西條奈加の作品一覧

50作品を表示

金春屋ゴメス 初刊:2005年11月 金春屋ゴメスシリーズ SF ミステリー 歴史・時代 長編 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

人類が月にも暮らす近未来、日本の内側には江戸時代の暮らしを守り、鎖国を続ける独立国「江戸国」が存在していた。三百倍の難関を突破して入国した大学生・辰次郎を待っていたのは、巨躯と苛烈さで恐れられる長崎奉行、通称「金春屋ゴメス」。命じられたのは、致死率百パーセントと噂される流行病「鬼赤痢」の正体を探ることだった。科学の常識が通じない町で、人々の命と国の秘密を背負った探索が始まる。時代小説とSFが交差する大胆な世界で、辰次郎は生き残った意味に向き合えるのか。第17回日本ファンタジーノベル大賞受賞作、疫病の謎を追うほど、閉ざされた国の成り立ちと人々の覚悟が鮮やかに浮かび上がる。金春屋ゴメスシリーズ第1巻。

書籍情報

金春屋ゴメス <新潮文庫nex>

発売日:2022年6月27日

金春屋ゴメスシリーズ 長編
芥子の花 金春屋ゴメス 初刊:2006年9月 金春屋ゴメスシリーズ SF ミステリー 歴史・時代 長編 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

月に人が住む近未来、日本から独立して鎖国を続ける「江戸国」。上質な阿片が国外へ流出し、その産地ではないかと疑われた国は、諸外国から厳しい視線を浴びる。老中の命を受けた長崎奉行・金春屋ゴメスは、阿片を祭祀に用いる異人たちの村「麻衣椰」に目をつけ、辰次郎と松吉を送り込む。異なる文化と信仰の奥に隠されたものは、密売の真相か、それとも誰かの切実な願いか。弱者を食い物にする企みを前に、ゴメスたちの型破りな追及が始まる。江戸情緒、SF、社会派ミステリーが溶け合う、外から貼られた疑いと村人の現実の間で、探索する者たちの正義もまた厳しく試される。金春屋ゴメスシリーズ第2巻。

書籍情報

芥子の花 金春屋ゴメス <新潮文庫nex>

発売日:2022年7月28日

金春屋ゴメスシリーズ 長編
烏金 初刊:2007年7月 単発(ノンシリーズ) 歴史・時代 長編 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

江戸の貧乏長屋に現れた浅吉は、因業で知られる金貸し婆・お吟のもとへ押しかけ、商売を手伝い始める。借り手の暮らしを見つめ、知恵と度胸を働かせる浅吉のやり方は、ただ取り立てるのではなく、借金そのものをきれいにして貧しい人々を立ち直らせるものだった。次々と難題を片づけ、お吟の懐にも食い込んでいく若者だが、その親切と才覚の裏には容易に明かせない秘密がある。彼が狙う大金と、本当の目的とは何なのか。金に泣き、金に救われる市井の人生を、痛快な仕掛けと温かな眼差しで描く長編時代小説。情けだけでは救えず、勘定だけでも割り切れない借金を通して、人の値打ちを問い直す物語。読後感も爽快だ。

書籍情報

烏金 <光文社時代小説文庫>

発売日:2009年12月8日

長編
千両かざり 女細工師お凜 初刊:2009年4月 単発(ノンシリーズ) 歴史・時代 長編 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

錺職の老舗「椋屋」に生まれたお凜は、女には継げないとされる職人の道を諦めきれず、密かに銀線細工の腕を磨いていた。跡目争いに揺れる店へ現れた謎めく職人・時蔵は、江戸では見たこともない技で簪を作り、一門に大きな波紋を起こす。折しも天保の改革で贅沢品が禁じられ、椋屋の商いは苦境へ。そこへ神田祭を彩る、途方もない大仕事が舞い込む。江戸の町に活気を取り戻したい――同じ願いを胸に、孤高の時蔵とお凜は力を合わせる。因習と権力に抗い、ものづくりの誇りを貫く職人たちの熱気あふれる時代小説。精緻な銀の輝きと祭りの熱気の中で、技を受け継ぐことと自らの道を選ぶことが交差する。槌音まで胸に響く。

書籍情報

千両かざり 女細工師お凜 <新潮文庫>

発売日:2020年9月29日

長編
はむ・はたる 初刊:2009年8月 単発(ノンシリーズ) 歴史・時代 長編 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

掏摸やかっぱらいから足を洗い、まっとうな商いで生きようとする勝平たち十五人の孤児。貧しさも過去の傷も消えないが、力を合わせて暮らす彼らの周囲には、迷子のような事件や、誰にも言えない悩みが次々と持ち込まれる。厳しくも温かく見守る長谷部家の人々、口は悪いが情に厚い金貸しのお吟らに支えられ、子供たちは知恵と度胸で解決へ駆け回る。心に傷を負った若侍との出会いは、彼ら自身が抱える過去にも光を当てていく。自分たちの居場所を自分たちの手で拓こうとする少年少女の成長を、笑いと涙で描く連作時代小説。大人の都合に翻弄されながらも仲間を信じる姿が、貧しい長屋の日々に確かな希望を灯す。

書籍情報

はむ・はたる <光文社時代小説文庫>

発売日:2012年3月13日

長編
善人長屋 初刊:2010年6月 善人長屋シリーズ ミステリー 歴史・時代 短編集 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

善人ばかりが住むと評判の千七長屋。だが差配の儀右衛門は盗品を扱う窩主買い、髪結いの半造は情報屋、唐吉と文吉は美人局と、店子たちは揃いも揃って裏稼業を持つ悪党だった。そこへ何の手違いか、錠前職人の加助が越してくる。困っている人を放っておけない筋金入りの善人で、持ち込む厄介事のたびに、長屋の面々は正体を隠しながら裏の技を使う羽目に。善と悪は見かけどおりに分けられるのか。騙し、探り、忍び込み――悪党ならではの鮮やかな手管が人助けへ転じる、痛快で人情味あふれる連作時代小説、一話ごとの騒動が長屋の絆と住人の意外な素顔を映し、最後には大きな危機へつながっていく。善人長屋シリーズ第1巻。

書籍情報

善人長屋 <新潮文庫>

発売日:2012年9月28日

善人長屋シリーズ 短編集
御師弥五郎 お伊勢参り道中記 初刊:2010年10月 単発(ノンシリーズ) 歴史・時代 長編 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

