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知念実希人のシリーズ作品一覧

死神シリーズ(3作)

  1. 『優しい死神の飼い方』(初刊:2013年11月)
  2. 『黒猫の小夜曲』(初刊:2015年7月)
  3. 『死神と天使の円舞曲』(初刊:2022年5月)

天久鷹央シリーズ(22作)

  1. 『天久鷹央の推理カルテ 完全版』(初刊:2014年9月)
  2. 『吸血鬼の原罪 天久鷹央の事件カルテ』(初刊:2023年10月)
  3. 『ファントムの病棟 天久鷹央の推理カルテ 完全版』(初刊:2015年2月)
  4. 『スフィアの死天使 天久鷹央の事件カルテ 完全版』(初刊:2015年8月)
  5. 『密室のパラノイア 天久鷹央の推理カルテ 完全版』(初刊:2015年5月)
  6. 『幻影の手術室 天久鷹央の事件カルテ 完全版』(初刊:2016年8月)
  7. 『悲恋のシンドローム 天久鷹央の推理カルテ 完全版』(初刊:2016年1月)
  8. 『甦る殺人者 天久鷹央の事件カルテ 完全版』(初刊:2017年10月)
  9. 『神秘のセラピスト 天久鷹央の推理カルテ 完全版』(初刊:2017年3月)
  10. 『火焰の凶器 天久鷹央の事件カルテ 完全版』(初刊:2018年8月)
  11. 『羅針盤の殺意 天久鷹央の推理カルテ 完全版』(初刊:2024年2月)
  12. 『魔弾の射手 天久鷹央の事件カルテ 完全版』(初刊:2019年8月)
  13. 『神話の密室 天久鷹央の推理カルテ 完全版』(初刊:2020年8月)
  14. 『久遠の檻 天久鷹央の事件カルテ 完全版』(初刊:2021年8月)
  15. 『絶対零度のテロル 天久鷹央の事件カルテ』(初刊:2024年4月)
  16. 『生命の略奪者 天久鷹央の事件カルテ 完全版』(初刊:2022年8月)
  17. 『猛毒のプリズン 天久鷹央の事件カルテ』(初刊:2024年10月)
  18. 『呪いのシンプトム 天久鷹央の推理カルテ』(初刊:2024年12月)
  19. 『天久鷹央の推理カルテ ジュニア版 カッパの秘密とナゾの池』(初刊:2024年12月)
  20. 『鏡面のエリクサー 天久鷹央の事件カルテ』(初刊:2025年4月)
  21. 『血脈のナイトメア 天久鷹央の事件カルテ』(初刊:2025年12月)
  22. 『アノマリーの追憶 天久鷹央の推理カルテ』(初刊:2026年4月)

病棟シリーズ(2作)

  1. 『仮面病棟』(初刊:2014年12月)
  2. 『時限病棟』(初刊:2016年10月)

神酒クリニックで乾杯をシリーズ(2作)

  1. 『天久翼の読心カルテ 神酒クリニックで乾杯を』(初刊:2015年10月)
  2. 『天久翼の読心カルテ2 淡雪の記憶』(初刊:2016年4月)

祈りのカルテシリーズ(2作)

  1. 『祈りのカルテ』(初刊:2018年3月)
  2. 『祈りのカルテ 再会のセラピー』(初刊:2022年8月)

放課後ミステリクラブシリーズ(9作)

  1. 『放課後ミステリクラブ1 金魚の泳ぐプール事件』(初刊:2023年6月)
  2. 『放課後ミステリクラブ2 雪のミステリサークル事件』(初刊:2023年10月)
  3. 『放課後ミステリクラブ3 動く亀の銅像事件』(初刊:2024年2月)
  4. 『放課後ミステリクラブ4 密室のウサギ小屋事件』(初刊:2024年6月)
  5. 『放課後ミステリクラブ5 龍のすむ池事件』(初刊:2024年10月)
  6. 『放課後ミステリクラブ6 教室のとうめい人間事件』(初刊:2025年3月)
  7. 『放課後ミステリクラブ7 音楽室のゆうれいとおどるがいこつ事件』(初刊:2025年7月)
  8. 『放課後ミステリクラブ8 かべをすりぬけるサンタクロース事件』(初刊:2025年11月)
  9. 『放課後ミステリクラブ9 生きかえったカブトムシ事件』(初刊:2026年7月)

