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『傾斜のマリア』(発売日:2026年7月24日)
外資系製薬会社の凄腕ウイルスハンター・神原恵弥。精悍な面差しと抜群の記憶力を併せ持ちながら、口を開けば女言葉という独特の存在感を放つ彼が、新たな謎へと足を踏み入れる。歴史と信仰が幾重にも層をなす土地を訪れた神原の鋭敏な観察眼は、過去から現在へと滲み出すかすかな違和感を見逃さない。やがて土地の記憶と人の業がゆっくりと絡み合い、「傾斜のマリア」という言葉が静かに輪郭を帯び始める――。前作『ブラック・ベルベット』から続く神原の旅路は、ここでさらに深く、いっそう謎めいたものへと姿を変える。叙情と緊張が美しく交差する、恩田陸の真骨頂。神原恵弥シリーズ第4作。
『spring another season』(発売日:2025年12月10日)
ファンの熱望に応えた『spring』の世界の続編・スピンオフ集。新作中篇「石の花」を含む全十二章で、本編では描かれなかった舞台裏が綴られる。深津、バレエ団のヴァネッサ、ハッサン、フランツ、永遠の師ジャン・ジャメ、教師コンビのエリック・リシャール、ロシア留学経験を持つ滝澤美潮——萬春をめぐる人々それぞれの過去と未来を多面的に描き出す。期間限定公開だったレア・エピソード「反省と改善」も収録された姉妹編。
『酒亭DARKNESS』(発売日:2025年8月7日)
全国各地の居酒屋で、酒の力に背中を押されるように語られる「居酒屋ホラー」十三篇+αの怪談集。老舗居酒屋の三代目が前店主から託された奇妙な条件を巡る「跡継ぎの条件」、オカルトに無縁な男に酒場で訪れたお告げを描く「夜のお告げ」、ユタ一族に伝わる鈴を扱う「風を除ける」、フェーンを警告する祖母の話「曇天の店」など。一杯と一話を交互に味わう、「孤独のグルメ」のホラー版とも評される一冊。
『珈琲怪談』(発売日:2025年4月16日)
外科医、検事、作曲家、音楽プロデューサー——多忙な四人の男たちが、京都、横浜、東京、神戸、大阪の珈琲店を渡り歩きながら、それぞれの体験した不思議な話、ぞわりとする話を披露し合う。語り手は音楽プロデューサーの塚崎多聞。コーヒー、紅茶、抹茶の香りとともに紡がれる、日常のすぐ隣に潜む六篇の怪異譚。静かな違和感が立ち上る、塚崎多聞シリーズのカフェ怪談集。
『spring』(発売日:2024年3月22日)
名前のなかにいくつもの季節を抱える、ダンサーにして振付家の天才・萬春。八歳でバレエに出会い、十五歳で海を渡った少年が、踊る者、創る者、見る者、奏でる者として彼のかたわらにあった人々の眼差しを通じて描かれる。憎しみに近い熱量で「舞台の神」を求め続ける一人の天才を、複数の視点から多角的に描く長編ヒューマンドラマ。二〇二五年本屋大賞ノミネート、ページをめくるとダンサーが踊り出すパラパラ漫画も併載。
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『夜果つるところ』(発売日:2026年7月17日)
遊廓「墜月荘」で暮らす「私」には、三人の母がいた。日がな鳥籠を眺めて過ごす産みの母・和江、身の回りのことを手取り足取り教える育ての母・莢子、無表情で帳場に立つ名義上の母・文子。ある日「私」は、館に出入りする男たち——着流しの笹野、背広姿の子爵、軍服の久我原——の宴会に迷い込む。そこから始まったのは、夥しい血が流れる惨劇だった。『鈍色幻視行』作中作にして謎の作家・飯合梓の唯一の著作が、独立した一冊として読者の前に姿を現す。
『鈍色幻視行 下』(発売日:2026年6月19日)
長い航海のなかで幾人もの証言が積み重なり、梢が追ってきた飯合梓と『夜果つるところ』の謎は、現実と虚構の境目を曇らせていく。撮影現場の事故、失踪した作家、脚本を遺して亡くなった雅春の前妻。断片は互いに響き合い、読み返すたびに別の顔を見せる作中作への違和感が、やがて一行の記憶を照らし始める。誰が何を語り、何を隠したのか。語られなかった沈黙まで意味を帯び、創作に取りつかれた人々の愛と執念が浮かび上がる。真相を求める梢の視線もまた、読者を安全な観察者ではいられなくする。二週間の船旅が終わるとき、物語そのものへの信頼が揺らぐ濃密なミステリ・ロマン、『鈍色幻視行』文庫版完結巻。
『鈍色幻視行 上』(発売日:2026年6月19日)
三たびの映像化が不慮の事故で潰えた“呪われた小説”『夜果つるところ』。その作者・飯合梓と作品の謎を追う小説家・蕗谷梢は、関係者が集う二週間のクルーズに夫・雅春と乗り込む。映画監督の角替、プロデューサーの進藤、元編集者の島崎、漫画家の真鍋姉妹らは、封じてきた記憶を少しずつ語り出す。閉ざされた客船で過去の事故と現在の会話が交錯し、証言が重なるほど、伝説の作家の輪郭はかえって曖昧になる。飯合梓は本当に死んだのか、事故は偶然だったのかという疑問が、取材のたびに濃くなっていく。梢自身の家庭にも影が差すなか、物語に魅入られた人々の秘密が静かにほどけ始める『鈍色幻視行』文庫版上巻。
『なんとかしなくちゃ。 : 青雲編』(発売日:2025年10月7日)
大阪で長く続く老舗海産物問屋の息子を父に、東京の老舗和菓子屋の娘である母を持つ商家の末っ子・梯結子。生まれた一九七〇年から、東京の大学を卒業する一九九三年まで——抜群の観察眼と段取り力を備えた彼女が、混み合う砂場、誕生日会で傷ついた友のプライド、不利な生徒会選挙、城郭愛好研究会での日々など、誰もが諦めかけた局面で「なんとかしなくちゃ」と動いていく。シリーズ第一作「青雲編」。
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