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真山仁のシリーズ作品一覧

ハゲタカシリーズ(8作)

  1. 『ハゲタカ 上』(初刊:2004年12月)
    『ハゲタカ 下』(初刊:2004年12月)
  2. 『ハゲタカ2 上』(初刊:2006年4月)
    『ハゲタカ2 下』(初刊:2006年4月)
  3. 『ハゲタカ3 レッドゾーン 上』(初刊:2009年4月)
    『ハゲタカ3 レッドゾーン 下』(初刊:2009年4月)
  4. 『ハゲタカ4 グリード 上』(初刊:2013年10月)
    『ハゲタカ4 グリード 下』(初刊:2013年10月)
  5. 『ハゲタカ4.5 スパイラル』(初刊:2015年7月)
  6. 『ハゲタカ2.5 ハーディ 上』(初刊:2017年11月)
    『ハゲタカ2.5 ハーディ 下』(初刊:2017年11月)
  7. 『ハゲタカ5 シンドローム 上』(初刊:2018年8月)
    『ハゲタカ5 シンドローム 下』(初刊:2018年8月)
  8. 『ハゲタカ6 チップス 上』(初刊:2026年2月)
    『ハゲタカ6 チップス 下』(初刊:2026年2月)

冨永検事(正義と権力)シリーズ(4作)

  1. 『コラプティオ』(初刊:2011年7月)
  2. 『売国』(初刊:2014年10月)
  3. 『標的』(初刊:2017年6月)
  4. 『墜落』(初刊:2022年6月)

震災三部作シリーズ(4作)

  1. 『そして、星の輝く夜がくる』(初刊:2014年3月)
  2. 『海は見えるか』(初刊:2016年2月)
  3. 『それでも、陽は昇る』(初刊:2021年2月)
  4. 『ここにいるよ』(初刊:2025年12月)

当確師シリーズ(3作)

  1. 『当確師』(初刊:2015年12月)
  2. 『当確師 十二歳の革命』(初刊:2020年12月)
  3. 『当確師 正義の御旗』(初刊:2024年5月)

真山仁のノンシリーズ(単発)作品一覧(刊行順)

『ダブルギアリング 連鎖破綻』(初刊:2003年8月)

ダブルギアリング 連鎖破綻

ダブルギアリング 連鎖破綻 <角川文庫>

発売日:2014年12月19日

長編

バブル崩壊後、大手生命保険会社・清和生命は、膨張した負債と契約者の解約殺到にあえいでいた。頼みの統合交渉まで土壇場で覆され、経営陣が責任逃れに走る一方、外資系投資銀行は容赦なく会社の値踏みを始める。社長室次長と、関西へ左遷された同期の中根は、社員と契約者の生活を守るため、業界の旧弊や省庁とのもたれ合いに踏み込み、最後の資金調達策を探る。金融の論理、組織への忠誠、個人の良心が激しくぶつかるなか、社長から命じられた大勝負は再生への一手となるのか。破綻寸前の現場を内側から描き、人間の欲望と矜持を問う経済サスペンス。保険という安心の仕組みそのものが揺らぐとき、会社を生かす責任と個人の人生が残酷に交差する。

『虚像の砦』(初刊:2005年7月)

虚像の砦

虚像の砦 <講談社文庫>

発売日:2007年12月

長編

中東で日本人が誘拐されたとの一報をつかんだ民放テレビ局PTBの報道ディレクター・風見は、他局に先んじて伝えようと動き出す。だが、社内の思惑や政府との距離、視聴率への配慮が報道の判断を鈍らせ、事実を届ける使命は組織の論理にのみ込まれていく。一方、人気番組を手がける敏腕プロデューサー・黒岩も、数字を追ううちに、番組づくりへの誇りと自分自身を見失い始める。ニュースと娯楽、それぞれの現場で苦悩する二人は、巨大メディアという砦の内側で何を守れるのか。報道の正義とテレビの力、その危うさを鋭く問う社会派小説。スクープ競争の熱狂が、真実を映すはずの画面を少しずつ歪ませ、現場の良心さえ試していく。

