安東能明の作品一覧
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朝もやに包まれた街で、ジョギング中の男が異様な手口で惨殺された。首には深い傷、眼球は失われ、現場には凶器も有力な遺留品もない。捜査陣を嘲笑うかのような犯行の背後に浮かぶのは、過去を忘れて平穏に暮らす者たちを狙う、正体不明の「狩人」の影だった。被害者はなぜ選ばれ、常人離れした襲撃はいかにして行われたのか。森に封じられた記憶と復讐が、現在の街へ静かに忍び寄る。自然と都市、加害と被害の境界を揺さぶりながら、執念の捜査が忘却された罪を掘り起こしていく。第7回日本推理サスペンス大賞優秀賞に輝いた、緊迫の長編サスペンス。追う者と追われる者の視点が交差し、荒々しい自然の気配が捜査の緊張をさらに高める。
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保健センターに勤める保健婦・工藤公恵のもとへ、若い母親から切迫した電話が入る。駆けつけた先で目にしたのは、血まみれになった三歳の少女だった。幼児虐待を疑った公恵は母子を見守り始めるが、救う側であるはずの彼女自身も、家庭と心に深い闇を抱えていた。母はなぜ、守るべきわが子を傷つけてしまうのか。二組の親子を結ぶ不穏な兆候は、やがて日常の輪郭を崩し、善意だけでは止められない恐怖へと変わっていく。親子の愛情と依存、孤立の果てに潜む地獄を息詰まる筆致で描く、第1回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞作。支援の手が届きにくい家庭の密室で、二人の母親の選択が互いの運命を大きく変えていく。
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全国の道路を渡り歩くトラッカーたちの世界で、空前の金塊強奪計画が動き出す。検問をすり抜け、刻々と狭まる包囲網をかわしながら、一台のトラックは正体の知れない積荷を抱えて西へ走り続ける。飛び交うCB無線、行く手を阻む追跡者、そして道中に浮かび上がる謎の白骨死体。運送会社同士の熾烈な潰し合いまで絡み、単純な強奪事件は物流網そのものを舞台にした危険な駆け引きへ変貌していく。荷台に隠されたものは何か、誰が誰を利用しているのか。巨大な流通システムの裏側と、道路に生きる者たちの誇りを疾走感たっぷりに描くロードサスペンス。夜の国道を巨大なチェス盤に変え、運転手たちの連帯と裏切りが最後まで予断を許さない。
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二月十日午前五時。鉄道運転士の時計、ケーブルテレビの放送、精密機械工場の時刻が、互いに無関係な場所で一斉に十五秒遅れ、そのわずかなずれが二人の死を招いた。偶然では説明できない異常の背後に、時間を自在に操るという「絶対時計」の存在がちらつく。秒単位で動く鉄道と社会の仕組みを狙い、誰が、何のために時刻を狂わせたのか。調査が進むほど、日常を支える時刻の信頼は崩れ、人々は見えない罠へ追い込まれていく。たった十五秒が大事故と社会混乱を引き起こす恐怖を、タイムパラドックスの謎とともに描く、ノンストップ・サスペンスホラー。鉄道、放送、工場を結ぶ見えない連鎖を追うほど、社会全体が巨大な時計仕掛けに見えてくる。
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福祉機器会社の営業部長・松永秀夫が目覚めると、そこは病院だった。会社で何が起きたのか、なぜ倒れたのか、目の前の人物が誰なのかさえ思い出せず、新しい記憶も留められない。折しも、経営難に陥った会社の社長が車内で焼身自殺を遂げていた。次期社長の有力候補だった松永は、自分がその死に関わったのではないかという疑念に怯えながら、失われ続ける記憶を手がかりに空白の時間をたどり始める。周囲の言葉は真実なのか、それとも彼を操るための虚構なのか。頼るべき自分自身さえ信用できない極限状況で、会社に潜む秘密と一人の少女の影が交錯する心理ミステリー。断片的な記憶が戻るたび、味方に見えた人物への疑いと、自分自身への恐怖が深まっていく。
