- 原田マハのシリーズ作品一覧
- 原田マハのノンシリーズ作品一覧
- 『カフーを待ちわびて』(初刊:2006年3月)
- 『一分間だけ』(初刊:2007年4月)
- 『普通じゃない。』(初刊:2007年9月)
- 『ランウェイ・ビート』(初刊:2008年1月)
- 『#9 ナンバーナイン』(初刊:2008年3月)
- 『夏を喪くす』(初刊:2008年5月)
- 『さいはての彼女』(初刊:2008年9月)
- 『おいしい水』(初刊:2008年11月)
- 『キネマの神様』(初刊:2008年12月)
- 『花々』(初刊:2009年3月)
- 『ギフト』(初刊:2009年7月)
- 『翼をください』(初刊:2009年9月)
- 『独立記念日』(初刊:2010年2月)
- 『星がひとつほしいとの祈り』(初刊:2010年4月)
- 『本日は、お日柄もよく』(初刊:2010年8月)
- 『風のマジム』(初刊:2010年12月)
- 『いと 運命の子犬』(初刊:2011年3月)
- 『小説 星守る犬』(初刊:2011年6月)
- 『まぐだら屋のマリア』(初刊:2011年7月)
- 『でーれーガールズ』(初刊:2011年8月)
- 『永遠をさがしに』(初刊:2011年11月)
- 『楽園のカンヴァス』(初刊:2012年1月)
- 『生きるぼくら』(初刊:2012年9月)
- 『ジヴェルニーの食卓』(初刊:2013年3月)
- 『総理の夫』(初刊:2013年7月)
- 『ユニコーン ジョルジュ・サンドの遺言』(初刊:2013年9月)
- 『翔ぶ少女』(初刊:2014年1月)
- 『太陽の棘』(初刊:2014年4月)
- 『奇跡の人』(初刊:2014年10月)
- 『あなたは、誰かの大切な人』(初刊:2014年12月)
- 『異邦人』(初刊:2015年2月)
- 『モダン』(初刊:2015年4月)
- 『ロマンシエ』(初刊:2015年11月)
- 『暗幕のゲルニカ』(初刊:2016年3月)
- 『デトロイト美術館の奇跡』(初刊:2016年9月)
- 『リーチ先生』(初刊:2016年10月)
- 『モネのあしあと』(初刊:2016年11月)
- 『サロメ』(初刊:2017年1月)
- 『アノニム』(初刊:2017年6月)
- 『たゆたえども沈まず』(初刊:2017年10月)
- 『スイート・ホーム』(初刊:2018年3月)
- 『フーテンのマハ』(初刊:2018年5月)
- 『やっぱり食べに行こう。』(初刊:2018年5月)
- 『常設展示室』(初刊:2018年11月)
- 『美しき愚かものたちのタブロー』(初刊:2019年5月)
- 『原田マハの印象派物語』(初刊:2019年6月)
- 『20 CONTACTS 消えない星々との短い接触』(初刊:2019年8月)
- 『風神雷神 上』(初刊:2019年10月)
- 『風神雷神 下』(初刊:2019年10月)
- 『〈あの絵〉のまえで』(初刊:2020年3月)
- 『ハグとナガラ』(初刊:2020年10月)
- 『お帰り キネマの神様』(初刊:2021年3月)
- 『リボルバー』(初刊:2021年5月)
- 『黒い絵』(初刊:2023年11月)
- 『板上に咲く』(初刊:2024年3月)
- 『原田マハのポスト印象派物語』(初刊:2025年3月)
- 『晴れの日の木馬たち』(初刊:2025年12月)
- 『すべてが円くなるように』(初刊:2026年3月)
- 『ハミングバードのいるところ』(初刊:2026年11月)
原田マハのシリーズ作品一覧
原田マハのノンシリーズ(単発)作品一覧(刊行順)
『普通じゃない。』(初刊:2007年9月)