『マグマ』(初刊:2006年2月)

マグマ

マグマ <角川文庫>

発売日:2009年8月25日

長編

外資系投資ファンドで働く野上妙子が休暇から戻ると、所属部署は突然消滅していた。ただ一人解雇を免れた彼女に託されたのは、債務を抱える日本地熱開発の再生。火山国・日本に眠る巨大な地熱資源を事業化しようとする研究者の情熱に触れ、妙子は採算だけでは測れない可能性を見いだしていく。だが、原子力をめぐる国策、温泉地の不安、政治家や企業の利害が複雑に絡み、計画は容易に前へ進まない。理想のエネルギーは現実の電力となるのか。金融の論理と科学者の信念を交差させ、日本の未来を大地の奥から問い直す経済小説。温泉地や地域社会との対話も必要となり、妙子は机上で描いた再建策を現場の信頼によって試される。

『ベイジン 上』(初刊:2008年7月)

ベイジン 上

ベイジン 上 <幻冬舎文庫>

発売日:2010年4月6日

長編

北京五輪開幕を目前に、中国では世界最大級の原子力発電所「紅陽核電」の完成が急がれていた。日本から技術顧問として招かれた田嶋は、安全を軽視する工程と品質に危機感を募らせるが、国家の威信を背負う若き共産党幹部・鄧は、開会式への送電を至上命令として譲らない。立場も文化も異なる二人は激しく対立しながら、現場で起きる異変と、上層部が隠そうとする不都合な事実に直面する。成功を世界へ示したい国家と、事故を防ぎたい技術者。刻々と期限が迫るなか、巨大プロジェクトの足元で危険な兆候が積み重なる、国際社会派サスペンス上巻。建設現場で重ねられた小さな妥協が重大事故につながる恐怖が、二人の判断と相互不信を追い詰める。

『ベイジン 下』(初刊:2008年7月)

ベイジン 下

ベイジン 下 <幻冬舎文庫>

発売日:2010年4月6日

長編

世界最大級の原発「紅陽核電」に重大な危険が潜むことを知った日本人技術者・田嶋と中国共産党幹部・鄧。衝撃的な事故予測を前に、二人は国籍や価値観の違いを越え、徹底した補強工事へ踏み出す。だが、北京五輪開会式への送電を急ぐ政府の圧力、責任を恐れる官僚、失脚を狙う権力者が行く手を阻み、現場の時間は容赦なく失われていく。国家の面子か、人命と技術者の良心か。眩い五輪の光の裏で、田嶋と鄧が選ぶ未来とは。中国社会の矛盾と、共に働く者同士に芽生える希望を描く国際社会派サスペンス下巻。補強に必要な時間と五輪の期限がせめぎ合い、発電所で下される一つ一つの判断が国家の威信を揺さぶる。

『プライド』(初刊:2010年3月)

プライド

プライド <新潮文庫>

発売日:2012年8月28日

短編集

仕事に誇りを持つことは、人を支えるのか、それとも追い詰めるのか。期限切れ食材をあえて使った菓子職人の真意に迫る表題作、米の政策をめぐって変人官僚と事業仕分け人が対決する「一俵の重み」をはじめ、医療、養蚕、政治、農業など、社会の現場に立つ人々を描く六編と掌編を収録する。正論だけでは割り切れない事情のなかで、登場人物たちは守るべき一線を探し、ときに誇りゆえの過ちも犯す。逆境で人間の芯となるものは何か。組織の論理と個人の良心がぶつかる瞬間を通し、働くことの責任と矜持を多面的に問う社会派短編集。一編ごとに異なる職業の現場を描きながら、譲れない一線が人を立たせる光と、独善へ変わる影を映し出す。