訳ありの過去を抱える弥五郎は、伊勢詣の世話をする御師の手代見習いとして修業中。ある日、侍に襲われていた材木商・巽屋清兵衛を助けたことから、用心棒を兼ねてその伊勢参りに同行することになる。旅の段取りも客あしらいも未熟な弥五郎だが、剣の腕だけは確か。ところが一行には道中で次々と災難が降りかかり、清兵衛が狙われる理由も、旅の本当の目的も見えない。街道を進むにつれ、二人が隠してきた過去が少しずつ浮かび上がる。旅の賑わいと謎解き、再生への願いを織り込んだ、胸躍るお伊勢参り道中記。宿場ごとの出会いと別れを重ねる旅は、逃げてきた過去を見つめ直すための道にもなっていく。

書籍情報

御師弥五郎 お伊勢参り道中記 <祥伝社文庫>

発売日:2014年2月5日

長編
無花果の実のなるころに お蔦さんの神楽坂日記 初刊:2011年2月 お蔦さんの神楽坂日記シリーズ ミステリー 短編集 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

神楽坂で祖母と暮らす中学生の滝本望。祖母は元芸者で、今も皆から芸名の「お蔦さん」と呼ばれる粋な人気者だ。面倒くさがりで口も達者なのに、困り事があればなぜか相談が集まってくる。幼なじみが蹴とばし魔として捕まったり、ご近所が振り込め詐欺に遭ったり、静かなはずの二人暮らしはいつも騒がしい。望の料理で腹を満たし、町の人々の話に耳を澄ませれば、日常の小さな違和感から思わぬ真実が見えてくる。古い町の情緒と温かな人情を背景に、祖母と孫が鮮やかに謎を解く連作ミステリー、軽やかな会話と四季の料理が、事件の陰で揺れる人々の寂しさをそっと包み込んでいく。お蔦さんの神楽坂日記シリーズ第1巻。

書籍情報

無花果の実のなるころに お蔦さんの神楽坂日記 <創元推理文庫>

発売日:2013年9月21日

お蔦さんの神楽坂日記シリーズ 短編集
四色の藍 初刊:2011年5月 単発(ノンシリーズ) 歴史・時代 長編 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

藍染めを営む紺屋「紫屋」の女将・環は、三か月前に夫を何者かに殺された。夫の技を狙う大店「東雲屋」が事件に関わると睨むものの、決め手はない。探索の中で出会ったのは、兄の仇を追う男装の女剣士、深い恨みを抱える遊女、したたかな洗濯婆。年齢も身分も気性も異なる四人の女は、それぞれの目的を胸に手を結び、巨大な商家へ挑む。さらに藍の産地・阿波藩の事情や同心の思惑も絡み、仇討ちは予想外の方向へ。愛する者を奪われた女たちが、知恵と覚悟を武器に真相へ迫る、痛快さと切なさを備えた時代エンターテインメント。藍の色を重ねるように四人の過去と思惑が交わり、復讐の先にある生き方を問いかける。

書籍情報

四色の藍 <PHP文芸文庫>

発売日:2014年11月7日

長編
涅槃の雪 初刊:2011年9月 単発(ノンシリーズ) 歴史・時代 長編 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

天保の改革が始まった江戸。北町奉行・遠山景元の配下で働く吟味方与力の高安門佑は、融通の利かぬほど実直な男だった。縁あって元遊女のお卯乃を引き取るが、口が悪く家事も不得手な彼女との暮らしは戸惑いの連続。それでも二人の距離は少しずつ縮まっていく。一方、老中・水野忠邦の倹約令は芝居や商い、市井のささやかな楽しみまで奪い、江戸を息苦しく変えてゆく。上役への忠義、法を守る務め、庶民の苦しみ、そして己の正義。門佑は相反するものの間で何を選ぶのか。改革に翻弄される人々を描く中山義秀文学賞受賞作。権力者だけでなく取り締まる側の葛藤にも光を当て、歴史の波を市井の痛みから見つめ直す。

書籍情報

涅槃の雪 <光文社文庫>

発売日:2014年8月7日

長編
世直し小町りんりん 初刊:2012年2月 単発(ノンシリーズ) 歴史・時代 長編 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

長唄の師匠・お蝶は、三味線と美声に秀で、気風のよさから弁天と評判の女。兄嫁の沙十は、たおやかな色白美人で観音のような佇まい。人呼んで「弁天観音」の義理の姉妹には、町の困り事が次々と舞い込んでくる。井戸をめぐる騒動、若者たちの恋、隠された企み――二人は持ち前の機知と度胸で、こじれた人の心を解きほぐしていく。だが賑やかな日々の陰では、お蝶を狙う何者かの影が次第に大きくなっていた。父の死にもつながる因縁が動き出す中、美人姉妹は大切な人と町を守れるのか。粋と人情、緊張感が響き合う連作時代小説。芸の世界の華やかさと町人の暮らしを背景に、二人の絆が迫る危機の中で試されていく。

書籍情報

世直し小町りんりん <講談社文庫>

発売日:2015年5月15日

長編
千年鬼 初刊:2012年6月 単発(ノンシリーズ) ファンタジー 短編集 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

森に迷い込んだ少女は、過去世を見せる不思議な小鬼と出会い、心に「鬼の芽」を宿してしまう。彼女を長い宿業から解き放つため、小鬼はさまざまな時代をめぐる旅へ出る。病の父を支えて奉公に耐える少年、愛する者を奪った男を苛む姫君、長屋でひとり生きる老婆、凶作の村で娘を守ろうとする農夫、色街へ流れ着いた姉妹。人の胸に芽吹く怒りや恨み、哀しみを集めながら、旅は千年の時を越えていく。鬼とは何か、人は因縁から逃れられるのか。連なる人生の痛みと慈しみを、昔話のような幻想と深い余韻で紡ぐ和風ファンタジー。独立した物語が時を越えて響き合い、最初の少女と小鬼を結ぶ因果へ静かに収束していく。

書籍情報

千年鬼 <徳間文庫>

発売日:2015年8月7日

短編集
閻魔の世直し 善人長屋 初刊:2013年3月 善人長屋シリーズ ミステリー 歴史・時代 長編 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