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箱根駅伝本戦を目前に、出場校の女子マネージャーが何者かに拉致された。犯人はチームの有力選手一人を指名して欠場を要求し、監禁映像をテレビ局へ送りつけ、駅伝中継そのものを乗っ取れると示唆する。解決の糸口がつかめないまま、選手たちは往路のスタートを切る。すると犯人は、コース上での身代金受け渡しを生中継せよという新たな条件を突きつけた。競技の栄光、仲間の命、報道の使命、警察の威信。沿道の熱狂の陰で、それぞれの思惑が激しく交錯する。全国が見守る箱根路を巨大な舞台に変えた、疾走感と感動に満ちた誘拐サスペンス。走者が一本の襷に託す思いと、救出を願う者たちの決断が、極限のレースを熱く加速させる。
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パリで活躍するファッションデザイナー・三上連には、誰にも明かせない過去があった。少年時代にある人物を殺し、その遺体を建設中の青函トンネルへ隠したのだ。二十五年後、成功を手にした彼のもとへ、忘れたはずの罪を知る者から脅迫状が届く。故郷へ戻った三上を待っていたのは、過去の関係者たちと、巨大海底トンネルに迫る異変だった。密室にも似た海峡の地下で、封印された殺人と現在の危機が結びついていく。脅迫者は誰なのか、なぜ今になって罪を暴こうとするのか。そして大量の海水に脅かされるトンネルから、人々は脱出できるのか。息詰まるパニック・ミステリー。過去を埋めた場所が現在の逃げ場を奪う中、三上は罪から目をそらさず生還への道を探す。
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地下数十メートルに造られた居住施設で一か月暮らせば、待望の子を授かることができる。そんな触れ込みに望みを託し、不妊に悩む高代夫妻は実験への参加を決めた。やがて娘・朋香が生まれ、二人は幸福の絶頂に包まれる。だが同じ地下生活を経験した三組の夫婦の子どもたちが、いずれも生後百二十五日目に突然死していたと知る。さらに、先の参加者の一人がマンションから身を投げた。迫る運命の日までに、娘を救う方法を見つけなければならない。奇跡の懐妊をもたらした施設では何が行われていたのか。科学と欲望が生んだ密室の秘密へ挑む、ノンストップ・サスペンスホラー。幸福を約束したはずの住まいが、親たちを監視し選別する装置のような貌を見せ始める。
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多くの日系ブラジル人が暮らす地方都市・大浜市。人材派遣会社で働きながら司法通訳を務める日系三世の片桐エリザは、コンビニ強盗で逮捕された少年の取調べに立ち会う。そこで耳にしたのは、勤務先から大金を奪ってブラジルへ逃げた男が再び日本へ来たという情報だった。事件を追ううち、エリザがサルバドールの貧民街でストリートチルドレンとして生きた過去と、仲間を奪った「死の部隊」の記憶がよみがえる。言葉の壁に隠された証言、移民社会の孤立、迫り来る追手。通訳として他人の言葉をつなぐ彼女は、自らの復讐心と向き合いながら、現在と過去が交差する危険な捜査へ踏み込んでいく。日本とブラジル、二つの文化の狭間で生きる人々の声が、事件の真相を多面的に映し出す。
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踏切事故で命を落とした少女は、その数時間前、事故の光景と奇妙に一致する絵を描いていた。偶然その絵を見つけた万里は、死の直前に描かれるという「予知絵」に惹かれ、同じような事例を調べ始める。やがて複数の子どもの絵に共通する不気味な形が、描き手の周囲で起きる死と結びついていることに気づく。万里が「死紋」と名づけたその印が、今度は自分の息子の絵に現れた。絵は未来を告げるだけなのか、それとも死を呼び寄せるのか。残された時間の中、息子を守ろうと奔走する母の前で、偶然と超常現象の境界が崩れていく。家族への愛が恐怖を貫く異色サスペンス・ミステリー。子どもたちの無垢な線に刻まれた警告を読み解くほど、万里自身の過去にも異変が迫る。