となりのナースエイドシリーズ(2作)

  1. 『となりのナースエイド』(初刊:2023年11月)
  2. 『サーペントの凱旋 となりのナースエイド』(初刊:2024年12月)

スマホBOOK・厳禁シリーズ(4作)

  1. 『スワイプ厳禁 変死した大学生のスマホ』(初刊:2025年8月)
  2. 『閲覧厳禁 猟奇殺人犯の精神鑑定報告書』(初刊:2025年9月)
  3. 『エゴサ厳禁』(初刊:2026年5月)
  4. 『このスマホで地下牢獄から脱出してください』(初刊:2026年8月)

偽世界転生シリーズ(1作)

  1. 『偽世界転生1』(初刊:2026年7月)

知念実希人のノンシリーズ(単発)作品一覧(刊行順)

『レゾンデートル』(初刊:2012年4月)

レゾンデートル

レゾンデートル <実業之日本社文庫>

発売日:2019年4月5日

長編
あらすじ

末期がんの宣告を受けた医師・岬雄貴は、残された時間を、法では裁ききれない悪人への復讐に使うと決める。標的を追ううち、現場にトランプを残す連続殺人犯〈切り裂きジャック〉の影が浮かび、岬の危うい計画は予想外の方向へ転がり始める。死を目前にした者は、何を理由に生き、どこまで他者を裁けるのか。医療の知識を生かした緊迫の攻防と、奇妙な共犯関係の行方を通して、命の価値と贖罪を問いかける長編医療ミステリー。題名の「レゾンデートル=存在理由」が、物語の核心で重く響く。正義を掲げる行為が別の暴力へ変わる境界を、スピード感ある展開の中で鋭く照らし出している。岬の決断が胸に残る。

『螺旋の手術室』(初刊:2013年7月)

螺旋の手術室

螺旋の手術室 <新潮文庫>

発売日:2017年9月28日

長編
あらすじ

大学病院の手術中、次期教授候補の冴木真也が不可解な死を遂げる。しかも同じ教授選を争っていたライバル医師まで殺され、病院内には疑念と沈黙が広がっていく。父の死に納得できない研修医の冴木裕也は、刑事が残した意味深な言葉を手掛かりに、医局の人間関係と手術室で起きたことをたどり始める。高度な技術と権力欲が交錯する閉鎖的な医療現場で、誰が、どのように命を奪ったのか。外科医だからこそ見抜ける身体の異変を鍵に、父子の思いと医師の倫理を描く本格医療ミステリー。手術の成否だけでなく、教授選の駆け引きや医局の秘密が推理を左右し、最後まで緊張が途切れない。家族の物語としても読ませる。

『リアルフェイス』(初刊:2015年5月)

リアルフェイス

リアルフェイス <実業之日本社文庫>

発売日:2018年6月7日

長編
あらすじ

天才的な腕で、依頼人の望む顔を作り出す美容外科医・柊貴之。現在の妻を別れた妻と同じ顔にしたい、別人として生きられる容姿に変えてほしい――彼のもとには、常識では測れない事情を抱えた患者が訪れる。そんな中、整形手術を受けた美女が狙われる連続殺人が発生し、柊も事件の渦へ引き込まれていく。人は顔を変えれば過去まで捨てられるのか、理想の外見は幸福をもたらすのか。大胆な手術の発想と二転三転する犯罪の真相を組み合わせ、外見と自己同一性の危うい関係を描く美容医療ミステリー。華やかな美容医療の舞台に潜む欲望と孤独を、専門的な説得力とサスペンス性を両立させて描いている。読後にも問いが残る。

