あさのあつこの作品一覧
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小間物問屋・遠野屋の若女将おりんが、大川で水死体となって発見された。北町奉行所同心・木暮信次郎は、検死に立ち会う遠野屋清之介の眼差しに、ただならぬ気配を感じ取る。心中とも自死とも見えるその一件は、たどるほどに単純な水死などではない貌をのぞかせ始めた。鋭利な信次郎の目と、寡黙な清之介の沈黙——。「闇」と「乾き」を抱えた二人の男が、救いのその先で何を見つけ、何を取りこぼしていくのか。岡っ引きの伊佐治を交え、江戸に蠢く人の業を、静かに、しかし容赦なく抉り出していく感情豊かな時代ミステリー。シリーズ累計百二十万部突破の話題作、その記念すべき幕開けとなる、弥勒シリーズ第一巻。
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桜の散る江戸の町で、若い女たちが何者かに次々と殺められていた——。北町奉行所同心・木暮信次郎は、岡っ引きの伊佐治とともに事件を追ううち、不可解な符牒が一つの過去へと結びついていることに気づき始める。一方、小間物問屋・遠野屋の主、清之介もまた、心の奥底に消すことのできぬ昏い記憶を抱えていた。光と闇のあわいで、人はなぜ人を殺めるのか。妖艶にして残酷な桜が舞い散るなか、立場の異なる男たちの想いと業が、緊張感あふれる筆致で描き切られていく。事件の輪郭が、静かに、そして鮮烈に立ち上がってくる江戸時代ミステリーの傑作にして、シリーズの方向性を決定づけた一冊、弥勒シリーズ第二巻。
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舞台は江戸・深川。奉公に上がる料理屋「橘屋」の暖簾をくぐったのは、まだあどけなさの残る、十二歳の少女・お福であった。気丈で時に厳しい仲居頭・お多代に折に触れて鍛えられながら、お福は幼なじみの庄司への淡くまっすぐな想いを、胸の奥にひそかにあたためていく。恋、別れ、再会。江戸の片隅でひたむきに生きる市井の人々、その小さな矜持と哀しみを、ひとりの少女の成長を通して、瑞々しい筆致でしずかにすくい取っていく連作短編集。下町情緒ただよう江戸の人情と人と人とのささやかな繋がりが、ふんわりと胸に染み入る、あさのあつこ会心の一冊。
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遠野屋の番頭・信三の縁者である、おこまが何者かに拐われた。事件の影には、清之介の過去を知る者の存在がうごめいているのか——。北町奉行所同心・木暮信次郎は、遠野屋へ忍び寄る危険を素早く察し、岡っ引きの伊佐治とともに、油断なく探索を進めていく。守るべきものを得てしまった男はもろい。長く闇を抱えて生きてきた清之介自身が、その動かしがたい真理に向き合わざるを得なくなったとき、彼の覚悟は容赦なく問い直される。渋柿が秋空に揺れる頃、刀を捨てた男の心は、それでも再びゆらりと揺れ動き始める。江戸に潜む人の業と男たちの矜持を、巧みに描き切る、シリーズ屈指の名品、弥勒シリーズ第三巻。
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江戸は深川、十六歳のおいちは、町医者である父・松庵の手伝いをしながら、自らもいつか医者になることを密かに夢見ていた。彼女には、思いを残してこの世を去った人々の姿を見てしまうという、不可思議な力があった。ある夜、夢の中で必死に助けを求める女の姿を見たことから、おいちの周囲では奇怪な事件が次々と起こり始める。盟友の死、自身の出生に隠された秘密、そして産後まもない女が無残に殺された一件——。岡っ引きの仙五朗とともに、おいちは事件の真相と、人の世の哀しみへと深く近づいていく。少女の成長と謎解きが交差する、おいち不思議がたりシリーズ第一巻。
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江戸からはるか遠く、わずか六万石の小さき藩・小舞藩。早瀬新吾は、何者かに兄を惨殺された深い喪失を抱えながらも、剣の修行に明け暮れ、心を許せる仲間たちに支えられて、若き日々を懸命に過ごしている。そんな彼の前に、江戸から戻ってきた重臣の嫡男・透馬が、ふらりと現れた。身分を超えた友情と、若者特有の真っすぐな葛藤が、地方の小藩を舞台に静かに、しかし熱く動き始めていく。何度くじけても立ち上がろうとする少年たちの姿が瑞々しく胸を打つ、傑作青春時代小説、小舞藩シリーズ第一巻。
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江戸から遠く離れた小藩、田鶴藩。藩主が何者かに襲われる事件が起こる。疾風のごとくその場に現れた刺客は、鷹を意のままに操り、剣の腕も尋常ではない、謎めいた少年・燦であった。襲撃の場に居合わせた筆頭家老の嫡男・伊月は、思いがけずもその刃の前に立たされる。実はこの二人の少年には、遠い昔から定められた、隠された深い宿命があった。神威にも似た不可思議な力を持つ「神波の一族」とは、いったい何者なのか——。少年たちの葛藤と成長を瑞々しく描き切る、待望の文庫書き下ろしシリーズ、燦シリーズ第一巻、風の刃。