花を愛しながら就職先が決まらずにいたしいなは、植物公園で出会った風変わりな老人に誘われ、大手都市開発会社へ入社する。華やかなキャリアの始まりを期待した彼女が配属されたのは、埃だらけの地下四階。そこでは個性豊かな仲間たちが、常識外れの秘密プロジェクトを進めていた。都会に緑を取り戻す夢を胸に、しいなは仕事や友情、恋に全力でぶつかっていく。『普通』の枠を飛び越える爽快なお仕事小説。
『夏を喪くす』(初刊:2008年5月)
父の記憶を呼び覚ます一篇の詩、意識不明の夫へ届き続ける謎の振り込み、病を告げられて初めて見えた本当の願い、消息を絶った親友とのニューヨークの日々。異なる痛みや秘密を抱えた四人の女性が、過去と向き合い、自分の人生を選び直す瞬間を描く短編集。失うことの怖さを知ったからこそ生まれる決意と、静かに差し込む希望が、夏の光と影のように心に残る。
『さいはての彼女』(初刊:2008年9月)
仕事も恋も思い通りに運び、走り続けてきた女性社長・涼香。信頼していた秘書が去り、心身ともに疲れ切った彼女が休暇に選んだはずの行き先は沖縄――ところが、手違いでたどり着いたのは北海道の女満別だった。そこで出会った人々と雄大な風景が、固くなった心を少しずつ解いていく。人生の岐路に立つ女性たちが旅や出会いを通して再び歩き出す姿を描いた、再生の短編集。
『キネマの神様』(初刊:2008年12月)
会社を辞めた歩の悩みは、映画を愛する一方でギャンブルと借金をやめられない父・ゴウ。ひょんなことからゴウの映画評が小さな映画雑誌のブログに載ると、米国の謎の投稿者『ローズ・バッド』との論争が世界中の映画ファンを熱狂させる。経営難の名画座、崖っぷちの家族、海を越えた友情。ばらばらだった人々を結び直すのは、人生を映す一本の映画だった。映画への愛に満ちた家族小説。
『ギフト』(初刊:2009年7月)
旅立ちの前夜に父と歩く桜並木、親友の結婚式へ向かう特別な近道、閉店間際のカフェで待つ恋人、花に託された小さなメッセージ。慌ただしい毎日に埋もれそうな出会いと別れを、短い物語のなかに鮮やかに閉じ込めた作品集。思いがけない風景や誰かのひと言が、立ち止まった心へ贈り物のように届く。母と娘の絆を描く一篇も収めた、温かな余韻の残るショートストーリーズ。
『翼をください』(初刊:2009年9月)
新聞記者の翔子は資料室で、1939年に世界一周を成し遂げた『ニッポン号』の写真を発見する。そこから浮かび上がるのは、大空へ自由を求めた米国人女性飛行士エイミーと、日本人カメラマンの数奇な軌跡だった。戦争へ傾く時代、太平洋を越えて交差する二つの翼と、世界を一つにつなごうとした人々の夢。史実をもとに、飛ぶことへの情熱と平和への願いを壮大なスケールで描く航空ロマン。
『独立記念日』(初刊:2010年2月)
恋愛、結婚、仕事、病、別れ。さまざまな年代と境遇の女性たちが、それまで『すべて』だと思っていた世界の外へ一歩を踏み出す。夢に破れた日も、思わぬ出会いや小さな気づきが、自分の足で人生を選び直す力になる。寄り道やつまずきを抱えたまま、それぞれの独立へ向かう姿を軽やかに描く24の短編。再出発したい心にそっとエールを送る物語集。
『星がひとつほしいとの祈り』(初刊:2010年4月)
不意の妊娠、母の死、忘れられない恋、娘との距離、夫を失ったあとの旅。20代から50代まで、人生の節目に立つ女性たちが、旅先で人の温かさに触れ、自分の運命を受け止めながら次の道を探していく。時代や境遇が暗雲に覆われても、胸の奥にある小さな光は消えない。希望と祈りを静かな筆致で見つめた、七つの人生の物語。
『本日は、お日柄もよく』(初刊:2010年8月)