『黙示』(初刊:2013年2月)

黙示

黙示 <新潮文庫>

発売日:2015年7月29日

長編

農薬散布中のラジコンヘリが小学生の集団に墜落し、子どもたちが重い中毒症状に陥った。事故をきっかけに農薬への非難が高まる一方、農薬を使わない遺伝子組み換え作物を売り込む米国の巨大企業が攻勢を強め、中国資本も日本の食料を狙い始める。安全を求める消費者、生活を懸ける農家、利益と国策を背負う企業や官僚。それぞれの正義が衝突し、単純な賛否では解けない食の危機が広がっていく。私たちは何を食べ、誰に未来の食卓を委ねるのか。農業の現場から国家の安全保障までを結び、選ぶ責任を突きつける社会派エンターテインメント。豊かさと安全、国産と輸入のどれを優先するか、身近な食卓から国家の針路まで選択を迫られていく。

『雨に泣いてる』(初刊:2015年1月)

雨に泣いてる

雨に泣いてる <幻冬舎文庫>

発売日:2017年10月6日

長編

二〇一一年三月十一日、巨大地震の発生を受け、ベテラン記者・大嶽は志願して被災地へ入る。想像を絶する惨状のなか、彼に与えられた特命は、現地で消息を絶った新人記者を捜し出すことだった。取材することは、悲嘆のただ中にいる人々へ踏み込むことでもある。記者の役割と自らの良心に迷いながら、大嶽は残された足跡を追う。やがて、地域で尊敬される人物が凶悪事件に関わった可能性に気づくが、真実を報じることが被災地をさらに傷つける恐れもあった。災害報道の使命と人間の尊厳を問う社会派ミステリー。救助と取材、沈黙と報道のどちらを選んでも傷が残る現場で、大嶽は伝えるべき事実と守るべき人を見定めようとする。

『バラ色の未来』(初刊:2017年2月)

バラ色の未来

バラ色の未来 <光文社文庫>

発売日:2019年8月5日

長編

カジノ誘致に失敗してすべてを失った元町長・鈴木一郎が、総理官邸前で「大嘘つき」と叫ぶ。東西新聞社の記者・結城洋子は、その絶望の背景に疑問を抱き、成長戦略として推進される統合型リゾートの実態を追い始める。だが、社内では取材を止めようとする圧力がかかり、華やかな計画の裏では政治家、官僚、外資系企業がそれぞれの利益を求めて暗躍する。地域を豊かにするはずの賭博ビジネスは、誰にバラ色の未来をもたらすのか。記者たちが報道の矜持を懸け、巨大な利権の闇へ挑む社会派ミステリー。結城は地方取材で出会う声をつなぎ、誘致がもたらす繁栄という物語の矛盾を暴こうとするが、味方は次々と減っていく。

『オペレーションZ』(初刊:2017年10月)

オペレーションZ

オペレーションZ <新潮文庫>

発売日:2020年2月28日

長編

大手生命保険会社による国債の投げ売りを機に価格が暴落し、日本の財政破綻が現実の脅威となる。江島隆盛総理は危機を回避するため、国家予算を半減する極秘計画「オペレーションZ」を始動。若手財務官僚たちは、社会保障から地方交付まで聖域なき削減案に向き合うが、各省庁、与党守旧派、メディア、国民の激しい反発にさらされる。未来の多数を救うため、今日困窮する人を切り捨ててよいのか。正解のない問いを抱えた総理は、ついに政権の命運を懸けた大勝負へ出る。財政と民主主義の限界を問う政治ドラマ。削る数字の一つ一つが誰かの生活に直結し、官僚たちの信念も分裂する。机上の正解は現場で残酷な顔を見せる。

『アディオス!ジャパン 日本はなぜ凋落したのか』(初刊:2018年10月)

