似鳥鶏の作品一覧
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某市立高校の芸術棟には、冬になるとフルートを吹く幽霊が現れるという。噂を恐れ、送別演奏会を控えた吹奏楽部員たちは練習にも来なくなってしまう。幽霊などいないと証明したい部長と秋野麻衣は、第三者の立会人として一年生の葉山君を巻き込み、夜の校舎を見張ることに。ところが、静まり返った棟内に本当にフルートの音が響き、白い影まで姿を見せた。癖の強い文化部員たちと、飄々とした上級生・伊神さんに振り回されながら、葉山君は不可解な出来事の筋道を追う。青春のにぎやかさと本格的な謎解き、その奥にある人の思いが交差する、文化部の空気まで生き生きと伝わり、若者たちの不器用な優しさも胸に残る。にわか高校生探偵団の始まりを描く市立高校シリーズ第1作。
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卒業を目前にした愛心学園吹奏楽部で、「東雅彦は嘘つきで女たらしです」と書かれた怪文書が見つかった。部員たちが犯人探しに色めき立つなか、オーボエ首席奏者の渡会千尋は突然、自分が貼ったと名乗り出る。しかし葉山君には、その告白がどうしても腑に落ちない。初恋の人の無実を証明するため、彼は伊神さんや仲間たちの助けを借り、卒業式を前に起きるいくつもの奇妙な事件へ踏み込んでいく。別れの季節に揺れる友情や恋心、言葉にできない事情が、論理の糸で少しずつ結ばれていく連作集。笑いの絶えない学園生活の裏に隠れた切なさをすくい上げる、卒業を前にした時間の短さが、どの事件にも瑞々しい緊張と余韻を添えている。市立高校シリーズ第2作・前編。
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名探偵役の伊神さんは卒業し、葉山君は二年生になった。新学期早々、曲がり角でぶつかった一年生の佐藤さんから、入学以来ずっと怪しい男につけられていると相談される。頼られた葉山君は、危険から彼女を守ろうとストーカーの正体を探り始めるが、追跡の裏には単純な思い込みでは片づけられない事情が潜んでいた。卒業した先輩たちの不在を意識しながらも、仲間と走り回り、自分の頭で答えを見つけようとする葉山君。前編で散りばめられた謎や感情も新たな事件へつながり、春の校舎に思いがけない真相を呼び込む。成長と別れの物語を爽快に締めくくる、守られるだけではない佐藤さんの意志も、春の物語を思いがけない方向へ動かす。市立高校シリーズ第2作・後編。
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騒動のため芸術棟が封鎖され、居場所を失った文化部や同好会は校内で新たな活動場所を探し始める。美術部の葉山君も美術室へ移り、ようやく制作に打ち込めると思った矢先、鉄道研究会と映画研究部による「開かずの間」の争奪戦へ巻き込まれてしまう。しかも翌日、その誰も入れないはずの部屋に、精巧で異様な鉄道模型が突然出現する。模型はどう運び込まれ、何のために置かれたのか。個性の強い部員たちが主張をぶつけるなか、葉山君たちは日常の隙間に潜む謎を追う。学校ならではの可笑しさとほろ苦さを五つの事件で描く、部室の縄張り争いさえ大真面目な彼らの姿が、事件を軽快で愛おしいものにする。にわか高校生探偵団の市立高校シリーズ第3作。
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文化祭を目前にした夏休みの終わり、市立高校へ登校した生徒たちは、校内を埋め尽くす大量の貼り紙に驚く。描かれていたのは、目つきの悪いピンクのペンギンとも天使とも見える奇妙なキャラクター。しかも一枚ごとに各部活を思わせる姿をしていた。手の込んだ悪戯と考えていた葉山君だが、準備が進むほど不可解な出来事は増え、華やかな祭りの裏側に不穏な気配が差し始める。誰が、なぜ、この絵をばらまいたのか。展示や舞台で浮き立つ仲間たちを守るため、葉山君とにわか探偵団は騒動の中心へ。青春の熱気と切実な謎がぶつかる、楽しい文化祭を取り戻したいという思いが、ばらばらな部員たちを一つにしていく。市立高校シリーズ第4作。