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新聞社の窓際記者・岩田修一郎のもとへ、かつて取材した元服役囚から一本の電話が入る。「このままでは人を殺してしまう」。起死回生の特ダネを予感した岩田は半信半疑で男のもとへ急ぐが、やがて警官が殺され、予告は現実の事件として牙をむく。容疑者の背後を追う取材は、自殺した少女、音大受験を左右した補導記録、警察内部の対立、企業との癒着へとつながっていく。男は本当に殺人者なのか、それとも誰かの罪を背負わされているのか。組織が隠そうとする過去に対し、記者たちは言葉と足で真実を追う。報道と警察の正義が激突する、骨太の社会派サスペンス。記事にする責任と人を救う責任の間で、岩田は記者としての覚悟を厳しく試されていく。
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大晦日、一家三人が惨殺される凄惨な事件が発生した。捜査本部で重要な役目を担った刑事・幸本は、捜査方針をめぐる対立から本部を外され、やがて所轄の生活安全課へ追いやられる。五年後、膨大な物証に翻弄された事件は迷宮入り寸前。それでも幸本は、公式捜査とは異なる視点から密かに犯人を追い続けていた。偶然手にした一つの指紋が、止まっていた時間を動かす。しかし勝負に使える猶予はわずか十日。組織の支援もなく、過去の失敗と向き合いながら、幸本は執念の単独捜査に踏み出す。積み上げられた証拠の迷路から真実への一本の道を探す、重厚な警察ミステリー。時間切れが迫るほど、かつて本部が見落とした小さな違和感が、決定的な意味を帯びてくる。
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警視庁総務部で係長を務める三十代の警部・柴崎令司は、さらなる出世を望む内勤のエリートだった。だが総監へのレクチャー中、部下が拳銃自殺を遂げ、不祥事の責任を負って綾瀬署へ左遷される。捜査経験に乏しい柴崎を待っていたのは、少年犯罪、内通、孤独死など、書類だけでは測れない事件と人間の痛みだった。本庁復帰を狙う打算と、現場で芽生える警察官としての矜持。その間で揺れながら、柴崎は泥にまみれて一件ずつ真相に向き合っていく。日本推理作家協会賞受賞作「随監」を含み、組織の論理と市井の現実を鋭く描く連作警察小説一話ごとの事件が、エリートだった男を現場の痛みが分かる捜査官へ鍛え直していく。、柴崎令司シリーズ第1巻。
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刑事として第一線に立つ夢を追いながら、熱意が空回りして交通課や地域課を転々としてきた結城公一。四十歳にしてようやく警視庁生活安全特別捜査隊の班長となるが、そこはダフ屋や風俗の取締りしかできないと揶揄される地味な部署だった。それでも結城は、癖の強い部下たちと街へ出て、いじめ、ゴミ屋敷、認知症など、刑事課が「事件ではない」と線を引く問題に向き合う。小さな相談の奥には、見過ごせない暴力と人間の孤立が潜んでいた。犯罪と生活問題の境界を越え、声なき被害者を救えるのか。警察内部の縄張り争いにも挑む事件になる前の悲鳴を拾う仕事の重さが、結城と仲間たちの信念を静かに形作っていく。、生活安全特捜隊シリーズ第1巻。
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警視庁生活安全特別捜査隊の班長となって二年目、結城公一はようやく捜査指揮に手応えを得始めていた。そんな折、税関から国際小包に麻薬が隠されているとの情報が入る。本来は組織犯罪対策部の所管だが、結城は新人刑事・寺町由里子らと、荷物を泳がせて受取人と組織を追う「コントロールド・デリバリー」に踏み切る。縦割りの壁、情報を奪い合う部署、姿の見えない密売網。どこまでが生活安全部の仕事で、誰のための捜査なのか。小さな端緒から社会の深部へ入り込み、花形部署に負けじと真相へ迫る刑事たちを描く所管という線引きを越えた先で、結城は犯罪を生む社会の盲点と被害者の孤独に直面する。、生活安全特捜隊シリーズ第2巻。