アディオス!ジャパン 日本はなぜ凋落したのか

アディオス!ジャパン 日本はなぜ凋落したのか <単行本>

発売日:2018年10月8日

なぜ日本は、かつての活力と自信を失ったのか。著者が震災被災地、沖縄、阪神工業地帯、海外の現場などを歩き、政治、産業、地域社会、安全保障に積み残された課題を見つめる社会派エッセイ。ものづくり大国の衰退、復興の名の下で置き去りにされる人々、国際社会で揺らぐ立ち位置を、取材で出会った声と歴史の流れから読み解いていく。単なる悲観や日本礼賛に陥らず、危機の原因を直視した先に、生き残るための選択肢を探る。小説で現代社会を描いてきた著者が、現実の日本へ正面から問いを投げる初の社会派エッセイ。現場で得た違和感を起点に、失敗を他人任せにする社会の姿勢や、変化を恐れて決断を先送りする空気にも厳しい視線を向ける。

『トリガー 上』(初刊:2019年8月)

トリガー 上

トリガー 上 <角川文庫>

発売日:2021年3月24日

長編

二〇二〇年、東京オリンピックが開幕。馬術競技の韓国代表で現役検事でもあるキム・セリョンは、大会直前から何者かに襲われ、極秘捜査をやめるよう脅されていた。世界の視線が競技へ集まるなか、彼女を狙う一発の銃弾が放たれ、祝祭は日米韓朝の思惑が渦巻く国際事件へ一変する。元内閣情報調査室長・冴木らは、暗殺の背後に潜む情報を追うが、同盟国も敵国も真意を隠し、手掛かりは幾重にも偽装されていた。誰が何を引き金にしたのか。国家の謀略と個人の信念が衝突する国際サスペンス上巻。各国の情報員と政治家が水面下で動き、事件の意味は捜査が進むほど変わっていく。観客の熱狂さえ謀略の道具にされていく。

『トリガー 下』(初刊:2019年8月)

トリガー 下

トリガー 下 <角川文庫>

発売日:2021年3月24日

長編

東京五輪の競技中に起きた韓国代表キム・セリョン暗殺事件。その背後には、日米韓の同盟関係を揺るがし、北朝鮮をも巻き込む極秘情報が存在していた。事件収拾の責任者として内閣参与に就いた元内調室長・冴木は、北朝鮮の工作員・和仁と危うい協力関係を結び、真相へ迫る。米軍の役割さえ変わろうとする国際情勢のなか、味方のはずの政府や情報機関も思惑を隠し、正義の照準は定まらない。誰が銃弾を必要とし、事件で何を動かそうとしたのか。国家間の力学を描く国際サスペンス下巻。敵と手を組まなければ守れないものがあるという矛盾が、冴木の決断を鋭く試す。時間切れが迫るほど、同盟の建前は崩れていく。

『神域』(初刊:2020年2月)

神域

神域 <文春文庫>

発売日:2022年10月5日

長編

生命科学者の篠塚と秋吉は、脳細胞の再生を可能にする人工万能幹細胞「フェニックス7」を開発し、アルツハイマー病の克服を目指していた。だが、人体移植へ進むには莫大な資金と研究環境が必要となる。二人は世界的IT企業を築いた実業家・氷川の支援を得るが、夢の治療をめぐって科学、医療、投資の論理が絡み始める。人の脳を再生する技術は、希望なのか、それとも越えてはならない領域なのか。患者を救いたい研究者の信念と、成果を求める巨大資本の欲望がせめぎ合う、生命の尊厳と科学の限界を問う医療サスペンス。研究成果を独占したい企業と、広く患者へ届けたい研究者の間で、支援の条件が重くのしかかり、二人の友情にも亀裂が走る。

『ロッキード』(初刊:2021年1月)