『白銀の逃亡者』(初刊:2016年6月)

白銀の逃亡者

白銀の逃亡者 <光文社文庫>

発売日:2023年5月10日

長編
あらすじ

致死率の高いウイルスが世界を襲った後、感染から生き延びた一部の人々には、銀色の瞳と常人を超える能力が現れた。彼らは〈ヴァリアント〉と呼ばれ、恐れと偏見の対象となっている。社会の片隅で身を隠す者、能力を利用しようとする者、取り締まる側の者。それぞれの思惑がぶつかる中、ひとりの逃亡をきっかけに追跡と陰謀が動き出す。異能は祝福か、それとも新たな病なのか。感染症後の分断された社会を舞台に、逃げる者と追う者の視点を交えながら、人間らしさと共存の可能性を問う近未来医療サスペンス。能力を持つ者だけを異質とする視線を通して、災害後の社会が抱える排除と恐怖を映し出す作品でもある。

『誘拐遊戯』(初刊:2016年9月)

誘拐遊戯

誘拐遊戯 <実業之日本社文庫>

発売日:2019年10月4日

長編
あらすじ

白金で女子高校生が誘拐され、五千万円の身代金が要求される。犯人は自らを〈ゲームマスター〉と名乗り、警察との交渉役に、すでに現場を離れた元警視庁捜査官・上原真悟を指名した。四年前の誘拐事件を思わせる挑発に、上原は再び東京中を走らされる。次々に提示される課題を解かなければ、人質の命はない。犯人はなぜ上原を選び、何を再現しようとしているのか。過去の失敗と現在の事件が絡み合い、追う側と仕掛ける側の知略が激突するノンストップ犯罪ミステリー。誘拐そのものを遊戯に変える悪意の真意に迫る。移動するたび新たな条件が加わる構成により、交渉人の判断と人質救出までの時間が読者にも迫ってくる。

『屋上のテロリスト』(初刊:2017年4月)

屋上のテロリスト

屋上のテロリスト <光文社文庫>

発売日:2017年4月11日

長編
あらすじ

第二次世界大戦後、日本が東西に分断されたもう一つの歴史。長い対立を抱えた社会で暮らす高校生・彰人は、校舎の屋上で謎めいた少女・沙希と出会う。彼女が胸に秘めていたのは、国のあり方を揺るがすほど大規模なテロ計画だった。彰人は止めるべきか、手を貸すべきか迷いながら、分断の裏にある暴力と欺瞞を知っていく。若者たちの選択は、閉塞した国に何をもたらすのか。現実とは異なる戦後日本を舞台に、青春の衝動、恋、政治的な緊張を一気に走らせる歴史改変サスペンス。屋上で交わした約束が物語を動かす。大きな歴史の分岐を背景にしながら、未来を奪われた若者が自分の意志で立つまでを鮮烈に映し出す。

『崩れる脳を抱きしめて』(初刊:2017年9月)

崩れる脳を抱きしめて

崩れる脳を抱きしめて <実業之日本社文庫>

発売日:2020年10月8日

長編
あらすじ

広島の病院で研修医として働く碓氷は、神奈川の病院で脳腫瘍の治療を受ける女性・ユカリと出会う。ともに心に傷を抱える二人は、医師と患者という距離を越え、少しずつ互いを支えにしていく。しかし碓氷が広島へ戻った後、届いたのは彼女の訃報だった。受け入れられない思いを抱えて横浜を訪れた彼は、ユカリが残した言葉と、治療をめぐる不可解な事実をたどり始める。崩れていく脳は、その人の記憶や愛まで奪うのか。医療ミステリーの謎と恋愛小説の切なさを重ね、喪失の先で明かされる真実を描く長編。病名を解くことが必ずしも救いにならない現実の中で、二人が互いに託した願いが深い余韻を残す。静かな余韻が続く。

