村上龍の作品一覧
キーワード、各シリーズや単発(ノンシリーズ)作品、ジャンル、長編や短編集など、複数の条件を組み合わせて絞り込みできます。キーワードを空白で区切った場合、すべて含む作品だけを表示します。
111作品を表示
上下巻などは1作品としてまとめて表示しています。
条件に合う作品がありません。条件を変更するか、リセットしてください。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
米軍基地の街・福生。ドラッグとセックス、そして音楽に塗りつぶされた若者たちの退廃的な日々が、原色の鮮烈なイメージで綴られていきます。ここに描かれるのは、美しさと醜さ、刺激と虚無が溶け合ったまま差し出される、あまりに生々しい若さの肖像です。醒めた感性と詩的な言葉で、スキャンダラスに映る青春の奥にひそむ深い亀裂を描き出し、群像新人文学賞と芥川賞に輝いた衝撃のデビュー作です。立ち込める空虚さの向こうに、かすかな希望が見えてくる。文学の歴史を変えたと評され、今も読み継がれるベストセラーであり、村上龍のすべてがここから始まりました。綿矢りさの解説を収めた新装版で、その衝撃の原点に、ぜひふれてください。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
海辺で出会った水着の女は、僕にこう言った。「あなたの目には、ある町が映っている」と。海の向こうにあるその町は、巨大なごみに埋もれ、基地を抱え、少年たちがたくましく育つ場所だという。そして今、町では盛大な祭りが繰り広げられている。夢のような心象風景が浜辺の会話から立ち上がり、その奥に潜む残酷な現実が、研ぎ澄まされた感性と詩情によって描き出されていく。『限りなく透明に近いブルー』に続いて発表された、村上龍の第二作。浜辺の光景と遠い町の幻が重なり合うとき、読者は静かな不穏さに引き込まれていく。戦争の気配は、海の向こうからどのように忍び寄るのか。その行方を見届けたくなる一冊。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
1972年夏、キクとハシはコインロッカーで生まれた。やがて母親を探して九州の孤島から姿を消したハシを追い、キクは東京へと向かう。そこで彼が出会ったのは、鰐のガリバーと暮らすアネモネだった。一方キクの胸には、小笠原の深海に眠るダチュラという存在の力で街を破壊し、絶対の解放を手にしたいという衝動が芽生えていく。母を探し求める者と、破壊による解放を夢見る者。コインロッカーから始まった二つの命は、都市の熱と闇のなかでどこへ向かっていくのか。疾走する言葉と暴力的なまでの想像力で時代の深部を撃ち抜いた長編。1981年に野間文芸新人賞を受賞した村上龍の代表作が、新装版で甦る。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
夢と希望をのせて、異星人が舞い降りた。超能力をもつゴンジーと出会ったのは、ミミミ、ハチ、モニカという三人の若者たち。突然現れた風変わりな来訪者との出会いは、彼らの日常を思いがけない方向へ動かしていく。やがて、世界支配をたくらむ悪のシンジケートが立ちはだかり、三人はゴンジーとともに巨大な闇へ挑むことになる。若者たちの小さな勇気が試される時間が、ここから始まる。友情と笑い、そして胸を打つぬくもりに満ちた、心温まるSFファンタジー。村上龍が描く、少し切なくて明るい冒険が、あなたを待っている。異星人と若者たちの出会いが何をもたらすのか。軽やかで温かな物語に、ぜひ身をゆだねてほしい。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
フィリピン、ハワイ、グァム――熱と湿気に満ちた南の島々を舞台に、旅行者のまなざしと土地に根ざした物語が交錯する、村上龍の初期短編集。一九八四年に角川文庫で刊行された初の短編集『悲しき熱帯』を改題し、一九八八年に単行本化した一冊で、「フィリピン」「ハワイアン・ラプソディ」「スリーピー・ラグーン」「鐘が鳴る島」「グァム」の五編を収める。映画『地獄の黙示録』の撮影現場を訪れた際のエピソードが用いられた「フィリピン」、のちの長編『だいじょうぶマイ・フレンド』の原型となった「ハワイアン・ラプソディ」と「鐘が鳴る島」など、南国に生まれた者たちの悲しみが、思考を鈍らせるほどの温度の中に浮かび上がる。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
地主の息子でステーキ屋を経営する青木は、テニスをこよなく愛する男である。そんな彼の前に、ふたりの女性が現れる。青木はそのたびに、彼女たちへ熱烈な愛情を注いでいく。いつでも熱狂していたい——その思いに突き動かされる男女の恋愛を、村上龍が描いた傑作長編である。恋に落ちた男は、何に夢中になり、どこへ向かうのか。熱狂の中にいる人間は、まぶしくもあり、どこか危うくもある。恋に夢中になる男の姿を、テニスへの情熱とともに追いかけていく一冊だ。ページを読み進めるうちに、青木の恋の展開が気になって、ページをめくる手が止まらなくなるはずだ。ひとりの男の熱い恋の行方を、ぜひその目で見届けてほしい。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
佐世保で出会ったGI、エンタープライズ闘争、そして米軍基地のある福生での日々。村上龍は、自らの歩みに深く入り込んだアメリカの存在を手がかりに、その国が持つ意味を問い直す。身近な体験から広がる思索は、アメリカと切り離すことのできない日本文化へも向かっていく。自分にとってアメリカとは何なのか。なぜ、その存在を抜きに世界を語れないのか。「アメリカが世界だ」という認識と、「父なるアメリカ」への熱い思いを軸に、個人の記憶と文化への問いが交わるエッセイ集。基地の町で育まれた視線を通して、遠い外国というだけでは捉えきれないアメリカと、私たちの足元にある日本との結びつきを考えさせる。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
一枚の絵を前にしたとき、そこからどんな物語が始まるのか。既成の価値観を揺さぶった一九六〇年代アメリカのポップアートを手がかりに、村上龍が十二の短い物語を紡ぐ。リキテンシュタイン、ウォーホール、ジャスパー・ジョーンズ。時代の熱気を帯びた作品群が、小説のモチーフとなって新たな表情を見せる。危うさと懐かしさを併せ持つアートに触れながら、言葉によって広がる世界を味わう一冊だ。絵を見る楽しみと物語を読む楽しみが隣り合い、ページをめくるたびに、アメリカの自由な精神へと誘われる。美術に関心のある人にも、短い小説を少しずつ楽しみたい人にも開かれた、ポップアートをめぐる十二編の短編集。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
広島カープの遊撃手・高橋慶彦が塁に出れば、何かが始まり、何かが終わる。球場の歓声やテレビの前の声援「走れタカハシ」に、それぞれの思いを託す男たちがいた。人生の岐路に立たされた彼らが、一人の俊足の選手の走りに運命を重ねていく。野球を愛する市井の人々の悲喜こもごもを、軽快な筆致で爽やかに描いた短編集。ヘッドスライディングで一塁へ飛び込む姿が様になる希有なプレーヤーを軸に、彼が走り出すとき、観る者それぞれの人生はどう動くのか。笑いと切なさが交錯する物語の数々を、軽やかなリズムで味わえる。プロ野球ファンはもちろん、スポーツを通して人生の一瞬を味わいたい人にもおすすめの一冊だ。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
村上龍が描く、娼婦のナンシーが、失われた青春と二千ドルの賭け金を取り戻すため、ニューヨーク・シティ・マラソンのスタートラインに立つ。表題作は、若者のパワーと性を鮮烈に描き出す一篇だ。賭けの行方を追う疾走感の中に、行き場のない若さの熱がにじむ。本書にはほかにも、パリ、ローマ、リオ・デ・ジャネイロ、博多、メルボルン、香港、コート・ダジュール、フロリダと、世界各地の街を舞台にした全九篇を収録する。ローマの詐欺師や、街角に生きるピンプ、男娼たちが行き交う物語は、危険で、しかし美しい都市小説として編まれている。一九八九年に集英社文庫として刊行された短篇集。解説は山田詠美。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
狩猟本能を摩滅させ、自分の手で獲物を狩る力を失った男は、やがて女たちのための消耗品で終わってしまうのか。作家の村上龍が恋愛、女、芸術、犯罪、才能、幸福、エイズ、国家、セックス、日本といったテーマを、歯に衣着せぬ言葉で次々に斬り込んでいく挑発的なエッセイ集。世紀末を生きる男と女に向けて、ときに過激とも思えるほど率直なメッセージを突きつける一冊で、日常の見慣れた物事や世間の常識、私たちが当たり前だと思っている価値観を、いま一度あらためて見つめ直すきっかけを与えてくれる。男とは何か、女とは何か。書名が突きつける問いを、男にも女にも向けた遠慮のない語り口とともに、正面から受け止めたくなる。

愛と幻想のファシズム 上
初刊:1987年8月
愛と幻想のファシズム 下
初刊:1987年8月
単発(ノンシリーズ) 政治
長編
愛と幻想のファシズム 上
Amazonで見る
愛と幻想のファシズム 下
Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
愛と幻想のファシズム 上
激動の一九九〇年、世界経済は恐慌へと突入し、日本もまた深刻な危機に直面していく。そんな混迷の時代に、サバイバリストとして生きる鈴原冬二は、政治結社「狩猟社」を率いて動き出す。戦後日本の平和を欺瞞と断じる彼のもとには、学者や官僚、そしてテロリストまでもが引き寄せられるように集まってくる。やがて世間は、この異質な集団をファシストと呼ぶようになった。カリスマと呼ぶべき男の言葉と行動は、閉塞した社会に何をもたらすのか。上巻では、その集団が形づくられていく様子が描かれる。愛と暴力、そして理想が渦巻く中で、時代を揺さぶる姿が浮かび上がっていく。村上龍が一九八七年に発表した長編小説の上巻。
愛と幻想のファシズム 下
世界恐慌を迎えた一九九〇年、世界では奇妙な動きが相次いでいた。やがて日本でもパニックとクーデターが誘発される。仕掛けたのは、暗躍する巨大金融企業集団「ザ・セブン」に全面対決を挑む政治結社「狩猟社」だった。若きカリスマ、トージの意識が、少しずつ日本という国そのものを動かし始める。経済が揺らぎ、秩序が音を立てて崩れていく時代に、一人の若者の意志と一つの結社が、国家の行方を左右しようとする。社会の混乱の先に待つものは何か。村上龍が現代日本に突きつけた長編小説、その下巻。政治と暴力、そして個人の理想を問う一冊である。この危険な小説に描かれた世界は、すでに現実である。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