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平和な楓ヶ丘動物園から、凶暴なイリエワニが忽然と消えた。残されていたのは「怪盗ソロモン」を名乗る大胆な犯行声明。巨大なワニを、誰にも気づかれずどうやって運び出したのか。飼育員の桃本は、鋭い推理を見せる獣医の鴇先生、園のアイドル的存在の七森さん、爬虫類担当でミステリ好きの服部君らと調査に乗り出す。ところが続いてミニブタまで盗まれ、事件は奇妙な連鎖を見せ始める。動物の習性や飼育現場の知識が手がかりとなり、閉園後の園内に隠された企みが浮かび上がる。働く人々の奮闘とユーモアも楽しい、事件の裏側にある飼育の責任や命への敬意も、物語へ確かな読み応えを与えている。楓ヶ丘動物園シリーズ第1巻。
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警視庁捜査一課に着任した海月千波警部は、眼鏡の似合う小柄な女性。ところが現場経験の乏しさと驚くほどの不器用さから、配属わずか二日で事実上の戦力外を言い渡される。お守役を命じられた若手エース刑事・設楽恭介は振り回されっぱなしだが、海月には誰も及ばない推理力があった。都内で相次ぐ放火、女子大生殺害、そして消えた大量の毒ガス兵器。一見ばらばらの事件が結びつくとき、凸凹コンビは警察組織を揺るがす危機へ踏み込んでいく。笑いと緊張が高速で入れ替わり、頼りない二人が論理と執念で巨悪に挑む、互いを戦力外と思いながら補い合う二人の関係も、事件とともに大きく変化していく。戦力外捜査官シリーズ第1巻。
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校内新聞『エリア51』が特集した市立高校の七不思議。その影響なのか、休み時間の校内放送から、存在しない生徒「カシマレイコ」を呼び出す声が流れる。さらに口裂け女や一階トイレの花子さんを思わせる悪戯まで続発するが、数ある怪談からなぜその三つだけが選ばれたのか。葉山君は偶然ではない組み合わせに気づき、仲間たちと学校の過去をたどり始める。笑い話に見えた怪異の連鎖は、やがて誰かが隠し続けた切実な思いへ近づいていく。日常と伝説が重なる校舎で、論理が昨日までの「不思議」を塗り替える、怪談を知るほど論理が冴え、怖さの向こうにいる生徒の姿がはっきりしてくる。市立高校シリーズ第5作。
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県民マラソンを応援するため、楓ヶ丘動物園の飼育員たちはコース沿道に集まっていた。ところがランナーを待つ彼らの前を、園にいるはずのダチョウが疾走していく。逃げた鳥を追う騒動の先では、焼け落ちた家から身元不明の遺体が見つかり、無関係に思えた二つの出来事が不穏につながり始める。飼育員の桃本と、知識も推理も鋭い獣医の鴇先生は、動物たちの安全を守りながら事件の筋道を探ることに。ダチョウは公道で「軽車両」なのかという珍問題まで飛び出し、個性的な仲間たちも大騒ぎ。動物の習性が意外な真相を導く、園を飛び出した動物と人間の犯罪が、思いもよらない一点で交わる展開も見逃せない。楓ヶ丘動物園シリーズ第2巻。
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洋菓子のおいしい隠れ家風の喫茶店プリエールは、穏やかな店主の兄・惣司季と、元警官でパティシエを務める弟・智が切り盛りしている。そこへ県警秘書室勤務の直ちゃんが、警察も持て余す未解決事件を次々と持ち込んでくる。喪服の女性をめぐる殺人、時間が鍵を握る不可解な死、星空と桃のタルトに秘められた謎――。智の鋭い観察と季の温かなまなざしは、証言の食い違いをほどき、事件の奥で傷ついた人々の心にも触れていく。華やかなスイーツの甘さと、真相のほろ苦さが溶け合う四つの物語。兄弟の絆も香る、一皿ごとに趣向の違う菓子が、推理の手がかりと読後のやさしい余韻を運んでくる。難事件カフェシリーズ第1巻。
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推理力は抜群なのに現場では失敗ばかりの海月千波警部と、そのお守役を務める刑事・設楽恭介。二人の前に、終末思想を掲げる新興宗教団体「宇宙神瞠会」が進めるハルマゲドン計画が浮かび上がる。捜査が核心へ近づくなか、設楽の妹が人質に取られ、彼は警察官としての使命と家族を守りたい思いの間で追い詰められていく。テロはいつ、どこで、どのように起きるのか。教団が仕掛けた幾重もの罠を前に、凸凹コンビは互いの長所を武器に最悪の事態を食い止めようと奔走する。コミカルな掛け合いと息詰まる危機が交錯する、家族を人質にする卑劣な計画に、二人がどう抗うのか、一刻も目を離せない。戦力外捜査官シリーズ第2巻。