『ひとつむぎの手』(初刊:2018年9月)

ひとつむぎの手

ひとつむぎの手 <新潮文庫>

発売日:2021年4月26日

長編
あらすじ

大学病院で働く外科医・平良祐介は、連日の手術と雑務に追われ、理想としていた医師像を見失いかけていた。そんな彼に教授が命じたのは、三人の研修医を指導し、外科へ勧誘すること。個性も志望も異なる若者たちと患者を受け持つうち、祐介は手術の腕だけでは人を救えない現実に向き合う。緊急手術、家族との対話、過去に残した傷――一人ひとりの選択が、医師としての進路を揺さぶっていく。命を次の手へつなぐとはどういうことか。大学病院の厳しさと希望を描き、医療を支える人々の思いを丁寧に紡ぐ長編医療ヒューマンドラマ。教える側になった祐介が研修医の迷いに触れ、自分自身の原点を取り戻していく姿にも心を動かされる。

『神のダイスを見上げて』(初刊:2018年11月)

神のダイスを見上げて

神のダイスを見上げて <光文社文庫>

発売日:2021年7月13日

長編
あらすじ

巨大隕石〈ダイス〉が地球へ接近し、人類の終わりが現実味を帯びていく。高校生の亮は、残された日々をただ待つことができず、身近で起きた殺人の真相と、果たすべき復讐を追い始める。明日があると信じられない世界では、法律も日常の約束も崩れ、人々の隠していた欲望や恐怖がむき出しになる。空を見上げれば刻々と迫る破滅、地上では誰かが作った謎。限られた時間の中で亮は何を選び、誰を信じるのか。終末パニックの切迫感と犯人探しを融合させ、世界の終わりにも揺らがない正義や愛情の意味を問う青春ミステリー。死を前にすれば何をしても許されるのかという問いが、少年の危うい決意とともに重く突きつけられる。

『レフトハンド・ブラザーフッド 上』(初刊:2019年3月)

レフトハンド・ブラザーフッド 上

レフトハンド・ブラザーフッド 上 <文春文庫>

発売日:2021年11月9日

長編
あらすじ

高校生の岳士は、事故で亡くなった兄・海斗が自分の左手に宿っていると感じていた。医学的には、自分の意思に反して手が動く〈エイリアンハンド症候群〉。治療を受ければ兄の存在まで消えてしまうと恐れた岳士は病院を抜け出し、東京へ向かう。だが旅の途中で殺人の容疑を着せられ、違法薬物をめぐる危険な事件に巻き込まれていく。左手を動かすのは本当に兄なのか、それとも脳が生んだ症状なのか。兄弟の絆を軸に、逃亡劇と医療の謎を疾走感たっぷりに描く上下巻構成の長編サスペンス、その上巻。自分の身体にいる兄を守りたいという願いが、治療と逃亡のどちらを選ぶかという切実な葛藤を生む。兄弟の会話も切ない。

『レフトハンド・ブラザーフッド 下』(初刊:2019年3月)

レフトハンド・ブラザーフッド 下

レフトハンド・ブラザーフッド 下 <文春文庫>

発売日:2021年11月9日

長編
あらすじ

亡き兄・海斗が左手に宿っていると信じる岳士は、殺人の容疑を晴らし、事件の元凶を突き止めるため、違法薬物を扱う組織へ近づいていく。協力者の彩夏とともに危険な潜入を続ける一方、意思に反して動く左手の正体への疑いも深まる。海斗は本当に岳士を守っているのか、それとも脳の病が見せる存在なのか。追跡者と犯罪組織に挟まれ、兄を失った日の記憶と現在の殺人が結びついていく。医療ミステリーと青春逃亡劇を重ねた上下巻構成の長編、その完結編。兄弟の絆と復讐の果てに、岳士が下す決断を描く。上巻で広がった疑問が一つずつ結びつき、左手をめぐる医学的な謎と事件の真相が同時に収束していく。