一九六九年、九州の西端にある基地の町・佐世保。高校三年生の十七歳の少年は、何か大きなことをやりたくて落ち着かない日々を送っていた。東大の入試中止が報じられ、ヒッピーの風潮が広がる時代のなか、仲間とともに思いついたのは、高校をバリケード封鎖するという途方もない計画だった。立ちはだかる教師や刑事たちを前に、少年たちはどう動くのか。ビートルズやローリング・ストーンズの音楽が鳴り響くなか、くだらなくて愚かで、けれど眩しい毎日が幕を開ける。楽しんで生きないのは罪なことだ――そう信じて駆け抜ける、村上龍が自らの高校時代を題材に描いた、笑いと熱気にあふれる青春小説の金字塔。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
テニスを愛する村上龍が、世界のメジャートーナメントを追って旅に出る。舞台は一九八五年から八七年のワールド・ツアー。伝統と格式をまとったウィンブルドン、巨大なビジネスの姿が見えるニューヨーク・マスターズ、洗練されたパリのフレンチオープン、そしてプラハのフェデレーションカップへ。男子テニスの変貌と女子の華麗なプレーを見つめながら、各地の大会を文章と写真でつづってゆく。メルボルンからモンテカルロ、フロリダまで、コートをたどる旅は、同じ競技が土地ごとに異なる表情を見せる世界への入り口にもなる。作家のまなざしと一人のテニス好きの熱が重なる、一年半にわたる観戦エッセイ。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
高層ホテルの一室から、東京の光景を見下ろす女たち。風俗の仕事に身を置く彼女たちは、トパーズの指輪に目を留め、大理石のロビーを歩き、欲望の渦巻く都市を行き交う。サディズムとマゾヒズムが交差する場所で、身体を通して触れる世界はどんな表情を見せるのか。村上龍は、東京という都市と混じり合う女たちの姿を、性の営みとともにとらえていく。華やかなホテルの光景と、そこで繰り広げられる行為。その間を疾走する彼女たちを追ううちに、見慣れた都会の輪郭も揺らぎ始める。表題作のほか「公園」「受話器」「鼻の曲がった女」「紋白蝶」「ペンライト」「子守り歌」など、十二の物語を収めた短編集。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
モチーフは料理。ウィーン、リオ、パリ、ニューヨーク、東京、ローマ、バルセロナ――世界の都市を背景に、舌の恍惚が呼びさます鮮やかな生の断章を、悦楽の料理人・村上龍が三十二の皿に仕立てた掌編集。一篇は原稿用紙十枚ほど、掌にのる珠のような作品ばかりで、味わう者の五感をそっと揺さぶる。舞台が変わるたびに料理の表情も、そこに浮かぶ人間の欲望の表情も移ろっていく。ときに艶やかに、ときに奇妙に、食と欲望が思いがけない物語へと広がっていく。どこから読んでも構わず、気に入った一皿を選ぶように、一篇ずつ心ゆくまで味わえる。純文学の名手が料理という素材で描き出す、濃密で官能的な短い物語の饗宴。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
華麗でスノビッシュな、世界のスーパースポーツイベントの現場へ。パリ・ダカール・ラリー、F1、マスターズ・ゴルフ、アルペンスキー世界選手権など、人々を熱狂させる巨大な祭典を、作家・村上龍が自らの目で追いかける。砂漠を駆け抜けるラリーの熱、サーキットに響く轟音、名門コースに漂う緊張、雪の斜面を滑り降りる一瞬の輝き。速さや勝敗だけでは語れない、イベントを心から楽しみ、作り上げる人々の姿に触れたとき、スポーツは単なる競争を超えていく。華やかな舞台の裏にある熱気と美意識を、鋭い感性と軽やかな語り口で切り取った、刺激に満ちたエッセイ集。読めば、スポーツの祭典を見る目がきっと変わるはずだ。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
不思議な感性をもつ謎めいた女優、萌子。彼女の前に現れたのは、ベトナム戦争の影をひきずるカメラマン、狩谷だった。戦場の記憶を抱えたまま生きる男の言葉は、萌子の胸に深く響く。やがて彼女は、すべてを捨てて狩谷の行方を追いはじめる。夜に煌めくシンガポールを舞台に、男の過去と女の想いが交錯していく。ひとりの女性が貫こうとする、ひたむきで純粋な愛のかたちを描く。戦場の影が落とす孤独と、言葉にできない痛み。それでも萌子は迷うことなく、ただ一途に愛へと身を投じていく。村上龍が紡ぐ、せつなくも鮮烈な恋愛小説。読み終えたとき、シンガポールの夜の空気と、萌子のまっすぐなまなざしが、いつまでも胸に残るだろう。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
世界の大都市のどこかに、女性ボーカルの歌声が心をほどく幻のジャズバーがあるという。けれど、私はまだそこへ行ったことがない。何か特別な出来事がなければ開かないらしい扉を求めて、あてのない旅が始まる。グラスを傾ければ、遠い店から届くように、ジャズのスタンダード・ナンバーが響いてくる。恋とは何か。その名を知っているつもりでも、歌に耳を澄ますほど、答えは手の届かないところへ揺れてゆく。行ったことのない場所への憧れと、女性の声に身を委ねる安らぎ。音楽と酒、そして恋の気配が交わる世界へ、村上龍が誘う。まだ見ぬバーの扉の向こうを思いながら、一曲ずつ、その余韻に浸りたくなる物語。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
小さな出版社を営む堀坂進太郎の日常は、ある日、別居中の妻の服を着た見知らぬ女が自宅マンションに上がり込んでいたことで、思わぬ方向へ傾いていく。なぜ女は部屋にいたのか。その問いの答えを探すうちに、彼の平凡だった生活は少しずつ軋みはじめる。さらにSMモデルの女性の爪が送りつけられるなど、不穏な出来事が相次ぎ、彼は変態的な性嗜好をもつ人々が引き起こす騒動へ次々と巻き込まれてゆく。性的な逸脱者たちとの出会いのなかで、欲望と幻滅が渦巻くあの時代の空気が浮かび上がる。読み進めるほどに、人間の欲望の底知れなさが露わになっていく。村上龍が過剰で奇妙な世界を鋭い筆致で描き出した、衝撃の長編小説。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
『限りなく透明に近いブルー』での鮮烈なデビューから、『コインロッカー・ベイビーズ』へ。村上龍が1976年から1981年に書いたエッセイを通して、作家として歩み始めた五年間をたどる。群像新人文学賞と芥川賞の受賞のことば、ニューヨーク日記、デビュー作の映画化に寄せた文章などを収録。ルイ・マルの映画、ジョン・レノン、村上春樹にも話題は広がり、小説だけでは見えない関心のありかが浮かび上がる。書くことに自由を求め、挑戦者であり続けようとする姿勢は、どのような言葉になったのか。初期作品に親しんだ読者にも、これからその世界に触れる読者にも、創作の出発点へと誘う一冊、村上龍全エッセイシリーズ第1巻。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
基地の街で育ち、アメリカのポップカルチャーに強い刺激を受けてきた村上龍。その視線がアメリカとの訣別を経て、弱肉強食の大自然へ、さらに広い世界へと向かう。1982年から1986年までの五年間を収めたエッセイ集。「私とアメリカ」「『生活』のための小説」では作家と社会、創作の関わりを見つめ、ビートルズやマーラー、有吉佐和子をめぐる文章へと話題が広がっていく。少年たちの犯罪から水との遊びまで、多彩な題材を通して浮かぶのは、現実をどう受けとめ、夢をどう形にするかという問い。小説だけでは見えない関心の広がりと、世界をとらえ直そうとする思考に触れる、村上龍全エッセイシリーズ第2巻。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
花の銀座の路地裏に、ボディビルダーのママが切り盛りする小粋な店「超電導ナイトクラブ」がある。ここに集まってくるのは、ニュー・セラミックスや光ファイバー通信、生物工学といった最先端の分野に携わる技術者たち、気取り屋のスノッブばかりだ。常識もモラルも軽々と飛び越えた彼らが、夜ごと繰り広げるのは、支離滅裂としか言いようのない奇妙な餐宴である。酒と会話がごちゃ混ぜになった店内では、誰もが妙な熱に浮かされ、笑いと危うさが背中合わせに渦を巻く。技術の最前線に立つ者たちの素顔は、どこまでが本気で、どこからが冗談なのか。銀座の夜を舞台に、デカダンスの終焉を予見する村上龍の長編小説。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
世界の出来事から政治・経済、映画、音楽、旅まで、村上龍の関心は境界を越えて広がっていく。作家デビューから十五年を迎える時期の、1987年から1991年までの文章を収めたエッセイ集。『愛と幻想のファシズム』から『超電導ナイトクラブ』へ至る五年間を、創作と並走する言葉でたどる。佐世保港という場所、ジミー・コナーズの気迫、ユーミン、オーストラリアやアフリカへの旅。身近な刺激と遠い世界を行き来しながら、文化や純文学、映画をめぐる思考を重ねる。ヨーロッパのダンディズムを語り、カメラを回す作家の多彩な視線に触れ、小説の背後に広がる関心のありかを探る一冊、村上龍全エッセイシリーズ第3巻。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
精神病院を退院して三日後、マチコは一人の男と出会う。贅沢な旅へ連れていくという誘いに応じ、向かった先はパリだった。しかし、彼女はやがて男のもとを飛び出し、背徳と官能に満ちた世界へ足を踏み入れる。コートダジュールからタンジールへ。土地を移り、人々と交わりながら続けるのは、自分自身と向き合うための旅だ。性の奔流、交霊、殺人、そして愛。異なる経験が重なり合う道行きに、老婆の囁く「イビサへ」という言葉が響く。その声に導かれ、マチコはさらに先を目指す。享楽と破滅が隣り合う異国を舞台に、一人の女の遍歴を通して、人間が存在する意味を問いかける。激しい生のありように読者を向き合わせる長編小説。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