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舞台は江戸へと移される。藩の世継ぎ・圭寿に従い、伊月もまた窮屈な大名屋敷での慣れぬ生活を始めることとなった。一方、異能の血を引く一族に生まれ育った少年・燦も、亡き祖父の遺言を胸に、江戸の棟割長屋でひそやかに暮らし始めている。そんな二人が、運命に導かれるように町中で再会した矢先、不吉な知らせが田鶴藩から届く。さらには屋敷でも、世継ぎ・圭寿の命を執拗に狙う影が動き出していた——。三人の少年たちの絆と決意が、江戸の闇のなかで試される、燦シリーズ第二巻、光の刃。
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橋の下に転がる男の死体——その口中から、鮮やかな瑠璃色の小石が見つかった。北町奉行所同心・木暮信次郎は、それを唯一の手がかりに、小間物問屋・遠野屋の主、清之介の関与を疑い始める。やがて清之介は、岡っ引きの伊佐治とともに西へと旅立ち、自らの忌まわしき過去と真正面から向き合うことになる——。かつて闇のなかで生きた男が、生まれ育った地でついに見出すものとは、いったい何だったのか。生と死、贖いと再生を、これまでにない壮大なスケールで描き出す、シリーズ屈指の旅編にして大きな転換点。男たちの運命が静かに、しかし大胆に動き始める、弥勒シリーズ第四巻。
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江戸・深川。父である町医者・松庵を手伝いながら、自らも女医を目指して日々奮闘する十七歳のおいち。亡き者の声を聴き、その姿を見ることのできる彼女のもとには、今日もまた、思いを断ち切れずにこの世に留まる魂が、静かに引き寄せられてくる。やがて街でひそやかに起こり始める、ある奇怪な一連の事件。岡っ引きの仙五朗、心優しい青年医師・新吾とともに、おいちは複雑に絡み合う因縁の糸を解き明かしていく。桜の花弁が舞い落ちる江戸の町で、人と人の縁、そして生と死の儚さを清冽に描く、おいち不思議がたりシリーズ第二巻。
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江戸からはるか西、十八里の地にある佐見藩。代々勘定方を務めてきた西野家のひとり娘・伎江は、短刀の腕に覚えがあり、父のもとに通う若き弟子に、ほのかな想いを密かに寄せていた。やがて伎江は、別の弟子と婚を結ぶことになる。それでも、忘れがたい初恋の面影に苛まれ、自身の罪深さに苛まれながらも、夫との小さな笑い合いの日々の中で、伎江は少しずつ前を向いていく——。だがある朝、思いも寄らぬ一つの真実が、すべてを根底から揺るがしてしまう。女の業と、ひとつの恋の重みを丹念に描き切る、あさのあつこ渾身の長編時代小説。
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「圭寿、死ね」——田鶴藩江戸屋敷で、藩主の世継ぎ・圭寿が、白昼堂々、何者かに襲撃される。同じ頃、伊月は、藩内における不審な動きを密かに探っていた石崎文吾の死体を、思いがけない場所で発見することになる。一方の燦もまた、江戸の片隅で、自らが属する「神波の一族」の真の姿を知る人物と運命的に出会っていた。三人の少年がそれぞれの場所で、ばらばらに動きながらも一つの真実へと近づいていく。物語が大きくうねり始める、シリーズの転回点となる一冊、燦シリーズ第三巻、土の刃。
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江戸の片隅、竹林に静かにひっそりと囲まれた一軒の家——。そこには「闇医者」と人々から呼ばれる女、おゑんが住んでいた。さまざまなのっぴきならぬ事情を抱え、行き場をなくした女たちが、最後の頼りに彼女のもとを訪ねてくる。主家の若様と道ならぬ恋に落ちてしまった女中、人ならざる子を孕んだと頑なに言い張る武家の妻女——。誰にも明かせぬ秘密と痛みを抱えた女たちが、駆け込み寺のごとくに身を寄せ、再び生き直していく。第十三回日本歴史時代作家協会賞シリーズ賞受賞作の幕開けにして、闇医者おゑん秘録帖シリーズ第一巻。
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夜の江戸を舞台に、闇に紛れた刺客たちによる凄惨な殺しが立て続けに起こる——。燦は、ようやく、自分たちと敵対する者たちの正体を、おぼろげながら掴み始めていた。一方、伊月は田鶴藩の藩主交代にまつわる重大な準備に追われている。そんな彼の前に、亡き圭寿の兄が深く寵愛していた美しい側室・静門院がふらりと現れ、面会を求めてきた。「神波の一族」が抱える昏く長い歴史がついに動き始め、闇の中で蠢いていた「闇神波」の正体が、ようやく明らかになっていく。燦シリーズ第四巻、炎の刃。