善人長屋と呼ばれる千七長屋は、表向きこそお人好し揃いだが、実は裏稼業の達人たちが暮らす悪党の巣。そんな江戸の裏社会で、頭衆を狙う「閻魔組」が現れ、天誅を掲げて残虐な襲撃を重ね始める。騒ぎを見過ごせない長屋の面々は、錠前職人の加助が発揮する善意に振り回されながら、同心の目をかわし、情報集めや騙しの技を総動員して敵を追う。正義を名乗る者が本当に正しいとは限らない。過去の因縁と淡い恋心まで絡む中、彼らは閻魔組の正体と企みを暴けるのか。善悪の境を痛快に駆け抜ける、敵味方の境が揺らぐ探索の果てに、長屋の面々は自分たちなりの義理と情けを貫こうとする。善人長屋シリーズ第2巻。

書籍情報

閻魔の世直し 善人長屋 <新潮文庫>

発売日:2015年9月27日

善人長屋シリーズ 長編
三途の川で落しもの 初刊:2013年6月 単発(ノンシリーズ) ファンタジー 短編集 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

現世への未練を抱えたまま三途の川へ来た死者は、黄泉へ渡るために必要な「地蔵玉」を落としてしまうことがある。落とし物を拾う役目を担うのは、川辺に暮らす少年・カンナと相棒のクロ。二人は死者が残した強い思いを解くため現世へ降り、悔いの根を探して走り回る。そこに待つのは、家族への言えなかった言葉、叶えられなかった約束、手放せない愛情。だが人の未練は、外から見えるほど単純ではない。死者と生者の心を結び直しながら、カンナ自身の秘密も少しずつ姿を現す。切なさと温かさが同居する連作和風ファンタジー。少し怖くてどこか可笑しい黄泉の仕組みが、別れを受け入れるまでの心の旅を優しく照らす。

書籍情報

三途の川で落しもの <幻冬舎文庫>

発売日:2016年12月6日

短編集
いつもが消えた日 お蔦さんの神楽坂日記 初刊:2013年11月 お蔦さんの神楽坂日記シリーズ ミステリー 短編集 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

神楽坂で元芸者の祖母・お蔦さんと暮らす中学三年生の滝本望。ある夜、後輩の有斗が幼なじみとともに滝本家を訪れる。ところが翌日、有斗の家からは彼ひとりを残して家族全員が忽然と姿を消していた。明るい少年が抱えていた家庭の事情、残された小さな手がかり、いつもの町に差す不穏な影。ご近所から頼られるお蔦さんは、望や仲間たちとともに家族の行方を追う。望が作る料理で心をつなぎながら、祖母と孫は失踪の裏にある思いへ近づいていく。日常が突然崩れる怖さと人の温もりを描く、いつもの食卓が失われた少年に居場所を差し出す望の優しさも、事件を解く大切な鍵になる。お蔦さんの神楽坂日記シリーズ第2巻。

書籍情報

いつもが消えた日 お蔦さんの神楽坂日記 <創元推理文庫>

発売日:2016年8月20日

お蔦さんの神楽坂日記シリーズ 短編集
鱗や繁盛記 上野池之端 初刊:2014年3月 単発(ノンシリーズ) 歴史・時代 短編集 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

信州の片田舎から、上野池之端の料理屋「鱗や」へ奉公に出たお末。立派な店だと聞いていたのに、実際は料理も接客も三流で、連れ込み宿同然のさびれよう。主人も料理人もやる気を失い、煤けた店には昔の面影すらない。それでも働き者のお末は諦めず、客の腹と心を満たす店へ立て直そうと奔走する。食材、味つけ、もてなし、そして店で働く人々が抱える事情。一つずつ向き合ううち、鱗やに再び活気が宿り始めるが、再建の道は平坦ではない。料理屋の舞台裏と人の縁を生き生きと描く、滋味豊かな連作時代小説。料理をおいしくする工夫と同じように、人を生かすには何が必要かを明るく問いかけてくる。湯気まで目に浮かぶ。

書籍情報

鱗や繁盛記 上野池之端 <新潮文庫>

発売日:2016年9月28日

短編集
まるまるの毬 初刊:2014年6月 南星屋シリーズ 歴史・時代 短編集 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

江戸・麹町の菓子舗「南星屋」は、全国の名菓を手頃な値で売る評判の店。諸国を渡り歩いて菓子を覚えた主の治兵衛、驚くほどの記憶力を持つ出戻り娘のお永、明るい看板娘のお君が、親子三代で切り盛りしている。珍しい菓子を目当てに客が列を作る一方、店には人知れぬ悩みや武家絡みの騒動も持ち込まれる。そして治兵衛には、家族にも重く影を落とす出生の秘密があった。甘い菓子が固くなった心をほどき、縁を結び直していく。職人の誇りと家族の情を味わい深く描く連作時代小説、各地の菓子にまつわる由来と味わいが、店を訪れる人々の人生と豊かに響き合っていく。季節の彩りも豊かだ。南星屋シリーズ第1巻。

書籍情報

まるまるの毬 <講談社文庫>

発売日:2017年6月15日

南星屋シリーズ 短編集
六花落々 初刊:2014年12月 単発(ノンシリーズ) 歴史・時代 長編 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

下総古河藩の下級武士の子・小松尚七は、何を見ても「なぜ」と問い続けるため、周囲から変人扱いされていた。その尽きない探究心を見込まれ、やがて次期藩主となる土井利位の学問相手に抜擢される。蘭学や新しい知識に触れた尚七が心を奪われたのは、ひとつとして同じ形のない雪の結晶。重臣や蘭学者と交流し、観察と記録に没頭する日々は、藩政と幕政の大きなうねりにも巻き込まれていく。身分や古い常識の壁を越え、知りたいという思いはどこまで人を運ぶのか。雪華研究に情熱を注いだ人々を描く清新な歴史小説。好奇心を力に変える尚七の歩みは、身分に縛られた時代を越える学問の喜びを伝えてくれる。

書籍情報

六花落々 <祥伝社文庫>

発売日:2017年10月12日

長編
睦月童 初刊:2015年2月 単発(ノンシリーズ) ファンタジー 歴史・時代 短編集 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

日本橋の酒問屋「国見屋」に、陸奥の山里から奇妙な童女イオがやって来る。十二年に一度里へ降りる「睦月童」だという彼女は、人が隠す罪を目に映す不思議な力を持っていた。跡取り息子の央介は、遊び歩いていた自分を恥じ、イオを守りながら町の事件に向き合い始める。幼い少女が映し出すのは、悪事の証だけではなく、罪の奥にある恐れや悲しみでもあった。やがて二人の探索は、イオの故郷と睦月神をめぐる秘密へつながっていく。人の罪は裁けば消えるのか。江戸の賑わいと伝承の闇が交差する時代ファンタジー。無垢なイオと成長していく央介の絆が、怪異の背後に潜む人間の欲望をまっすぐに照らし出す。