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渋谷のクラブで、脱法ドラッグの売人を一斉摘発する大規模作戦が行われた。指揮を執る生活安全特捜隊班長・結城公一は、売人を取り逃がしたうえ、強引な手法をマスコミに批判される。上司から早期逮捕と記者会見を迫られる中、捜査線上に浮かんだのは、下北沢で小学生にダンスを教える男だった。薬物事件の陰では、家族の断絶や特別養護老人ホームの闇など、別々に見えた問題が静かに流れ合う。表面上の解決が、誰かの不幸の始まりになることもある。組織の都合に抗い、見えない被害をすくい上げようとする特捜隊の奔走を描く成果を急ぐ上層部に抗い、結城たちは解決後まで続く被害者の人生を見据えて捜査を進める。、生活安全特捜隊シリーズ第3巻。
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元高校物理教師という異色の経歴を持つ蒲田中央署の刑事・神村五郎。階級は平刑事ながら、卓越した推理力と検挙実績から、署内では署長に次ぐ「第II捜査官」と呼ばれている。ある日、夫を刺して取調べ中の女性被疑者が、担当刑事とともに忽然と姿を消した。数日後、二人は青酸カリによる服毒死体で発見される。逃亡の末の心中に見えるが、死亡時刻のずれと現場の物理的な違和感が神村の疑念を刺激する。元教え子の女性刑事・西尾美加を相棒に、警察が急いで葬ろうとする不祥事の裏側へ迫る。科学的思考が常識を覆す現場に残る温度や時間のずれが、心中説では説明できない第三者の存在を指し示していく。、第II捜査官シリーズ第1巻。
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東京・赤羽の巨大団地に暮らす少女・奈月が突然姿を消した。赤羽中央署生活安全課の疋田務は、部下の小宮真子らと聞き込みを重ねるが、手がかりはつかめない。やがてサイバー犯罪対策課から、児童性愛者が集まるチャットで「箱根」が話題になっているとの情報が入り、事件は見えないネット空間へ広がっていく。さらに誘拐犯を名乗る人物から身代金要求の電話がかかり、家族と警察は極限の選択を迫られる。少女はどこにいるのか。画面の向こうの言葉は真実か、捜査を惑わす罠か。日常の隣に潜む現代犯罪へ団地の濃密な人間関係と匿名のネット社会が重なり、誰もが容疑者になり得る緊張が続く。、疋田たちが地道な捜査で挑む赤羽中央署生活安全課シリーズ第1巻。
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本庁復帰を願う柴崎令司警部は、またしても綾瀬署を離れられずにいた。そこへ同世代の女性キャリア・坂元真紀が新署長として着任する。現場経験に乏しい二人を待つのは、署員の不祥事、保護司による長男殺しの闇、そして長く放置されていた女性店員失踪事案の再捜査だった。警察組織の体面を守ろうとする声と、埋もれた被害を見逃せない思いがぶつかり、柴崎は出世だけでは割り切れない決断を迫られる。日々の事件が署員たちの人生と複雑に絡み、やがて一つの大きなうねりとなって綾瀬署を揺さぶる。ミステリーと人間ドラマが交差する五つの事件を通して、現場を知らない二人がそれぞれの方法で署員と住民の信頼を築いていく。、柴崎令司シリーズ第2巻。
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警察庁の契約代理人・矢島達司は、組織の枠外から危機に対処する特命を受け、大学研究室襲撃事件の現場へ急行する。中国人グループが奪ったのは、人類規模の災厄を招きかねない危険なウイルスだった。同じ頃、国籍不明の原子力潜水艦が津軽海峡へ侵入し、海上では一触即発の緊張が高まる。研究室の強奪と海峡の異変。一見無関係な二つの事件の背後に、矢島は国家間の思惑と巨大な陰謀を嗅ぎ取る。警察も軍も容易には動けない極秘局面で、奪還と侵入阻止を同時に成し遂げられるのか。陸海を駆けるハードアクション矢島の行く手では、生物兵器の恐怖と海洋安全保障の危機が一つの時間軸へ収束していく。、警察庁契約代理人シリーズ第1巻。
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赤羽中央署生活安全課の疋田務は、別居中の中学生の息子と久しぶりに過ごしていた最中、荒川赤水門で女子短大生の水死体を発見する。入水自殺が濃厚とされるが、遺体の胸に刻まれた謎の文様と、二転三転する両親の言動が疋田の胸に引っかかる。刑事課の領分へ踏み込む危険を承知で異例の再鑑定を求めた彼は、死んだ娘について家族が口を閉ざす理由を追う。やがて捜査は、彼女が施術を受けた美容整形外科と、若者の身体を商品化する暗部へ近づいていく。父親としての葛藤も抱えた疋田が組織の境界を越える親子の距離に悩む疋田の私生活が、亡き少女と家族を見るまなざしにも影を落としていく。、赤羽中央署生活安全課シリーズ第2巻。