平凡な会社員のこと葉は、思いを寄せていた幼なじみの結婚式で、聞く人の心を一瞬でつかむ祝辞に出会う。言葉の力に衝撃を受けた彼女は、伝説のスピーチライター・久遠久美に弟子入りし、政治の世界へ足を踏み入れていく。人前で話すことも苦手だったこと葉は、大切な思いを届かせる言葉を見つけられるのか。仕事、恋、選挙が交差する、熱く爽やかな成長物語。
『風のマジム』(初刊:2010年12月)
沖縄の会社で契約社員として働く28歳の伊波まじむには、南大東島のサトウキビから純沖縄産のラム酒を造る夢があった。社内ベンチャー制度へ企画を出した彼女は、島へ渡り、工場用地を探し、伝説の醸造家を口説き、次々と立ちはだかる壁へ体当たりで挑む。経験も肩書もない一人の女性の情熱は、島の人々と会社を動かせるのか。実話をもとにした痛快なお仕事サクセスストーリー。
『小説 星守る犬』(初刊:2011年6月)
犬のハッピーは、家族みんなと暮らす毎日がずっと続くと信じていた。けれども生活の変化とともに家族は少しずつ離れ、最後に残った『おとうさん』と旅に出ることになる。行く先々で寄り添い続ける一人と一匹を、まっすぐな犬の目線から描く物語。家族とは何か、最後までそばにいるとはどういうことか。村上たかしの名作コミックを原作に、切なくも深い愛情を小説として紡ぎ直す。
『まぐだら屋のマリア』(初刊:2011年7月)
料理人としての挫折に打ちのめされ、生きる望みさえ失った紫紋は、旅の果てに山あいの村へたどり着く。そこで出会ったのは、食堂『まぐだら屋』を一人で切り盛りする有馬りあ――皆からマリアと呼ばれる女性だった。過去に傷を抱える村人たちと、心をほどく温かな料理。紫紋は食べること、働くこと、人とつながることを通して、もう一度人生を始める勇気を取り戻していく。
『でーれーガールズ』(初刊:2011年8月)
人気漫画家となった鮎子は、母校での講演のため30年ぶりに岡山へ戻る。そこでよみがえるのは、転校生だった高校時代と、強く美しい親友・武美との鮮烈な日々。夢も恋も秘密も分け合った二人は、なぜ誤解を残したまま離れてしまったのか。現在と過去を行き来しながら、岡山弁の『でーれー』な友情の行方をたどる。青春の痛みと、時を越えて届く思いを描いた物語。
『永遠をさがしに』(初刊:2011年11月)
世界的指揮者の父と二人で暮らす16歳の和音の前に、ある日、型破りな『新しい母』が現れる。突然変わった家族の形に戸惑い、父との距離や自分の将来に揺れる和音。だが、チェロの音色と周囲の人々の思いに触れながら、胸の奥にしまっていた本当の望みを見つめ始める。親子の葛藤と和解、友情と愛情を音楽に重ね、止まっていた心が再び響き合うまでを描く感動作。
『楽園のカンヴァス』(初刊:2012年1月)
スイスの大邸宅に招かれたMoMAの若きキュレーター、ティム・ブラウン。彼を待っていたのは、アンリ・ルソーの名作『夢』に酷似した未発表作と、日本人研究者・早川織絵だった。真贋を見極めた者に絵を譲る――手がかりは一冊の古書、期限は七日間。ルソーとピカソが生涯抱えた秘密、絵に託された情熱を追い、二人の鑑定対決が始まる。美術史と謎解きが響き合うアートミステリー。
『生きるぼくら』(初刊:2012年9月)
高校時代のいじめをきっかけに引きこもった24歳の麻生人生は、母が突然姿を消したことで、四年ぶりに外へ出る。頼ったのは、長野・蓼科で暮らす祖母から届いた一枚の年賀状だった。そこで待っていた予想外の現実と、初めての米づくり。義妹のつぼみや土地の人々と土に触れ、汗を流すうち、人生は食べること、働くこと、誰かと生きることの意味を知っていく。再生と家族の物語。
『ジヴェルニーの食卓』(初刊:2013年3月)