書籍情報

睦月童 <PHP文芸文庫>

発売日:2019年1月5日

短編集
ごんたくれ 初刊:2015年4月 単発(ノンシリーズ) 歴史・時代 長編 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

安永四年の京都。当代一の絵師を目指す豊蔵と彦太郎は、思いがけない出会いから互いの才を知る。強情で偏屈、会えば喧嘩ばかりの二人は、周囲から鼻つまみ者の「ごんたくれ」と呼ばれながらも、相手の絵に刺激を受け、競うように腕を磨いていく。円山応挙や与謝蕪村らが名を馳せる華やかな京画壇で、流行や師の教えに従うだけでは届かない表現を追い求める日々。貧しさ、孤独、評価への渇望に揺さぶられても、描くことをやめられない。実在の奇想の絵師たちをモデルに、創作の歓喜と苦悩を描く長編時代小説。才能とは、師とは、名を残すとは何か。絵に取り憑かれた者の業が、鮮烈な色彩を帯びて迫る。二人の友情も熱い。

書籍情報

ごんたくれ <光文社時代小説文庫>

発売日:2018年1月11日

長編
秋葉原先留交番ゆうれい付き 初刊:2015年10月 単発(ノンシリーズ) ミステリー 警察 短編集 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

電気とオタク文化の街・秋葉原。その交番に勤める権田は筋金入りのオタク警官で、土地勘と細かな知識は抜群。相棒の向谷は長身のイケメンながら少々抜けており、代わりに誰とでも打ち解ける不思議な力を持つ。しかも彼には幽霊が見えるらしい。二人の前に現れたのは、膝から下だけの姿をした女性の幽霊・季穂。なぜ死んだのかも、何を望んでいるのかもわからない彼女をきっかけに、街の事件と人々の秘密がつながり始める。生者の声と死者の思いを拾い、凸凹コンビが謎を解く、笑いと切なさに満ちた人情ミステリー。メイドカフェや電気街など秋葉原ならではの舞台が、現代の孤独とつながりを映し出していく。

書籍情報

秋葉原先留交番ゆうれい付き <角川文庫>

発売日:2018年4月25日

短編集
大川契り 善人長屋 初刊:2015年11月 善人長屋シリーズ ミステリー 歴史・時代 短編集 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

住人の全員が裏稼業を持つ「善人長屋」に、唯一の本物の善人・加助がまた厄介事を持ち込む。掏摸、美人局、騙り、文書偽造――長屋の悪党たちは磨き抜いた技を使い、困っている人をしぶしぶ助けていく。ところがある騒動で、差配の娘お縫と母のお俊が盗人一味の人質に取られてしまう。救出のため一同が動く中、お俊は娘に、若き日の過ちと大川のほとりで交わした約束を語り始める。家族を守るとはどういうことか、善意はいつも人を救うのか。小さな事件の先に、長く秘められた家族の真実が浮かぶ、連作の多彩な人助けと母娘をめぐる物語が重なり、長屋という家族の輪郭を深く刻み込む。善人長屋シリーズ第3巻。

書籍情報

大川契り 善人長屋 <新潮文庫>

発売日:2018年6月28日

善人長屋シリーズ 短編集
九十九藤 初刊:2016年2月 単発(ノンシリーズ) 歴史・時代 長編 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

江戸で人材を斡旋する口入屋。その女主人となったお藤は、武家相手の商いが行き詰まり、店の存続を懸けた勝負に出る。人を見る目と「商いは人で決まる」という信念を頼りに、古い慣習を破る大胆な策を進めるが、周囲の反発は強く、やがて江戸を揺るがす騒動へ発展していく。そんな折、かつて命を救ってくれた恩人によく似た男が現れ、封じてきた思いまで揺さぶられる。店を守る責任、仲間への信頼、運命の恋。曲がりくねった人生の先で、お藤は何を選ぶのか。働く人々の誇りと商いの真髄を描く長編時代小説。男社会の商いへ踏み込むお藤の決断が、縁に導かれてきた半生を新たな未来へ押し進める。逆境を越える力が湧く。

書籍情報

九十九藤 <集英社文庫>

発売日:2018年9月20日

長編
刑罰0号 初刊:2016年8月 単発(ノンシリーズ) SF ミステリー 長編 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

近未来、被害者が味わった恐怖や苦痛を加害者に追体験させる装置「0号」が開発された。死刑に代わり、罪を心から理解させる贖罪システムになるはずだったが、被験者の精神状態に左右され、研究は思うように進まない。しかも開発者の佐田洋介教授が私的に装置を使ったことが発覚し、研究所を追われてしまう。中止されたはずの計画は、部下の江波はるかによって密かに引き継がれるが、記憶を共有すれば人は本当に償えるのか。科学が心と正義の領域へ踏み込むとき、研究者と被験者の運命が交錯する。罪と罰の意味を問う社会派SF。被害の記憶は誰のものかという問いが、善意で始まった技術の危うさと人間の尊厳を照らす。

書籍情報

刑罰0号 <徳間文庫>

発売日:2020年2月7日

長編
みやこさわぎ お蔦さんの神楽坂日記 初刊:2016年10月 お蔦さんの神楽坂日記シリーズ ミステリー 短編集 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

高校生になった滝本望は、元芸者の祖母・お蔦さんと変わらず神楽坂で二人暮らし。ある日、お蔦さんが踊りを教える若手芸妓の都姐さんが、結婚を機に花柳界を去ることになる。皆で婚約を祝った数日後、その都さんが突然姿を消した。めでたい門出の裏に何があったのか。情緒ある路地と商店街を歩き、町の人々の言葉をつなぎながら、お蔦さんと望が真相を追う。四月の不思議な贈り物や三つ子をめぐる騒ぎなど、日常に潜む謎も次々登場。望の手料理と粋な推理が彩る連作ミステリー、表題作を含む七つの事件を通じて、望の世界も少しずつ広がり、青春の迷いが瑞々しく息づく。お蔦さんの神楽坂日記シリーズ第3巻。

書籍情報

みやこさわぎ お蔦さんの神楽坂日記 <創元推理文庫>

発売日:2019年7月11日

お蔦さんの神楽坂日記シリーズ 短編集
猫の傀儡 初刊:2017年5月 単発(ノンシリーズ) 歴史・時代 短編集 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