ロッキード

ロッキード <文春文庫>

発売日:2023年12月6日

長編

米ロッキード社による航空機売り込みをめぐる巨額贈賄疑惑は、前総理・田中角栄の逮捕へ発展し、日本中を熱狂させた。だが、広く知られた事件像は本当に全体を映しているのか。著者は膨大な裁判資料、米国の公開文書、関係者への新たな取材を重ね、フィクサー、検察、政界、米国政府が交錯した経緯をたどる。「ピーナツ」や「記憶にございません」といった言葉の陰で、航空・防衛政策と日米関係はどう動いたのか。田中はなぜ葬られ、特捜神話はいかに生まれたのか。戦後最大級の疑獄を問い直すノンフィクション。米国の議会調査や航空機選定の背景を丹念にたどり、定説の隙間から別の事件像を浮かび上がらせ、歴史を見る目を更新する。

『プリンス』(初刊:2021年5月)

プリンス

プリンス <PHP文芸文庫>

発売日:2024年4月12日

長編

軍事政権下の東南アジアの国・メコンから日本へ留学したピーター・オハラは、大学で政治活動に情熱を注ぐ犬養渉と出会い、友情を育む。祖国の民主化を目指す父ジミーが大統領選へ出馬すると知ったピーターは、渉とともに帰国し、選挙を支えようとする。だが、民衆の期待を集める候補の帰還を機に、軍政、大国、資源を狙う勢力の思惑が一斉に動き出す。民主主義は国を豊かにし、人を幸せにできるのか。理想を信じる二人の若者が国際政治の残酷な現実へ立ち向かう謀略サスペンス。民主化を支援するはずの外国も自国の利益を優先し、二人の信頼さえ利用しようとする。友情と祖国への愛が同時に試されていく。

『タイムズ「未来の分岐点」をどう生きるか』(初刊:2021年8月)

タイムズ「未来の分岐点」をどう生きるか

タイムズ「未来の分岐点」をどう生きるか <単行本>

発売日:2021年8月20日

戦後の日本は何を変え、何を失い、どこへ向かおうとしているのか。社会派小説を手がけてきた著者が、政治と経済、教育、メディア、若者の意識など、多様な現場へ足を運び、日本社会の現在地を描く。制度や統計だけでは見えない当事者の声を拾い、成長を支えた価値観が時代に合わなくなった理由、分断や閉塞感のなかで希望を見つける条件を考える。過去への郷愁にも単純な未来予測にも寄りかからず、いまが次の時代を決める分岐点だと捉え、自ら選び取るための視点を提示するルポルタージュ。著者自身の問いと取材相手の言葉が響き合い、読者にも判断を委ねる構成となっている。変化の起点を日常から探す一冊。

『レインメーカー』(初刊:2021年10月)

レインメーカー

レインメーカー <幻冬舎文庫>

発売日:2023年10月5日

長編

億単位の賠償金を幾度も勝ち取り、金を雨のように降らせる「レインメーカー」と呼ばれる敏腕弁護士・雨守誠。彼のもとへ、急死した二歳児の両親から医療過誤で訴えられた総合病院と医師の弁護依頼が届く。救えなければ医師が悪いという見方に疑問を抱く雨守は、診療記録と関係者の証言を洗い直し、医療現場の矛盾へ踏み込む。深い悲しみを抱える遺族と、無念に耐える医師。法はどちらを救い、何を真実と認めるのか。勝敗だけでは癒えない痛みに向き合う法廷サスペンス。責任の所在を求める裁判が、かえって関係者の心を深く傷つける危うさも浮かび上がる。雨守自身の信念と過去も揺さぶられる。静かな余韻も残す。

『プレス 素晴らしきニッポンの肖像』(初刊:2021年12月)