モネ、マティス、ドガ、セザンヌ。美術史に名を刻んだ画家たちを、彼らのすぐそばで暮らした女性たちのまなざしから描く四つの物語。ジヴェルニーの庭で光を追い続けたモネと義理の娘ブランシュをはじめ、創作に取り憑かれた巨匠たちの孤独、葛藤、支え合いが鮮やかによみがえる。名画の向こうにいた一人の人間へ近づき、美が生まれる瞬間を味わうアート短編集。
『総理の夫』(初刊:2013年7月)
20××年、42歳の相馬凛子が日本初の女性総理大臣に選ばれた。鳥類学者の夫・日和は突然『総理の夫』となり、妻の激務と官邸の日々を後世へ残すため日記をつけ始める。税制、原発、社会福祉に挑む相馬内閣は支持を集めるが、その足元では陰謀が動き出す。理想を掲げる総理と、誰よりも彼女を信じる夫。政治の舞台で試される夢と夫婦愛を描く痛快エンターテインメント。
『翔ぶ少女』(初刊:2014年1月)
1995年、神戸市長田区。震災で両親を失った小学一年生の丹華は、兄の逸騎、妹の燦空とともに、医師の『ゼロ先生』こと佐元良是朗に救われる。焼け跡から復興へ向かう町で、血のつながらない四人は少しずつ家族のような絆を育てていく。しかし、その先には思いがけない出来事が待っていた。もう大切なものを失いたくない――少女の切なる祈りが起こす、優しい奇跡と再生の物語。
『太陽の棘』(初刊:2014年4月)
終戦直後、米国統治下の沖縄へ赴任した若い軍医エドは、首里の森で『ニシムイ美術村』に迷い込む。そこには戦争の傷を抱えながら、絵を描く情熱を失わない沖縄の画家たちが暮らしていた。占領する側とされる側という隔たりを越え、エドと画家たちはアートを通じて心を通わせていく。荒廃のなかでも色彩を生み出そうとした人々の友情と誇りを、史実をもとに描く希望の物語。
『奇跡の人』(初刊:2014年10月)
明治20年の津軽。目が見えず、耳が聞こえず、言葉を持たない少女・介良れんの教師として、米国帰りの去場安が旧家へ招かれる。安自身も弱視を抱え、やがて光を失う不安と闘っていた。家族や因習の壁に阻まれながらも、安はれんの内側にある知性と感情を信じ、世界へ通じる扉を探し続ける。ヘレン・ケラーとサリヴァンの物語を明治日本へ移し、人間の可能性と教育の力を描く長編。
『あなたは、誰かの大切な人』(初刊:2014年12月)
孤独のうちに亡くなった父から美術館へ届いた荷物、母の死後に明かされる父の思い、旅先で出会う人生の先輩、長年の友と歩く海辺。年齢を重ね、寂しさや不安を抱える女性たちが、何気ない日常の奥にあった愛情へ気づく六つの物語。大切に思う気持ちは、いつも言葉になるとは限らない。それでも誰かとのつながりが人生を支えていることを、静かな温かさで伝える短編集。
『異邦人』(初刊:2015年2月)
東日本大震災後、出産を控えて京都に滞在する有吉美術館副館長の菜穂は、老舗画廊で無名の若い女性画家が描いた一枚の日本画に心を奪われる。声を失った画家の才能を世に出そうと動き始めた菜穂だが、その絵をめぐり、夫や画廊、美術館、それぞれの欲望が露わになっていく。京都の四季を背景に、美に魅入られた者たちの愛と執着、家族の秘密を濃密に描くアートサスペンス。
『モダン』(初刊:2015年4月)
モダンアートの聖地、ニューヨーク近代美術館MoMA。ピカソ、マティス、ワイエスらの名画を前に、学芸員、警備員、来館者たちの記憶と人生が交差する。震災で中断された展覧会、長く守られてきた作品、絵の前で初めて明かされる思い。常に新しさを問い続ける美術館を舞台に、一枚の絵と人との出会いが生む小さな変化を描く短編集。アートが日常へ差し出す光を静かに味わえる。
『ロマンシエ』(初刊:2015年11月)