高校時代の後輩ナカムラへの義理から、長崎での講演会を引き受けた小説家ケン。そこで耳にしたのは、世界中の大道芸人を集める催しを任されたナカムラの、てんやわんやの顛末だった。舞台は長崎オランダ村ワールド・ミュージック・フェスティバル。イベントをめぐる騒動の話は、ケンの想像力を思いがけない勢いで解き放ってゆく。世界とは何か、文明とは何か。身近な後輩の語る出来事が、日常の感覚では捉えきれない問いへとつながっていく。土地の名を冠した祭典と、そこへ集まる世界の芸人たち。その取り合わせから立ち上がる可笑しさと、人間の営みを見つめるまなざしが交差する、村上龍の長編小説。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
湾岸戦争、ワールドカップ、ローリング・ストーンズ、セナ、キューバ――。世界が大きく揺れ動いた一九八九年から九一年にかけて、村上龍は各地を旅しながら、自らの目と耳と肌で時代の変化を確かめていった。ワインや高級車、日本語の変調、アメリカへの憧れの消失など、身近な話題から世界情勢まで、鋭い視線で切り取るエッセイ集。「戦いが、遊びだ」「大切なのは、我慢して人を愛することだ」といった挑発的な見出しが並び、読む者の常識を心地よく揺さぶる。変わりゆく世界のその後がどうなろうと、判断は読者に委ねるという潔い姿勢も印象的だ。時代の空気と著者の肉声をあわせて味わえる一冊を、ぜひ手に取ってほしい。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
恋愛や女性の魅力、そして日本社会の現状について、村上龍が率直な言葉で綴るエッセイ集。アリゾナのゴルフ場の話から、文芸家協会の健康保険、ヴィスコンティの言葉、イタリアワールドカップの取材、『トパーズ』を撮り始めた経緯と脚本、さらに『ドラッグストア・カウボーイ』まで、話題は軽やかに行き来する。日本で手軽に手に入る幸福に惑わされず、不安な時代をどう生き抜くのか。タイトルが示すとおり、真実はいつもシンプルだという視点から、日常と創作の現場を見つめ直していく。肩の力を抜いて読み進めるうちに、自分の生き方を問い直したくなる一冊、『すべての男は消耗品である。』シリーズ第3巻。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
ニューヨークのダウンタウン、バウアリーで、僕は一人の日本人ホームレスに声をかけられる。ゴッホが自分の耳を切った理由を問いかけた男は、ある電話番号を渡し、自分に会ったと伝えれば金がもらえるという。奇妙な出会いと一枚の紙切れを入口に、東京のケイコ、パリのレイコ、そして男を結ぶ恍惚の世界が姿を現す。彼らが求める快楽とは何か。その果てに、人は何を見ようとするのか。ニューヨーク、東京、パリという国際都市を背景に、日常の尺度では捉えきれない欲望をたどり、究極の快楽へと迫っていく。不可解な問いに誘われるまま、人間の内奥をのぞき込む、危うい恍惚のゲーム。その尽きることのない営みを描く長編小説。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
南海の小島で道化を演じて暮らす三十三歳のワヌーバ。洗濯女とイギリス人商人の間に生まれ、七歳で背が伸びなくなった彼は、芸人として人気を集めていた。ある日、舞台を終えた楽屋に一人の女が現れる。ホテルへ呼び出された彼を待っていたのは、隠してきた羞恥をあらわにする、未知の快楽だった。やがて眠れなくなり、精神科を訪ねたワヌーバは、亡き祖父もまた奇妙な夢にとらわれていたと知る。祖父の残した不可思議な手記、そして嗜虐的な女市長との出会い。人を笑わせる男の内側で、欲望と恥がせめぎ合う。自分の知らなかった感覚に揺さぶられながら、彼はどこへ向かうのか。肉体の快楽を通じ、人間の心の奥へ踏み込んでゆく異色の長編。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
イベントプロデューサーとして働く主人公は、ゴルフコースに立つたび、いつも第2打に気持ちを向けている。目の前にトラブルしかなく、諦めかけたときでも、自分を励ますように「起死回生の第2打の打ち方をイメージするんだ」と言い聞かせる。欲望を肯定して生きることが難しい時代に、日本の男たちはどう再び立ち上がるのか。一度つまずいた場所からどう打ち直すか。ゴルフの一打に人生の局面を重ねながら、静かな熱とともに前へ進む力を描く。村上龍が描く、トラブルの先にある一打を信じる再生と勇気の物語。迷いの中にいる大人の読者に、もう一度顔を上げる勇気をくれる長編小説。読後、自分の第2打を思い描きたくなる。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
美しい女たちを客に引き合わせ、快楽を商売にして生きるケンジ。彼のもとに持ち込まれたのは、人の「死」を映像に収める作家を抹殺してほしいという依頼だった。欲望を扱う日々に、他者の死をめぐる企みが入り込み、ケンジは巧妙に仕掛けられた陰謀に巻き込まれていく。快楽と暴力が交錯する世界で、人間のからだは何を感じ、何に突き動かされるのか。そして、知識や情報では捉えきれず、肉体の奥へ直接届く音楽とは何か。官能と死、音楽という異質なものを重ねながら、生の感触を問いかける長編。危うい依頼を起点に、言葉で説明するだけでは届かない感覚の領域へと読者を誘い、人間の欲望と覚醒を鮮烈に描き出す。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
「普通の女の子」という言葉に、自分を収めたくない。けれど、今の自分をそのまま許すことも難しい。そんな思いを抱える人へ、村上龍が多忙な日々のなかで綴った六十五章のエッセイ。ニューヨークのセントラル・パークを見下ろす部屋、ジョージア州サヴァンナ、メキシコ・シティ、キューバのハバナ。各地から届く文章には、旅先の風景とともに、温かく繊細なイメージが広がっていく。自分を許せないつらい時期を見つめ、その先の笑顔へと思いを向ける言葉が、自然体で強く生きたいという願いに寄り添う。心を覆う負の感情から少し離れ、自分自身のあり方を考えたいとき、異国の空気に触れながらゆっくり読み進めたい一冊。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
気がつくと小田桐は、硝煙のにおいが漂うぬかるみを行進していた。そこは、彼の知る現実からわずか五分だけ時空がずれた、もう一つの地球。同じ日本という名を持ちながら、この国はまるで異なる戦後の歴史を歩み、屈指の戦闘国家となっていた。平穏な日常の感覚を携えた男の前に広がるのは、戦いが現実を形づくる世界だ。なぜ自分はここにいるのか。目の前の日本は、知っていた日本と何が違うのか。異質な現実に放り込まれた小田桐の視線を通して、戦う国家と、そこで生きる人間の姿が立ち上がる。たった五分という隔たりが、当たり前だと思っていた歴史と日常を揺さぶる。もう一つの日本の戦場へ読者を引き込む軍事SF。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
夜ごと集まってはカラオケ大会に興じる、孤独な若者たち。一方には、名前が同じというだけで親交を深めてきたおばさんたちのグループ「ミドリ会」。交わるはずのなかった二つの集団は、一件の殺人をきっかけに、血で血を洗う抗争へと突き進んでいく。昭和歌謡の懐かしい旋律が流れるなか、笑いと暴力が背中合わせに迫り、現代の孤独や憂鬱を軽々と吹き飛ばすような壮絶な戦いが幕を開ける。ありふれた日常の裏側で、歌声と怒号が交錯し、誰も後戻りできない争いが広がっていく。小さな敵意が誰にも止められない戦いへ育つ。なぜ彼らは歌い、なぜ殺し合うのか。村上龍が放つ、過激でブラックなユーモアに満ちた衝撃の長編。読み始めたら止まらない、異色の抗争劇。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
人を殺したいという衝動を抱える男と、自ら命を絶ちたいと願う女。二人が出会った夜、内に秘められていた危うい欲望が、惨劇への扉を開く。他者へと向かう殺意と、自分自身へと向かう死への思い。その異なる衝動が交わるところで、心の奥に潜むもうひとりの自分が姿を現す。自分の内側にある欲望を、人はどこまで知っているのか。官能と恐怖が隣り合う二人の出会いは、読む者を不穏な緊張の中へ引き込んでいく。生と死、肉体と精神の境目に目を凝らし、人間の心にひそむ暗がりを見つめる長編小説。殺意を抱く者と死を望む者が向き合う一夜を通じて、自分という存在の危うさが、息苦しいほどの切迫感とともに迫ってくる。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
七〇年代、基地の街から上京した若者を待っていたのは、ひどく退屈な東京だった。麻薬とセックスと音楽に明け暮れる日々のなかで、ただ映画だけが強烈な魅力で彼を惹きつけてゆく。ほろ苦く、どこか痛々しい青春の時間を、映画という窓を通して描き出した連作短編集。映画は主人公にとって刺激であり、慰めであり、行き場のない日々を照らす存在だった。東京で過ごす日々のなか、スクリーンの光と音楽が、若さの無軌道さと切実さを浮かび上がらせる。村上龍自身の若き日を思わせる空気をまとい、一編ごとに揺れる心の機微と時代の熱を鮮やかに刻む。平林たい子文学賞を受賞した、懐かしくも鋭い青春小説を、いま改めて手に取りたい一冊。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
決して死んではならない。楽しまなければならない。そして、世界を知らなければならない。作家・村上龍が生きるうえで大切な三つの鉄則を掲げ、読者にまっすぐ語りかけるエッセイ集。才能とプライドという二つの要素をどう引き出し、充実した人生につなげるのか。日本の文化や社会、キューバ、PKO、中上健次といった多彩な題材を、全三十五章で語っていく。曖昧な空気に流されず、自分の頭で考え、自分の足で立つための視点を与えてくれる一冊。才能を持つ者も、そうでない者も、自らの生き方を問い直さずにはいられない。迷いの中にいる大人にこそ手に取ってほしい、挑発的で刺激的な人生論、『すべての男は消耗品である。シリーズ第4巻』。
1死なないこと 2楽しむこと 3世界を知ること すべての男は消耗品である。Vol.4 <幻冬舎文庫>
発売日:1999年8月25日
ショップで探す:
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
米軍基地のある町で育った孤独な少女は、幼い頃、キューバ系の兵士からダンスを教わった。やがて成長した彼女は、あの日の記憶を頼りに彼に会うためニューヨークへ渡る。幼い日に身体で覚えたステップだけが、孤独な彼女の拠り所だった。だが、ようやく見つけ出した彼は、エイズに冒されて死の淵にいた。故郷へ帰りたいという彼の願いを胸に、彼女は車を走らせ、彼を乗せて南へ向かう。道中、行く先々で偏見にさらされながらも、彼女の心を支えたのは、彼の故郷から響くキューバの音楽とダンスだった。日本、アメリカ、キューバという三つの文化のはざまで、少女は何を見つめ、どこへ辿り着くのか。村上龍が描く、旅と再生の物語。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