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総武線で並走する電車の車内に、自分と瓜二つの男を見つけた理司。偶然の再会をきっかけに親しくなり、同じ顔と声を持つ奇妙な相手と酒を酌み交わすが、その出会いを境に日常は崩れ始める。ある朝、刑事が訪ねてきて、理司を暴行未遂事件の容疑者として任意同行しようとする。身に覚えはない。それでも顔が同じ男に周到に罪を着せられたらしく、証拠も警察の包囲も彼を追い詰めていく。男は何者で、なぜ自分を狙うのか。会社も家も奪われた理司は、わずかな味方を頼りに逃走しながら、自分の過去と向き合うことになる。冤罪の恐怖を疾走感たっぷりに描くサスペンス。平凡な青年の必死さが思いがけない力を呼び起こし、物語を一気に加速させていく。
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楓ヶ丘動物園の人気飼育員・七森さんの友人が突然姿を消した。行方を追う桃本たちの前に現れたのは、なぜかふわふわのアルパカ。さらに小さなハムスターまで手がかりとして浮上し、人間の失踪と動物たちの動きが複雑に絡み合っていく。桃本はツンデレ獣医の鴇先生、爬虫類担当の服部君ら癖の強い仲間と協力し、飼育の仕事をこなしながら友人の足取りをたどる。愛らしい外見に油断は禁物。動物の習性を知る彼らだからこそ見抜ける違和感が、隠された事情へ道を開く。笑いの奥に人と動物へのまなざしが光る、可愛らしい動物たちの向こうに人の事情が見えたとき、事件は別の表情を見せ始める。楓ヶ丘動物園シリーズ第3巻。
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都内の暴力団が何者かに壊滅させられ、偶然居合わせた刑事二人まで重傷を負う異常事態が発生する。圧倒的な力を見せた敵の正体も目的も不明のまま、警視庁は威信を懸けて捜査を開始。海月千波警部と設楽恭介も、現場に残されたわずかな手がかりから事件の構図を追う。しかし襲撃は単なる抗争ではなく、東京中を混乱に陥れる巨大な計画の前触れだった。犯行が動き出す「ゼロの日」までに、二人は仕組まれた連鎖を止められるのか。頼りなく見えて核心を射抜く海月の推理と、設楽の行動力が限界状況で噛み合う、緊迫の予測不能な攻撃と組織捜査の駆け引きが、夜明けまで息をつかせない緊張を生む。戦力外捜査官シリーズ第3巻。
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心の不安をきっかけに発症し、力を使うと体が青く光る「青藍病」。ただし現れる異能は人によってまるで違う。動物に襲われてしまう者、殺意だけで命を奪える者、人の年収が頭上に見える者、死が近い人の胸に青い光を見る者――。望んだわけではない力を抱えた四人は、それぞれの日常で孤独や恐れ、誰かを守りたいという願いに向き合う。便利さよりも痛みをもたらす能力を、彼らは何のために使うのか。別々に見える人生がゆるやかに響き合い、青い光の意味を変えていく。異能の謎と切実な感情を結びつけた、優しくもほろ苦い青春ファンタジック・ミステリ。力を持つことの責任と、理解されたいという願いが、四人それぞれの選択を照らす。
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前代未聞のテロを起こして解散へ追い込まれたカルト教団・宇宙神瞠会。名称を変えて穏健路線へ転じたはずだったが、一部の信者は理想郷〈エデン〉へ至るための「聖戦」を密かに準備していた。狙いは街の各所で同時に起こる大規模テロ。海月千波警部と設楽恭介は、断片的な情報をつなぎ、見えない実行犯たちを追う。犯行の時刻が迫るなか、守るべき場所は多く、警察の人員にも限りがある。過去の事件で刻まれた傷を抱えながら、凸凹コンビは社会を覆う終末の熱狂に立ち向かう。ユーモアを残しつつ危機の規模をさらに広げる、目に見えない思想が人を動かす怖さと、それでも救おうとする者たちの覚悟が響く。戦力外捜査官シリーズ第4巻。