江戸の猫町で暮らす野良猫ミスジは、失踪した先代・順松の後を継ぎ、猫たちの「傀儡師」に選ばれる。傀儡師とは、人間を操り、猫のために働かせて揉め事を解決する役目。相棒に決めたのは、おっとりした売れない狂言作者・阿次郎だった。最初の依頼は、百両もする朝顔を荒らした花盗人の濡れ衣を晴らすこと。猫の目で町を観察し、阿次郎を巧みに現場へ導くうち、人間たちの欲や哀しみが見えてくる。次々と依頼を解く一匹と一人は、やがて順松失踪の謎へ。猫が人を動かす逆転の発想が楽しい連作時代ミステリー。猫同士の掟と人間社会の可笑しさが交差し、愛らしさだけではない命のしたたかさが光る。猫好きにはたまらない。

書籍情報

猫の傀儡 <光文社文庫>

発売日:2020年5月13日

短編集
銀杏手ならい 初刊:2017年11月 単発(ノンシリーズ) 歴史・時代 長編 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

子に恵まれないことを理由に離縁された二十四歳の萌は、実家へ戻り、父が営んでいた手習所「銀杏堂」を継ぐことになる。だが読み書きを教える腕も、個性の異なる筆子たちを導く自信もまだない。学び方が合わず落ちこぼれとされた子、酒好きだが人を見る目を持つ師匠、年を重ねて学び直そうとする人――さまざまな出会いを通じ、萌は一人ひとりの力を伸ばす教え方を探していく。世間の決めた役割から外れても、人生は何度でも習い直せる。教える者もまた教えられながら成長していく姿を、江戸の学び舎を舞台に温かく描く連作時代小説。筆子の個性に寄り添う日々は、離縁で立ち止まった萌が自分の価値を取り戻す歩みにもなる。

書籍情報

銀杏手ならい <祥伝社文庫>

発売日:2020年9月11日

長編
無暁の鈴 初刊:2018年5月 単発(ノンシリーズ) 歴史・時代 長編 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

武家の庶子として疎まれ、七歳で上野国の山寺へ預けられた久斎。寺でも兄僧たちに虐げられ、唯一の慰めは早朝の水汲みで村娘のしのと言葉を交わすことだった。しかし理不尽な出来事がしのを追い詰め、怒りと絶望にかられた久斎は寺を飛び出す。信じるものを失った彼は「無暁」と名乗り、道中で出会った万吉と江戸へ向かう。僧の道を離れても、世の矛盾や人の弱さは彼を追い続ける。何を信じ、誰を救い、どう生きるのか。少年期から老境まで、迷いと挫折を重ねながら己の答えを求めた一人の僧の生涯を描く長編時代小説。信仰に背を向けては立ち戻る長い歩みの果て、暁のない闇にも響く一筋の鈴の音が胸に残る。

書籍情報

無暁の鈴 <光文社文庫>

発売日:2021年4月13日

長編
雨上がり月霞む夜 初刊:2018年11月 単発(ノンシリーズ) 歴史・時代 短編集 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

火事で店を失った秋成は、幼なじみの雨月が結ぶ庵に身を寄せる。人の言葉を話す兎との出会いをきっかけに、二人は常ならぬ出来事へ次々と巻き込まれていく。死者への執着、かなわぬ恋、嫉妬、復讐――怪異の背後にあるのは、時を越えて残る人間の強い情念だった。書くことに迷う秋成と、謎めいた雨月が耳を傾けるたび、恐ろしい話の輪郭から、哀しみや救いが浮かび上がる。上田秋成の『雨月物語』をモチーフに、江戸の現実と異界の境を鮮やかに結ぶ九つの物語。怖さのあとに静かな余韻が残る幻想時代小説。文学への敬意を込めつつ古典を大胆に読み替え、物語が生まれる瞬間そのものも映し出す。夜に読みたい一冊だ。

書籍情報

雨上がり月霞む夜 <中公文庫>

発売日:2021年11月19日

短編集
永田町小町バトル 初刊:2019年1月 単発(ノンシリーズ) 政治 長編 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

現役キャバクラ嬢でシングルマザー、夜の銀座で働く親のために託児施設を立ち上げた芹沢小町。その行動力と物怖じしない言葉が支持を集め、野党から衆院選に出馬して初当選する。だが男社会の永田町では、待機児童、ひとり親家庭の貧困、賃金格差といった切実な問題も、党利や面子の陰へ押しやられてしまう。法律を変え、予算を得なければ暮らしは変わらない。旧弊な政治の論理とメディアの視線にさらされながら、小町は当事者の声を国会へ届けようと奮闘する。異色の新人議員が閉塞した社会に風穴を開ける、痛快な政治エンターテインメント。子育ての当事者である彼女の怒りと現実感が、数字だけでは見えない政策の意味を突きつける。

書籍情報

永田町小町バトル <実業之日本社文庫>

発売日:2021年6月4日

長編
隠居すごろく 初刊:2019年3月 隠居シリーズ 歴史・時代 短編集 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

巣鴨で六代続く糸問屋の主人・徳兵衛は、三十三年の働きに区切りをつけ、還暦で身代を息子へ譲る。念願の悠々自適が始まるはずだったが、商売一筋で無趣味の身には、隠居暮らしは退屈そのもの。そこへ九歳の孫・千代太が訪れ、野良犬や困り事を次々と拾ってくる。頑固で短気、子供の扱いにも不慣れな徳兵衛は振り回されながら、いつしか町の人々や新しい商いに関わっていく。人生を双六にたとえるなら、隠居は上がりではなく次の振り出しなのか。笑いと涙で第二の人生を描く、商売で培った才覚が思わぬ形で役立ち、家族を顧みなかった男の心にも少しずつ変化が訪れる。老いの景色が一変する。隠居シリーズ第1巻。

書籍情報

隠居すごろく <角川文庫>

発売日:2022年2月22日

隠居シリーズ 短編集
亥子ころころ 初刊:2019年6月 南星屋シリーズ 歴史・時代 短編集 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