眠らずに動き続ける東京で、何が生まれ、何が失われていくのか。村上龍が、この街での日々と文化との出会いを、一方通行の手紙のかたちで綴るエッセイ。音楽やバレエ、食べもの、自作の小説や映画への思いから、巨大なビルの風景、街に漂う香り、革ジャンを着る季節、窓の外の雨へ。身近な感覚と表現をめぐる問いが、同じ時代を生きる作家の目を通してつながっていく。さまざまな文化に触れるなかで見つめるのは、本当に純粋なものとは何かという問い。映画『KYOKO』の完成までの歩みも収め、都市の風景と創作の現場を行き来する言葉から、作品だけでは見えにくい著者の息づかいと、その時代の東京に触れる一冊。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
音楽家・坂本龍一が書きとめた夢の断片を、小説家・村上龍が受け取り、原稿用紙四枚という短さの物語に変えていく。その数、三十編。物語を貫くのは、小説家の創造力を刺激し続ける象徴としての女性「モニカ」。彼女は様々な物体や感覚的なものに姿を変えながら、物語をリードしていく。甘美でありながら危険な気配をはらむ幻想の世界が、一編ごとに異なる表情で立ち上がる。村上龍自身が撮影した写真も数多く収められ、言葉と映像が夢の手触りを呼び起こす。二人のハイパー・アーティストが交流して生まれた、奇跡のコラボレーションによる幻想短編集。夢と現実の境目が揺らぐ短い物語の連なりを、一編ずつ味わってほしい。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
現実から五分ずれて存在するもうひとつの日本。その九州東南部にある歓楽都市ビッグ・バンで、感染症が発生した。患者は筋肉の痙攣に襲われたのち血を吐き、やがて死に至る。恐るべきウイルスは、ひとびとのあいだに蔓延していく。感染の拡大とともに、街は未知の恐怖に包まれていく。この未曽有の事態のなか、キャサリン・コウリーは日本国軍に同行することになる。死と隣り合わせの現場で、見えない脅威を前に、人は何を思い、どう行動するのか。前作『五分後の世界』の世界観を受け継ぎ、人類に《最後の審判》を刻む長編小説。村上龍が描く極限の物語が、いま静かに幕を開ける、『五分後の世界シリーズ第2巻』。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
ニューヨークのダウンタウンで、かつて世間を騒がせた伝説の男が、社会から身を引き、ホームレスとして暮らしているという。女性ジャーナリストは、謎めいた彼への取材を試み、ついにインタビューに成功する。語られるのは、男が歩んできた過去と、彼の内側に巣くう欲望の記憶。耳を傾けるうちに、彼女は次第にその独白の世界へと引き込まれていく。物語の大部分は男自身の語りで綴られ、「憂鬱」という言葉が彼にとって何を意味するのかが浮かび上がる。ニューヨークの片隅で交わされる二人の対話は、静かで濃密な時間を紡いでいく。『エクスタシー』に続く連作の第二部として、人間の憂鬱と癒しを見つめる村上龍の長編小説、モノローグ三部作第2巻。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
真夏の渋谷で、高校二年生の裕美は十二万八千円のインペリアル・トパーズに出会う。目にした瞬間、胸の奥が冷たくなるほどの衝撃が走った。どうしても、今、これが欲しい。その思いに突き動かされた彼女は、初めて最後まで付き合う援助交際を決意し、伝言ダイヤルにアクセスする。電話の向こうの見知らぬ相手とつながることは、欲しいものへ近づく一歩になるのか。大人たちが語る女子高生像から離れ、高校二年生の視線でたどる欲望と選択。その切実さと危うさが、街にあふれる消費の光景と重なり合う。ひとつの宝石を求める少女の行動から、若い心と社会の距離を見つめる長編小説、トパーズシリーズ第2巻。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
東京で作家として暮らすヤザキのもとに、ある夜、一本の電話が入る。相手は中学時代の初恋の相手、アオキミチコだった。懐かしくも切ない声は、ヤザキが胸の奥にしまい込んできた過去を、思いがけず鮮やかによみがえらせる。失われた黄金時代を思いながら、彼は郷里・佐世保のハウステンボスにあるフレンチレストラン「エリタージュ」での再会を約束する。長い歳月を経て向かい合う夜、二人のあいだには何が残っているのか。年月とともに初恋は本当に消えてしまったのか。中年を迎えた男女のはかなく苦い夢を、料理の描写とともにたどる、村上龍の恋愛小説。思い出と現在が静かに交差する一夜を描き出す。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
ホテルのスイートルームに忍び込み、男たちへの絶望を感じながら二人の女が体を求め合う表題作「白鳥」。両親が重い病に倒れ、一人暮らしを強いられた少年の肉体から抜け出た“ボーイ”が、暴力的な街を行く「ムーン・リバー」。キューバを愛した女が引き起こす恋愛を描く「或る恋の物語」。ほかにも収められた作品を通じ、絶望を突き抜けようとする者たちの姿を村上龍が描き出す小説集。舞台も境遇も異なる人々が、それぞれの孤独と痛みを抱えたまま、それでも絶望の先へ踏み出そうとする。彼らはどこへ向かい、何をつかもうとするのか。読み進めるほどに、人が絶望をくぐり抜けて生きる手触りが迫ってくる一冊。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
七年前に妻を癌で亡くし、男手ひとつで息子を育ててきたビデオ制作会社社長の青山重治。息子から再婚を勧められた彼は、友人の提案に乗り、映画のオーディションと偽って再婚相手にふさわしい女性を集める計画を密かに進めることになる。数多くの応募者の中で、青山の目を一瞬で奪ったのは二十四歳の山崎麻美だった。音楽とダンスを嗜み、非の打ちどころのない佇まいの彼女に、青山は理想の妻の姿を重ねて惹かれていく。しかし、再婚という穏やかな願いの先で、履歴書の向こうに隠された彼女の素顔を、彼はまだ何も知らない。愛と欲望、そして孤独の底にひそむ不穏な気配を、村上龍が研ぎ澄まされた筆致で描き出す長編小説。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
青春という言葉の陰に、何が隠れているのか。『69』では、一九六九年の佐世保で、高校三年生の僕が何か大きなことを起こそうと胸を躍らせる。『限りなく透明に近いブルー』では、米軍基地の街・福生を舞台に、薬物と性に浸る若者たちの日々が描かれる。『KYOKO』では、幼い頃にダンスを教えてくれたホセを訪ね、キョウコがニューヨークへ向かう。『村上龍映画小説集』を含む四作品が映し出すのは、青春の高揚と、そのすぐそばにある孤独や亀裂だ。熱に浮かされた時間と、他者を求める切実さ。異なる土地と時代を生きる若者の姿を通し、ひとくくりにはできない青春の輪郭に触れる、村上龍自選小説集第1巻。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
世界の都市、熱帯の島、アジアの片隅。遠く隔たった場所で、人々は自分を取り巻く世界との距離を測り、それぞれの希望を探している。食や恋、異国の風景を入口に、他者の生へと視線を向ける短編の数々。そこには、目の前の現実を受け止めながら、なお最善を尽くそうとする人間の熱く深い思いが息づいている。『村上龍料理小説集』『恋はいつも未知なもの』『ニューヨーク・シティ・マラソン』『悲しき熱帯』を収め、短い物語を通して世界へ近づく村上龍の試みをたどる一冊。身近な欲望から遠い土地の人々の暮らしへ、読むほどに自分と世界のつながりを問い直したくなる短編集、村上龍自選小説集第3巻。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
春は、最悪のことばかりが重なる季節だった。毛虫に刺され、母親が入院し、受験に失敗し、やがてうつ病にまで陥った反町公三は、桜の花びらが雨の窓ガラスに貼りつく部屋で、カミュのコニャックを傾けながら、今こそ人生で最低の時だと考えている。絶望から狂気へと傾きつつあった彼は、深夜のコンビニで、天才的な演技力を持つ名もなき少女と出会う。巨大なトラックを操り、血管の中に虫を飼っていると語る彼女。その出会いから、二人の奇妙な日々が幕を開ける。それはゲームではなく、果てしなく続くロールプレイの現実だった。現実と演技の境目が揺らぐなか、二人の日々はどこへ向かうのか。村上龍が描く、壊れかけた心の行方を追う長編小説。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
乳児期にコインロッカーで見つかった二人の少年、キクとハシ。横浜の養護施設で育てられ、九州の炭鉱跡の島の夫妻に引き取られた彼らは、傷と孤独を抱え、社会への憎しみを募らせていく。やがて音楽の才能の開花と、世界を壊したいという衝動が、それぞれの内側で形を取り始める。社会を憎む激しいエネルギーが、二人をどこへ導くのか。村上龍が自ら選んだ小説集の第4巻には、代表作『コインロッカー・ベイビーズ』に加え、『昭和歌謡大全集』『だいじょうぶマイ・フレンド』を収録し、三浦雅士の解説を付す。暴力と衝動の先に何があるのかを問う、村上龍文学の核心に触れる圧倒的なエネルギーに満ちた一冊、村上龍自選小説集第4巻。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
夜の性風俗案内を引き受けたケンジの前に現れたのは、アメリカ人のフランクだった。奇妙な肌に覆われたその顔が、胸にかすかな不安を呼び起こす。ケンジの脳裏によみがえるのは、歌舞伎町で女子高生の切断遺体が発見されたという新聞記事。目の前の客と忌まわしい事件に、つながりはあるのか。疑念を抱えたまま、ケンジはフランクを連れ、夜の新宿へと足を踏み入れる。案内する側のはずの青年が、得体の知れない男の存在に揺さぶられていく。街の喧騒のなかで拭い去れない胸騒ぎと、他者の内面を見通せない恐ろしさ。ひとりの客との出会いを入り口に、見慣れた都市が不穏な表情を帯びていく、読売文学賞受賞の長編小説。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