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殺人事件で両親を失った天野直人と妹の七海は、養父になるという人物に呼ばれ、雪深い長野のペンションを訪れる。だが待っていたのは宿泊客の絞殺死体と、関係者全員にアリバイがある不可能状況だった。妹を守るため推理に挑む直人は、真相へたどり着いたことで、さらに危険な世界へ足を踏み入れる。卓越した問題解決能力を生む「名探偵の遺伝子」をめぐり、各国の組織が保有者を奪い合っていたのだ。閉ざされた山荘の謎は、やがて世界規模の争奪戦へ。論理と家族への思いを武器に、兄妹が過酷な運命へ挑む古典的な山荘ミステリがスパイ活劇へ広がる大胆さも、本作ならではの魅力だ。御子柴シリーズ第1巻。
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本が好きだから、今日も書店で働く。そんな店員たちの職場には、万引きだけでなく、本にまつわる不思議な相談が舞い込んでくる。引っ越しの手伝い後に消えた大切な一冊、贈り物に隠された意図、売り場で起きた説明しにくい出来事。西船橋店の名物店長は、手書きポップで本を売る「ポップ姫」であると同時に、わずかな違和感から答えを導く名探偵でもあった。個性的なアルバイトたちは、接客や品出しに追われながら彼女の推理を支える。書店の舞台裏や本への愛情を織り込み、日常の謎と人の思いを鮮やかに解き明かす、お仕事ミステリ連作集。本を売る現場の苦労や喜びも細やかで、書店そのものが愛おしくなる一冊だ。
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『理由あって冬に出る』の幽霊騒ぎより少し前、映研とパソコン研の間では柳瀬さんをめぐる奇妙な争いが起きていた。さらに葉山君の妹・亜理紗の友人が遭遇した不可解なひったくり、日用品のように身近な場所で起こる事件など、にわか高校生探偵団には休む暇がない。学校の外へも広がる五つの謎を追ううち、これまで語られなかった葉山家の事情や、仲間たちの意外な一面が見えてくる。大事件ではなくても、当事者にとっては切実な「家庭用」の問題。ユーモアの効いた会話と端正な推理で、高校生活の隙間にある感情を描く、時系列を行き来する構成が、長く続く仲間たちの関係をいっそう立体的に見せる。市立高校シリーズ第6作・短編集。
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高い進学実績を誇り、ひきこもりや反抗的な子どもまで「治る」と評判の私立全寮制一貫校。厳格な管理のもとで生徒たちは規律正しく暮らしていたが、ある男子高校生が突然、心臓麻痺で死亡する。事故として処理されかけた死に疑問を抱いた者たちが調べ始めると、閉ざされた校内で語られる言葉と外部へ示される理想像の間に、不気味なずれが浮かび上がる。教育、矯正、救済という美名のもとで、いったい何が行われているのか。関係者の証言や記録が折り重なり、読み手の常識を揺さぶっていく。学校という小さな社会の圧力と人間の怖さを描く、重厚なダークサスペンス。善意と支配の境界が曖昧になるほど、死の背後に潜む構造は恐ろしく迫ってくる。
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世界経済を左右するほどの推理力を生む「ホームズ遺伝子」。その保有者を探し出して拉致する国際組織〈機関〉は、人為的に不可能犯罪を作り、解けた者を選別していた。遺伝子を持つ妹・七海を守る天野直人は、組織が仕掛ける新たな謎へ挑む。強酸性の湖に立つ十字架、密室状態の灯台で起きた転落死、五百メートルの隔たりが一瞬で消える不可解な事件。答えを出せば存在を知られ、解けなければ誰かが犠牲になる。探偵の推理はどこまで人を救えるのかという問いを抱え、兄妹は世界規模の思惑と対峙する。驚異のトリックが連なる奇抜な状況の一つひとつが論理で組み上がる快感と、兄妹の絆が鮮烈に響く。御子柴シリーズ第2巻。
