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『犯人は現場に首だけ戻る』(発売日:2026年7月16日)
“派遣社員”が、猟奇殺人の現場に立つ。フリーライターの折本光一は、友人の久世敬太郎に誘われ、警視庁の「非正規雇用捜査官」という奇妙な職に採用される。最初の現場は、強盗殺人が起きた一軒家。事件から十日後、犯人と思しき生首が門柱の上に忽然と置かれていた——なぜ犯人は、首だけになって現場へ戻ってきたのか。腕を切る者、足を切る者……派遣捜査コンビの前に、次々と立ちはだかる猟奇的な謎の数々。だが、どれほど血なまぐさい事件でも、相棒の久世はどこか飄々と「真相がわかりました」と言ってのける。バラバラ死体が彩る不可解な事件を“のほほん”と鮮やかに解き明かす、ユーモア本格ミステリ連作集。
『猫の耳に甘い唄を』(発売日:2024年12月12日)
売れないミステリー作家・冷泉彰成は、弟子の久高享に創作術を教えながら執筆を続けている。そんな彼のもとに届いた二通の手紙のうち、一通には「殺人と云う名の粛清を献上する」と不穏な文言があった。悪戯と見過ごした矢先、冷泉のファンだった女性が殺され、やがて同じような手紙と事件が重なっていく。作家の言葉、読者の思い、犯人の文書が交錯し、物語を読むこと自体が恐怖に変わる。創作と現実の境目を揺さぶる本格ミステリ。ファンレターという親密な形式が不穏な凶器へ変わる怖さがあり、作家自身が事件の中心に置かれる緊張が最後まで続く。手紙の文面を読むたび、次の事件への不安が高まっていく。
『死体で遊ぶな大人たち』(発売日:2024年9月5日)
夏の山荘で起きた惨劇、殺人の相談を持ちかける者たち、死者が生者を殺したかのような密室心中、そして腕だけが別人にすげ替えられた死体。常識外れの状況は不謹慎でばかばかしく見えながら、解きほぐすほど本格ミステリとしての筋道を現す。死体をどう配置し、どう誤解させ、どう真相へ導くのか。奇抜な絵面に笑いながらも、解決の論理はしっかり硬い。四つの奇怪な事件に、著者デビュー三十周年の遊び心と論理が詰まった作品集。死体の扱いをここまで大胆に遊びながら、解決はあくまで論理的。悪趣味すれすれのユーモアと本格の両立が魅力。奇想を笑って済ませず、きちんと推理へ落とす手腕が光る。濃密。
『大雑把かつあやふやな怪盗の予告状 : 警察庁特殊例外事案専従捜査課事件ファイル』(発売日:2023年2月15日)
大雑把かつあやふやな怪盗の予告状 : 警察庁特殊例外事案専従捜査課事件ファイル <単行本>
発売日:2023年2月15日
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現実にミステリ小説めいた事件が起きたとき、警察はどう対処するのか。そのために作られた探偵課へ、警察庁に入ったばかりの新人・木島壮介が配属される。待っているのは、癖の強い探偵たちと、古典的で中途半端な密室や大雑把な怪盗の予告状のように、現実離れしているのに放っておけない難事件。常識的な捜査と推理小説的発想がぶつかるたび、事件は思わぬ形で姿を変えていく。探偵役の個性と警察組織の現実感が同時に楽しめる連作ミステリ。推理小説のお約束を現実の警察組織へ持ち込む発想が楽しく、笑いと謎解きの両方で先を読ませる。探偵小説好きほど、設定のずれと引用感を楽しめる。新人の戸惑いも効いている。
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| 発売日 | タイトル | シリーズ名 | 詳細 |
|---|---|---|---|
| シュークリーム・パニック : Wクリーム | ― | 詳細 | |
| シュークリーム・パニック : 生チョコレート | ― | 詳細 |
『シュークリーム・パニック : Wクリーム』(発売日:2013年11月7日)
ワンルームに通ってくる腹に渦巻き模様のある猫を、真紀は「うずまきちゃん」と名付けてかわいがっていた。だが近隣で傷害事件が起こり、刑事の恋人・満久はその猫に事件の秘密が隠されていると言い出す。断食セミナーで起きるシュークリーム盗難、怪盗ジャスティスからの予告状も加わり、かわいさや甘さだけでは終わらない謎が広がる。可笑しな設定に気を取られていると、見落としていた手がかりが顔を出す。軽い手触りの奥で、本格の論理が弾ける三編を収録。猫、甘味、怪盗という親しみやすい題材が、いつの間にか理詰めの謎へ変わる。肩の力を抜いて読めるのに油断できない。題名の甘さと謎の硬さの落差が、独特の楽しさを生む。
『シュークリーム・パニック : 生チョコレート』(発売日:2013年10月8日)