豊かさを手にした社会で、人はなぜ深い寂しさを抱えるのか。村上龍が一九九七年の神戸の少年事件を起点に、日本の近代化が終わった後の心のありようを考える。国全体で共有してきた目標が失われたとき、一人ひとりは何をよりどころに生きればよいのか。事件を遠い世界の出来事として片づけず、時代の変化と個人の価値観との隔たりに目を向け、現代を覆う孤独の輪郭を探っていく。かつての貧しさの中にあった悲しみと、豊かな時代に生じる寂しさ。その違いを問い直す言葉は、私たち自身の暮らしにも静かに迫る。日本語と英語を併記したヴィジュアル・テキストを通して、社会の変容と自分の生き方を見つめ直す一冊。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
社会が変わったとき、人は何を手放し、何を新たに始めればよいのか。村上龍が「変化への不適応」を軸に、日本の近代化の終わりと、現代を覆う寂しさを見つめるエッセイ。かつての時代にはなかった寂しさとは、どのようなものなのか。変化に適応するという言葉を、具体的な行動の問題として捉え直し、社会と個人のあり方へと思考を向けていく。時代の変わり目を生きる私たちにとって、変わるとは何を意味するのか。その問いは、身の回りの変化や、自分自身の生き方を考える入口にもなる。日本語と英語を併記したヴィジュアルテキストという形で、社会に広がる感情を読み解き、日々感じている寂しさに別の角度から目を向けさせる一冊。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
受話器のコードを見るだけで、回線を行き交う会話が聞こえてしまう女がいる。物語は、その女を軸に連鎖していく。半殺しにされたSM嬢、男の暴力から逃れられない看護婦、IQ170のウエイター、恋人を殺したキャリアウーマン。男女の性とプライド、そしてトラウマが、次々に現代日本の光と闇へと溶け出していく。電話線という目に見えない回線の向こうで、人はどう触れ合い、何を失うのか。それぞれの人生は交わり、すれ違いながら、現代を生きる人間の姿を鮮烈に映し出す。圧倒的な筆力で現在のコミュニケーションを描き出した、ベストセラー長編。読み終えたとき、あなたの中の「つながり」の感覚が揺さぶられるはずだ。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
八本のワインと、それぞれに呼応する女たちの一瞬の官能を描いた短編集。ラ・ターシュが誘うのは混沌とした悦楽、モンラッシェがよみがえらせるのは子どもの頃のほろ苦い幸福。グラスに注がれた一杯のワインは、ある女には記憶の扉を開き、ある女には満たされぬ心の輪郭を浮かび上がらせる。香りや味わいに導かれて立ち現れるのは、危うく不安定な心を抱えた女たちの姿だ。ワインという嗜好品を通して、人の内側に潜む欲望や孤独を鮮やかにすくい取る。村上龍が研ぎ澄まされた文体で紡ぐ、官能と痛みの八つの物語。ワインに導かれ、女たちの内側が静かにあらわになっていく。一杯のワインが映し出す「真実」とは何か。ページをめくるごとに、その問いが静かに胸へ迫ってくる。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
1990年イタリア大会のチケットを手にしたことをきっかけに、作家・村上龍は世界のサッカーを追い続けてきた。本書は、そんな著者が綴った'90年代のサッカーエッセイ集である。イタリア大会、イングランドで開かれた1996年の欧州選手権、日本が初めて世界と正面から向き合った1998年フランス大会を、現地で見たまなざしで熱っぽく報告し、日本サッカーの可能性と、この国に足りないものを問いかける。章題に掲げた「寂しい国」という視点も読みどころだ。さらにペルージャからのリポートや、中田英寿、名波浩、山口素弘との対談も収める。ピッチの熱狂を通して、サッカーと日本社会を見つめ直す一冊。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
一九九八年、日本中が沸いたフランスW杯。あの熱狂の裏側では、いったい何が起きていたのか。作家・村上龍が、週刊誌の連載コラムを通じて一九九七年のアジア最終予選の迷走から本大会での戦いまでを辛辣かつ熱っぽく見つめ直す。日本サッカー界とメディアに根づく無知と危機感のなさ、中田英寿に象徴される新しい日本人のスタイル、そして二〇〇二年W杯に向けて本当に必要なものとは何か。サッカーという鏡に映し出されるのは、日本そのものの姿でもある。ピッチの上の出来事を、社会や日本人の気質へとつなげていく視点が刺激的だ。世界の強度を突きつけられた当時の空気を追体験できる一冊、『フィジカル・インテンシティ』シリーズ第1巻。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
サッカーが生むカタルシスは、ゴールという奇跡から爆発するがゆえに、ほとんど宗教的ですらある。村上龍が熱いまなざしでピッチを見つめ、中田英寿がもたらしたもの、「集団病」から自由な中田の姿、トルシエの采配、「歴史」と身体的に接触する快感、リスクが快楽を産む理由、「モチベーション」という概念、三バックは「戦術」ではないという主張などを、攻撃的な筆致で語るサッカーエッセイ集。サッカーを通して見えてくる日本と世界の姿、そして興奮の質の変化を鋭く問いかける。サッカー以上に刺激的な人生を送るのは容易ではない――そんな実感を呼び起こす一冊、『フィジカル・インテンシティ』シリーズ第2巻。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
体内に得体の知れない「虫」を宿していると感じる、引きこもりの青年ウエハラ。ネットを通じて、インターバイオと名乗るグループが彼に接触してくる。彼らが告げたのは、その虫こそ殺戮と種の絶滅を司る「共生虫」だという事実だった。自分が選ばれた存在であると自覚した彼は、生贄を求めて外の世界へ飛び出していく。果たして虫は妄想なのか、それとも本当に彼の内に棲んでいるのか。孤独な青年の内面が、ネットの闇と結びついて静かに暴走を始める。ネット社会の孤独と、人間の内に潜む衝動を真正面から描いた問題作が、文庫で登場する。村上龍が現代の闇に切り込んだ、緊迫の長編。谷崎潤一郎賞を受賞した衝撃のインターネット文学。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
夏の海辺で、僕は水着の女に出会う。女が僕の目に見いだしたのは、ゴミに埋もれ、基地をもち、少年たちが育つ町だった。祭りの熱気を帯びたその風景には、戦争の気配が貼りついている。鮮烈なイメージで暴力を浮かび上がらせる『海の向こうで戦争が始まる』。一方、『愛と幻想のファシズム』では、世界恐慌に揺れる一九九〇年の日本で、サバイバリスト鈴原冬二を中心に政治結社「狩猟社」が動き出す。学者、官僚、テロリストを引き寄せるカリスマは、危機の時代に何をもたらすのか。幻視と政治経済という異なる角度から、人間と社会に潜む暴力へ鋭く迫る二作品を収めた、村上龍自選小説集シリーズ第5巻。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
再婚相手を探すため、四十二歳の青山はオーディションを開く。彼が選んだ二十四歳の女性との出会いは、愛を求める心の危うさを浮かび上がらせていく。『オーディション』をはじめ、『ラブ&ポップ』『イン ザ・ミソスープ』『ライン』『寂しい国の殺人』の五編を収録。事件そのものの異様さだけでなく、それに向き合う「世間」の反応へと視線を向け、小説で時代を記録する可能性を探る。人々が当然のように受け入れている価値観は、何を見過ごしているのか。恋愛や欲望、不穏な出来事をめぐる物語を通して、日常の内側に潜む違和感に触れ、身近な社会の輪郭が違って見えてくる一冊、村上龍自選小説集第7巻。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
2002年秋、日本中の中学生80万人が、一斉に学校を捨てた。経済の大停滞が続き、先の見えない閉塞感に覆われた日本。大人たちが出口を見いだせずにいるなか、少年少女たちは自らネットビジネスを立ち上げる。巧みな情報戦を武器に、彼らは政界や経済界をも動かす勢力へと成長し、その存在は大人社会の常識を根底から揺さぶっていく。ごく普通の中学生たちの小さな反乱は、やがて日本という国のありようを問い直す大きなうねりとなり、大人たちを困惑させる。やがて彼らの「脱出」が、世界中の注目を集めながら動き出す。彼らは何を求め、どこへ向かおうとしているのか。閉塞した現代日本の絶望と希望を壮大なスケールで描き出す、村上龍の超大型長篇。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
ヤザキ、カタオカケイコ、レイコ。自分の常識ではとらえきれない三人の言葉に耳を傾けるとき、聞き手の確かなはずの日常が揺らぎ始める。『エクスタシー』『メランコリア』『タナトス』を収め、快楽と倦怠、そして死をめぐる長い独白へと読者を誘う一冊。それぞれの語りに向き合うのは、拠り所となる常識を持つ、ごく一般的な人々だ。だが、相手を理解しようとするうちに、その拠り所そのものが問い直されてゆく。人はなぜ語り、他者の言葉を聞こうとするのか。胸の内に抱えた謎を吐き出すことは、救済につながるのか。語る者と聞く者の間に生まれる揺らぎを通して、人間の内奥を見つめる、村上龍自選小説集第6巻。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
日本人には、他人にどう言われようと好きだと言える、日々を生きる活力の源が欠けているのではないか。皆が同じことをしていれば守られた共同体の庇護は、もはや存在しない。「社会」に頼らず世界に名を知られた中田英寿を引き合いに、ただ勝ち負けを論じるのではなく、「よく頑張った」では通用しない現実、国の威信をスポーツに背負わせる錯誤、世間に謝る余計なコスト、銃口を向けられたような緊張感を語る。ベッカムのセンタリング、苦しい試合で力を出し切る幸福、サッカーの「本場」は遠い海外にあるという感覚、プロの覚悟にも触れる。サッカー論を通して日本のあり方を問い直す村上龍のエッセイ集、フィジカル・インテンシティシリーズ第3巻。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