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画廊の息子として育ち、画家を志す高校生・緑川礼は、公募展にも落ち続け、自分の才能に自信を失っていた。そんな折、校内の絵画が壊され、礼は犯人の疑いをかけられる。窮地を救ったのは、無口で謎めいた同級生・千坂桜。彼女は有名絵画を手がかりに、誰も見抜けなかった真相を鮮やかに示す。圧倒的な美術センスを持つ桜と、努力で追いつこうとする礼。二人は高校から芸大、社会人へと進むなかで、絵画にまつわる事件へ何度も巻き込まれていく。才能とは何か、誰かの色に届くとはどういうことか。恋と憧れの距離を描く青春アートミステリ。名画への知識が事件と感情の両方を映し、二人の長い時間を鮮やかに彩っていく。
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楓ヶ丘動物園の飼育員・桃本、獣医の鴇先生、げっ歯類担当の七森さん、爬虫類担当の服部君。おなじみの面々の周囲では、今回も動物にまつわる不可解な出来事が次々に起こる。事件の鍵を握るのは柴犬なのか、猫なのか、それとも小さなフクロモモンガなのか。愛らしい姿や意外な行動に翻弄されながら、桃本たちは飼育現場ならではの観察力で、人間の証言に潜む矛盾を見つけ出していく。命を預かる仕事の厳しさ、動物と暮らす人々の思い、仲間同士の賑やかな掛け合いが一つに。身近な謎を温かく解きほぐす連作集、動物をよく見ることが、人の心を見つめ直すことにもつながる温かな物語だ。楓ヶ丘動物園シリーズ第4巻。
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大学の寮を出なければならなくなった貧乏学生・小磯は、格安の家賃にひかれ、案内にも載っていない富穰寮へ移る。そこは廃屋同然で、暮らす学生も癖の強い者ばかり。さらに天井や窓の外には、血まみれの白い服の女性「ヨリコさん」が現れるという。到底無視できない怪異を前に、小磯と寮生たちは持ち前の探究心で出現条件を調べ、正体を科学的に突き止めようとする。だが寮内だけだったはずのヨリコさんは外へ広がり、やがて世界中を巻き込む異常事態へ。貧乏生活の笑いと心霊の恐怖、想像を超えるパニックが暴走するノンストップ・エンターテインメント。どこまで大きくなるのか予想できない展開が、恐怖と笑いを同時に加速させる。
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捜査一課の凸凹コンビ、海月千波警部と設楽恭介の前に、〈鷹の王〉と名乗る最凶の敵が現れる。通行人をボウガンで無差別に狙い、ビルへ火を放つ殺人ドローンを操るその人物は、首都・東京を舞台にさらに大きな計画を進めていた。空から迫る攻撃は速く、犯人の姿も狙いも見えない。警察の常識を嘲笑うような連続テロに、海月の推理と設楽の行動力は通用するのか。過去の事件で出会った人々も巻き込みながら、二人は被害の連鎖を止めるため走り続ける。技術が凶器へ変わる恐怖と、警察官たちの執念を描く、現代的な脅威を相手に、一人ひとりの判断と連携が試されるスケール豊かな一作だ。戦力外捜査官シリーズ第5巻。
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小学四年生の瑞人は、友人たちと隣町の「幽霊団地」へささやかな冒険に出る。遊び半分だった探検に不穏な影が差したとき、彼を助けたのは近所に住む年上の千歳お姉ちゃん。鋭い観察と論理で謎を解く彼女は、瑞人にとって憧れの名探偵になった。小学生から中学生、高校生へ。成長する瑞人のそばで事件は姿を変え、推理を重ねるほど、お姉ちゃんは眩しく遠い存在になっていく。そして二人の日々の先で、日本中を騒がせる大事件が発生する。傷ついた大切な人のため、瑞人は自ら真相を追うことを決意する。恋するワトソンが名探偵へ至る、切なく瑞々しい青春本格ミステリ。事件を解くほど変わっていく二人の距離が、謎以上に強い余韻を残していく。
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この本に収められた物語には、すべて叙述トリックが仕掛けられている。それを最初から明かされ、身構えて読んでもなお、文章が作る思い込みは読者の目を鮮やかに欺く。神様が関わる奇妙な出来事、背中合わせの恋人、閉じられた場所にいる三人と二人、何となく買った本の結末、貧乏荘の怪事件、そして日本を背負うこけし。舞台も語り手も雰囲気も異なる物語の中で、何気ない言葉や省略された情報が別の景色を生み出していく。どこに罠があるのか、今読んだ一文を信じてよいのか。作者からの大胆な挑戦状を楽しみながら、読む行為そのものが謎解きになる技巧派ミステリ短編集。仕掛けを警戒する読者の心理まで利用する、作者の遊び心と技術が存分に味わえる。