『ムゲンのi 上』(初刊:2019年9月)

ムゲンのi 上

ムゲンのi 上 <双葉文庫>

発売日:2022年2月9日

長編
あらすじ

精神科医の識名愛衣は、原因不明の眠りから目覚めない二人の患者を担当する。夢の中に入り込み、失われた魂〈マブイ〉を連れ戻すという少年ククルに導かれ、愛衣は現実とは異なる世界で患者の心を探る。二人が抱える傷をたどるうち、その背景に二十三年前の無差別殺傷事件と、現在進行中の不可解な殺人が浮かび上がる。眠りは病なのか、それとも心を守るための避難なのか。沖縄の伝承と精神医療、犯罪捜査を組み合わせた上下巻構成の長編ミステリー、その上巻。現実と夢の境界で壮大な謎が動き始める。医療で救えないように見える患者へ、夢を介して手を伸ばす愛衣の決意が、物語を幻想の奥へ導いていく。

『ムゲンのi 下』(初刊:2019年9月)

ムゲンのi 下

ムゲンのi 下 <双葉文庫>

発売日:2022年2月9日

長編
あらすじ

眠り続ける患者の魂を救うため、精神科医の識名愛衣は、少年ククルとともに夢の世界を進む。そこで見つけた心の傷は、二十三年前の無差別殺傷事件だけでなく、現実で続く猟奇的な殺人とも結びついていた。患者たちの共通点、愛衣自身の記憶、夢に現れる象徴が重なり、二つの時代を貫く大きな秘密が輪郭を現す。人の心はどこまで現実を作り替え、痛みを封じ込められるのか。沖縄の魂の伝承と精神医療を融合した上下巻構成の長編、その完結編。幾重もの謎が収束し、愛衣が〈無限〉の意味に向き合う。夢で得た答えが現実の患者をどう救うのか、愛衣の医師としての選択が最後まで物語の軸となっている。結末まで目が離せない。

『十字架のカルテ』(初刊:2020年3月)

十字架のカルテ

十字架のカルテ <文春文庫>

発売日:2022年11月8日

短編集
あらすじ

新人医師の弓削凜は、犯罪者の心を診る精神鑑定の道へ進み、著名な鑑定医・影山司のもとで学び始める。妄想に支配された容疑者、病気を装う被告人、複数の人格を訴える人物。彼らの言葉が症状なのか、責任を逃れるための嘘なのかを見極めるには、診察室の会話と事件の証拠を同時に読む必要がある。凜は影山の鋭い判断に圧倒されながら、自身が背負う〈十字架〉にも向き合っていく。精神医学と刑事事件を結びつけ、罪を裁くことと心を理解することの隔たりを描く連作医療ミステリー。各話の謎と成長物語が響き合う。法的な責任と医学的な診断が必ずしも重ならない難しさを、事件性のある物語を通して分かりやすく示す。

『傷痕のメッセージ』(初刊:2021年3月)

傷痕のメッセージ

傷痕のメッセージ <角川文庫>

発売日:2024年9月24日

長編
あらすじ

医師の千早は、警察官だった父の突然の死に直面する。父は亡くなる直前、すぐに解剖してほしいと言い残し、胃の壁には不可解な暗号が刻まれていた。病理医の友人・紫織と手掛かりを追ううち、父が警察を辞める原因となった二十八年前の連続殺人と、現在起きた酷似事件がつながっていく。なぜ父は長い間ひとりで犯人を追い、娘に身体そのものをメッセージとして託したのか。解剖で得られる医学的事実と刑事捜査を重ね、家族の沈黙に隠された真相へ迫る医療ミステリー。傷痕が過去と現在を結ぶ。父が遺した暗号を娘が医学で受け止める構図が、親子の距離と長年の執念を鮮やかに浮かび上がらせる。親子の情も胸を打つ。