プレス 素晴らしきニッポンの肖像

プレス 素晴らしきニッポンの肖像 <角川文庫>

発売日:2021年12月21日

新型コロナウイルスの流行で、日本社会に潜んでいた課題と分断が一気に表面化した。だが、その萌芽はずっと以前からあったのではないか。著者は震災被災地、沖縄、韓国、富士山、築地、銀座、阪神工業地帯など国内外の現場を歩き、復興、エネルギー、観光、ものづくり、民主主義を考える。高度成長や東京五輪、大政奉還といった歴史も振り返り、現在の選択がどこから続いてきたのかを探る。「素晴らしき国」という自己像をいったん疑い、これからの日本を構想するための材料を差し出す社会派ルポ・エッセイ。各章は独立した取材記でありながら、停滞の根にある思考停止という問題でつながっていく。文庫化に際した視点も加えられた。

『タングル』(初刊:2022年11月)

タングル

タングル <小学館文庫>

発売日:2025年11月6日

長編

莫大な電力を必要とするスーパーコンピューターに代わり、省電力で世界を変えうる光量子コンピューター。研究の第一人者である東都大学の早乙女教授は、十分な支援を得られない日本を離れ、シンガポールとの共同プロジェクトへ参加する。熟練工の技と若い人材を結び、アジアの新たな研究拠点を築こうとするが、国家の利害、開発方式の対立、世代間の衝突が計画をもつれさせる。そこへニューヨークのファンドから謎めいた男が現れる。日本の技術は再び未来を切り拓けるのか。科学と国益がせめぎ合う経済小説。技術者の理想を資金へ翻訳する難しさと、研究成果をどの国に属させるかという難題が迫る。ものづくりの誇りも試される。

『ブレイク』(初刊:2023年12月)

ブレイク

ブレイク <単行本>

発売日:2023年12月25日

長編

脱原発と脱炭素が叫ばれるなか、宮城県で巨大な「蔵王復興地熱発電所」の開発が進められていた。地熱発電推進派の切り札として期待を集め、技術者の仁科と、かつて国内最大級の地熱発電を手がけた安藤幸二も成功を信じる。ところが、掘り当てた熱水層はほどなく枯れ、国家的プロジェクトは暗礁へ乗り上げる。自然の気まぐれなのか、調査の誤りなのか、それとも計画を潰そうとする力があるのか。政治、企業、地域の利害が交錯するなか、眠れるエネルギーを未来へつなげるための闘いが始まる政治経済小説。地熱を待望する地域住民と自然環境を守りたい人々の声も対立し、開発の正当性が揺らぐ。仁科は失敗の原因を追い続ける。

『ロスト7』(初刊:2025年1月)

ロスト7

ロスト7 <単行本>

発売日:2025年1月7日

長編

旧ソ連が開発した超小型核爆弾、通称「レベジの核」が新潟の原発近くへ持ち込まれた。核テロの脅威が突如現実となり、日本政府は国際謀略の専門家で伝説的スパイマスターの冴木治郎に対処を依頼する。爆弾はどこにあり、誰が何の目的で運び込んだのか。情報機関、政府、外国勢力が互いに真相を隠すなか、正体不明の存在「ロスト7」が捜査線上に浮かぶ。わずかな判断ミスが都市と国家を破滅させる極限状況で、冴木は見えない敵の先を読めるのか。核をめぐる国際謀略サスペンス。期限も要求も分からない犯人に対し、政府内では公表と隠蔽をめぐる対立まで起きる。冴木の過去を知る人物も不気味に接近する。

『アラート』(初刊:2025年7月)

アラート

アラート <単行本>

発売日:2025年7月24日

長編

防衛費倍増の財源をめぐり、政権と官僚の予算折衝が激しさを増す。国債への依存が限界に近づくなか、増税か、社会保障の削減か、それとも防衛力の見直しか。そんな最中、台湾の潜水艦と日本の漁船が衝突し、東アジアの緊張は一気に高まる。北京滞在中の与党総務会長・都倉響子は、米中双方の圧力と国内政治の思惑に挟まれ、国家の進路を左右する決断を迫られる。安全保障は兵器の数だけで成り立つのか。金、人、同盟の現実から、誰が日本の未来を守るのかを問うポリティカル・フィクション。危機対応をめぐる発言が市場と外交を動かし、都倉には一瞬の判断も許されない。選挙を控えた政治家の打算も事態を複雑にする。