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津軽海峡で中国の原子力潜水艦が謎の着底を起こし、周辺国の緊張が一気に高まる。警察庁契約代理人・矢島達司は、その渦中で盟友が拉致されたとの知らせを受け、奪還に奔走する。背後では、中国政府直属組織と宗教団体を装う民主化勢力が衝突し、強毒性インフルエンザの特効薬を巡る争奪戦が加速していた。誰が味方で、誰が国家の意図を代行しているのか。銃撃と爆発が続く原潜の艦内へ踏み込んだ矢島は、鍵を握る人物の真意と、着底事故に隠された目的を探る。密閉された深海の戦場で知略と胆力が試される国家に翻弄される人々を救うため、矢島は公式記録に残らない戦いへ身を投じていく。、警察庁契約代理人シリーズ第2巻。
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建設現場のタワークレーンが何者かに乗っ取られ、運転士が地上百メートルで人質にされた。犯人は人質を宙づりにしたまま巨大なクレーンを操り、警察の接近をことごとく阻む。背後には中国人研修生の存在と中国情勢の影がちらつくものの、要求も真の目的も判然としない。通常の突入が不可能な前代未聞の現場へ呼ばれたのは、「警察庁の最終兵器」とも称される契約代理人・矢島達司だった。刻々と強まる風、尽きる体力、迫るタイムリミット。空中の密室に囚われた命を救うため地上から届く断片的な情報をつなぎ、矢島は犯人の計画と人質救出の一点突破を狙う。、矢島は危険な「天空突入」を決断する。警察庁契約代理人シリーズ第3巻。
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日本企業フロンテが、テレビ市場の世界勢力図を変える次世代技術を開発した。巻き返しを狙う韓国企業チムサンは機密データを盗み出すが、そのSDカードを一人の警備員に奪われる。カードは、チムサンに切り捨てられた日本人技師・宮下の手へ渡ろうとしていた。一方、赤羽中央署生活安全課の疋田務は、韓国人女性の売春事件を追っていた。産業スパイを阻止したい公安・外事、技術を奪還したい企業、復讐を秘めた技師。別々の捜査線が交わり、ソウル行最終便の出発時刻が迫る中技術立国の誇りと個人の恨みがぶつかり、疋田は国際事件の渦中で市民を守る道を探す。、争奪戦は空港へ雪崩れ込む。赤羽中央署生活安全課シリーズ第3巻。
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綾瀬署盗犯第二係の女性刑事・高野朋美が、警察手帳を紛失した。重大な不祥事に頭を抱える柴崎令司警部に対し、高野はその事実をあっさり認める。ところが捜査を続けるうち、単なる不注意に見えた出来事は別の顔を見せ始める。少年犯罪、ストーカー、老夫婦宅への強盗。市民の暮らしに食い込む事件を追う高野は、柴崎の庇護を受けながらも、新署長・坂元真紀らと衝突し、自分の判断で現場へ踏み出していく。組織が恐れる失点と、刑事が守るべきものは同じなのか。失敗を抱えた女性刑事の覚醒と、彼女を見守る柴崎の変化を描く高野の成長は柴崎にも、部下を守ることと組織に従うことの違いを突きつけていく。、柴崎令司シリーズ第3巻。
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一月十日午後九時、九歳の少女・笠原未希が帰宅していないとの一報が綾瀬署へ入る。当直の柴崎令司警部は高野朋美巡査らを急行させ、新署長・坂元真紀は早期保護を目指して指揮を執る。だが警視庁捜査一課が主導権を奪おうと動き、さらに千葉県警が抱える未解決の女児誘拐殺人事件との関連が浮上する。少女の命を最優先にしたい現場と、管轄や威信に縛られる組織。複数県警とキャリアを巻き込む広域捜査の中で、家族や関係者が秘めた思惑も露わになっていく。冷たい真相へ一歩ずつ迫る長編警察小説夜が明けても帰らない少女を前に、捜査員たちは一刻ごとに重くなる責任を背負って走る。、柴崎令司シリーズ第4巻。