江戸・麹町の菓子舗「南星屋」は、主の治兵衛、娘のお永、孫のお君が親子三代で切り盛りする評判の店。諸国の銘菓を手頃な値で出し、味と人情に惹かれた客が絶えない。ところが頼みの治兵衛が手を痛め、粉を捏ねることさえ難しくなってしまう。店の味を守ろうと家族が知恵を絞る中、菓子に託された願いや、固くこじれた人の思いが次々と持ち込まれる。受け継ぐべきものは技だけなのか。色も形も異なる菓子が心をほどき、家族と客の縁を結び直していく。読めば甘い香りが立つ人情時代小説、店の危機をきっかけに、家族それぞれが守りたい味と新しく生み出す味を見つめ直していく。南星屋シリーズ第2巻。

書籍情報

亥子ころころ <講談社文庫>

発売日:2022年6月15日

南星屋シリーズ 短編集
せき越えぬ 初刊:2019年11月 単発(ノンシリーズ) 歴史・時代 短編集 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

東海道・箱根の関所には、今日も切実な事情を抱えた旅人がやって来る。離縁され故郷へ帰る女、江戸から逃げる夫婦、禁制の品に国の未来を託す者たち。実直な番士・武藤一之介は、定められた掟に従いながらも、通行手形の向こうにある人生を見つめていた。そんな彼に、親友の騎山市之助から関所をめぐる法外な頼みが持ち込まれる。職務を守れば友を見捨て、友を救えば自らも罪に問われかねない。越すか、越さぬか――人の岐路を見張る男自身が、最大の決断を迫られる。幕末前夜の緊張と人情を描く連作時代小説。連作で出会う旅人たちの選択が一之介の決断へ重なり、関所という境の意味を浮かび上がらせる。

書籍情報

せき越えぬ <新潮文庫>

発売日:2021年9月29日

短編集
わかれ縁 狸穴屋お始末日記 初刊:2020年2月 狸穴屋お始末日記シリーズ 歴史・時代 短編集 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

定職にも就かず、浮気と借金を繰り返す亭主に愛想を尽かした絵乃は、身ひとつで家を飛び出す。流れ着いたのは、離縁の調停を得意とする公事宿「狸穴屋」。自分の離縁を頼む金がない彼女は、女将の機転で手代見習いとして働くことになる。両親を別れさせたい兄妹、家格も絡む嫁姑問題、子の将来をめぐって争う職人夫婦。持ち込まれるのは、法だけでは割り切れない家族の情がこじれた難題ばかりだ。依頼人の人生を立て直しながら、絵乃は自分の道も取り戻せるのか。江戸の離婚模様を描く、調停とは勝ち負けではなく、絡まった縁に新しい形を与える仕事だと絵乃は学んでいく。狸穴屋お始末日記シリーズ第1巻。

書籍情報

わかれ縁 狸穴屋お始末日記 <文春文庫>

発売日:2023年3月8日

狸穴屋お始末日記シリーズ 短編集
心淋し川 初刊:2020年9月 単発(ノンシリーズ) 歴史・時代 短編集 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

江戸・千駄木町の片隅に、淀んだ小川「心淋し川」が流れる。川沿いの古びた長屋で暮らすのは、人生のどん詰まりでもがく人々。先行きに不安を抱える妾のりき、幼い子の唄に捨てた女の面影を探す飯屋の与吾蔵、住人の世話を焼きながら苦い過去を隠す差配の茂十。誰の心にも、人には見せられない澱がある。それでも互いの痛みに触れたとき、諦めかけた願いに小さな流れが生まれていく。哀しみと喜びが静かに連なり、一つの町の姿を結ぶ六つの物語。人の弱さを温かく見つめる、第164回直木賞受賞作。同じ川辺に生きる人々の物語がゆるやかに重なり、最後に差配が抱える秘密へたどり着く。静かな救いが胸に残る。

書籍情報

心淋し川 <集英社文庫>

発売日:2023年9月20日

短編集
曲亭の家 初刊:2021年4月 単発(ノンシリーズ) 歴史・時代 長編 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

神田の医者の娘として自由に育ったお路は、人気戯作者・曲亭馬琴の一人息子、宗伯に嫁ぐ。ところが婚家は、気難しく家族を圧する舅、癇癪持ちの姑、病弱で怒りっぽい夫が暮らす息詰まる家だった。看病と家事、子育てに追われても、お路は持ち前の明るさと芯の強さで居場所を切り開いていく。やがて馬琴は視力を失い、未完の大作『南総里見八犬伝』を仕上げるため、お路に口述筆記を求める。作家の執念と家族への思いがぶつかる中、彼女は何を支えに筆を取るのか。名作完成の陰に生きた女性を描く歴史小説。耐えるだけではないお路の知恵と決断が、閉ざされた家と物語の未来を少しずつ変えていく。創作を支える覚悟が光る。

書籍情報

曲亭の家 <ハルキ文庫>

発売日:2023年6月15日

長編
婿どの相逢席 初刊:2021年6月 単発(ノンシリーズ) 歴史・時代 長編 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

小さな楊枝屋の四男坊・鈴之助は、大店の仕出屋「逢見屋」の跡取り娘・お千瀬と恋を実らせ、晴れて婿入りする。だが祝言の翌朝、大女将から告げられたのは、店の差配は代々女が担い、婿は口を出さず跡継ぎをもうければよいという家の掟だった。それでも千瀬の力になりたい鈴之助は、前へ出ず、陰から店を支えようと知恵を絞る。商いの難題、姉妹の事情、家族の衝突。婿だからこそ見える綻びに、一つずつ向き合う誠実さが、やがて老舗を動かしていく。控えめな男の矜持と深い家族愛を描く人情時代小説。料理と仕出しの細やかな仕事を通じ、表に立たずとも家を支える強さが晴れやかに描かれる。食卓の風景も実に温かい。

書籍情報

婿どの相逢席 <幻冬舎時代小説文庫>

発売日:2024年6月6日

長編
六つの村を越えて髭をなびかせる者 初刊:2022年1月 単発(ノンシリーズ) 歴史・時代 長編 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

出羽の貧しい百姓家に生まれた元吉は、学問への情熱を胸に江戸へ出て、働きながら私塾で学ぶ。その才を認められ、最上徳内と名を改めて幕府の蝦夷地見分隊に加わることに。天明の飢饉と北方の脅威を背景に、未知の土地へ渡った徳内は、松前藩からアイヌとの接触を禁じられながらも、彼らの言葉と暮らしを知ろうとする。自然を敬い、土地に生きる人々と心を通わせるほど、幕府や藩の都合との隔たりは鮮明になる。度重なる失脚にも屈せず北方を歩き続けた探検家の生涯を、友情と師弟の絆を通して描く歴史巨編。地図と言葉を残そうとする姿勢は、未知を征服するのではなく理解しようとする探検の形を示す。