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山深い小藩を主な舞台に紡がれる、ひたむきで純度の高い恋慕を描いた、中編三篇。仇討ちのため旅に出た男を、なお幾年も待ち続ける廓の女。夫から「自害せよ」と命じられた末に、それでもなお生きる道を探そうとする武家の妻。若き日のひそやかな約束のために、すべての地位と将来を捨てる覚悟を決めてしまう男——。誰にもけして届かぬはずの、それでも一途に貫かれていく愛の輝きが、行間からふっと立ち上ってくる。哀しみと美しさが静かに交差する珠玉の作品集。あさのあつこの真骨頂を凝縮した、一途な愛を描く時代小説の秀作。
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北町奉行所同心・木暮信次郎の同輩、赤田弥一郎が遊女と心中を遂げた——。事件のあまりに不審な影を見過ごせず、信次郎は誰にも告げず独自の探索を始める。だがある日、当の信次郎までもが忽然と行方を絶ってしまった。岡っ引きの伊佐治は小間物問屋・遠野屋の主、清之介を訪ね、二人の男はそれぞれの想いを胸に秘めながら、信次郎の影を懸命に辿り始める。同心と商人、立場をまったく異にする男たちが手繰り寄せる闇の真相とは、いったい何か。冬の夜空に冴え渡る星のごとく、研ぎ澄まされた人間心理が描かれる傑作にして、シリーズの密度がいっそう深まる、弥勒シリーズ第五巻。
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圭寿の亡き兄が深く寵愛していた、美しい側室・静門院の住まう屋敷からの帰り道、伊月は何者かによる凶刃に倒れ、生死の境を彷徨い続けることになる——。いまだ正体を現そうとしない不気味な敵、闇神波への激しい怒りに突き動かされた燦は、真相を求めて静門院のもとを訪ねた。そして彼が知ることになったのは、これまでのすべてを覆すような、予想外の真実だった。少年たちが己の運命と立場のなかでもがき続け、それでも前へ進もうとする、緊迫の文庫オリジナル、燦シリーズ第五巻、氷の刃。
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舞台は江戸の繁華な町なか。乾物問屋の若い娘・おやえは、ある日、町の与太者たちに絡まれ難儀しているところを、川獺のごとく身軽な男・かわうそに、思いがけず助けられる。彼にひそかな想いを寄せ始めた矢先、かわうそが立ち寄ったとされる旅籠で、若い女の遺体が発見されるという衝撃の事件が起こる——。果たして、かわうそは下手人なのか、それとも無実なのか。やがて江戸の町を揺るがす一連の盗っ人騒ぎとも複雑に絡み合っていく。少女が大人になるその瀬戸際を、瑞々しく描き切る恋の捕物帳、あさのあつこの秀作。
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圭寿は、田鶴藩が深く侵された澱と汚穢を残らず洗い清め、藩を一から立て直すことを心に誓った。その固い決意に、伊月、そして燦も静かに、しかし力強く呼応していく。藩の闇を支配し続けてきた「闇神波」と、ついに真っ向から対峙するときが来たのだ——。三人の少年たちはそれぞれの想いと役割を抱えながら、もはや後戻りのできぬ大きな流れのなかへ、歩み出していく。物語は急速に大きくうねり始め、新たな展開へと突入していく。シリーズ累計の人気を決定づけた、燦シリーズ第六巻、花の刃。
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江戸・深川で、夜鷹を狙った連続殺しが発生していた。十八歳になったおいちは、女医を志しながら父・松庵のもとで研鑽を積む日々を送っている。ある日、血の匂いを濃くまとった若い商人風の男が、彼女の前に姿を現した——しかし彼は、すでにこの世の者ではなかった。岡っ引きの仙五朗とともに、おいちは闇に閉ざされた連続殺人の真相へと、少しずつ近づいていく。日陰の女たちが抱える哀しみと、闇のなかでなお咲こうとする命の輝きを、瑞々しい筆致で描き切る。少女の覚悟が静かに固まっていく、おいち不思議がたりシリーズ第三巻。
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真冬の往来で、北町奉行所同心・木暮信次郎が何者かに腹を刺された。岡っ引きの伊佐治、そして小間物問屋・遠野屋の主、清之介は、その凶報に深く動揺し、それぞれのやり方で真相に迫ろうと動き出す。下手人とおぼしき男はまもなく大川に浮かんで命を絶ち、捜査はいったん袋小路に陥った——。しかし闇をたどっていくうち、信次郎の亡父・右衛門が抱えていた、ある衝撃の過去がしずかに浮かび上がってくる。地の底深くに巣くう毒は、いかにして晴らされるのか。事件の根を深く深く穿ち、江戸の闇を執拗に抉り続ける人気時代ミステリー、弥勒シリーズ第六巻。
