現場へ送り出される。最前線の戦闘班は十年生存率二五パーセント。生き残っている仲間も、それぞれ特殊な事情を抱えた問題児ばかりだった。ルール無用で襲う怪異と戦ううち、ネズミは彼らとの間に不思議な絆を築いていく。なぜ怪異は増え続けるのか。恐怖を拳と知恵で迎え撃つ、痛快で苛烈なホラーアクション。荒唐無稽に見える戦いの裏で、傷を抱えた仲間たちの生き方が力強く交差する。
『刑事王子』(初刊:2024年2月)
北欧の小国メリニア王国から来日したミカ第三王子。気品ある王族でありながら、彼には捜査の現場へ踏み込まずにはいられない理由と、事件の核心を射抜く力があった。警護と捜査協力を命じられたベテラン刑事・本郷馨は、立場も常識も違う王子に振り回されながら、連続する不可解な事件を追う。華やかな外交の裏で交錯する思惑、王子を狙う危険、証言の陰に潜む企み。異色の相棒は衝突を重ねつつ、互いにない視点を武器へ変えていく。事件の連鎖の先にいる黒幕は何を望むのか。王宮の気品と警察小説の緊張、軽妙な掛け合いが弾けるバディミステリ。王子の品格と刑事の現場感覚が噛み合う瞬間、事件の見え方も鮮やかに変わる。
『みんなで決めた真実』(初刊:2025年8月)
裁判の生中継が国民的娯楽となり、鮮やかな推理で視聴者を沸かせる「名探偵」が司法を動かす社会。法学部生の僕が祖父と見ていた裁判でも、人気探偵が一瞬でトリックを暴き、被告の有罪は決まったかに見えた。だが、かつて凄腕の探偵だった祖父は静かに告げる――その推理は間違っている。祖父は法廷へ立ち、かつての弟子である名探偵と真正面から推理を戦わせることに。論理より空気が「真実」を作り、観客の熱狂が判決を左右しかねない時代に、確かな事実はどこにあるのか。世論と正義の危うい関係を問うモキュメンタリー・ミステリ。誰もが物語へ参加できる時代だからこそ、疑うことと考えることの価値が胸に迫る。