場外馬券売り場で見知らぬ男から持ちかけられたのは、一人一億円を狙う銀行強盗計画。人生をひっくり返したい「僕」は誘いに乗るが、綿密なはずの計画にはどこか奇妙なずれがある。現金強奪作戦をはじめ、強運に翻弄される男、夏の終わりに映画作りへ挑む若者たちの物語まで、スリルと笑いが同時に転がり出す三編を収録。ばかばかしさと切実さが同居する状況から、思わぬ真相が見えてくる。軽妙な語りの裏で、ミステリの仕掛けが効く短編集。危なっかしい人物たちの選択に笑いながら、なぜその計画が変に見えるのかを考えさせられる。軽さの奥に計算がある。読み口は軽いが、着地点には倉知らしいひねりが効いている。
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『占い師はお昼寝中』(発売日:2026年9月9日)
渋谷のおんぼろビルにある霊感占い所には、幽霊や妖怪に悩む客が今日も訪れる。だが昼寝ばかりしている占い師・辰寅叔父に霊感はなく、口から出る怪異の名もでたらめばかり。それでも彼のご託宣は、相談者の言葉に潜む矛盾を鋭く突き、現実の謎をほどいていく。姪の美衣子が振り回されながら見守る、ユーモアと人情味に満ちた安楽椅子探偵連作集。怪しげな雰囲気と日常の悩みが混ざり合い、軽い笑いの先に人の心をほぐすような解決が待っている。怪異相談の形を借りながら、人の迷いや思い込みをほどく作りが心地よく、やわらかな笑いと論理の切れ味が同時に味わえる。怪しさの裏に日常の切実さがあるところも読みどころ。
『恋する殺人者』(発売日:2025年7月10日)
大好きな従姉の転落死に疑問を抱いた大学生・高文は、彼に片思いする来宮を助手役にして真相を探り始める。大型猫科の獣を思わせる刑事・鷲津に軽くあしらわれながらも、二人は関係者を訪ね歩く。だが協力を求めた人びとが次々と殺され、恋心も推理も危うい迷路へ入り込んでいく。誰が何を読ませ、何を隠しているのか。恋愛のぎこちなさと連続する死の緊張が絡み合い、ページをめくる快楽そのものを仕掛けにした本格ミステリ。恋の不器用さが物語を軽く見せる一方、殺人の連鎖は容赦なく、読み手の予想を何度も組み替えてくる。恋と殺意が交差する不穏さが、物語を先へ押し出す。不穏な余韻まで引きずる。
『世界の望む静謐』(発売日:2025年1月30日)
漫画家を殺してしまった担当編集者、悪徳プロモーターに手をかけた元スター、部下へ死の鉄槌を下した人気文化人、過去で脅す同僚を封じた講師。彼らの犯罪計画は、それぞれ完璧に見えた。だが、死神のような乙姫警部は最初から疑い、小さな選択の誤りを見逃さない。犯人たちはいつ、何を間違えたのか。成功したはずの罪が少しずつ崩れていく倒叙の緊張が冴える。犯人の焦りと警部の静けさが対照的に迫る、乙姫警部シリーズ第2作。犯人側の焦りが積み重なるほど、乙姫警部の静かな追及が怖くなる。倒叙ミステリの快感をじっくり味わえる。収録作それぞれの犯人像の違いも、連作としての読み応えになる。
『月下美人を待つ庭で 猫丸先輩の妄言』(発売日:2023年3月20日)
亡き母が遺した庭に、悪気があるのかないのか判然としない訪問者たちがかわるがわる現れる。目的の見えない侵入、ささやかな違和感、会話の端に隠れた手がかり。猫丸先輩は大げさな探偵ぶりを見せることなく、人の思いと行動のずれを軽やかにほどいていく。月下美人を待つ静かな庭で、日常の小さな不思議が思わぬ人間模様へ変わる。笑いの奥に少しの寂しさも残る、ユーモアと論理で照らす連作短編集、猫丸先輩シリーズ第6作。大事件ではないからこそ、庭を訪れる人々の目的や感情のずれが丁寧に見えてくる。静かな余韻を残す一冊。庭という限られた空間が、物語に穏やかな統一感を与えている。庭の静けさも印象的。
『ドッペルゲンガーの銃』(発売日:2021年10月6日)
新人賞の佳作にようやく引っかかった女子高生作家の卵・灯里は、小説のネタを求め、警視監の父と刑事の兄の威光を使って事件現場に潜り込む。だが現実の謎を解き明かすのは、彼女でも捜査一筋の兄でもない――兄に取り憑いた、ご先祖様の守護霊だった。文豪の遺した蔵で起きた密室殺人、同じ人物が二か所に現れたとしか思えない事件、痕跡を残さず宙を飛んだかのような殺意。設定はゆるく会話は軽やかなのに、突きつけられる謎はどれも本格そのもの。霊が語る論理に、現実の事件はどう照らし出されるのか。創作と現実の境を行き来する、中編三作を収めた異色の本格ミステリ。安楽椅子探偵という趣向が、ユーモアと驚きを同時に運んでくる。
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