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江戸の片隅、竹林に囲まれた一軒の家には、今日もまた、行き場をなくした女たちが、ひっそりと身を寄せていた。「闇医者」と密かに呼ばれる女、おゑんと、助手のお春や末音とともに、訳ありの女たちは静かに、しかし確かに、再生の時を過ごしていく。ある日、桜の花さえも凍えるほどに冷え込んだ夕暮れに、ひとりの女が息も絶え絶えに駆け込んでくる——。竹が鳴く夜、花冷えて散る朝。市井の片隅に生きる女たちの、無数の哀しみと、そして抗いがたいほどの強さを描き切る、闇医者おゑん秘録帖シリーズ第二巻。
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伊月と静門院は固く心を結び合い、圭寿とおよしのあいだにも、確かな想いが芽生え始めていた。三人を取り巻く流れは大きく動き出し、田鶴藩の再興に向けた地道な事業も、ようやく形を持ち始めていく。だが平穏に見える光景の背後で、闇神波はなおも牙を研ぎ続けていた。そんな折、田鶴へひそかに帰り着いた燦は、思いがけぬひとつの願いを口にする——。それぞれの想いと宿命を背負った少年たちが、いよいよ最終決戦の地へと足を踏み入れていく。怒涛のクライマックスへと突き進む、燦シリーズ第七巻、天の刃。
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深川にある縫箔屋・丸仙の娘、おちえは、針仕事より剣の修行に夢中になる、ひたむきで気っ風のいい娘である。そんな店に、武家の身分を捨てて職人の道を選んだ若侍・吉澤一居が、新たに弟子入りしてくる。仕立てを生業とする静かな仕事場と、剣で生きる男の覚悟——二つのまるで異なる世界がそっと交わったとき、江戸では、若い女たちが次々に斬殺される凄惨な事件が起こり始めていた。針と剣、それぞれの矜持を抱える二人が、事件に挑む青春時代ミステリー、針と剣 縫箔屋事件帖シリーズ第一巻。
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藩政の根を変えようと密かに動き出した圭寿が、突如として闇神波の凶刃に襲われる——。燦、伊月、そして圭寿。生まれも、立場も、抱えてきた宿命さえも違う三人の少年たちが、いまそれぞれの矜持を賭け、ついに最後の決戦の場へと進み出ていく。長く彼らを縛り続けてきた血と運命の鎖を、彼らは果たして断ち切ることができるのか。少年たちはどこへたどり着き、どんな大人へと変わっていくのか——。著者渾身の長編シリーズ、ここに堂々の完結。怒涛の最終巻、燦シリーズ完結巻、鷹の刃。
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藩政の腐敗と豪商との癒着を密かに告発しようとした、嘉穂藩士・伊吹斗十郎は、不当な汚職の罪を着せられ、突如として切腹を命じられてしまった——。元服を控えた長男・透馬は、父からの最後の命を受け、自らの手で介錯を務めることになる。亡き父はなぜ罪を被らねばならなかったのか。家を、藩を、そして自分自身の人生を、ここからどう生き直していくのか。十五歳の若き武士の覚悟と決断が、静かに、しかし確かに動き出していく——。あさのあつこ会心の青春時代小説、天地人シリーズ第一巻。
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古い油問屋・東海屋の主の口から、ぼたりと牡丹の花びらがこぼれ落ちた——。妻女は失神し、近隣には不穏な気配が満ち始める。北町奉行所同心・木暮信次郎は、岡っ引きの伊佐治とともに、奇怪きわまるその事件の真相を執拗に追い始める。やがて小間物問屋・遠野屋の主、清之介もまた、過去から決して切り離せぬ何かを、知らぬ間に深く呑みこまされていることに気づき始めるのだった。咲き匂う花の裏に、毒のごとく深く潜む人の業。生と死の境を静かに見つめる男たちの息遣いまでをも、確かな筆致で丁寧に描き切る、シリーズ屈指の傑作、弥勒シリーズ第七巻。
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舞台は江戸中期、十五万石を数える石久藩。上士の家に生まれ、何不自由ない将来を約束されていたはずの新吾は、母の強い反対を押し切り、家格と身分でがんじがらめの藩校から、自由闊達な郷校・薫風館へとひそかに移り住む。仲間たちと切磋琢磨する日々のなかで、新吾は確かな手応えを感じ始めていた。だがある日、家を捨てたはずの父がふいに戻ってきて、息子・新吾に密命を下す——薫風館の指南役が藩主暗殺の謀計を企てている、その実態を密偵として探れ。穏やかな日々を一変させる烈しい嵐の予兆。薫風ただなかシリーズ第一巻。
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幕末、石見銀山の地。「間歩」と呼ばれる坑道の片隅でひっそりと生まれ落ちた娘・お富江は、その類まれな美しさゆえに遊郭に身を引かれた。水揚げを翌日に控えた夜、想いを寄せる若き銀山師・伊織のもとを密かに訪ねたお富江は、しかし行きずりの男に襲われ、やむを得ず手にかけてしまう。窮地の彼女を救ったのは、ほかでもない伊織であった。やがて二人は深く結ばれ、罪と秘密を分かち合いながら、激動の時代を、ただ寄り添って歩み始める——。揺らぐ闇を背景に燃え上がる、激しくも切ない恋の行方を描き切る、あさのあつこの長編秀作。