芸術家を夢見てパリへ渡った青年・美智之輔は、繊細な感性と乙女の心を持つ『ロマンシエ』。個性豊かな人々が集う街で創作に励む彼は、偶然出会った年上の日本人女性が、愛読する人気ハードボイルド小説の作者だと知る。友情、恋、憧れが入り混じるなか、自分らしい表現とは何かを探す日々。芸術の都を舞台に、常識や性別の枠を軽やかに越える、ユーモアあふれる青春アート小説。
『暗幕のゲルニカ』(初刊:2016年3月)
2003年、国連本部でイラク攻撃を宣言する記者会見の背後から、『ゲルニカ』のタペストリーが消えた。MoMAのキュレーター八神瑤子は、ピカソの反戦の象徴をめぐる陰謀へ巻き込まれていく。物語は1937年、スペイン内戦下で作品誕生を見つめた写真家ドラ・マールの時代と交錯する。ピカソは巨大な画面に何を託したのか。過去と現代を貫く戦争と芸術の力を描くアートサスペンス。
『デトロイト美術館の奇跡』(初刊:2016年9月)
財政破綻したデトロイト市で、市立美術館の世界的コレクションを売却する案が持ち上がる。守るべきは市民の暮らしか、それとも市民の誇りである美術か。論争が広がるなか、セザンヌの絵を家族のように愛する一人の老人の行動が、人々を結びつけ、大きなうねりを生んでいく。名画を未来へ残そうとした市民たちの選択を、実際の出来事をもとに描く、アートと希望の物語。
『リーチ先生』(初刊:2016年10月)
1954年、大分・小鹿田で英国人陶芸家バーナード・リーチと出会った高市は、亡き父・亀乃介がかつて彼に師事していたと知る。時は1909年へ遡り、芸術に憧れる亀乃介は、来日した若きリーチの助手となる。柳宗悦、濱田庄司らとの友情、日本の民藝との出会いを通じ、東洋と西洋を結ぶ表現を築いていくリーチ。その生涯と創作の情熱を、陶工父子の視点から描いたアート小説。
『モネのあしあと』(初刊:2016年11月)
『印象派』という名の出発点となったクロード・モネ。『印象―日の出』を酷評されながらも、切り取るような構図、筆跡を残す色彩、光によって変わる風景を追い、絵画の新しい見方を切り開いていった。仲間たちとの交流、家族との暮らし、ジヴェルニーの庭、晩年の大装飾画まで、波乱に満ちた生涯と作品の魅力を案内する。名画をもっと近く、もっと深く味わうためのアート入門。
『サロメ』(初刊:2017年1月)
現代のロンドン。客員学芸員の甲斐祐也は、研究者から未発表版『サロメ』の相談を受ける。調査の先に浮かぶのは、19世紀末の作家オスカー・ワイルドと、彼に見いだされ『サロメ』の挿絵で名を上げた夭逝の画家オーブリー・ビアズリー。二人の才能と愛憎は、周囲の人々を巻き込みながら破滅的な熱を帯びていく。妖艶な挿絵に隠された美術史の謎へ迫る、退廃と情熱のアートミステリー。
『アノニム』(初刊:2017年6月)
香港で、ジャクソン・ポロック幻の傑作がオークションにかけられる。美里たちは、権力や富に囲い込まれたアートを救うため、秘密集団『アノニム』として大胆な計画を始動する。一方、アーティストを夢見る高校生・張英才のもとにも、彼らから謎の接触が届く。揺れる香港の街を舞台に、奪う者と守る者、若者の自由への願いが交錯する。一枚の絵が世界を変える瞬間を描くアートエンターテインメント。
『たゆたえども沈まず』(初刊:2017年10月)
1886年、パリ。日本の浮世絵を巧みに売り込む画商・林忠正の前に、画商の弟テオと、売れない画家フィンセント・ファン・ゴッホが現れる。日本美術に憧れ、独自の色彩を探すフィンセントと、その才能を信じ支え続けるテオ。三人の出会いは、やがて世界の見方を変える一枚へつながっていく。史実と想像を織り交ぜ、芸術家の孤独、兄弟愛、海を越えた美の連鎖を描く長編アート小説。
『スイート・ホーム』(初刊:2018年3月)
