西條奈加の新刊一覧表
単行本
| 発売日 | タイトル | シリーズ名 | 詳細 |
|---|---|---|---|
| かぜゆら | ― | 詳細 | |
| 二月に憂鬱な君へ お蔦さんの神楽坂日記 | お蔦さんの神楽坂日記 | 詳細 | |
| 初瀬屋の客 狸穴屋お始末日記 | 狸穴屋お始末日記 | 詳細 | |
| 牧谿の猿 善人長屋 | 善人長屋 | 詳細 | |
| バタン島漂流記 | ― | 詳細 |
文庫
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『かぜゆら』(発売日:2026年9月28日)
江戸で風鈴を作る若き職人・宇多次は、亡き師匠の教えを胸に、澄んだ音を追い求めている。腕を磨いても、師が残した境地にはなかなか届かない。そんな彼が出会ったのは、心を閉ざした孤独な少年と、素性も目的もわからない謎めいた女。二人との関わりは、職人としての迷いだけでなく、宇多次自身が抱えてきた喪失にも触れていく。ガラスの形、舌が奏でる音、風が運ぶ一瞬の響き。消えてしまう音に、人はどんな思いを託すのか。ものづくりの誇りと人の縁を重ね、若い職人が師の教えを自分の技へ結実させるまでを描く江戸職人譚。まだ書誌情報の少ない新作ながら、風鈴の音と人の心を結ぶ静かな余韻への期待が高まる。
『二月に憂鬱な君へ お蔦さんの神楽坂日記』(発売日:2026年6月29日)
祖母のお蔦さんと神楽坂で暮らす望のまわりには、今日も少し不思議な相談が集まる。何かを隠しているらしい幼なじみの部活仲間、不思議な宛名の手紙に添えられた暗号めいた図とメッセージ、不倫騒動の渦中にいる有名人の突然の来訪。表面だけを見れば小さな出来事でも、その奥には言葉にできない悩みや、誰かを思う気持ちが潜んでいる。商店街の皆に頼られるお蔦さんとともに、一つずつ相談に向き合う望は、人の複雑さを知りながら成長していく。粋と人情、手料理の温もりが謎を包む、高校生活と町の四季が移ろう中、謎を解くことは誰かの胸の内を尊重することだと気づいていく。お蔦さんの神楽坂日記シリーズ第5巻。
『初瀬屋の客 狸穴屋お始末日記』(発売日:2025年3月5日)
浮気と借金を重ねた亭主との離縁を果たし、公事宿「狸穴屋」で働く絵乃。今度は離縁調停人として、祭りが原因でこじれた夫婦、家や財産をめぐる争い、何十年も前の縁が再び動き出す騒動など、法だけでは割り切れない難題に向き合う。表題作で持ち込まれるのは、公事師の娘からの奇妙な依頼――宿の客の後をつけてほしいというものだった。人が別れを選ぶとき、守りたいものは何なのか。依頼人の言葉の裏を読み、嘘と情を丁寧にほどきながら、絵乃自身も調停人として成長していく。一つの縁を終わらせることが、別の人生を始める力になる。絵乃の眼差しはさらに頼もしくなる。狸穴屋お始末日記シリーズ第2巻。
『牧谿の猿 善人長屋』(発売日:2024年12月16日)
表向きは人のいい店子ばかり、実は裏稼業の達人が集う「善人長屋」。本物の善人・加助の人助け癖に巻き込まれ、悪党たちは今日も磨き抜いた手管で騒動を解く。ある日、大切な白狐の根付を失った商家の女房が訪ねてくる。それが十数年前に江戸を騒がせた盗賊の持ち物とわかり、過去と現在の事件がつながり始める。判じ絵の暗号、苦境にある子供、再び現れた白狐、そして名画「牧谿の猿」。粋な謎解きの奥で、人の欲と情が交差する。悪を知る者たちだからこそ救える命を描く、子供たちを利用する悪意に立ち向かう姿は、善と悪を単純に分けないシリーズの魅力を深める。再会の喜びも大きい。善人長屋シリーズ第4巻。
『バタン島漂流記』(発売日:2024年6月26日)
船大工を志しながら挫折し、水夫へ転じた和久郎は、胸に屈託を抱えたまま廻船業に従事していた。ある航海で船が難破し、仲間たちと大海原を漂流することになる。水も食料も尽き、生還が絶望視される中、どうにか未知の島へたどり着くが、そこには異国の民との出会いと、さらに苛烈な試練が待っていた。信仰、仲間への疑い、故郷への執念。極限状態で露わになる人間の弱さと強さを抱え、和久郎たちは帰国の道を探す。史実に残る海難事故をもとに、鎖国下の非情さまで描く海洋歴史冒険小説。海上から漂着後、そして帰国まで続く困難の一つひとつが、仲間と生き延びる覚悟を試していく。息詰まる航海が続く。