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幼い頃から人ならざる者の姿を見ることができる娘、お糸。大店の一人娘である彼女が奉公に上がったのは、鈴江三万石の江戸屋敷だった。なんとそこで仕える奥方さまの正体は、殿に一目で恋をして人の姿に化けた、一匹の白猫だったのである——。腰元は猫、上臈はなんと虎。摩訶不思議な顔ぶれの中で、人族たるお糸はただ一人、戸惑いつつも軽やかに日々を過ごしていく。藩内政争の不穏な影と、人と猫の心が交わる温かな日常を、抱腹絶倒の筆致で描き切る、鈴江三万石江戸屋敷見聞帳シリーズ第一巻。
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小間物問屋・遠野屋に長く尽くしてきた老番頭が、静かに息を引き取った。その死の哀しみが癒えぬ間に、焼け落ちた蔵の中から、若い女の凄惨な遺体が見つかる——。北町奉行所同心・木暮信次郎と岡っ引きの伊佐治は、複雑に絡み合う糸を一本ずつたどるうち、遠野屋清之介の周辺に潜む昏い因縁へと、徐々に近づいていくことになる。雲ははるかどこまで流れていき、いったいどこで果てるのか。人の心のもっとも奥処までを静かに見据える、シリーズの代表作の一つにして、江戸時代ミステリーの白眉。深い余韻を残し、ながく胸に残る傑作、弥勒シリーズ第八巻。
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産み月を迎えていた身重のおたきが、忽然と姿を消した。やがて産まれた赤子は無事に保護されたものの、当の母親は何者かに無残にも殺害された姿で発見される——。十八歳のおいちは、父・松庵のもとで医術を学びながら、亡き者の姿を見ることのできる不思議な力で、岡っ引きの仙五朗とともに、事件の背後に潜む闇へと近づいていく。捨てられた赤子の運命、そして母を奪われた家族の哀しみ。江戸の町に火花のごとく散る怒りと祈りを、瑞々しくも鋭い筆致で描き切る、シリーズ屈指の感動作、おいち不思議がたりシリーズ第四巻。
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嘉穂藩の名門・伊吹家の嫡男、透馬は、不当な切腹に追い込まれた父・斗十郎が、死の直前にひそかに隠していた、藩政を根底から揺るがしうる重大な書状の存在を、ふと知ることになる。彼はその書状を、江戸へと旅立つ恩師に密かに託すことを選んだ。書状の行方を追い、自身は追っ手の囮となって、敢えて藩を出奔する——。江戸へと逃れた透馬は、腹違いの異母兄・小庄左京とともに、嘉穂藩江戸屋敷への大胆な潜入を画策していく。父の汚名をそそぐための、命がけの戦いの幕が、いま開かれる、天地人シリーズ第二巻。
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場末の料亭で交わされた、男ふたりの諍い。一方は深手を負い、もう一方は逃げた挙げ句に首を吊った。一見ささやかにも思えるこの一件は、しかしやがて、凄惨な殺しの起点となっていく——。小間物問屋・遠野屋の主、清之介の周りに渦巻き始める、不穏な影。北町奉行所同心・木暮信次郎と人情家の岡っ引き伊佐治は、執拗に真相を追ううちに、この江戸の町で誰もがそれぞれの「鬼」の到来をひそかに待ちわびていた、という事実へと辿り着いていく。闇に潜む鬼の正体とは、いったい何者なのか。男たちの業が再び熱く燃え上がる、シリーズの白眉、弥勒シリーズ第九巻。
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石久藩・薫風館での衝撃的な事件から、すでに二年の歳月が流れていた。共に学んだ友を失い、真相を知るかつての級友・瀬島は自ら命を絶ち、新吾の父も中老の職を解かれた。父はその後、まるで何事もなかったかのように妾宅に居を移し、悠々とした日々を送り続けている。仲間の英太は江戸への遊学に旅立ち、河太郎には縁談が訪れた——。新吾は再び大人へと近づきつつあった。そんなある日、河太郎の家近くで、刀疵を負った遺体が目撃されたとの不可解な証言が舞い込み、再び不穏な風が吹き始める。薫風ただなかシリーズ第二巻。
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前作『火群のごとく』の事件から、はや四年の歳月が流れた。十六歳になり元服を済ませた早瀬新吾は、ついに庭瀬家の正式な家督を継ぐことになる。義妹のおなおにひそかな想いを寄せながらも、いまだ兄の不審な死の真相にも、彼自身の運命の輪郭にも、確かな答えを得られずにいる新吾。そこへ、家督相続のため江戸から戻ってきた透馬が、揺れ動く小舞藩の政の中央に身を投じ、新吾を自らの側用人にと指名するのだった——。少年から青年へ、揺らぐ心の輪郭を瑞々しく描く、小舞藩シリーズ第二巻。