宝塚近くの高台にある、小さな洋菓子店『スイート・ホーム』。引っ込み思案な28歳の陽皆は、職人気質の父、明るい母、華やかな妹と暮らしながら、胸に秘めた恋をなかなか言葉にできずにいる。店を訪れる人々にも、それぞれ家族や仕事、恋の悩みがあった。丁寧に作られたケーキとさりげない優しさが、交差する人生を少しずつほどいていく。日常にある確かな幸せを描く連作短編集。
『フーテンのマハ』(初刊:2018年5月)
食、陶器、絵画、鉄道――興味を見つければ、日本でも海外でもすぐ旅へ。敬愛する寅さんにちなみ『フーテン』を自認する著者が、友人や編集者を相棒に東奔西走した取材旅行を綴る。青森の焼きそば、夜のルーヴル、セザンヌやゴッホを追う巡礼、沖縄の風景。人気小説が生まれた舞台裏と、予定外の出会いに満ちた旅の醍醐味を、笑いと感動で届けるエッセイ集。
『やっぱり食べに行こう。』(初刊:2018年5月)
ピカソやゴッホを訪ねた旅の途中で出会った、忘れられない一皿。パリ、ニューヨーク、ロンドン、スペイン、ロシア、京都、蓼科などを巡り、作品取材の思い出と土地の味を綴る食のエッセイ集。牡蠣、郷土料理、気取らない店の名物まで、食卓から人や街の素顔が立ち上がる。アートと小説、旅と美味がつながり、次の目的地へ出かけたくなる満腹の一冊。
『常設展示室』(初刊:2018年11月)
いつか終わる恋、不意の病、忘れられない人、家族との距離。人生の選択に迷う人々が美術館の常設展示室を訪れ、いつでもそこにある一枚の絵と静かに向き合う。ピカソ、フェルメール、ラファエロ、ゴッホ、マティス、東山魁夷――実在する六つの作品が、立ち止まった心へ新しい視線を差し出す。アートと人生が響き合い、未来への扉が開く瞬間を描いた短編集。
『美しき愚かものたちのタブロー』(初刊:2019年5月)
『日本に本物の美術館を創りたい』。実業家・松方幸次郎はその夢を胸に、欧州でモネやゴッホらの名画を買い集める。しかし戦争とナチスの略奪、国家間の対立によって、作品群は数奇な運命へ投げ込まれていく。散逸の危機から絵を守り、日本へ取り戻そうと奔走した人々の情熱は実を結ぶのか。国立西洋美術館の礎となった『松方コレクション』の誕生と流転を描く歴史アート小説。
『20 CONTACTS 消えない星々との短い接触』(初刊:2019年8月)
セザンヌ、マティス、ゴッホ、バーナード・リーチ、黒澤明、手塚治虫、東山魁夷、宮沢賢治――時代を越えて輝き続ける20人の創作者へ、著者が想像のなかで突撃インタビューを試みる。作品を生んだ衝動は何だったのか。世界とどう向き合い、何を未来へ手渡したのか。史実と敬意に自由な発想を重ね、巨匠たちの創作の秘密へ近づく。展覧会のために書き下ろされたユニークな掌編集。
『風神雷神 上』(初刊:2019年10月)
京都国立博物館の研究員・望月彩は、マカオの学芸員に導かれ、『風神雷神』を描いた西洋絵画と一通の古文書を目にする。そこには天正遣欧少年使節の原マルティノの署名、そして謎多き絵師『俵屋宗達』の名があった。時は16世紀へ遡り、海を渡った少年たちと若き宗達の運命が動き始める。日本と西洋、史実と想像を結び、名画誕生の秘密に迫る壮大な歴史アート小説・上巻。
『風神雷神 下』(初刊:2019年10月)
天正遣欧少年使節とともに海を越えた若き俵屋宗達は、異国で圧倒的な芸術と出会う。やがてバロックの巨匠となるカラヴァッジョとの邂逅は、二人の創作にどんな火を灯したのか。現代で古文書を追う研究員・望月彩の調査と、16世紀の旅が重なり、『風神雷神図屏風』へ続く壮大な秘密が姿を現していく。文化と宗教の境を越え、絵が絵を呼ぶ奇跡を描く歴史アート小説・下巻。
『〈あの絵〉のまえで』(初刊:2020年3月)