会社が一生を支え、国民が同じ思いで未来を描く。そんな前提が崩れていく日本で、個人は何をよりどころに生きればよいのか。村上龍が社会現象を見つめ、私たちの生き方を問い直すエッセイ集。終身雇用への信頼や国民的な一体感を手がかりに、社会を覆う希望と現実の隔たりへ目を向ける。これまで当然と思ってきた安心が揺らぐとき、自分にはどんな選択が残されているのか。社会の変化を個人の問題へと引き寄せる視線は、日々の暮らしの前提を考えるきっかけになる。日本という社会の中で、自分の生き方を選ぶことの意味を見つめたい読者へ問いを投げかける一冊、『すべての男は消耗品である。』シリーズ第6巻。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
恋愛を楽しむために、まず自分の足で立つとはどういうことか。村上龍が、女性の生き方と男女の関係を二十八の章から問い直す。結婚をうらやむ気持ち、寂しさ、相手への甘え、恋の失敗をめぐる責任。身近な悩みを入り口に、変わりゆく社会のなかで誰かと関わるための条件を考えていく。すべての女性に同じ答えを用意せず、それぞれの置かれた状況を見つめる視線は、ときに厳しく、恋愛への思い込みを揺さぶる。古い社会の仕組みに人生を預けず、自立と恋愛を結び直していくには何が必要なのか。尽くすことや結婚への憧れをあらためて考えたい人に、自分自身の生き方から恋を見つめ直すきっかけを届けるエッセイ。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
恋人を追って部屋に忍び込んだ書店員の男は、そこで殺され、「死者」として部屋に留まることになる。死者となった彼にできるのは、ただ見つめ続けることだけだ。目の前で繰り返されるのは、七人の女たちが集うSMとレズビアンのパーティだった。毎回、絶頂に達するのはただ一人。奇妙なルールで結ばれた彼女たちを繋ぎ止めているものは何なのか。死者の視点から淡々と見つめられる密室の儀式を通して、女たちが失った過去と、その底に横たわる痛ましい真実が少しずつ浮かび上がっていく。村上龍が、性と記憶、人と人との不可解な結びつきを描き出す小説。密室で営まれる秘密めいた集いの行方から、目が離せない。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
結婚か仕事か、誰と出会い、どんな関係を築くのか。選択を重ねる日々のなかで、自分はダメな女なのではないかと悩む人へ、村上龍が問いを投げかける。自己紹介や出会いの場、男性への依存、出世ばかりを追う男たちへの警戒。身近な話題から、無知の怖さや援助交際の背景にある寂しさへと視線を広げ、女性の生き方と社会のありようを考えていく。気楽に集まれる仲間と、甘えずに向き合う友達はどう違うのか。取り返しのつかない人生で、好きなことを貫くには何が必要なのか。鋭い言葉に立ち止まりながら、人との距離、自分の選択を見つめ直したくなる。恋愛や仕事の迷いを、いつもとは違う角度から考えるエッセイ集。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
二十一歳の秀樹は引きこもり、家族に暴力を振るう。妹で女子高生の知美は援助交際で男と出会い、母の昭子は若い男と不倫をしている。そして父の秀吉には、会社からのリストラが突きつけられる。それぞれに問題を抱えた内山家の四人は、過酷な現実のなかで崩壊の危機に直面する。家族というつながりは、彼らを支えることができるのか。それとも、そのつながり自体を問い直す必要があるのか。ひとつ屋根の下にいるだけでは解けない苦しみを前に、誰かの家族である一人ひとりが、どう生き延びるかを問われていく。引きこもり、援助交際、失業という社会のひずみを家庭の内側から見据え、人と人が共に生きる意味を鋭く問いかける物語。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
リストラや借金が、人の暮らしだけでなく自尊心まで揺さぶる。経済を知らないことで生き抜く道を狭めたくない。その思いから、村上龍は経済と金融の変化を見つめ、自分自身の問題として考え始める。個人資産、ペイオフ、地域通貨、投資と希望、生活水準。身近な不安につながる話題から競争社会やユーロまで、幅広い題材を通して、変わりゆく社会で個人がどう生きるかを問いかける。メールマガジン「JMM」に一九九九年から二〇〇〇年にかけて連載した文章に加筆修正した九十三編。社会の動きを他人任せにせず、自分の足場を確かめたい人へ、知ることと考えることの切実さがまっすぐに伝わるエッセイ集。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
セリエAで活躍した選手が心臓麻痺で死亡する事件が起こる。日本人選手の冬次から依頼を受けた小説家の矢崎は、死を招くドーピング剤「アンギオン」の存在を知る。真相を追う矢崎の調査は、イタリアや南フランス、キューバへと広がっていく。華やかなピッチの裏側で、いったい何が起きているのか。選手たちの死はただの偶然なのか、それとも別の理由があるのか。依頼を引き受けた矢崎は、ヨーロッパからカリブ海へと続く道のりで、サッカーという競技が放つ熱と、その華やかさの陰にあるものに触れていく。サッカーの面白さと物語の興奮が一つになった、村上龍によるサッカー・ミステリー。読み始めたら止まらない一冊。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
2002年のワールドカップを前に、日本サッカーは世界とどう向き合うのか。村上龍が、日本代表やイタリアで戦う中田、ローマの動向を見つめながら、ピッチに表れる個人とチームの力を考える。先発と控えの違い、リラックスと集中の関係、サッカーと教育を語ることへと視線を広げ、競技を見る面白さを掘り下げていく。緊急語り下ろしに加え、トルシエ監督との二本の対談も収録。大舞台への期待が高まる時代の空気とともに、選手の姿や試合の一瞬を自分の目で受け止めるための視点を届ける。観戦する喜びに、考える楽しさが重なる、熱気に満ちたサッカーエッセイ、フィジカル・インテンシティシリーズ第4巻。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
2002年のワールドカップで、選手たちは何を目指し、何を背負って戦っていたのか。村上龍が、ピッチで生まれる歓喜と厳しい現実を見つめたサッカーエッセイ。ポーランド戦の快勝、日本代表の可能性と弱点、新たなファンタジスタの出現、イタリアの優勝への条件など、大会をめぐる期待と問いをたどる。極度の集中が生む想像力、一点が試合にもたらす重み、どのチームにも潜む欠点。その一つひとつに目を凝らす言葉が、勝敗だけでは捉えきれないサッカーの魅力を浮かび上がらせる。自らの目標へ向かう選手たちの姿を通して、熱狂の先にある希望を探る一冊、フィジカル・インテンシティシリーズ第5巻。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
幸せな恋愛や結婚のモデルが失われ、格差を伴って多様化が進む現代の日本。恋愛はいま、どう変わったのか。結婚や恋愛に絶対の正解がなくなったとき、人は何を基準に相手を選び、どう幸せを手にするのか。本書は「結婚しなければ生きていけない女」「なぜ彼を好きなのか、答えられますか」「恋愛のリスクとコスト、そして利益」「パラサイト・シングルに恋愛は可能か」といった問いを手がかりに、セックスや同棲、不倫のモラルと現実、「選ばれる」ことの意味までを見つめる恋愛エッセイ。不幸な恋愛を避け、自分なりの幸福を見つけるための視点を、村上龍が示していく。恋に迷い、不安を抱えるすべての人に向けた一冊。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
日本経済の先行きを語るだけで、私たち自身の問題は見えてくるのか。村上龍が、国全体をひとくくりにする議論から、個人、個別企業、自治体それぞれの現実へと視線を移すエッセイ集。財政赤字やニュース報道、近代化の達成、国民的一体感といった話題を取り上げながら、変化への対応や十年後の自分、何を欲しているのかという身近な問いへと思考をつないでいく。大きな経済の言葉に埋もれがちな、一人ひとりの課題をどう語ればよいのか。社会を見る視点と、自分の未来を考える視点を往復する一冊。メールマガジン『JMM』で二〇〇一年一月から二〇〇二年十月まで連載された文章に、加筆修正を施してまとめている。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
デビューの一九七六年から二〇〇二年まで、二十七年にわたって書き継がれた村上龍の恋愛エッセイを網羅した愛蔵版。書き下ろしに加え、単行本未収録の作品も数多く収められ、作家が恋愛と女性をどう見つめ続けてきたかを一冊で辿ることができる。刺激的な表題のとおり、きれいごとに寄りかからない率直な言葉が並ぶ。恋愛という誰もが向き合う主題を、二十七年という時間の幅のなかで読み比べられるのも本書ならではの魅力だ。恋に迷ったとき、男と女の関係に立ち止まったとき、村上龍のまなざしはどんな問いを投げかけてくるのか。長年の読者はもちろん、これから村上龍のエッセイに触れる人にも手に取ってほしい一冊。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
コンビニ、居酒屋、公園、カラオケルーム、披露宴会場、クリスマス、駅前、そして空港。日本のどこにでもある場所を舞台に、八つの物語が静かに幕を開ける。登場するのは、ごく身近な場所に立つ人々だ。けれど彼らの胸には、誰とも分かち合えない、ささやかで切実な希望が息づいている。時間を凝縮させた手法で切り取られる、ほんの短い一場面の中に、人が前へ踏み出そうとする瞬間の揺らぎと強さが浮かび上がる。派手な事件は起きなくても、ありふれた時間の底にある思いを丁寧にすくい取り、読む者の胸に静かな余韻を残す。村上龍が描く、現代の日常に潜む個別の希望を見つめた短編小説集。読み終えたとき、身近な風景がどこか違って見えてくるかもしれない。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
勝ち組・負け組という物語は、本当に私たちの現実を言い当てているのか。広がり続ける格差のなかで、個人としてどう生きるかを問いかける、村上龍のエッセイ集。二〇〇一年から〇三年ごろに書かれた全二十六章で、「日本」「日本人」という枠組みで語ることの限界、テロとの戦い、戦争報道のあり方、小泉政権の構造改革、北朝鮮問題などを、作家ならではの視線で見つめ直す。時代の空気に流されず、自分自身の判断で考えることの価値とは何か。「日本人だから」という安易な括りを離れ、一人ひとりが自分の頭で考える視点を示す。社会の変化から置き去りにされる人びとの姿を通して、今を生きる指針を探る一冊、『すべての男は消耗品である。』シリーズ第7巻。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
