薬丸岳の新刊一覧表
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『こうふくろう』(発売日:2025年6月27日)
二〇二〇年、コロナ禍。孤独と不安を抱える大学生の芹沢涼風は、池袋の公園で、行き場を失った人々と出会う。血のつながりや戸籍に頼らず、強い絆で結ばれた本物の家族を作りたい。そう願った涼風は、親しくなった仲間と「こうふくろう」を立ち上げる。居場所を求める人々が集まり、集団は想像を超えて大きくなっていく。しかし、その内部では、いつしか犯罪行為が日常的に繰り返されるようになる。支え合いたかったはずのつながりは、どこへ向かうのか。家族という言葉の温かさの中に、どんな危険が入り込んでいたのか。誰かと結ばれたい切実な願いと、孤独につけ込む社会の闇が交錯する。身近な日常から不穏さが広がり、人の居場所をめぐる深い怖さを描く長編ミステリー。
『籠の中のふたり』(発売日:2024年7月25日)
弁護士の村瀬快彦は、傷害致死事件を起こした従兄弟・蓮見亮介の身元引受人となり、釈放後、二人で暮らし始める。幼い頃に母を自殺で失って以来、快彦は他人と深く関わることを避けてきた。そんな彼の暮らしに、人懐こく明るい亮介が入り込み、閉じていた心が少しずつ動き出す。だが、母が結婚前に父へ送った手紙を見つけたことで、快彦は自身の出生に関わる秘密へ向き合うことになる。亮介の犯した罪と、自分を縛ってきた過去。身近な相手にも語れなかった事情を知ったとき、二人の関係はどう変わるのか。人との距離を保つことで守ってきたものは、本当に自分を救っていたのか。互いの痛みを受け入れられるかという問いを通して、友情の可能性を描く長編小説。
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『怪物の祈り』(発売日:2026年6月16日)
牧師の保阪宗佑は、妊娠中の娘を凶悪な殺人事件で失う。四人の命を奪った犯人は、死刑判決を受けても反省の姿を見せなかった。人々の救いを祈ってきた宗佑の胸にあるのは、犯人を地獄へ突き落としたいという激しい憎しみ。その思いを抱えながら、彼は受刑者の精神的な救済に当たる教誨師として、娘を殺した男に会う方法を模索する。罪の意識を持たない相手に、言葉は届くのか。死刑執行の日が迫る中、信仰と復讐の間で苦しむ父と、命を奪った男との対話が始まる。命の重さを語ることは、自らの怒りにも向き合うことだった。赦しや救いという言葉では収まらない葛藤を見つめ、人間の心の深部へ迫る長編。『最後の祈り』を加筆修正し、改題した作品。
『刑事弁護人 下』(発売日:2025年3月14日)
ホスト殺害事件の弁護を進めていた持月凛子と西大輔は、被害者の前科を調べる中で、突然、被疑者の涼香から解任を告げられる。なぜ彼女は供述に嘘を重ね、真相へ近づこうとする二人を遠ざけるのか。なお事情を探る弁護士たちは、涼香が一人息子を亡くした四年前の出来事にたどり着く。目の前の殺人の裏には、幼い子どもへの残忍な性的虐待事件が影を落としていた。刑事を辞めて弁護士となった西と、被害者家族としての痛みを抱える凛子。異なる経験を持つ二人にとって、依頼人を弁護するとは何を意味するのか。被害と加害の境目で交錯する思いをたどり、隠された事実に向き合っていく。法の手続きだけでは捉えきれない人間の苦しみに迫る長編の下巻。
『刑事弁護人 上』(発売日:2025年3月14日)
犯罪被害者の家族でありながら、刑事弁護に使命を感じる持月凛子。彼女は、ホストがマンションの一室で撲殺された事件で、同僚の西大輔とともに被疑者の弁護を担当する。逮捕された垂水涼香は、被害者の勤めるホストクラブに通っていた現職の警察官だった。相手の暴行に抵抗して殴ったという涼香の供述には、次第に綻びが目立ち始める。依頼人を信じたい凛子と、真実を知らなければ弁護はできないと考える西。二人は、涼香と被害者の過去の因縁を調べていく。語られた事情のどこに嘘があり、何が隠されているのか。犯罪を憎む思いと、被疑者の権利を守る責任の間で揺れながら、弁護士たちは事件の奥へ踏み込む。刑事弁護の意味を問う長編の上巻。
『死命』(発売日:2024年11月8日)
若くしてデイトレードで成功した榊信一は、末期癌で余命がわずかだと告げられる。残された時間を前に、彼が決めたのは、胸の奥に隠してきた欲望に忠実に生きることだった。その決意を境に、連続殺人が始まる。一方、若い女性の絞殺体が見つかり、警視庁捜査一課のベテラン刑事・蒼井凌が捜査に当たる。犯人を捕らえようと執念を燃やす蒼井にも、やがて病が襲いかかる。死が近づくことで、一人は命を奪う道を選び、一人は命を守るために追い続ける。二人に残された時間は、刻々と減っていく。終わりの見えた人生で人は何を望み、何に責任を負うのか。欲望と使命を対照的に重ね、逃げ場のない追跡の中で生と死の意味を問う犯罪サスペンス。
『罪の境界』(発売日:2024年10月10日)
無差別通り魔事件の加害者・小野寺圭一を取材しようと、フリーライターの溝口省吾が接触する。事件をノンフィクションとして出版したいという申し出に、小野寺が出した条件は、自分を捨てた母親を捜し出すことだった。溝口は母の行方を探るため、加害者が歩んできた人生をたどり始める。なぜ、その条件を求めるのか。事件を知る手がかりは、本人の言葉だけで十分なのか。無関係だったはずの人生を一瞬で結びつける犯罪と、そこに至るまでの時間。過去を知ることは罪の理解につながるのか、それとも別の問いを生むのか。取材が進むにつれ、事件を一つの物語として語る難しさが浮かび上がる。加害者の生い立ちと交錯する人生を追い、罪を分ける境界を問うミステリー。