『ウイルス』(初刊:2026年4月)

ウイルス

ウイルス <単行本>

発売日:2026年4月20日

長編

国内で、猛烈な感染力と五〇%もの致死率を持つ正体不明のウイルスが出現する。感染者が急増する一方、SNSではデマや陰謀論が飛び交い、医療現場と行政の判断は混乱していく。コロナ禍の経験は、次の危機に生かされていたのか。政府の決断が遅れるなか、未知の病原体を追う研究者たち「ウイルスハンター」は、限られた情報と時間を頼りに感染源と対抗策を探る。科学、政治、社会の信頼が同時に試される極限状況で、日本消滅の危機を食い止められるのか。迫真のパンデミック・クライシス小説。感染症対策の専門家と政治家の時間感覚は噛み合わず、救える命の数が刻々と変わっていく。国民の信頼もまた重要な防壁となる。

『シャドーゲーム』(初刊:2026年7月)

シャドーゲーム

シャドーゲーム <単行本>

発売日:2026年7月15日

長編

一九七六年、前総理逮捕にまで発展した大疑獄事件。その華々しい捜査と報道の裏では、日米関係の暗部を追う者と、国家の都合で真実を隠そうとする者が熾烈な情報戦を繰り広げていた。切り捨てられた者たちは、それぞれの正義と生存を懸け、証拠、証言、世論をめぐる影のゲームへ踏み込んでいく。事件は誰によって、どのような筋書きで国民へ示されたのか。ノンフィクション『ロッキード』の取材を土台に、歴史の表舞台からこぼれ落ちた思惑を描く、迫真の陰謀スパイ小説。検察、政界、情報機関、メディアの視点が交差し、同じ出来事が立場ごとに異なる姿を見せる。史実と虚構の境界も揺らいでいく。緊張感も深い。

『フィクサー』(初刊:2026年9月)

フィクサー

フィクサー <単行本>

発売日:2026年9月2日(予約商品)

長編

政治家や著名人のスキャンダルを、何事もなかったかのように始末する「もみ消し屋」伊達正義。危機を収める手腕と引き換えに秘密を握り、それを次の仕事の糧とする彼へ、現職外相から厄介な依頼が届く。国立競技場でのサッカー国際試合中、ロシア人と難民のユーラシア人が衝突し、死傷者が出た。政府の移民政策を揺るがしかねない事件を隠してほしいというのだ。被害者の存在と国家の都合の間で、伊達はどんな筋書きを作るのか。真実を消すほど新たな火種が現れる、ダークヒーローの社会派サスペンス。伊達の鮮やかな仕事ぶりの裏には、依頼人さえ恐れる冷徹な目的が隠されている。事件を消すほど、新たな秘密が彼の手に集まる。

『オペラティオ』(初刊:2026年10月)

オペラティオ

オペラティオ <単行本>

発売日:2026年10月7日(予約商品)

長編

金融担当大臣が銀座で刺殺され、遺体には「ざまあ!」と記されたメモが残されていた。腐敗した権力者を狙う同様の事件が続き、SNSでは犯行を称賛する声と模倣が広がっていく。野党党首を支える政治学者・白石望、暁光新聞の記者・神林裕太、公安調査庁の分析官・長谷川晶は、それぞれの立場から怒りの連鎖と政治の陰謀を追う。社会不安を利用して独裁的な指導者が支持を集めるなか、民衆は何を信じ、政治は何を約束するのか。現代日本の病巣をえぐる本格政治スリラー。三人が得た断片は、やがて大衆の熱狂を設計した存在へつながっていく。正義を求める怒りが暴力へ変わる瞬間を止められるのか。問いは残る。