心を壊し、捨てられた女たちを引き受けては、「オーバーホール」を施す。それが「プラントハンター」と呼ばれる「わたし」の仕事だった。いま、わたしは姿を消した一人の女を求め、広大な庭園を歩き回っている。彼女が残したのは、翌日からここに暮らすという短いメモ。彼女を譲り受けた当時、わたしのもとにはほかに三人の女がいた。失踪した女を捜す現在から、四人の女たちと関わった記憶へ。官能を介して他者の深みに触れようとする営みは、どこまで届くのか。人を救うとは何か、男と女は互いの心にどれほど関与できるのか。救済への問いを抱えた男の記憶の旅が、身体と心の結びつきを見つめる長編小説。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
デビューから現在までの村上龍の作品群から、恋愛と性愛、官能をテーマにした短編十九編を選び抜いた愛蔵版の選集。本当はずっとそばにいてほしいのに、やがて息苦しく不安になり、遠く離れていてほしいと思ってしまう。そんな著者自身の前書きの言葉が、書名の由来になっている。自由と束縛、自立と依存のあいだで揺れ動く男女の姿を、さまざまな角度から描き出す物語が並び、カラーイラストも添えられている。ひとりの作家が長い年月をかけて見つめ続けた、愛することの甘美さと厄介さを一冊で味わえる。近さと遠さのあいだで揺れる心の機微が、ページをめくるたびに静かに胸へ迫ってくる。村上龍の恋愛小説の魅力にあらためて触れたい人にも、初めて手に取る人にもおすすめしたい。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
半島を出よ 上
二〇一一年春、プロ野球の開幕ゲームで沸く福岡ドームを、九人の北朝鮮の武装コマンドが突如占拠した。彼らは自らを北朝鮮の「反乱軍」と名乗る。その二時間後、およそ五百名の特殊部隊が福岡市の中心部を制圧し、街は一瞬にして異様な緊張に包まれていく。慌てふためくばかりの日本政府を尻目に、福岡に潜伏していた若者たちがついに動き出す。福岡の街で、いったい何が起きているのか。村上龍が近未来の日本に起こりうる事態を圧倒的な迫力で描き出す、緊迫の長編。国家の危機に日本はどう向き合うのか、物語は息つく間もなく加速していく。上巻では、占拠から市街地制圧に至る事態が、複数の視点から語られる。
半島を出よ 下
二〇一一年、九人の北朝鮮武装コマンドが福岡ドームを占拠したのを皮切りに、反乱軍を名乗る部隊が福岡を制圧し、九州は封鎖された。福岡は外部から切り離され、救いの手も届かない。日本政府は決断できず、占領下の街では逮捕や粛清が日常となり、人々は恐怖と順応のはざまで揺れる。さらに本国からは十二万人の後続部隊が博多港へ迫っていた。国家にも大人たちにも頼れないなか、暴力の過去を抱えた若者たちが、ひそかに決死の抵抗を企てる。彼らは何を武器に、巨大な軍事力へ挑むのか。現実と地続きの緊張感で描かれる群像劇が、いよいよ核心へ。野間文芸賞・毎日出版文化賞を受賞した村上龍の長編、下巻。
半島を出よ 上
半島を出よ 下
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
文学は、この国の新たな規範となるだろうか――。作家・村上龍が、裸身ゆえのメッセージとして放つ言葉を集めたエッセイ集。「限りなく透明に近いブルー」「豊かな時代の終わり」「少数者の信号」「外道の群れ」と題された文章が並ぶ。さらに「大岡昇平について」「吉行淳之介さんの魅力」「寂聴さんの笑顔」「荒木経惟の「花」」「相米慎二の思い出」など、作家や表現者たちをめぐる一編も収められている。多彩な題材が並ぶ本書では、小説の外側で語られる率直な言葉から、村上龍という書き手の思考の輪郭と、現代の日本への問いが浮かび上がる。小説とはまた違う角度から、文学と社会の関係を問い直したい読者に手に取ってほしい一冊。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
毎月の生活費や職場の人間関係、就職と転職。日々の暮らしのなかで生まれる若い女性たちの切実な悩みに、作家・村上龍が向き合うQ&A集です。やりがいのある仕事についた友人への嫉妬、仕事を続けることへの不安、貯金をしたくても余裕のない家計。恋人がいない将来への心配や、自分磨きのお金の使い方まで、寄せられる問いは身近で具体的です。もっと楽な仕事を望むのは甘えなのか、二十八歳から夢を目指すのは遅いのか。他人にはささいに映っても、当人には簡単に片づけられない迷いが並びます。質問と回答をたどりながら、自分にも重なる悩みに出合い、これからの暮らしや働き方を考える時間へ。希望と出合うためのヒントを探したい人に届ける一冊です。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
キューババンドの圧倒的な表現力に触れ、社会に蔓延する想像力の欠如について思いを馳せる。蟹を食べに出かけた上海では、文学や音楽における「微妙な差異」の意味を考える。映画『シンドラーのリスト』を観れば、ヒューマニズムが抱える矛盾へと切り込んでいく。日々の何気ない体験が、村上龍の思考を鋭く刺激し、時代の空気を映し出す全24章。社会や文化、個人の生き方へと向けられた視線が、読む者に静かな刺激を与える。規範ではなく戦略としての「生き方」とは何か。不透明な時代を生きる私たちに、明日への問いと確かな手がかりを投げかける人気エッセイ、『すべての男は消耗品である。シリーズ第9巻』。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
骨付き仔牛のカツ、オーパス・ワン、フレッシュ・オイスター、まるごとのトリュフ。選び抜かれた料理とワインをめぐり、男と女の官能が静かに熱を帯びていく。食べることの悦びは、どこで人を求める欲望と重なり合うのか。美食の名を冠した物語の数々が、味覚と性愛のあわいへ読者を誘う。「コート・ダ・ジュールの雨」「幻のジャズ・バー」「披露宴会場にて」など、料理や酒だけではない題名も並び、一篇ごとに異なる官能の世界が開かれる。誰もが楽しめるおいしさの先にある、秘密を伴うほどの美味。その濃密な誘惑を、村上龍が食と男女の物語に織り込んだ十七篇。ひと皿、一杯から広がる悦楽を味わう、料理と官能の短編集。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
村上龍が初めてネクタイを締めたのは、24歳のときだった。その後、イタリアを訪れた著者は、スーツやシャツ、ネクタイ、靴に興味を持つようになっていく。本書は、そうして始まった著者の買い物をめぐる体験を、軽妙な語り口でつづったエッセイ集である。買い物の舞台は、ミラノやローマ、パリ、ハバナ、ソウル、上海と世界各地の街に及ぶ。スーツやシャツ、靴といった身近な品々を前に、著者がどのように関心を深めていったのかが、その経緯とともに語られる。異国の街でものを買うという誰にとっても身近な行為が、軽やかな文章で一冊の読み物になっている。買い物好きという意外な一面を、ぜひ味わってみてほしい。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
仕事、お金、職場の人間関係、恋愛、結婚、転職。期待と不安を抱えながら日々を生きる女性たちから寄せられた五十の質問に、村上龍が率直に答えるQ&A形式のエッセイ。正社員で働くことの利点など、働く女性が直面する現実的な問いにも切り込む。曖昧な慰めではなく、現実を見据えた合理的な考え方で、迷いの背中を押してくれる。各回答の末尾には結論が大きな文字で示され、読み進めるほどに自分が本当に望むものが見えてくる。恋もしたい、幸福にもなりたい、お金も欲しい。そんな正直な願いを抱えながら迷うすべての人に贈る、不満をほどき、欲しいものへ近づくための村上流・合理的人生のススメ。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
小手先のコツや秘訣には、意味がない。村上龍が短い言葉で突きつける、61の箴言集。何かを得られる失敗は、渇望から始まる。思考を延ばした先にアイデアがあり、最も厄介で面倒な選択肢こそが正解だという。淘汰の時代を生き抜くために、私たちは何から始めるべきなのか。単行本未収録作品を多数加えた拡大決定版で、安易な答えに頼らず自分の頭で考え抜くための出発点を示す。成功への近道を探したくなる時こそ、読みたい言葉が並ぶ。ページをめくるたびに、これまで当たり前としてきた考え方が揺さぶられるだろう。どこから読んでも、鋭い一言が胸に刺さる。簡潔だからこそ、読み終えたあとも言葉が頭に残り続ける。迷いの中にいる人の背中を、静かに、けれど強く押してくれる一冊。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
暮らしの不安が膨らみ、恋愛やセックスを語る余裕さえ遠のいていく。経済の疲弊とともに街の活気が失われる社会で、人は自信や誇りをどう取り戻せるのか。村上龍が、政治やメディア、身近な文化に目を向けながら、生き延びるための思考を探る。韓国ドラマ『砂時計』からパキスタンとタリバン、朝青龍、広東料理まで、話題は多彩だ。さらに、社会的信頼、ねじれ国会と医療危機、日本の緩やかな衰退へと問いを広げる。遠い国の出来事と日々の生活を行き来する視点が、慣れ親しんだ現実を見直すきっかけになる。先行きの見えない時代に、自分の足場を考えたい読者へ贈るエッセイ集、『すべての男は消耗品である。』シリーズ第10巻。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
歌うクジラ 上
2022年、ハワイの海底を泳ぐザトウクジラから、人類はついに不老不死の遺伝子を発見した。それから百年後の日本では、人間が徹底して階層化され、政府の管理下に置かれている。流刑地で暮らす十五歳の少年アキラは、人類の秘密を握るデータを託され、この社会をつくり上げた人物に会うため旅に出る。不老不死が現実となった世界で、人はどのように生きているのか。託されたデータに秘められた人類の秘密とは何か。階層と管理に縛られた未来の日本を、少年の旅がたどっていく。少年が踏み出す果てしない旅の幕開けを描く、息詰まる序章である。第52回毎日芸術賞を受賞した、村上龍による近未来ディストピア長編の上巻。
歌うクジラ 下
百年後の日本、不老不死の遺伝子をめぐる秘密のデータを託された少年アキラは、社会を生み出した人物に会うため果てしない旅を続けている。下巻では、突然変異の人類「クチチュ」たちとともに、生への執着を捨てた人々が動物のように暮らす村や、ロボットが人間の生を管理する病院を巡っていく。暴力と虚無に覆われた世界を目の当たりにしながら、見知らぬ声に導かれて歩みを進めた先には、青い地球を遠くに望む宇宙空間が待っている。そこで彼を待つ想像を絶する告白とは何か。超格差社会となった日本から始まった旅は、いよいよ核心へと近づいていく。旅の果てにあるのは絶望か、それとも希望か。第52回毎日芸術賞を受賞した、現代社会の行く末を見つめる長編SF。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