『硝子の塔の殺人』(初刊:2021年7月)

硝子の塔の殺人

硝子の塔の殺人 <実業之日本社文庫>

発売日:2025年10月3日

長編
あらすじ

雪深い森にそびえる、全面を硝子で覆われた塔。ミステリーを愛する大富豪が、医師、作家、編集者らを招いた館で、自らが毒殺される。続いて血に染まった遺体が見つかり、十三年前の未解決事件まで影を落とす。外界から隔絶された館で、犯人は招待客の中にいるのか。探偵を名乗る碧月夜と医師の一条遊馬は、奇妙な建築、残された品、参加者の秘密を手掛かりに推理を進める。密室、見立て、館といった本格ミステリーの趣向を詰め込みながら、探偵と犯人の知恵比べを描く長編。塔そのものに仕掛けられた謎が読者を待ち受ける。名作への敬意を込めた仕掛けが随所に置かれ、読み手自身も提示された手掛かりから犯人を推理できる。

『真夜中のマリオネット』(初刊:2021年12月)

真夜中のマリオネット

真夜中のマリオネット <集英社文庫>

発売日:2024年6月20日

長編
あらすじ

救急医の秋穂は、婚約者を連続バラバラ殺人犯に奪われた過去を抱えている。ある夜、事故現場で美しい少年・涼介を救命するが、警察は彼こそ一連の事件の犯人だと告げる。涼介は無実を訴え、誰かにはめられたのだと主張する。医師として救った相手を信じるのか、捜査が示す証拠を受け入れるのか。秋穂は婚約者の死と現在の事件を結ぶ手掛かりを求め、真夜中の街を追う。被害者遺族と容疑者の危うい信頼を軸に、正体の見えない操り手へ迫る犯罪サスペンス。救命と復讐の間で揺れる選択が緊張を高める。何者かに操られる〈マリオネット〉は誰なのかという疑問が、秋穂の過去と現在を鋭く結びつける。予測不能な展開が続く。

『機械仕掛けの太陽』(初刊:2022年10月)

機械仕掛けの太陽

機械仕掛けの太陽 <文春文庫>

発売日:2025年1月4日

長編
あらすじ

新型コロナウイルスが広がり始めた日本。呼吸器内科医でシングルマザーの椎名梓、病棟を支える看護師の硲瑠璃子、地域の患者を診続ける高齢の開業医・長峰邦昭らは、正体の定まらない感染症と向き合う。防護具も病床も情報も足りず、家族に会えない患者と、帰宅しても偏見にさらされる医療者。日々変わる状況の中で、彼らは最善を探し続ける。約二年半の医療現場を複数の視点から描き、数字の背後にあった疲労、恐怖、連帯を記録する長編医療ドラマ。機械のように働くのではなく、人として命を支えた人々の物語。誰か一人を英雄にせず、立場の異なる人々の日常を積み重ねることで、社会全体の記憶を描き出している。

『ヨモツイクサ』(初刊:2023年5月)

ヨモツイクサ

ヨモツイクサ <双葉文庫>

発売日:2026年6月10日

長編
あらすじ

北海道・旭川の奥地に広がる〈黄泉の森〉は、アイヌの人々が古くから足を踏み入れてはならないと伝えてきた場所だった。リゾート開発の調査に入った作業員が次々と姿を消し、現場には押し潰されたような痕跡と青い光の目撃談だけが残る。土地の禁忌を無視した開発の先で、人々は何に襲われたのか。調査が進むにつれ、伝説の怪物とも未知の生物ともつかない、生命を脅かす存在が迫ってくる。医学と遺伝学の発想で〈怪異〉に実体を与え、極寒の森から逃げ場のない恐怖を描くバイオホラー。自然への畏れと科学の暴走が交差する。目に見えない病原体とは異なる脅威に対し、人間の知識と開発の論理がどこまで通じるのかが試される。