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江東区で女性を狙う執拗なストーカー事件が起きた。被害者・長井由里は無言電話や誹謗中傷のビラに苦しめられ、ついには地下鉄のホームから突き落とされる。警視庁捜査一課第一特殊班が警護に入るが、周囲に不審者は見当たらず、犯人は姿を見せない。ただ一人、係長の辰巳だけは、かつて担当した奇妙な事件と同じ匂いを感じ取っていた。殺人に至る前の脅威を、警察はどこまで事件として扱えるのか。見えない加害者の心理と日常に潜む危険を追い、拉致、監禁、つきまといなど凶悪化する事案へ特殊班が挑む、緊迫の連作警察小説。執念深い嫌がらせの一つひとつを読み解くうち、辰巳は加害者の巧妙な支配構造へ迫る。
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元高校物理教師で、所轄署内では署長に次ぐ存在と見なされる刑事・神村五郎。元教え子の女性刑事・西尾美加と組み、常識だけでは解けない事件に挑む。飛び降り自殺と思われた遺体には、落下の初速をめぐる不可解な点があった。さらに二人の前には、死体の見つからない殺人事件が立ちはだかる。目に見える証拠が欠けるとき、犯罪の存在をどう証明するのか。物理法則を手がかりに現場を読み直し、人間の証言に潜む矛盾をほどいていく神村の推理が、見えなかった事件の輪郭を描き出す。科学と捜査の交点を描く連作ミステリー四つの難事件を通して、神村の大胆な仮説と美加の現場感覚が鮮やかな化学反応を見せる。、第II捜査官シリーズ第2巻。
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夜間犯罪発生率日本一の歌舞伎町を抱える新宿署には、「夜の署長」と呼ばれる伝説の刑事・下妻晃がいる。東大法学部卒の新人キャリア・野上は、路上で起きた女性拉致未遂を早々に処理しようとする上層部に反し、下妻とともに三か月前のデリヘル嬢殺害事件との接点を洗い直す。欲望と孤独が渦巻く夜の街では、表面だけを見れば単純な事件ほど深い闇を隠していた。なぜ下妻は捜査一課を離れ、長く新宿署に居続けるのか。いくつもの事件を通して新人が老刑事の凄みと過去に触れていく、熱気と哀感に満ちた連作警察小説観光客には見えない街の掟を知る下妻の背中が、野上に教科書では学べない捜査を教える。、夜の署長シリーズ第1巻。
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綾瀬署に、捜査二課出身の凄腕警部・上河内博人が異動してきた。「刑事の中の刑事」と評される彼が相棒に指名したのは、意外にも内勤のプロである柴崎令司警務課長代理だった。折しも管内には武闘派暴力団の事務所が移転し、署長・坂元真紀は排除へ向けて署の総力体制を組む。地道な調査と対策を重ねるほど、暴力団の動きは通常の縄張り争いでは説明できない様相を見せ、柴崎たちの想像を超える企みが浮かび上がる。現場と内勤、それぞれの知恵を束ねて組織犯罪へ挑む綾瀬署の闘いを描く連作ミステリー署員一人ひとりの役割が噛み合うとき、巨大な暴力に対抗する警察組織本来の力が立ち上がる。、柴崎令司シリーズ第5巻。
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週末の赤羽に、身元も来歴も分からない四人の老人が忽然と現れた。情報を公開しても家族は名乗り出ず、記憶も曖昧な彼らは「ミラクル4」と呼ばれて世間の注目を集める。赤羽中央署生活安全課の疋田務は、老人たちの訛りと、ひとりの指先に残る工場勤務者特有の傷から事件性を疑う。手がかりを追って宇都宮の工業団地をしらみつぶしに回ると、一人の身元と、ある企業の年金基金をめぐる惨状が浮かび上がった。彼らはなぜ故郷を離れ、誰から逃れてきたのか。高齢者の尊厳と企業の責任を問う記憶を失った老人たちの小さな仕草が、長年隠されてきた搾取の構図を照らし出していく。、赤羽中央署生活安全課シリーズ第4巻。