子どもの頃、夏休み明けの教室で、日本脳炎で亡くなった同級生二人の机に花が飾られていた。村上龍は、そんな厳しい時代にも、確かな希望があったと振り返る。ひるがえって現代の日本は、非正規雇用の増加や財政の悪化で、不安と閉塞感に覆われている。欲望や怒りを手放したかに見える若者たちと、状況から逃げ切ることばかりを考える中高年。この国はいま、どこへ向かおうとしているのか、そして私たちは何を手がかりに生きればよいのか。成功を目指すより先に、うつ病や自殺を避け、生き延びる方法を考えるべきだと著者は説く。凝り固まった思考を揺さぶり、萎縮した心を震わせる、現代を生きる私たちへのサバイバルメッセージ。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
投資組合を経営する西崎が、五反田の風俗店で出会った「サクラ」。客と店の女性として始まった関係は、店の外で会い、メールを交わすうちに変わっていく。やがて彼女は本名とともに、1型糖尿病を患っていることを打ち明ける。惹かれ合い、肌を重ねても、相手のすべてを自分のものにはできない。病がもたらす死の気配を感じながら、西崎は彼女との時間に身を置いていく。「心はあなたのもとに」。メールの末尾に繰り返されるその言葉は、二人をどのように結びつけるのか。身体の近さと言葉に託す思い、その間にある隔たりを見つめ、人を求める欲望と、愛する相手を理解することの難しさを切なく描く長編恋愛小説。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
デビュー当時、先輩作家の中上健次に「なんでお前はそんなにあっさりとして、白けているんだ」と言われた——村上龍はそう振り返り、今の若い男たちにも同じ思いを抱くという。小説の主人公にしたいとは思えない、死なない程度に何となく生きる姿はどこから来たのか。婚活ブーム、テロ、食の問題、二〇一二年、「3・11」から一年の日本、さらには韓国映画まで、全十九編のエッセイを通して閉塞した時代の空気を見つめる。震災後の日本で、危機感も挑戦する意欲も持ちにくい若い世代をどう見るのか。著者ならではの率直な言葉で問い直していく。希望なき時代を射る、苦く強烈なメッセージを込めた一冊。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
夫との暮らしに終止符を打ったものの、生活の不安から結婚相談所を訪れる中米志津子。早期退職後、キャンピングカーで妻と全国を巡ろうと考えた富裕太郎は、その夢を妻に拒まれてしまう。リストラを機に住まいまで失う恐怖にとらわれる男もいる。仕事、結婚、老い。それまで当たり前だった暮らしが揺らぐとき、人は何を頼りに明日へ踏み出せるのか。人生の折り返しを過ぎた男女が、それぞれの孤独や行き詰まりを抱えながら、これからの生き方を探していく。身近な人とのすれ違いも、言葉にしにくい不安も丁寧にすくい取り、もう一度生き直したいという願いに寄り添う。五つの人生を通して、再出発の意味を静かに問いかける作品集。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
就職が決まらない、収入と結婚の折り合いがつかない、意欲が湧かず物事を悪いほうへ考えてしまう。自由に生きられるはずなのに、選択を前に立ちすくむのはなぜか。村上龍が、仕事、恋愛、家族、お金、そしてこれからの人生をめぐる切実な悩みに向き合う。自由には不安やリスクも伴うという視点から、何を選び、どう生き延びていくかを考える一冊だ。家族を失う苦しみや、人生を賭ける対象を求める思いにも目を向け、失敗への恐れと後悔の重さを問い直す。雑誌『BIG tomorrow』の連載をまとめた言葉の数々が、日々の迷いを自分自身の問題として見つめるきっかけになる。先の見えない時代に、自分で選び取ることの意味を探る人生相談集。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
幸福を求める声があふれる一方で、なぜ社会の閉塞感は深まっていくのか。村上龍が、幸福論の流行、ブラック企業、アベノミクス、東京五輪の開催決定などを手がかりに、当時の日本とそこに生きる個人を見つめる。若者の諦めや広がる貧困、孤独を背景に、景気回復への期待だけでは見えてこない現実を問い直す。フィデル・カストロとの出会いを振り返る一篇も収め、社会への批評と自身の経験を行き来しながら、希望のありかを探っていく。瞬間の幸福を追う日々から、人と人との信頼を築く営みへ。自分が何を望み、誰とどう関わって生きるのかを考えるための、鋭く率直なエッセイ集。長期連載「すべての男は消耗品である。」に書き下ろしを加えた一冊。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
停滞と衰退が続く日本で、人は何を頼りに生きていけばいいのか。村上龍が、社会の変化と自身の日常を行き来しながら、先の見えない時代を見つめる。文化としてのバブル、ものづくりという言葉、地方の暮らし、メディアへの違和感。さらに、フェラーリを手放した経験や読書量の減少など、身近な出来事からも問いを掘り起こす。夢や目標を当然とする考え方を問い直し、孤独や希望、自分の役割について思索を重ねる十八編。寂しさを抱えながらも他者に依存せず生きるにはどうすればいいのか。社会への鋭い視線と個人の実感が交差し、自分の足場を考えたくなる、『すべての男は消耗品である。』シリーズ第14巻。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
二〇一八年の東京。NHKに、「満洲国の人間」を名乗る老人から爆破予告の電話が入る。やがて、日本を再び焼け野原にしようとする老人たちの企てが動き出す。妻子に去られ、ボロアパートで暮らす元週刊誌記者のセキグチは、カツラギという魅惑的な女性に導かれ、巨大なテロ計画に巻き込まれていく。与えられた使命は、暴走する「オールド・テロリスト」たちを食い止めること。だが、静かな怒りを抱えた彼らの言葉は、反発するセキグチの価値観を少しずつ揺さぶっていく。『希望の国のエクソダス』に続きセキグチが語り手を務める、村上龍の長編社会派小説。年寄りをなめんなよ――その怒りは、どこへ向かうのか。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
おしゃれであること、幸福になること、成功を収めること。そんな目標に追われる毎日を、少し離れて眺めてみたらどうだろう。村上龍が、身近な楽しみから社会の動きまでを題材に、生き方をめぐる思い込みを問い直すエッセイ集。贈り物の効用、クールジャパンと偏愛、韓流ドラマと復讐、ワインの味わい、企業の不祥事、インターネットと読書など、話題は多彩に広がっていく。幸福や成功に決まった形が見えない時代に、嫌なことを我慢し続ける必要はあるのか。これから自分は何をしたいのか。世間の尺度に合わせようと焦る気持ちをほどきながら、自分の日々を考え直すきっかけをくれる。立ち止まり、何もしない時間にも目を向ける一冊。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
生きることに精一杯の日々のなかで、人は別の人生を思い描き、願いや夢を持ち続けられるのか。村上龍が、不安の広がる時代の現実を見つめるエッセイ集。貧困を避ける方法、人生を変えるために必要な力、誰にでもチャンスがあるという言葉の残酷さ。社会への問いは、長く抱えてきた不安や、愛犬との別れ、酒との付き合い、小説を書くことなど、身近な経験と思索につながっていく。さらに人工知能へも目を向け、日常の出来事から生き延びることの意味を探る。夢という言葉があふれる一方で、その夢さえ遠ざかる現実にどう向き合うか。鋭さと率直さを備えた十八篇が、読者自身の暮らしと未来を問い直す、『すべての男は消耗品である。』シリーズ第15巻。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
1984年に連載が始まった村上龍のエッセイが、ついに最終巻を迎える。68歳になった著者は、もう政治を語らず、メディア批判もやめた。けれども、現代日本の空気に寄り添うことは決してない。文章は澄んだ湖のように静謐でありながら、その内側には獰猛な生きものがひそんでいるという。長く書き継がれた連載の果てに、著者がたどり着いた視線とは何か。声高に何かを主張するのではなく、抑えた筆致のなかに凄みをたたえている。時代に流されず、自分の感覚だけを頼りに世界を見つめてきた書き手の現在地を、静かな緊張感とともに味わえる一冊。長年の読者はもちろん、初めて手に取る人にも響くだろう。、すべての男は消耗品である。シリーズ最終巻。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
猫から「あの女を捜すんだ」と告げられた小説家の「わたし」。その女の正体は、若き女優の真理子だった。彼女とともに「過去へ向かう電車」に乗り込むと、驚きの変化が起こる。やがて真理子との再会をきっかけに、かつての自分を見つめる「母」の声が聞こえ始める。シェパードの子犬、日曜日の図書室、中学生の時の作文、そしてデビュー作となった小説。記憶の断片をたどるうち、作家は自らのルーツへと少しずつ迫っていく。幻想と現実が溶け合う世界で、失われているものとは何かを静かに問いかける、村上龍の傑作長編小説。メールマガジンで連載され、作者が当初は幻想小説を思い描きながら、途中から母が現れたと語る一作でもある。
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
「世界一もてない男」を自称する四十代のユーチューバーが、七十歳の著名作家・矢﨑健介に、自分のYouTube番組への出演を頼み込む。作者自身を彷彿とさせるこの作家は、半世紀にわたる女性遍歴を語ってほしいという願いを受け入れ、これまで誰にも話さなかった女性たちとの思い出をカメラの前で語りはじめる。初体験の相手や家具デザイナーの女性をはじめ、十五人ほどの女性たちにはそれぞれ固有の物語がある。ユーチューバーが仕掛けた一本の番組は、どこへ向かうのか。二〇二五年六月刊の幻冬舎文庫で、表題作のほか「ホテル」「サブスクリプション」「ディスカバリー」を収めた全四編の連作小説。























