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『とりどりみどり』(発売日:2026年9月9日)
万両店に数えられる廻船問屋「飛鷹屋」の末っ子・鷺之介は、父が航海で留守がちの店で、三人の姉に囲まれて暮らしている。伝法で勢いのある長女、物事の核心を容赦なく突く次女、頭が切れて理屈っぽい三女。個性も主張も強い姉たちに振り回される毎日だが、町や店で不可解な出来事が起きると、四人はそれぞれの観察力を持ち寄り、思わぬ真相を見抜いていく。口喧嘩は絶えなくても、いざという時の結束は誰より強い。商家の賑わいと家族の愛情、軽やかな謎解きが彩る、笑って胸が温まる連作時代小説。姉弟の遠慮のないやり取りの奥に、亡き母と不在の父を含む一家の強い結びつきが息づく。船問屋の日常も賑やかだ。
『姥玉みっつ』(発売日:2026年6月5日)
名主の書役を務め上げたお麓は、歌を詠みながら一人静かに余生を送るつもりだった。ところが閑居へ、能天気なお菅と派手好きなお修という幼なじみ二人が転がり込み、穏やかな日々は一変。さらにお菅が空き地で倒れていた女と、声を出せない少女を見つけてくる。事情を抱えた母子を放っておけず、口も気性も異なる三人の婆は、にぎやかな共同生活を始めることに。少女の出自を探れば今の暮らしを失うかもしれない。それでも彼女の未来のために動く三人が、老いと孤独を笑い飛ばす。泣いて笑える痛快な時代小説。互いの欠点を知り尽くした幼なじみだからこその遠慮のなさと情の深さが、騒動を力へ変える。
『うさぎ玉ほろほろ』(発売日:2026年2月13日)
武士から菓子職人へ転じた治兵衛、出戻り娘のお永、看板娘のお君。親子三代が営む江戸・麹町の「南星屋」には、諸国の菓子と温かな人情を求めて客が列をなす。麹町を大火が襲った夜から、店へ通っていた気のいい渡り中間が姿を見せなくなり、一家は身を案じていた。やがて思いもよらぬ場所から届いた消息が、彼の過去と家族の思いを運んでくる。饅頭、肉桂餅、うさぎ玉――一つひとつの菓子に託された願いが、強張った心をほろりとほどく。甘さの奥に人生の滋味が残る、火事の傷跡と店を訪れる人々の事情が重なり、菓子を作り続けることの意味が胸に迫る。家族の味が温かく残る。南星屋シリーズ第3巻。
『隠居おてだま』(発売日:2025年12月25日)
還暦で糸問屋を退き、第二の人生を歩み始めた徳兵衛。静かな隠居家は、人たらしの孫・千代太が連れてくる子供たちで今日も大にぎわいだ。親たちの事情にまで首を突っ込むうち、徳兵衛は女性の職人たちと新たな組紐商いを始め、忙しくも充実した日々を送っている。ところが商いに夢中になるあまり、自分の家族に芽吹いた悶着の種には気づかない。末娘の縁談、親子のすれ違い、夫婦の危機。頑固なご隠居は、今度こそ身近な人の本音を受け止められるのか。愛と笑いに満ちた、人を手玉に取るつもりが家族に取られ、賽とは違う人生の難しさを徳兵衛は噛みしめていく。老後の挑戦が頼もしい。隠居シリーズ第2巻。
『六つの村を越えて髭をなびかせる者』(発売日:2025年3月11日)
出羽の貧しい百姓家に生まれた元吉は、学問への情熱を胸に江戸へ出て、働きながら私塾で学ぶ。その才を認められ、最上徳内と名を改めて幕府の蝦夷地見分隊に加わることに。天明の飢饉と北方の脅威を背景に、未知の土地へ渡った徳内は、松前藩からアイヌとの接触を禁じられながらも、彼らの言葉と暮らしを知ろうとする。自然を敬い、土地に生きる人々と心を通わせるほど、幕府や藩の都合との隔たりは鮮明になる。度重なる失脚にも屈せず北方を歩き続けた探検家の生涯を、友情と師弟の絆を通して描く歴史巨編。地図と言葉を残そうとする姿勢は、未知を征服するのではなく理解しようとする探検の形を示す。