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撮ってはいけない写真、曲がってはいけない街灯のないY字路、帰ってはいけない部屋、見てはいけないURL、剥がしてはいけないシール。日常のすぐそばにある小さな禁忌へ手を伸ばした瞬間、説明のつかない何かが静かに入り込んでくる。子どもにだけ見えるもの、ネットの向こうから近づく気配、思い出してはいけない記憶など、十三の怪異は派手な脅しではなく、逃げ道を少しずつ塞ぐように読者を追い詰める。謎を考えずにはいられないのに、理解へ近づくほど怖さは深まっていく。本格ミステリの論理性と都市伝説の不安が溶け合う、読み進めたことを後悔したくなるホラー短編集。読み終えてから日常の風景を見直すと、そこにも怪異の入口が潜んでいそうで怖い。
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警視庁捜査一課の巡査部長・秋月春風は、男性刑事として初めて一年間の育児休業を取得中。生後三か月の息子・蓮を抱き、慣れない家事と育児に奮闘する毎日を送っていた。ところが行動力がありすぎる姉・涼子と出かけるたび、密室めいた事件や不可解な死に遭遇してしまう。育休中だから捜査権限はない。それでも刑事の勘は違和感を放っておけず、赤ちゃんの世話を最優先にしながら、現場に残された手がかりを拾い集める。子育ての現実と家族の支えを丁寧に描きつつ、論理的な謎解きを両立させた新感覚のお仕事ミステリ、おむつや授乳の合間にも待ったなしで謎が迫り、家族総出の奮闘が笑いを誘う。育休刑事シリーズ第1巻。
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大学入学早々、友達作りの機会を逃した藤村京は、人と目を合わせて話すことがとにかく苦手。ある日、教室に置き忘れられた一本の傘を見つけるが、持ち主を尋ねて回ることすらできない。そこで傘の種類、置かれた位置、その日の天気など、手元の情報だけを頼りに、誰がどんな状況で忘れたのかを独力で推理し始める。その観察力に気づいた同級生たちとの縁から、藤村は落とし物や写真、大学生活の小さな違和感をめぐる五つの事件へ。華やかな名探偵とはほど遠くても、地味な論理が誰かの困り事を救っていく。口下手な青年の一歩を描く青春日常ミステリ。人と話せない弱点が、先入観なしに物を見る強みへ変わっていく過程も爽やかだ。
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マレーバク舎を新設するため、楓ヶ丘動物園の桃本たちは飼育のノウハウを学びに山西市動物園を訪れる。そこでは桃本の従弟・誠一郎が働いており、久々の再会を喜んだのも束の間、園内から象が脱走する非常事態が発生。巨体が市街地へ向かえば危険だとして射殺命令が下り、残された時間はわずか一時間しかない。なぜ象は安全な飼育場を抜け出したのか。その行動には、人間が見落としている理由があるのではないか。桃本、鴇先生、七森さん、服部君らは命を守るため走り、脱走の裏にある大きな問題へ迫る。緊迫の救出劇を描く動物を守る知識と現場の連携が、刻々と迫る決断の時間に真価を問われていく。楓ヶ丘動物園シリーズ第5巻。
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隠れ家的な喫茶店プリエールへ、県警秘書室の直ちゃんが新たな難事件を持ち込む。企業の御曹司が別荘で殺されたが、その場にいた友人三人には犯行が不可能で、外部から侵入した形跡もない。犯人が存在しないかのような殺人を前に、店主の惣司季と、元警官でパティシエの弟・智は証言の矛盾を丁寧にほどいていく。ほかにもストーカーをめぐる事件や、苦みの違うコーヒーが鍵となる謎が兄弟を待つ。ヴェリーヌ、ドリアンのパフェ、自家焙煎珈琲が彩る三つの物語で、甘さの奥にある人間の感情をすくい上げる、智が警察を離れた理由や兄弟の過去もにじみ、シリーズの物語に深みを加える。難事件カフェシリーズ第2巻。