書籍情報

六つの村を越えて髭をなびかせる者 <PHP文芸文庫>

発売日:2025年3月11日

長編
よろずを引くもの お蔦さんの神楽坂日記 初刊:2022年5月 お蔦さんの神楽坂日記シリーズ ミステリー 短編集 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

祖母のお蔦さんと神楽坂で暮らす高校生・滝本望。商店街で万引きが相次ぎ、ついには逃げる犯人に突き飛ばされた和菓子店主が怪我をする。正義感に駆られた望と友人の洋平は似顔絵を作って捕まえようとするが、粋で人を見る目の鋭いお蔦さんは、二人の勢いに待ったをかける。なくなった石膏像の腕、母親のいない幼い兄妹、姿を消した町の人気猫など、日常の謎にはそれぞれ事情が隠れていた。手料理を囲み、人の言葉に耳を澄ませながら真相へ近づく連作ミステリー、高校生らしい焦りや友情も丁寧に描かれ、祖母から孫へ受け継がれる人を見る眼差しが温かい。町の魅力もたっぷりだ。お蔦さんの神楽坂日記シリーズ第4巻。

書籍情報

よろずを引くもの お蔦さんの神楽坂日記 <創元推理文庫>

発売日:2024年12月18日

お蔦さんの神楽坂日記シリーズ 短編集
首取物語 初刊:2022年9月 単発(ノンシリーズ) ファンタジー 長編 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

空腹に耐えかねた少年は、目の前の男から握り飯を奪う。だが同じ場面が何度も繰り返されていると気づいたとき、首だけの姿をした侍と出会う。少年も男も過去の記憶を失っており、なぜここにいるのか、男がなぜ首だけなのかもわからない。二人は独楽の国、波鳥の国、碧青の国など、理の異なる不思議な国へ次々と飛ばされる。出会いと別れを重ねるうち、失われた記憶の欠片と、旅を続ける理由が少しずつつながっていく。罪、赦し、絆の意味を問いながら、奇妙な道連れの運命を描く和風ファンタジー。幻想的な国々の美しさと残酷さが、二人の失った過去を映す鏡となり、旅の緊張を高めていく。結末への興味が尽きない。

書籍情報

首取物語 <徳間文庫>

発売日:2024年10月11日

長編
うさぎ玉ほろほろ 初刊:2022年12月 南星屋シリーズ 歴史・時代 短編集 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

武士から菓子職人へ転じた治兵衛、出戻り娘のお永、看板娘のお君。親子三代が営む江戸・麹町の「南星屋」には、諸国の菓子と温かな人情を求めて客が列をなす。麹町を大火が襲った夜から、店へ通っていた気のいい渡り中間が姿を見せなくなり、一家は身を案じていた。やがて思いもよらぬ場所から届いた消息が、彼の過去と家族の思いを運んでくる。饅頭、肉桂餅、うさぎ玉――一つひとつの菓子に託された願いが、強張った心をほろりとほどく。甘さの奥に人生の滋味が残る、火事の傷跡と店を訪れる人々の事情が重なり、菓子を作り続けることの意味が胸に迫る。家族の味が温かく残る。南星屋シリーズ第3巻。

書籍情報

うさぎ玉ほろほろ <講談社文庫>

発売日:2026年2月13日

南星屋シリーズ 短編集
とりどりみどり 初刊:2023年3月 単発(ノンシリーズ) ミステリー 歴史・時代 短編集 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

万両店に数えられる廻船問屋「飛鷹屋」の末っ子・鷺之介は、父が航海で留守がちの店で、三人の姉に囲まれて暮らしている。伝法で勢いのある長女、物事の核心を容赦なく突く次女、頭が切れて理屈っぽい三女。個性も主張も強い姉たちに振り回される毎日だが、町や店で不可解な出来事が起きると、四人はそれぞれの観察力を持ち寄り、思わぬ真相を見抜いていく。口喧嘩は絶えなくても、いざという時の結束は誰より強い。商家の賑わいと家族の愛情、軽やかな謎解きが彩る、笑って胸が温まる連作時代小説。姉弟の遠慮のないやり取りの奥に、亡き母と不在の父を含む一家の強い結びつきが息づく。船問屋の日常も賑やかだ。

書籍情報

とりどりみどり <祥伝社文庫>

発売日:2026年9月9日

短編集
隠居おてだま 初刊:2023年5月 隠居シリーズ 歴史・時代 短編集 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

還暦で糸問屋を退き、第二の人生を歩み始めた徳兵衛。静かな隠居家は、人たらしの孫・千代太が連れてくる子供たちで今日も大にぎわいだ。親たちの事情にまで首を突っ込むうち、徳兵衛は女性の職人たちと新たな組紐商いを始め、忙しくも充実した日々を送っている。ところが商いに夢中になるあまり、自分の家族に芽吹いた悶着の種には気づかない。末娘の縁談、親子のすれ違い、夫婦の危機。頑固なご隠居は、今度こそ身近な人の本音を受け止められるのか。愛と笑いに満ちた、人を手玉に取るつもりが家族に取られ、賽とは違う人生の難しさを徳兵衛は噛みしめていく。老後の挑戦が頼もしい。隠居シリーズ第2巻。

書籍情報

隠居おてだま <角川文庫>

発売日:2025年12月25日

隠居シリーズ 短編集
因果の刀 金春屋ゴメス 初刊:2023年7月 金春屋ゴメスシリーズ SF ミステリー 歴史・時代 長編 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

近未来の日本の内側で鎖国を続ける「江戸国」に、建国以来の危機が迫る。阿片流出事件を受けて日本から来た査察団の長・印西茂樹は、長崎奉行「金春屋ゴメス」へ秘密裡に接触し、開国と領土の明け渡しを迫る。狙いは地中に眠る白緑石。莫大な利益を生むロケット燃料の資源だという。拒めば国そのものを消滅させるとの脅しに、ゴメスと辰次郎たちは江戸の暮らしと人々を守る道を探る。国家の思惑と個人の愛憎が交差し、運命に引き裂かれた者たちの選択が国を揺るがす。壮大な危機に挑む時代を守ることと変えることの狭間で、ゴメスの豪胆さと仲間たちの知恵がかつてなく試される。金春屋ゴメスシリーズ第3巻。