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腹違いの異母兄・左京とともに、亡き父・斗十郎の汚名を晴らすべく、嘉穂藩江戸屋敷へと身を投じた透馬。藩政の中枢に深々と根を下ろした腐敗の真相に、二人はいよいよ核心から迫っていく。だが守るべき者を持つ若き者の闘いは、思いもよらぬ犠牲と引き換えにしか、進めることはできなかった——。父の遺志を継ぎ、生まれや身分の壁を超えて、人と人の絆をひたすらに乞い続けた青年・透馬の旅は、ついに静かな結末へと辿り着く。直球の青春時代小説の白眉、堂々の最終巻。天地人シリーズ完結巻。
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縫箔屋・丸仙の娘、おちえと、武家の身分を捨てて縫箔の道に進んだ職人、一居。歳も身分も大きく違う二人が暮らす深川の町を、ふたたび不穏な事件の影が静かに横切っていく。今度の発端は、近所で慕われていた町医者の不可解な急死だった。剣の心得を持つ気っ風のよい娘と、武士をやめた職人。二人だけが見出すことのできる小さな違和感が、やがて意外な真相へと結びついていく——。針の音と剣の風、それぞれの矜持を抱える者たちが市井の闇に挑む、針と剣 縫箔屋事件帖シリーズ第二巻。
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浅草の油屋・利根屋の娘、お玉に、本所随一の大店の主人との縁談がふいに持ち上がった。だが、見合いの前日になって、お玉は突如として置手紙を残し、姿を消してしまう——。利根屋の体面と暖簾の命運を賭け、奉公人のおまいが急遽、身代わりとして見合いの席に立つことになった。差配するのは、人と人との縁を結び、また絶ち切る、不思議な見立てを生業とする「えにし屋」のお作と才蔵。市井に暮らす人々の、結ばれゆく縁と解かれゆく縁の機微を、艶やかな筆致で鮮やかに描き出す、時代小説、えにし屋春秋シリーズ第一巻。
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人入れ稼業を営む夫婦が、悶え死んだ無残な姿で発見された。死の直前にいったい何があったのか——。北町奉行所同心・木暮信次郎は、岡っ引きの伊佐治とともに探索を進めるなかで、小間物問屋・遠野屋の主、清之介の旧縁へと、否応なくたどり着いていく。桜の咲く樹下で交わされる別れと再会、そして舞い散る花弁の下に、男たちの運命が静かに、けれど確かに、抗いがたく揺れ動く。研ぎ澄まされた緊張感と濃密な人間ドラマが、いっそう深く胸を打つ。シリーズ累計百万部突破を記念する話題作にして、近年の代表作と評される傑作、弥勒シリーズ第十巻。
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江戸・深川で、女医を養成するための医学塾がついに開かれることになった。父・松庵のように医者になることを夢見続けてきたおいちにとって、それは長く待ち望んだ千載一遇の好機だった。だが同じ頃、深川で四人の男女が立て続けに行方知れずになるという、奇怪な失踪事件が起こり始める。互いに何のつながりもないはずの四人が、なぜ消えたのか——。亡き者の姿を見ることのできるおいちは、岡っ引きの仙五朗とともに、深まる謎の渦中へと飛び込んでいく。少女の人生に大きな転機が訪れる、おいち不思議がたりシリーズ第五巻。
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六万石の小藩、小舞藩を、突如として大火が襲い、城下のありさまは大きく一変してしまった。多くの民が住まいを焼かれ、藩政は混迷を深め、人々の心にも、容易には拭えぬ深い陰がいつまでも残されていく。藩政改革にひそかに身を投じた透馬と、ますます重い責を背負わされていく新吾は、この未曾有の苦難をどう乗り越え、自分たちの信じる小舞藩の未来をどう描いていくのか——。少年たちはついに青年となり、それぞれの覚悟を確かなものへと固めていく。三人の若者の友情と成長を清冽に描き切る、小舞藩シリーズ第三巻。
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ある同心が御上から追われる身となり、ある朝、忽然と姿を消した——。事件の影を素早く察した北町奉行所同心・木暮信次郎は、これまでにない執着で、その行方を追い始める。小間物問屋・遠野屋の主、清之介もまた、岡っ引き伊佐治とともに、果てしのない江戸の闇のなかへと、静かに、抗うすべもなく引き込まれていく。乱れ飛ぶ鴉の群れは、いったい何を告げているのか。尽きせぬ闇のなかで、二人の男の感情はいよいよ濃密に絡み合っていく。男と男のあいだに張りつめる、息詰まるほどの緊張をひりひりと描き切った、シリーズ累計百万部突破、弥勒シリーズ第十一巻。