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人類の一部が花の遺伝子と特殊能力を持つ「花人」として生まれる社会。知力も体力も常人を上回り、温厚で犯罪とは無縁と信じられてきた彼らによる、日本初の殺人事件が起きる。警視庁捜査一課の火口竜牙は、花人刑事の水科此葉と組み、常識を覆す凶悪事件の捜査へ。だが同じような犯行が続き、花人への恐怖と偏見が急速に広がっていく。優れた者は善良だという神話はなぜ崩れたのか。二人は現場に残る能力の痕跡を追い、事件の背後で進む陰謀へ近づく。異能を持つ者と持たない者の共存を問いながら疾走する、警察サスペンス。能力と人格を結びつける危うさが、捜査の緊張とともに強く鋭く突きつけられる。
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市立高校に再び卒業の季節が訪れ、柳瀬さんをはじめ親しかった先輩たちが巣立とうとしていた。三月の放課後、秋野麻衣は真っ暗なCAI室で、誰かが電源も入れずパソコンを操作していたと葉山君に相談する。鍵のかかった部屋にいた影は、校内八番目の七不思議として語られる、神出鬼没の「兼坂さん」らしい。存在しないはずの人物は、どうやって閉ざされた教室へ現れたのか。別れを惜しむ時間のなか、葉山君たちは先輩たちと最後の謎を追う。高校生活で積み重ねた友情と推理が、卒業という節目に温かな光を投げかける、怪談めいた出来事の奥で、去る者と残る者の思いが静かにすれ違っていく。市立高校シリーズ第7作。
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日本の富豪が発見した、世界的に貴重な「聖遺物」。それを手に入れるため、カトリックと正教会は各国から最高の名探偵を選び、前代未聞の推理ゲームを開く。集められたのは、アメリカ、ウクライナ、日本、ブラジルなどで名を馳せる強者たち。彼らは論理だけでなく、それぞれ常識外れの特殊能力まで備えていた。全員が最強を名乗れる異能の探偵でありながら、勝者になれるのはただ一人。聖遺物をめぐる事件の真相を誰より早く、正確に見抜くのは誰か。文化も正義も推理法も異なる天才たちが互いの仮説をぶつけ合う、世界規模の頭脳戦と驚きに満ちた本格ミステリ。ひとつの事件に複数の名推理が競い合い、正解の意味さえ揺さぶる構成も圧巻だ。
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クイズ研究会の会員が二人しかおらず、クラスでは「じゃない方の成田」と呼ばれる高校二年生・成田頼伸、通称ライ。夏休みのある日、彼はファストフード店で、二人の姉妹が頭を悩ませていた暗号を偶然解いてしまう。性格も価値観も正反対で、普段なら交わらない人気者の同級生・成田清春、通称キヨも加わり、四人は本に挟まれた手がかりを追うことに。次々と現れるパズルの先には、誰かが残した大切な思いが待っていた。役に立つことと立たないこと、友情と淡い恋、進路への迷い。カレンダーの空欄を冒険で満たしていく、切なさと温かさに包まれた青春恋愛ミステリ。謎を解くたび四人の距離が縮まり、何もなかったはずの夏がかけがえのない記憶になる。
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いつものように殺人を解決した名探偵の前で、思わぬ伏兵が別の推理を始める。異世界へ転生し、圧倒的な力を得た主人公は、言葉から思い描くイメージの違いに翻弄される。ほかの小説の文章だけで組み立てる作品や、検閲が合法化された国であらゆる手を尽くして書き続ける作家も登場。物語、語り手、引用、表現の自由といった「小説」の前提そのものが、一編ごとに仕掛けへ変わっていく。ページの形や日本語の見え方まで味方につけ、読む者の常識を裏返す五つの挑戦。何をもって小説と呼ぶのかをユーモアと危うさで問い直す、実験精神あふれるメタフィクション短編集。紙の本だからこそ成立する驚きも盛り込まれ、形式と物語が一体になって迫る。
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泌尿器科医の鮎川は、患者の訴えや検査結果に潜む小さな矛盾を見逃さない。その観察力と論理は診断だけでなく、病院へ持ち込まれる不可解な事件の真相まで照らし出す。外来で出会う患者、家族、医療スタッフが抱える秘密。身体のデリケートな悩みは口にしづらく、嘘や思い込みが重なるほど、事実は見えにくくなっていく。鮎川は医師として人の尊厳を守りながら、症状と証言を一つずつ検討し、警察とは異なる視点で謎へ迫る。専門医療の知識を手がかりに、笑いと切実さを織り交ぜた事件簿。診察室から始まる異色の本格医療ミステリ。診察で培った聞き方と見立てが、犯罪捜査に新しい角度から光を当てていく。