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歌舞伎好きが高じて子役となった高部研一は、将来を嘱望されながら高校卒業後に警察官へ転身。難事件を次々に解決し、三十三歳で警視庁捜査一課の警部に昇任した。ところが翌年、歌舞伎界へ戻って人気女形・村山仙之助として活躍する一方、卓越した捜査能力を惜しまれ、極秘の「捜査技能伝承官」に任命される。築地署の若き女性巡査・九重佐知と組み、舞台と稽古の合間に拉致監禁、ストーカー、地面師など都会の悪へ目を光らせる仙之助。役者の観察眼と刑事の筋読みが鮮やかに重なる、華やかで異色の連作警察ミステリー。舞台で磨いた変装と所作の知識も駆使し、仙之助は犯人の演技の綻びを鮮やかに見抜く。
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山梨県警捜査二課長に着任したばかりのキャリア・仁村は、県知事・有泉の贈収賄疑惑を任される。人事委員長の職をあっせんする見返りに、葬儀会社会長から高額な洋服仕立券を受け取ったというのだ。一方、叩き上げの組織犯罪対策室長・皆沢は、地元暴力団の激しい抗争を追っていた。抗争に巻き込まれて死亡した女性が、実は警察へ情報を流す協力者だったことから、別々に見えた二つの事件がつながり始める。県政の頂点と裏社会の底で動く利害を前に、異色の二人は共闘できるのか。権力の核心へ切り込む、緻密で骨太な警察サスペンス。立場も捜査手法も正反対の二人が、互いの情報を結んだとき、県警を揺るがす構図が現れる。
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夜間犯罪の坩堝・歌舞伎町を知り尽くし、「夜の署長」と呼ばれる新宿署のベテラン刑事・下妻晃。新人女性刑事の村上沙月は、彼の指揮下で四つの事件に向き合う。凶器の穂先が語る死、街の裏側で交わされる危険な取引、見えない密売者、そして高層建物が生む死角。ばらばらに見える手がかりの向こうで、夜の街に根を張る人間関係と欲望が複雑に絡み合う。派手な理屈より、現場の空気と人の嘘を読む下妻の捜査は、沙月に刑事としての覚悟を突きつける。光の届かない新宿で弱者の声を拾い上げる連作警察小説若い刑事の視点を通し、下妻がなぜ街の住人に信頼されるのかも少しずつ明らかになる。、夜の署長シリーズ第2巻。
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綾瀬署の小幡弘海巡査部長が、生活安全課へ異動した直後に忽然と姿を消してから二年。警視庁が事実上捜査を放棄する中、柴崎令司警務課長代理、上河内博人警部、高野朋美巡査の三人は、独自に小幡の足跡を追い始める。ひき逃げ、老女の不審死、女子高生の絞殺。目の前の難事件を解くたび、失踪した警官の影が別の形で浮かび上がり、綾瀬署の過去へつながっていく。小幡は被害者なのか、それとも自ら消えたのか。仲間を信じたい思いと、警察組織への疑念がせめぎ合う中、三人が底知れぬ闇へ迫る五つの事件を貫く細い糸をたぐるほど、失踪が組織に残した傷と沈黙の理由が見えてくる。、柴崎令司シリーズ第6巻。
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多摩川沿いの電話ボックスで、不可解な変死体が発見された。遺体には焼死と凍死が同時に起きたかのような相反する解剖所見が残されている。元高校物理教師で「第II捜査官」と呼ばれる蒲田中央署の神村五郎は、元教え子の女性刑事・西尾美加とともに捜査へ乗り出す。続いて渋谷の高層商業ビルのエレベーター内で、暴力団組長が不審死を遂げた。離れた二つの現場を結ぶのは、熱と冷気、それとも人間の復讐心なのか。科学知識で不可能犯罪の仕掛けを読み解きながら、連続死の奥に潜む動機へ迫る警察ミステリー目に見えない熱の移動を追う神村の仮説が、都会を舞台にした精密な犯罪計画を崩していく。、第II捜査官シリーズ第3巻。
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昭和二十五年、静岡県で一家四人が殺害される二俣事件が発生した。警察は少年を犯人として逮捕し、自白を決定的な証拠として捜査を進める。だが、その供述は過酷な取調べと拷問によって作られたものではないのか。地元社会を覆う沈黙、警察の威信、司法の追認。真相を求める者たちは、国家権力が一人の若者へ罪を着せようとする巨大な流れに立ち向かう。なぜ捜査は暴走し、裁判はそれを止められなかったのか。戦後日本に実在した冤罪事件を土台に、捜査機関と司法が結んだ暗部、人間の尊厳を奪う仕組みを緻密に描き出す、事実に基づく重厚な社会派ミステリー。一人の少年の運命を追う視線は、正義を掲げる制度が誤ったときの恐ろしさを現在へ問い返す。