ゴッホ、ピカソ、セザンヌ、クリムト、東山魁夷、モネ。就職活動、家族との別れ、夢への迷いなど、人生の脇道に立ち尽くす人々が、各地の美術館で『あの絵』と出会う。亡き祖母への後悔を抱えるライター・亜衣を救ったのも、絵の前で受け取った思いがけないメッセージだった。傷ついた心が作品と対話し、もう一度歩き出すまでを描く六つの美術小説。
『お帰り キネマの神様』(初刊:2021年3月)
2019年、映画を愛してやまないゴウは、ギャンブルで家族を困らせながらも、古い映画館へ通い続けている。物語は1969年の撮影所へ遡り、若きゴウと映画人たちが夢を追った青春の日々へ。壊れかけた家族と、消えかけた夢をつなぎとめるのは、いつも一本の映画だった。原作小説を大胆に再構成した山田洋次監督作品を、原作者自身が新たに小説化した、映画と人生への愛に満ちた物語。
『リボルバー』(初刊:2021年5月)
パリの小さなオークション会社で働く高遠冴のもとへ、錆びついた一丁のリボルバーが持ち込まれる。それはフィンセント・ファン・ゴッホの最期に関わる銃だという。長年ゴッホとゴーギャンを研究してきた冴は、真贋を追ううち、アルルで共同生活を送った二人の友情と決裂、耳切り事件、死の謎へ近づいていく。本当にゴッホを撃ったのは誰なのか。美術史の定説を揺さぶるアートミステリー。
『黒い絵』(初刊:2023年11月)
友人も恋人もなく、暗い押入れだけを安息の場所にする高校生。ニューヨークを走る列車で交差する欲望。名画を思わせる女たちの秘密と復讐――。これまで光や希望を描いてきた物語の奥から、嗜虐、背徳、孤独を黒く塗り込めた六つの作品が現れる。深海、楽園、指先、向日葵など鮮烈なイメージを手がかりに、人の心に潜む危うさと美を描く、著者初のノワール小説集。
『板上に咲く』(初刊:2024年3月)
1924年、『ゴッホになる』という夢だけを抱き、青森から上京した棟方志功。絵の師も画材を買う金もなく、弱視にも苦しみ、展覧会では落選を重ねる。それでも創作を諦めない彼が出会ったのは、木の板を彫る表現だった。やがて独自の『板画』が日本から世界へ羽ばたいていくまでを、墨を磨り、暮らしを支え、最も近くで見守った妻チヤのまなざしから描く。情熱と夫婦の愛に満ちたアート小説。
『晴れの日の木馬たち』(初刊:2025年12月)
明治43年、病に倒れた父を支えるため倉敷紡績で働く16歳のすてらは、社長・大原孫三郎から贈られた雑誌『白樺』でゴッホの絵に出会う。心を射抜かれた彼女は、『ゴッホが絵を描いたように小説を書く』と自らの道を定めるが、ある出来事から岡山を離れ、東京へ向かうことに。女性が自由に書くことも難しかった時代、夢を手放さず文壇へ挑む少女の成長を、アートとともに描く長編。
『すべてが円くなるように』(初刊:2026年3月)
貝が育む真珠には、人の記憶と願いを結ぶ不思議な力がある。フェルメール展を見るためアムステルダムへ向かう作家、パリで建築を学び祖母の仕事に憧れる女性、企画展をきっかけに鳥羽で再会するハーバード時代の女友達。祖母と孫、母と娘、長い友情――世代や海を越えた関係が、真珠とアートを通して円くつながっていく。人生と夢を優しく照らす短編集。
『ハミングバードのいるところ』(初刊:2026年11月)
2020年、ロックダウン下のパリで綴られた18日間。戦争によって遠回りを余儀なくされた空路の果てで出会うアート。そしてヴェネチア・ビエンナーレへ挑むアーティストと、双子を育てる家族の日々。感染症や侵攻など、世界が厳しさを増す時代にも、人は何度でも生まれ変わり、希望をつくり出せる。現代の出来事と創作、暮らしを結び、生き直すための覚悟を描く短編集。