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警視庁捜査一課の秋月春風は、男性刑事として初めて取得した長期育児休業を延長中。息子の蓮は一歳になり、成長の喜びと同時に目を離せない大変さも増していた。育休明けに捜査一課へ戻れるか不安を抱える春風だが、事件のほうは事情をくんでくれない。途方もない不可能状況、徒歩なのにカーチェイスと呼びたくなる追跡、嘘をめぐる謎など、子連れの行く先で難題が発生する。姉の涼子や家族に助けられながら、父親としての責任と刑事の推理を両立できるのか。育児の日常が意外な手がかりになる、温かく論理的な仕事へ戻りたい焦りと、今しかない息子との時間の間で揺れる姿にも共感が募る。育休刑事シリーズ第2巻。
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国内で「都市伝説」と呼ばれる怪異の被害が急増していた。常識も説得も通じない相手に有効なのは、まさかの物理攻撃。怪異駆除を専門とする唐木田探偵社へ入った新人〈ネズミ〉は、格闘や武器の扱いを叩き込まれ、入社早々に命懸けの現場へ送り出される。最前線の戦闘班は十年生存率二五パーセント。生き残っている仲間も、それぞれ特殊な事情を抱えた問題児ばかりだった。ルール無用で襲う怪異と戦ううち、ネズミは彼らとの間に不思議な絆を築いていく。なぜ怪異は増え続けるのか。恐怖を拳と知恵で迎え撃つ、痛快で苛烈なホラーアクション。荒唐無稽に見える戦いの裏で、傷を抱えた仲間たちの生き方が力強く交差する。
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北欧の小国メリニア王国から来日したミカ第三王子。気品ある王族でありながら、彼には捜査の現場へ踏み込まずにはいられない理由と、事件の核心を射抜く力があった。警護と捜査協力を命じられたベテラン刑事・本郷馨は、立場も常識も違う王子に振り回されながら、連続する不可解な事件を追う。華やかな外交の裏で交錯する思惑、王子を狙う危険、証言の陰に潜む企み。異色の相棒は衝突を重ねつつ、互いにない視点を武器へ変えていく。事件の連鎖の先にいる黒幕は何を望むのか。王宮の気品と警察小説の緊張、軽妙な掛け合いが弾けるバディミステリ。王子の品格と刑事の現場感覚が噛み合う瞬間、事件の見え方も鮮やかに変わる。
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裁判の生中継が国民的娯楽となり、鮮やかな推理で視聴者を沸かせる「名探偵」が司法を動かす社会。法学部生の僕が祖父と見ていた裁判でも、人気探偵が一瞬でトリックを暴き、被告の有罪は決まったかに見えた。だが、かつて凄腕の探偵だった祖父は静かに告げる――その推理は間違っている。祖父は法廷へ立ち、かつての弟子である名探偵と真正面から推理を戦わせることに。論理より空気が「真実」を作り、観客の熱狂が判決を左右しかねない時代に、確かな事実はどこにあるのか。世論と正義の危うい関係を問うモキュメンタリー・ミステリ。誰もが物語へ参加できる時代だからこそ、疑うことと考えることの価値が胸に迫る。
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三年生へ進級した葉山君の市立高校に、有望な新入生たちが加わる。茶道華道部の作法室では、誰もいなかったはずなのに壺が割れ、新入生の中内修太郎は最初の謎に出会う。さらに無人の部屋をガーベラが水平に移動し、閉ざされた空間にはモンスターが出現。男子バスケ部の部室では、中内の幼馴染み・岩境ひなが奇妙な盗難事件に巻き込まれる。超常現象のような出来事を前に、葉山君は手慣れた調査を始め、新たな後輩たちも自分の視点で手がかりを追う。先輩から後輩へ受け継がれる好奇心と推理が、新学期の校舎に星座を描く世代が変わっても続く賑やかな日常が、シリーズに新鮮な風を吹き込んでいる。市立高校シリーズ第8作。










