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八王子で暮らす公務員・宮津和夫は、幼い息子と相模湖を訪れた際、「ぼく、あそこで殺されたんだ」と告げられる。同時に息子の首には、誰かに絞められたような痕が浮かんだ。以来、和夫自身も水辺で男を絞め殺す悪夢に苦しみ、三十三年前に見つかった変死体と息子の言葉に奇妙な符合を見いだす。息子は、自分が前世で殺した男の生まれ変わりなのか。答えを求める和夫の視界が歪み、気づけば三十三年前の八王子に立っていた。過去の男を救えば、現在の息子は消えてしまうのか。父の愛と罪の記憶をめぐる、切迫したタイムスリップ・ミステリー。親子を結ぶ時間の輪が閉じようとする中、和夫は愛する者を守るため過去の選択に介入する。
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暴行を受けて入院したホストから話を聞くため、新宿署の古城美沙巡査部長は医大病院へ向かい、「夜の署長」の異名を持つベテラン刑事・下妻晃と合流する。ところがその最中、病院理事長が銃撃される事件が発生した。偶然の襲撃か、それともホスト狩りと病院を結ぶ見えない因縁があるのか。万引き犯、失踪者、夜の街にくすぶる恨み。小さな違和感を見逃さない下妻の捜査が、表面下に熱を溜めた人々の秘密を一つずつ暴いていく。犯罪都市・新宿で、刑事たちは爆発寸前の感情を止められるのか。四つの事件を収めた連作警察小説医大病院と歌舞伎町、昼と夜の顔が交わる場所で、下妻は人の心に残った火種を見抜く。、夜の署長シリーズ第3巻。
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警視庁捜査二課第四知能犯捜査第三係の統括主任・五来太郎警部補は、困難な捜査の壁を打ち破る「突破屋」として知られている。ある日、彼のもとへ匿名の密告電話が入り、指定された料亭を張り込むと、国運省の官僚と建設業者が密かに会食していた。国家規模の公共事業を巡り、入札情報が特定企業へ漏れているのではないか。疑惑は濃いが、巧妙な工作に阻まれ、贈賄の証拠はつかめない。尾行、張込み、資金の洗い出し。華やかな逮捕劇の陰にある地道な積み重ねで、五来たちは権力と企業の癒着へ食い込んでいく。知能犯捜査の真髄を描く王道警察小説。数字と書類の奥に隠された人間の欲を読み、五来は一見崩せない防壁へ粘り強く穴を開ける。
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敗戦後、GHQ占領下の日本。元海軍パイロット・堀江功は米軍関係者から声をかけられ、GHQにも秘された飛行訓練へ参加する。やがて朝鮮戦争が勃発し、マッカーサーが原爆使用を計画する中、堀江ら四人の日本人は米軍機A-26を駆る極秘飛行隊を結成。敵味方の思惑が交錯する戦地の空へ送り込まれる。彼らに最後に下された密命は、さらなる原爆投下を阻止することだった。敗戦国の空を奪われた男たちは、誰の命令に従い、何を守るために飛ぶのか。歴史の陰に潜む謀略と飛行士たちの矜持を、圧倒的なスケールで描く航空軍事サスペンス。実在の歴史を大胆な着想で組み替え、戦闘機乗りの技量と友情を息詰まる空戦に刻み込む。
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老人介護施設で、入所者の不審死が相次いだ。偶然や老衰として片づけるには不可解な点が残り、被害者たちにはそれぞれ複雑な過去があることも分かってくる。捜査に挑むのは、元刑事だった父の死を胸に抱える若き刑事。閉ざされた施設で職員と家族の証言をたどるうち、過去の事件と現在の死を結ぶ、消えない残響が聞こえ始める。老いと介護の現場に潜む孤独、守られるべき人々を取り巻く利害、父が遺した刑事としての教え。誰が、何のために沈黙を重ねているのか。逃げ場のない「檻」のような人間関係から真相を探る、重厚な長編警察ミステリー。若き刑事は父ならどう見たかを問い続けながら、施設の穏やかな表情の裏へ踏み込んでいく。