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舞台は江戸。五歳のときに視力を失ったお梅は、その確かな指先で人の体を読み解き、半年先まで予約が埋まる凄腕の按摩師として、人々から深く慕われていた。ある日のこと、頭痛に苦しみ抜く一人の患者がお梅のもとへ駆け込んでくる。その体に手を当てた瞬間、お梅は澱のような不穏な滞りを確かに感じ取る——。彼女のかたわらにはいつも、神とも人ともつかぬ白い犬と、お梅にしか言葉が通じぬ斑のねずみが寄り添っている。江戸の町を背景にしずかに広がる、ほろりと心に沁みる時代ファンタジーミステリー、おもみいたしますシリーズ第一巻。
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おちえが大切にしていた竹刀が、ある日突然、何者かに盗まれた。同じ頃、丸仙が大店から請け負った大切な花嫁衣装にも、不気味な災いの影が忍び寄っていく。剣の腕に長けた一居でさえも、まったく気配を察することができぬ謎の盗人とは、いったい何者なのか——。さらに事態を揺らすように、おちえのもとには、思いがけぬ縁談がふいに舞い込んできた。少しずつ大人へと近づいていくおちえの心の揺らぎと、職人と剣士の矜持を併せ持つ一居の戦い。針と剣 縫箔屋事件帖シリーズ第三巻。
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華やかな吉原の廓に、若い遊女たちを次々に蝕む奇妙な病が、静かに広がり始めていた。事の重大さを察した町の顔役の依頼で、闇医者おゑんが診療のため吉原へと足を踏み入れていく。深く昏い廓の奥には、いったいどんな闇が潜んでいるのか——。男たちの欲望と、女たちのささやかな祈り。沈み行く陽が、鮮やかに廓の屋根を、そして女たちの素肌を朱く染めていく。命を継ぎ、命を守ろうとする女たちの、力強く哀しい物語。シリーズの真骨頂を見せつける、闇医者おゑん秘録帖シリーズ第三巻。
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祝言の日。花嫁姿のままのおいちのもとへ、ある衝撃の知らせが飛び込んでくる——商家・浦野屋で食中毒が起こり、しかも毒を盛ったのは、自分のよく知るおみつだというのだ。父・松庵とともに現場へ駆けつけたおいちが目にしたのは、息絶える奉公人と、罪を一身に背負って自害したおみつの姿だった。本当におみつが下手人なのか。亡き者の姿を見ることのできるおいちは、岡っ引きの仙五朗とともに、事件の奥底に渦巻く本当の闇へと迫っていく。シリーズ累計三十五万部突破、おいち不思議がたりシリーズ第六巻。
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浅草の片隅にひっそりと暖簾を掲げる、人と人との縁を結び、また絶ち切る不思議な見立て稼業——「えにし屋」。ある日、お作と才蔵のもとへ、五年前から行方知れずになっている息子・平太を、必死の思いで探し続けているという疲れ切った夫婦が、物乞いの少年・新太を伴ってひそかにやってきた。失踪した息子のいま、その消息はどこにあるのか。深い親心と、いまもこの世に揺らぐ縁の糸を、温かくも切なく描き切る。市井の人々の悲喜こもごもを丹念に綴る、えにし屋春秋シリーズ第二巻。
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遠野屋清之介が紅花の商いに大金を投じた最中、紅餅を満載した船が忽然と海の上から消えた。一方、奉公人のおちやは、八代屋を継いだ長太郎に強引に連れ戻されかけ、思いがけぬ窮地に陥る。同じ頃、岡っ引きの伊佐治の縄張りである弥勒寺裏で、男の刺殺死体が見つかり、北町奉行所同心・木暮信次郎がただちに探索に乗り出す——。商いの謀、女への執着、そして殺しの陰謀。複数の事件が一気に絡み合い、平穏に見えた江戸の町を、野火のごとく駆け抜けていく災厄の正体とは何か。圧巻の筆致で描き切るシリーズ屈指の力作、弥勒シリーズ第十二巻。
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出産を控えたひとりの身重の女が、闇医者おゑんのもとを密かに訪れた。同じ頃、吉原の顔役の依頼で、桐葉という遊女がおゑんのもとへとそっと連れてこられる。豪商に身請けされ、廓の籠から出ることが決まっているにもかかわらず、桐葉は子を産むことを頑なに拒み、ついには自ら命を絶とうとさえした。なぜ、ひとりは産むことを願い、もうひとりは拒もうとするのか——。おゑんは、用心棒の小四郎、薬草に詳しい末音とともに、静かに、しかし執拗に、二つの命の謎を追い始める。闇医者おゑん秘録帖シリーズ第四巻。
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幼い頃に視力を失いながらも、その指先一つで人の体を確かに読み解く凄腕の按摩師、お梅。今や半年先まで予約の入る彼女のもとへ、ある日、思わぬ依頼が舞い込んでくる。武家の屋敷で、近く切腹を控えている武士の動かぬ腕を、儀式の場で動くようにしてほしい——。一抹の不穏な気配を覚えながらも、お梅は供の白犬・寿丸を伴い、屋敷の門をくぐっていく。屋敷を覆う冷えた空気と、どこかにわずかに射す日だまりの光。生と死、忠義と情愛のあわいを丹念に描いた、おもみいたしますシリーズ第二巻、凍空と日だまりと。