書籍情報

因果の刀 金春屋ゴメス <新潮文庫nex>

発売日:2023年7月28日

金春屋ゴメスシリーズ 長編
姥玉みっつ 初刊:2024年3月 単発(ノンシリーズ) 歴史・時代 長編 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

名主の書役を務め上げたお麓は、歌を詠みながら一人静かに余生を送るつもりだった。ところが閑居へ、能天気なお菅と派手好きなお修という幼なじみ二人が転がり込み、穏やかな日々は一変。さらにお菅が空き地で倒れていた女と、声を出せない少女を見つけてくる。事情を抱えた母子を放っておけず、口も気性も異なる三人の婆は、にぎやかな共同生活を始めることに。少女の出自を探れば今の暮らしを失うかもしれない。それでも彼女の未来のために動く三人が、老いと孤独を笑い飛ばす。泣いて笑える痛快な時代小説。互いの欠点を知り尽くした幼なじみだからこその遠慮のなさと情の深さが、騒動を力へ変える。

書籍情報

姥玉みっつ <潮文庫>

発売日:2026年6月5日

長編
バタン島漂流記 初刊:2024年6月 単発(ノンシリーズ) 歴史・時代 長編 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

船大工を志しながら挫折し、水夫へ転じた和久郎は、胸に屈託を抱えたまま廻船業に従事していた。ある航海で船が難破し、仲間たちと大海原を漂流することになる。水も食料も尽き、生還が絶望視される中、どうにか未知の島へたどり着くが、そこには異国の民との出会いと、さらに苛烈な試練が待っていた。信仰、仲間への疑い、故郷への執念。極限状態で露わになる人間の弱さと強さを抱え、和久郎たちは帰国の道を探す。史実に残る海難事故をもとに、鎖国下の非情さまで描く海洋歴史冒険小説。海上から漂着後、そして帰国まで続く困難の一つひとつが、仲間と生き延びる覚悟を試していく。息詰まる航海が続く。

書籍情報

バタン島漂流記 <光文社文庫>

発売日:2026年12月9日(予約商品)

長編
牧谿の猿 善人長屋 初刊:2024年12月 善人長屋シリーズ ミステリー 歴史・時代 短編集 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

表向きは人のいい店子ばかり、実は裏稼業の達人が集う「善人長屋」。本物の善人・加助の人助け癖に巻き込まれ、悪党たちは今日も磨き抜いた手管で騒動を解く。ある日、大切な白狐の根付を失った商家の女房が訪ねてくる。それが十数年前に江戸を騒がせた盗賊の持ち物とわかり、過去と現在の事件がつながり始める。判じ絵の暗号、苦境にある子供、再び現れた白狐、そして名画「牧谿の猿」。粋な謎解きの奥で、人の欲と情が交差する。悪を知る者たちだからこそ救える命を描く、子供たちを利用する悪意に立ち向かう姿は、善と悪を単純に分けないシリーズの魅力を深める。再会の喜びも大きい。善人長屋シリーズ第4巻。

書籍情報

牧谿の猿 善人長屋 <善人長屋>

発売日:2024年12月16日

善人長屋シリーズ 短編集
初瀬屋の客 狸穴屋お始末日記 初刊:2025年3月 狸穴屋お始末日記シリーズ 歴史・時代 短編集 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

浮気と借金を重ねた亭主との離縁を果たし、公事宿「狸穴屋」で働く絵乃。今度は離縁調停人として、祭りが原因でこじれた夫婦、家や財産をめぐる争い、何十年も前の縁が再び動き出す騒動など、法だけでは割り切れない難題に向き合う。表題作で持ち込まれるのは、公事師の娘からの奇妙な依頼――宿の客の後をつけてほしいというものだった。人が別れを選ぶとき、守りたいものは何なのか。依頼人の言葉の裏を読み、嘘と情を丁寧にほどきながら、絵乃自身も調停人として成長していく。一つの縁を終わらせることが、別の人生を始める力になる。絵乃の眼差しはさらに頼もしくなる。狸穴屋お始末日記シリーズ第2巻。

書籍情報

初瀬屋の客 狸穴屋お始末日記 <単行本>

発売日:2025年3月5日

狸穴屋お始末日記シリーズ 短編集
二月に憂鬱な君へ お蔦さんの神楽坂日記 初刊:2026年6月 お蔦さんの神楽坂日記シリーズ ミステリー 短編集 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

祖母のお蔦さんと神楽坂で暮らす望のまわりには、今日も少し不思議な相談が集まる。何かを隠しているらしい幼なじみの部活仲間、不思議な宛名の手紙に添えられた暗号めいた図とメッセージ、不倫騒動の渦中にいる有名人の突然の来訪。表面だけを見れば小さな出来事でも、その奥には言葉にできない悩みや、誰かを思う気持ちが潜んでいる。商店街の皆に頼られるお蔦さんとともに、一つずつ相談に向き合う望は、人の複雑さを知りながら成長していく。粋と人情、手料理の温もりが謎を包む、高校生活と町の四季が移ろう中、謎を解くことは誰かの胸の内を尊重することだと気づいていく。お蔦さんの神楽坂日記シリーズ第5巻。

書籍情報

二月に憂鬱な君へ お蔦さんの神楽坂日記 <単行本>

発売日:2026年6月29日

お蔦さんの神楽坂日記シリーズ 短編集
かぜゆら 初刊:2026年9月 単発(ノンシリーズ) 歴史・時代 短編集 Amazonで見る
あらすじ・書籍情報を開く 書籍情報を閉じる
あらすじ

江戸で風鈴を作る若き職人・宇多次は、亡き師匠の教えを胸に、澄んだ音を追い求めている。腕を磨いても、師が残した境地にはなかなか届かない。そんな彼が出会ったのは、心を閉ざした孤独な少年と、素性も目的もわからない謎めいた女。二人との関わりは、職人としての迷いだけでなく、宇多次自身が抱えてきた喪失にも触れていく。ガラスの形、舌が奏でる音、風が運ぶ一瞬の響き。消えてしまう音に、人はどんな思いを託すのか。ものづくりの誇りと人の縁を重ね、若い職人が師の教えを自分の技へ結実させるまでを描く江戸職人譚。まだ書誌情報の少ない新作ながら、風鈴の音と人の心を結ぶ静かな余韻への期待が高まる。

書籍情報

かぜゆら <単行本>

発売日:2026年9月28日

短編集
あわせて読みたい

当サイトで紹介している作家さんは下のリンク先でまとめています。