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大店の一人娘、お糸が奉公に上がっているのは、不思議きわまる鈴江三万石の江戸屋敷。腰元は気まぐれな猫、上臈はなんと虎、そして奥方さまは人の姿をした白猫さま——。摩訶不思議な顔ぶれの中で、ただ一人「人族」のお糸が、奥方さまにかいがいしくお仕えする日々である。今日もまた、藩を取り巻く穏やかならざる風と、屋敷の中で起こる、笑いと涙のとびきりの騒動が、彼女の周りで次々と巻き起こっていく——。人と猫、それぞれの想いがいよいよ深く交差し合う、鈴江三万石江戸屋敷見聞帳シリーズ第二巻。
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油屋・出羽屋の若い手代が、自ら咽喉を突いて命を絶った——一見、そうとしか見えぬ静かな自死を、北町奉行所同心・木暮信次郎は、なぜか執拗に疑い続けている。なぜ信次郎は、たった一つの死に、ここまで深く強く固執するのか。岡っ引きの伊佐治と、小間物問屋・遠野屋の主、清之介を再び巻き込みながら、男たちはまたしても江戸の闇へと、足を踏み入れていく。冬を抜けてようやく吹き始める春一番が、人の心のかすかな隙間を、どこまで吹き抜けていくのか。シリーズ累計百二十万部突破の話題作にして、シリーズ最新刊、弥勒シリーズ第十三巻。
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身重となったおいちのもとに、ある殺しの一報がもたらされる。殺されたのは、美しい玻璃の風鈴を懐に抱いていた、ひとりの簪職人だった——。亡き者の姿を見ることのできるおいちは、お腹の子を案じる夫を心配させまいとしながらも、岡っ引きの仙五朗とともに事件の真相へと近づいていく。風鈴に込められた紅色の幻のような想いとは、いったい何だったのか。江戸・深川を舞台に、一人の女が母となっていく日々と、人の業の哀しみを丹念に描き切る。歴史時代作家クラブ賞シリーズ賞受賞、おいち不思議がたりシリーズ第七巻。
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「えにし屋」のお初を訪ねてきたのは、米問屋に嫁ぎながらも、ほどなくして実家へ出戻ってしまった若い娘・お藍であった。新たな縁を求めて訪れた彼女の話に静かに耳を傾けるうち、お初は、その夫婦のあいだに横たわっていた、誰にも明かしがたい本当の事情を、おもむろに見抜いていく。家族の情愛、長い年月の中でいつしか積もってしまった怨み、そして縁を結び直すための、それぞれのささやかな決意——。市井の人々の心の襞を温かく丁寧にすくい取る、えにし屋春秋シリーズ最終巻にしてシリーズ完結巻。
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舞台は、関東八州を統べる広大な野と街道筋。八州廻りという役を任された、まだ若き役人・一柳直四郎は、お供の安助を伴い、農村から宿場へと足を運び続ける日々を送っていた。ある日の見廻り先で、彼らは思いもよらぬ不審な死体に出くわす——。村人たちの貧しき暮らし、宿場の人々の確かな矜持、そして街道筋に複雑に絡みつく人と人との因縁。風が運ぶごく微かな違和感を手繰り寄せて、二人は事件の真相へと静かに迫っていく。「作家生活三十数年で初の大転換点」と著者自らが語る、新たな捕物帳、あさのあつこ渾身の意欲作。
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深川の縫箔屋・丸仙の娘、おちえは、不吉な紋様の小袖を、とある大店の別邸へ届ける道すがら、突如として五人の男たちに襲われた。間一髪、駆けつけた一居とともに必死に応戦する二人の前に、ひとりの老婆が静かに姿を現す。その背後には、出雲屋という大店が抱える昏い過去と、おちえ自身の出自に深く関わる、思いも寄らぬ因縁があった——。剣を愛する娘と、武士の身分を捨てて針を握る男。二人がついに大きな宿命に正面から向き合う、針と剣 縫箔屋事件帖シリーズ第四巻。
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小舞藩で代々納戸頭を務める高蔵家。父亡きあと、長女の徳子は市中道場の師範代・藤十郎を婿に迎え、穏やかな暮らしを築いていた。だがある日、藤十郎が遊女と相対死にしたとの知らせが届く。夫には祝言後も続く古い縁があり、子までいたという。深い悲しみと疑念のなか、徳子は残された少年・萩丸を引き取って育て始める。一方、次女のあぐりは、母より年上の大店の主・紀野屋丈衛門に嫁ぎ、商いを通じて新たな情報をつかんでいく。やがて藤十郎の死に他殺の可能性が浮かび、姉妹は藩を揺るがす秘密へと近づいていく。理不尽な運命に翻弄されながらも、自ら選び、凛として生きる女性たちを描く時代小説。